2016年12月29日(木)
2017年2月23日にスクウェア・エニックスから発売されるアクションRPG『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。
その応援企画として、前作にあたる『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』の思い出を主人公・ニーアが訪れた町や場所ごとに振り返る連載コラムの5回目は、プレイした人の多くが「え、『ニーア レプリカント』ってRPGでしたよね!?」と我が目を疑ったであろう不思議な場所、神話の森編をお届けします!
※この記事は『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』のネタバレを含みます。プレイ予定の方はご注意ください。
神話の森が登場するのは、物語のちょうど序盤とも中盤とも言い難いあたりのこと。ニーアの村の図書館にいるポポルの元に「夢夢夢夢……」という不思議な手紙(といえばいい感じに聞こえますが、ぶっちゃけあきらかにヤバそうで不気味な手紙)が届きます。
ちょうどニーアとヨナも、2人でまったく同じ夢をみるという不思議な体験をしたばかり。何かが怪しい……ということで手紙の差出人である、神話の森の村長を訪ねることに。
神話の森はおしゃべり好きな村人たちがのんびりと暮らす、緑に囲まれた場所。うっすらと霧に煙る村の奥には空をも覆わんばかりの巨木がそびえたち、まるでこの世界を支えるがごとくに鎮座していました。
しかし、村人たちに話しかけてみるとやはりどうも様子がおかしいのです。もちろん手紙を書いた村長の様子もまた奇妙なものでした。ニーアが村長に話しかけると、徐々に周りの景色が薄れていき、真っ黒な闇に飲み込まれてしまいます。これは“死の夢”という厄介な病。
言葉を介して伝染する病にかかってしまったニーアたちは、言葉だけが闇に浮かぶ奇怪な夢の世界へと引きずり込まれてしまったのでした……。
と書けば、非常にそれっぽいわけではありますが。
フランクに解説しちゃうと“死の夢”に罹患した途端、地味だったはずの会話ウィンドウがものすごく幅を利かせてきて、最終的には暗転して画面真っ黒になるんですね。で、テレビ全体が黒い画面になって、白い文字で文章がつらつらつらー、つらつらつらーっと。
「いやあ、さっきまで文字が小さくて読みにくかったけど拡大されて読みやすくなったな~、これ『ニーア』なのに」って、そんなわけあるかいな。
言葉と文章の世界に閉じ込められたニーアたち……つまり突然のサウンドノベルがはじまっちゃって、どうすんのこれ、どうしたらいいのこれ、ってなるんですね。
▲うーん、なんて読みやすいんだ……って、ちがう! そうじゃない! |
本当に冗談でもなんでもなく、ここからはしばらくのあいだ、わりときっちりサウンドノベルで話が進みます。きちんと読み進めていって、出される謎を解き明かすと“死の夢”から脱することができますのでがんばりましょう、という仕組み。
RPGゲームの概念がじつに気持ちよく吹っ飛んでしまう場所、それが神話の森でした。
▲美しい言葉が、残酷な物語が、やさしい文章が、闇の中をさまようようにグルグルと。導かれるままに読み進めると、そのまま世界に引きずりこまれそうな不思議な気持ちに。 |
物語の後半でも再びこの場所を訪れることになるのですが、今度は巨木たる“神の樹”がためこんでいる多くの“記憶”に触れることで、またも色を失った言葉の海へと飲み込まれてしまうことになります。
なんともいえない不思議なこの“言葉だけに触れる”体験は、しかしちゃんとこの作品の世界観に寄り添っているような気がして、結果的にここもまたとても思い出深い場所となったのです。
▲「空から落ちてきた赤い竜が……」すみません、その話をちょっと詳しく。 |
『ニーア』というゲームにおける「『ニーア』らしさ」というものがどういう部分にあるかというのは遊んだ人それぞれで違うものかと思いますが、個人的にはこの神話の森で起こるサウンドノベル状態はなかなかに衝撃的で、たいへん好ましく、冒頭で爆笑してしまい、「ここまで行くとすがすがしくって好きだ! 大好きだ!」と誰かに力説した記憶があります。ついでに、もう6年も経っているので包み隠さない細かな感想を書きますと「世界観を大切にした大胆な演出なのか、それとも開発的に予算がなかったとかギリギリな状況から来ている苦肉の策なのか、どっちともとれる不安定さで、見る人が見たら「なんじゃこりゃあ!! なめてんのか!!」って怒り出すだろうけど、また見る人が見れば「削ぎ落とされたモノクロの、シンプルで洗練された、じつに的確な演出……見事としかいえない……」ってわかってるがごとく言えちゃうような、現代美術的で抽象的で、芸術的なのかそうでないのか、褒めるのにもけなすのにもどっちもアリで困っちゃうあたりのギリギリに立ってる感じが『ニーア』っぽくて、くぅぅ、たまらないぜ!!」って思っていました。
プレイした皆さんにとっては、神話の森はどのように映ったでしょう。
それでは、今回もいろいろと投げっぱなしではございますが、このへんで。
次回は最高に儚い美少年が住んでいたはずが、どういうわけだか超絶不気味でキュートで「ニーアさん大好き!」って花嫁になりたがる、ピュア無邪気長生きボールヘッドなあの子を生むことになったステキポイント“洋館”編をお届けしたいと思っておりますのでお楽しみに!
▲“こだわりのSS_消さないでください”という謎フォルダに納められて残っていた、6年前のスクリーンショットより。設定資料集にも載せてたが、6年前の私よ……何にどうこだわったの? ……尻かい? |
本作の攻略情報と設定資料を収録した『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』を4月28日に発売します。価格は2,500円+税。仕様はB5判・304ページとなっています。
やり込みに役立つ攻略データに加え、ネタバレ注意のキャラクター&ストーリー解説も収録!
ディレクター・ヨコオタロウさんによる短篇小説、小説家・映島巡さんによる書き下ろし小説2篇も読める『NieR:Automata』ファン必携の1冊です。
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