2017年1月5日(木)
2017年2月23日にスクウェア・エニックスから発売されるアクションRPG『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。
その応援企画として、前作にあたる『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』の思い出を主人公・ニーアが訪れた町や場所ごとに振り返る連載コラムの6回目は、満を持しての登場! あのかわいらしいエミールと出会える場所、そしてあのかわいらしい実験兵器7号と出会える場所、南平原にある洋館の思い出を振り返ります。
※この記事は『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』のネタバレを含みます。プレイ予定の方はご注意ください。
ニーアの村から南平原へ向かうと、小高い丘の上に立派な洋館が建っています。そこにはニーアの妹・ヨナが文通している少年が住んでいました。
▲わりとあの超有名ゲームっぽいのは気のせいですよ、気のせい。 |
そもそもにしてヨナに文通相手がいること自体がニーアにとっては青天の霹靂(へきれき)だったわけですが、少年の病気を治してあげてほしいと健気に妹に頼まれては、やさしいお兄ちゃんはどうやったって断れないわけです。
いったいどんなボーイフレンドなのか……そしていったいどういう病気なのか……。いざ洋館を訪ねてみれば、そこはすべてが石化した、モノクロの奇妙な空間でした。
▲薄幸の美少年の風情が漂います。 |
モノクロの世界でピアノの音色とともに現れたのは、執事のセバスチャンとふたりぼっちで暮らす少年エミールでした。目隠しを外すことができない彼の病――それは見るものすべてを石化させてしまうという、とても忌まわしいものだったのです。
執事の話によれば、洋館の奥にある書庫に石化の力を解除するための書物が眠っているとのこと。洋館に散らばる鍵を集めながら書庫へとたどり着くと、驚くことに1冊の書物が宙に浮き上がり、ニーアたちに襲いかかります。
エミールの石化能力の加勢と、カイネの力を借りて、ようやく真紅の書の攻撃性を鎮めたニーアは、そのページの中から暗号化された石化能力解除の方法を見つけ出すことができたのです。
▲まるで白の書とそっくりな書物の名は“真紅の書”。どこでどうやってこの書物が生まれたのか……その秘密の物語は設定資料集『グリモアニーア』でね!(常にこう書くしかないくらい、設定資料集の情報量がスゴイ) |
このあたりでの見どころといえば、ヨナからのお願いである石化解除の情報を執事に託し、洋館を去る際のカイネとエミールの会話シーンでしょう。
マモノに憑かれたカイネ、石化の瞳を持つエミール、どちらも呪われた力に悩まされて生きざるを得ない2人の出会い。絶望を抱えてひっそりと暮らすエミールに、カイネは自分のマモノ憑きの腕を触らせて、やさしく告げるのです。
「この腕も、私も、まだ生きる意味があるように、おまえにも未来がある筈だ」
▲カイネの、同情ではない強いやさしさが、しっかりと感じられる名シーン。 |
この2人のやりとりの詳細に、ニーアが気づいていないところが、すごく……すごくイイと思うんです!!
これは私の勝手な解釈になりますが、カイネに、そしてエミールに“生きる意味”を与えていくのはニーアなわけで。しかしニーア自身はわりと無自覚なところも残しつつなわけで。そんな無自覚かつ妹を救うことしか目に入っていないニーアに対して、カイネとエミールはある意味でものすごく純粋に、ある意味ではものすごく愚かなほどに気持ちを傾けていくわけで……。
3人のそれぞれの感情が無自覚に交錯して、未来を予感させる素敵なシーンだと思うだけに、この後に起こるニーアの村での大きな事件がより一層引き立ってしまうんですよね、ええ。このあたりは企画第1回の“ニーアの村”を振り返ってご参照ください。
さて、最初の訪問からおよそ5年後。成長したニーアは再び洋館を訪れることになります。エミールの石化能力を制御するための方法が見つかったというのです。石化能力を制御する方法は、洋館の隠された地下施設に……ニーアと白の書はエミールを連れて、マモノの巣喰う地下施設を進んでいくことになります。
もうね、先に見出しで“恋に目覚める”って書いてしまいましたよね、敢えて! 不穏な地下施設ですが、芽生えの場所でもあるんですよ、ここは! プレイヤーが「エミールゥゥゥゥ!!」って言って、嗚咽混じりのエミール愛が芽生える場所でもあると思う!
敢えて言おう、ここが新たなはじまりの場所であると! 発売前のPVでも、エミールの言う「殺してくださいね」が印象的でしたしね、うん。
この地下施設を進みながら、エミールが少しずつ思い出していく昔の記憶。
それは1000年も時をさかのぼり、子どもたちを兵器に作り変えていた、とても残酷な実験の記憶でした。
そしてその記憶が本物であることを裏づけるように、施設の最奥には彼の“おねえさん”である“ハルア”が、実験兵器6号として不気味な姿を保ったままで石化され、磔にされていました。彼女を石化したのはエミール自身……最強兵器として膨大な魔力を持ち、制御できなくなった6号を封じるために、エミールの石化能力は植え付けられたものだったのです。
▲実験兵器6号。その強大すぎるチカラは、石化されただけでは死に至ることもなく……。 |
エミールは自身の石化能力を制御できるだけの魔力を得るべく、6号を取り込もうと試みます。
▲6年前に、既にマミられていたというか、それ以上だったといえばいいのか。 |
ニーアの助けを借りつつ、結果として彼は望んだ力を手に入れ――代償として血肉のすべてを失ってしまうのです。
悲痛な叫びをあげるエミールに、ニーアはやさしく声をかけ、彼を抱きしめます。白の書も、姿形の変わってしまったエミールを力強く励まします。石化を制御できるようになったエミールは、この時はじめてあこがれ続けてきたニーアの姿を目にすることができるようになり、素直な感想を口にしました。
「……とっても、かっこいいです」
▲はじまりました、恋、はじまっちゃいました……っ!! 多分この時に、ニーアさんからいい匂いがしています……っ!! |
こうして大きな代償を捧げて自由と力を得たエミールは、ニーアとの旅路を歩むことになるのです。ひょっとすると今やエミールと言えば、目隠しをした少年の姿よりも、まんまる顔の骨っ子な彼を思い出す人のほうが多いのではないでしょうか。さらに言えば、顔だけの状態で真っ先に思い浮かべる人も多そうです。
私的な解釈をまじえていろいろと書かせていただきましたが、ニーアに想いを寄せるエミールは純粋にかわいいなぁと思います。性別が(一応)男同士で、そこについての萌えがどうこうというよりも、あの洋館で記憶を失うほどの長い時間を過ごし、ようやくひらけた視界でニーアの姿を見たエミールが、初めて見たものを親と思い込むような雛鳥のようにも思えて愛しくなるのです。
と同時に、そういうの抜きにして「ニーアさんカッコイイ、キャーッ!!」と暴走して、そっち方面の空気バリバリで花嫁さんにあこがれちゃうエミールも、それはそれである意味堂々と男らしくもあり、女の子らしくもあり、ステキな生き様じゃないか! と思ったりするのです。
いずれにせよ、彼の存在感なくしては『ニーア レプリカント』は語れないくらいの重要人物なエミール。まんまる頭のあのフォルムがヨコオさんの仮面になったりグッズになったりしてこれほど長く愛されているのを見ると、なにかとほっこりした気持ちにさせられるのです。
ありがとうエミール、ありがとう7号。
▲状況的に言って「よいしょ」じゃないのよ、キミ。 |
そんなわけで、今回は“洋館”での思い出にスポットを当てたコラムをお届けしました。洋館というよりエミール語りで失礼いたしました!!
次回は仮面の街や神殿が存在する“砂漠”編をお届けしたいと思っておりますのでお楽しみに!
▲果たされたハルアとの邂逅……“おねえさん”の物語も、また設定資料集にて。 |
本作の攻略情報と設定資料を収録した『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』を4月28日に発売します。価格は2,500円+税。仕様はB5判・304ページとなっています。
やり込みに役立つ攻略データに加え、ネタバレ注意のキャラクター&ストーリー解説も収録!
ディレクター・ヨコオタロウさんによる短篇小説、小説家・映島巡さんによる書き下ろし小説2篇も読める『NieR:Automata』ファン必携の1冊です。
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