2017年1月2日(月)
2017年2月23日にスクウェア・エニックスから発売されるアクションRPG『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。先日体験版も配信され、ますます期待が高まる本作について、発売が待ちきれないファンは数多いことでしょう。
もちろん、我々電撃オンラインの『NieR』記事担当者たちも、発売を首を長くして待っているところです。今回は年末年始の特別企画として、そんな『NieR』好きな面々が集まっての座談会トーク、後編の模様をお届け。お話は、いよいよ新作『NieR:Automata』への期待、そして不安へとおよんでいきます……。
【座談会参加メンバー】
タダツグ:『NieR』シリーズ、『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズという、いわゆる“ヨコオタロウ作品”に魅入られている担当ライター。先日はヨコオさんが原作を手がけた舞台『君死ニタマフ事ナカレ 零』を見て感涙したばかり。
サガコ:ヨコオ作品のなかでも、とくに『ニーア レプリカント』に激しく心を動かされた担当ライター。2016年に実現したコンサートで号泣したり、夜中にニーアのことを思って突然泣き出したり、常人には理解しがたい暴走をまれに起こす。
喜一:『ニーア』の呪いにかかった担当ライター2名が暴走しないように監視しつつ、仕事をお願いする『NieR:Automata』担当編集。『レプリカント/ゲシュタルト』発売当時はまだイチゲームプレイヤーだった。
喜一:ということで、そろそろ新作『NieR:Automata』のお話に移りたいのですが。ゲームが開発されていることが告知されたのはE3 2015でした。この時、初めてティザームービーがお披露目されたんですよね。
タダツグ:あれはテンション上がった。まだ正式タイトルも明かされていなくていろいろ妄想がはかどったし、何やら主人公が女性のように見えるぞってなもんでね。僕はヨコオさんが原作を手掛けている舞台の“ヨルハ”を観劇していたこともあって、“これってばヨルハと関連してるんじゃない?”とか、ホントにいろいろと妄想してたよ。
サガコ:ムービーにヨコオさんの名前が表示されたあたりで、ちょうど『イニシエノウタ』のサビの部分がかかるんだよね。うまいこと音楽を演出に組み込んでくるもんだって、感心したのを覚えてる。音楽はまた岡部啓一さんなんだなぁって名前を見て安心した。
喜一:ぼくはプラチナゲームズが開発を手掛けるってところに驚きました。アクション部分がガチになるなってことは、この時点で簡単に予測がつきましたよね。
タダツグ:吉田明彦さんがキャラクターデザインを担当するっていうのもアツかった。すでにスクウェア・エニックスを退社されて、CyDesignationに入社されていた吉田さんにキャラデザをお願いするってことは、かなり異例なことだと思うからね。それだけヨコオさんやプロデューサーの齊藤陽介さんがこのコンテンツに力を入れているってことがビンビン伝わってきた。
喜一:みんな新作の発表に心が躍ったってことですよね。
タダツグ:そりゃもちろん。とはいえ、期待だけじゃなくて不安もあったよね。なんせほとんど情報は明かされなかったし、何よりあのヨコオさんだし(苦笑)。きっと“普通の続編”にはならないだろうなぁ……って思ってしまうでしょ、どうしても。
喜一:この時はまだ本当にティザーでしかなかったわけで。本格的にパブ展開が始動したのは2015年の秋以降でしたね。
タダツグ:ここらへんで、本格的にキャラクターや世界観の設定とかが明かされ始めたんだよね。敵が機械生命体ってことは事前のインタビューなんかで聞かされていたけど、思っていた以上にSFチックな画面で。
前作を知っている人からすれば、誰もあそこまでSFに軸足を置いているとは思わなかっただろうし、さすがにビックリするかと。前作からはるか未来の物語ってところも含めて。
サガコ:1番ビックリしたのは、“ニーア”の成分がちっとも感じられなくなっていたことじゃない? 『NieR』ってタイトルを冠しているのに“ニーア”が存在しない……これいかに!
喜一:サガコさんはそこ、最初からずっと気にされてますよね。
サガコ:当たり前だろ!! だって、前作の最後でニーアは……父ーアも兄ーアも、もうこの世界にはいないんだよ?
タダツグ:それなのにタイトルに『NieR』とあるのはなぜなのか。いったい何をもって、本作は『NieR』であるというのか。これ、俺たち毎回インタビューでヨコオさんに聞いてるよね。もはや定点観測。次のインタビューでも絶対質問しようと思ってるんだけど。
サガコ:私としては、そこがハッキリしないことには、これが『NieR』の続編であるってうまく頭で理解できないわけよ。そりゃ体験版を遊んで、戦闘中に『イニシエノウタ』が流れたりしたときはハッとしたけどさ。
タダツグ:音楽は『NieR』という作品において、ブレることが許されない明確な構成要素のひとつだからなぁ。極端な話、音楽がしっかり『NieR』していれば、それだけで“『NieR:Automata』は『NieR』である”という方程式まで成り立つ気がする。少なくとも僕の中ではね。こういうとヨコオさんは怒るかな?(苦笑)
サガコ:もうね、きっとヨコオさんの掌の上で弄ばれてるんだよ我々は。つまるところ“このゲームがなぜ『NieR』であるのか”を確かめたいという欲求が膨らんでいるわけ。パッと見、前作とまったく違ったものに見えるのに、それが『NieR』であると断言されて戸惑いつつ、チラチラと横目で見ちゃう的な。
タダツグ:めちゃくちゃ心惹かれちゃってる的な? どうにも無視できない的な? 思春期の片思いかよ!(笑)
サガコ:だから戸惑ってるって言ってるでしょ! こんなプロモーションの仕方、これまでなかったんじゃない?
喜一:狙ってやっているんだとしたら、ものすごく高度ですよね。ヨコオさんや齊藤さんはしてやったりですよきっと、今のサガコさんの姿を見たら。というか、サガコさんは本当にニーアたちが好きなんですねぇ……。
サガコ:好きだよ、大好きだよ! ニーアもシロもカイネもエミールも、みんなみんな愛おしいんだよ!! だからこそ、インタビューでヨコオさんに「ニーアはこの物語にはかかわってこないんでしょうか?」って質問して、「だって彼、もうこの世界からは消えてますし……」ってサラリと言われたときはズガーンってなったわ。
そりゃそうだけど! そりゃそうだけどさぁ!! こないだなんか、ライタースペースで深夜に「ああ、私は今、リアルに新たな“Fエンド”を体感しているのかもしれない……ニーアという固有名詞であったものが、『NieR:Automata』が発表された今、世間の多くの人の中では“ニーア”という単語は“ゲームのシリーズを示す代名詞”として塗り替えられていくんだ。
かつて固有名詞で表現されたニーアたちはここから先、シリーズの冠としての名称たる『ニーア』に変換されて、真なる意味で、この世界線での存在が薄まっていくんだ……。これが約束されていた、本当の喪失……なのか?」とかって考え始めた挙句に「ニーアがいなくなっちゃう……っ!!」ってガチ泣きしてトイレに駆け込むくらい、大変だったんだからな!!
タダツグ:なげえよ! そしてこええよ!! こじらせてるなぁ(苦笑)。
喜一:ちなみに、ヨコオさんに聞いた「この『NieR:Automata』は何をもって『NieR』なんですか?」って質問には、なんという返答があったんです?
タダツグ:それがね、“呪い”だっていうんだよ。「『NieR』は呪いのようなものです」ってね。
喜一:なるほど、呪いですか。
タダツグ:ヨコオさんのことだから、嘘はついていないと思う。だから、きっとこの『NieR:Automata』に対して、『NieR』というものは呪いのような何かを残しているんだろうね。
といっても、言葉通りの意味じゃないぜ? “呪いのような何か”、すなわちプレイヤーの心の中にシコリのようにくすぶっている何かとでもいうか……。それを探すための戦いだとでもいうか……自分でも言っていてよくわからん。なんというか、“ニーア”という単語によってゲシュタルト崩壊しそう。絶対サガコのせい(笑)。
サガコ:そこはヨコオさんのせいだろ(苦笑)。最近はさ、もはや自分の中で1つの仮説が生まれててさ。ようは、ニーアは“概念”になっているんじゃないかって。
タダツグ:概念? 怨念とかじゃなくて、概念?
サガコ:概念。つまり、“ニーア”という存在はすでに消えているけど、彼が残した意思というか、そういったものは概念となってあの世界を構成する要素になっているんじゃないかと。つまり、もうこの世界からは消えてしまっているんだけど、そんなことは超越して、世界に意思を残している。そんな概念。
タダツグ:なんというか……アルティメットま●か的な……?
サガコ:そう、そんな感じ。そう考えれば納得できる。というか、期待できる。『NieR:Automata』でも、どこかでニーアたちに触れることができるんじゃないかって。
タダツグ:ぶっちゃけその考え方は興味深い。実際、本作に『NieR』というタイトルをつけたことには何か大きな理由があるのは間違いないだろうし、それはプレイして確かめるしかないってことだろう。
ヨコオさんや齊藤さんは「前作を知らなくても問題なくプレイを楽しめる」って断言してるわけだし、本当にサガコがいうような概念的なものにまで昇華されているかもしれんね。
喜一:ちなみに、前作キャラも登場しますよ。エミールとか。
タダツグ:そうだね。デボルとポポルも出るからね。まぁ、前作と同一個体ではないけれど。そういう意味ではこれから発売までの間に、まだ遊んだことがない人はもちろん、すでに遊んだことがある人も、もう1度前作を遊んでおいた方がいい気がする。きっとそうすることで、新作を遊んだ時に気が付く発見があるんじゃなかろうか。
喜一:ちなみに本作、体験版がPlayStation Storeで配信中なわけですが。お2人は遊んでみていかがですか?
タダツグ:うむ、最高。間違いなく最高。世界観やキャラクターの部分で『NieR』とはなんなのか? って思ったサガコの疑問は一理あるけど、ことアクションに関しても前作とまったく違っているわけよ。
え、これ『NieR』なの? って、ここでも思う人はいるかもしれない。でも、遊べば遊ぶほど、そこかしこで「ああ、俺は今『NieR』を遊んでいるなぁ……」って感じられたんだよなぁ。
喜一:ほほう。アクションというか、ゲームシステムに関してはしっかり『NieR』していると?
タダツグ:ぶっちゃけていうと、前作のアクション部分はいろいろと荒削りなところもあったわけで、プラチナゲームズによってめちゃくちゃスタイリッシュに洗練された本作は、完成度としては別モノとさえいえるレベルになってると思う。でも、プレイ感覚が『NieR』なんだよなぁやっぱり。
喜一:正直、僕もタダツグさんもめっちゃハマって遊んでますよね、体験版。9S役の声優である花江夏樹さんなんて、難易度“VERY HARD”でクリアしちゃうくらいハマっているようですし、なんというか男心をくすぐる何かがあるのかもしれません。
ニーア体験版ベリーハードクリアしました!!!!!
花江 夏樹 (@hanae0626) 2016年12月22日
やったあああああああああああああ!!
謎の感動!!!やっと寝れる!!!!おやすみなさい!!!
タダツグ:そらそうよね。だって、プラチナゲームズだし(笑)。それだけでトップクラスのアクションゲームになることは約束されているでしょう。ヨコオさんもベタボメだもんね。
ただ、戦闘の要所で音楽がものすごく素敵な演出として用いられているところとか。移動していていきなりカメラが遠くに引いて横スクロールアクションっぽくなったり、上からの視点になってアクション+多方向シューティングっぽくなったりするところとか。この「なんじゃこりゃ!?」感というか、ごった煮感が、いかにも『NieR』だと思った由縁かもしれない。
喜一:イクラ(=敵が発射してくる弾丸)を斬撃でバッサバッサとかき消したりしているときは、不思議な懐かしさを感じますもんね。敵が機械生命体だったり、プレイヤー側のヨルハたちもアンドロイドだったりとSF感も増したわけですが、それが回避モーションとかでいいアクセントになっているのもおもしろいです。
タダツグ:ヨルハ部隊の支援兵器であるポッドも、感覚としては白の書っぽさがある。体験版ではマシンガンとレーザーしか使えなかったけど、カスタマイズすることで“黒の手”っぽい攻撃が出せたりとかしそう。電撃の生放送での実機プレイでは“黒の処刑”っぽい攻撃を繰り出してたしね。
サガコ:ちなみに、君らは簡単そうにクリアしてたけど、私は結構ワヤクチャになったよ? アクションが強化されて出来ることが多くなったし、何よりスピード感がものすごいから、女子ゲーマーやアクションゲームビギナーにはキツいと感じる人もいそう。
タダツグ:そんなあなたのための……。
喜一:オートモード、ですよね?
タダツグ:それ! 難易度“EASY”でプレイすれば、チップによって攻撃や回避をすべてオートで実行できるようになるから、どうしてもキツイと感じた場合は試してみるといいよ。
ストーリーの進行が変わることもないし、ぶっちゃけゲーム中にメニュー画面からいつでも難易度が変えられる。忙しい社会人は、オートモードでゴリゴリ進めて時間を短縮してもらえますよ……的なサービス精神を感じたね。
喜一:最終には、アクションを極めた人のほうがオートモードよりも断然強いし速いらしいですけどね。ここらへんのバランスが、じつにアクションゲーム好きにはたまらないのでは。
タダツグ:ここでは書けないけどさ、体験版の最後とかものすごくいいところで終わったじゃん? そりゃあ、製品版予約して買いたくなるよね、ってくらいの素晴らしい演出。
サガコ:あれはズルいね。予約しちゃうよね。でもって「お目が高い!」って言われたい(笑)。
タダツグ:百聞は一見にしかず。結局のところ、自分自身で体験版を遊んでみてどうなのか? ってジャッジできるのはとてもいいのでは。ストーリーのネタバレを極力回避するため、今回はアクションに特化した内容にしたらしいけど、ホントマジでとんでもないところで終わるから。まだ遊んでいない方は、ぜひこの興奮を共有するためにも、体験版を遊んでみてほしい。
喜一:ちなみに、メニュー画面を開いたら、本作にも“ウェポンストーリー”があることが判明しましたね。
タダツグ:まぁ、電撃ではウェポンストーリーの公募企画も行ったわけだし、ないと困るわけだが(苦笑)。とはいえ、前作にはゲーム内の要素としては入っていなかったものだからね。実装は素直にうれしい。
喜一:ですよね(笑)。公募企画に参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
喜一:さっきタダツグさんのお話にも出たポッドのカスタマイズとか、チップによる2Bたちヨルハ部隊のカスタマイズとか、RPG要素も豊富なんですよね。
タダツグ:レベルアップの概念もあるし、ゴリゴリのアクションに仕上がってはいるけど、じつはRPG的な部分もパワーアップしてそうだよね。そこらへんは今後の続報にも期待したいところ。なんにせよ、今から『NieR:Automata』が楽しみで仕方がないってことで! 今日はお疲れさまでした。
一同:お疲れさまでしたっ!!
本作の攻略情報と設定資料を収録した『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』を4月28日に発売します。価格は2,500円+税。仕様はB5判・304ページとなっています。
やり込みに役立つ攻略データに加え、ネタバレ注意のキャラクター&ストーリー解説も収録!
ディレクター・ヨコオタロウさんによる短篇小説、小説家・映島巡さんによる書き下ろし小説2篇も読める『NieR:Automata』ファン必携の1冊です。
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