2017年1月12日(木)
『FF14』パッチ3.5について吉田P/Dにインタビュー。ディアデム諸島のリニューアルなどの詳細をお届け
1月17日に最新アップデート“パッチ3.5 Part1”が実施されるPS4/PS3/PC用MMORPG『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』。その見どころや今後の展開などについて、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがいました。
これまで残された謎や問題を終わらせるパッチ3.5
――パッチ3.5は分割で配信予定と発表されていますが、パッチ2.0のように、パッチ2.5、パッチ2.55、といった形でストーリーも分割して配信されるのでしょうか?
はい。パッチ3.5シリーズは、すでにいくつかのパッチが予定されていますが、メインストーリーはPart1、Part2という二部構成の形で配信予定です。
Part2に当たる『紅蓮のリベレーター』への橋渡し部分は、明確に分かれていることになります。公開されたパッチ3.5のトレーラーには、Part2のシーンも入っています。
Part1をプレイしたあとであれば、Part1のストーリーに出てきていないシーンを探せると思いますので、ここからさらにどう展開していくのかを、ぜひ想像して楽しんでもらえればと思います。
『ファイナルファンタジーXIV』パッチ3.5のトレーラー
――Part2からパッチ4.0となる『紅蓮のリベレーター』まで、間があまり開いてしまうとモチベーションというか、物語的な引きがうまくつながらないのではという心配もありますが、公開時期などはそういった部分も考慮しているのでしょうか?
パッチ2.Xシリーズの時は、パッチ2.5をPart1とPart2で分けましたが、実はPart2を出してからパッチ3.0の配信までの間にPRがうまくハマったこともあり、プレイヤー数が増え続けました。
『蒼天のイシュガルド』への期待感もあり、復帰するユーザーと新規ユーザーもずっと右肩上がりに増えていったので、あのやり方自体はうまく行ったかなと思っています。
ただし、前回が完全にクリフハンガー系(物語のクライマックスに近いシーンで“引き”を作り、後に続かせる手法)だったこともあり、「Part2のリリースは、もっと『蒼天のイシュガルド』に近くてもよかった」というお声を頂いたんです。
今回は3月にPart2を配信する予定ですが、日付は状況を見ながら確定させたいと思っています。
――今回のメインストーリーでは、なぜ冒険者たちがアラミゴに行くのかという流れが描かれると思いますが、トレーラーではオメガがかなりフューチャーされていて意外でした。勝手な想像ですが、オメガはストーリーにからまない、別のコンテンツとして登場されるのかなと考えていました。
そうですね。今回はかなり物語に絡んできます。映像でも目が光って起動を連想させますね。
――後は“神降ろし”というキーワードがトレーラーにも出てましたが、これはオメガが蛮神というわけではないんでしょうか?
いろいろと想像してください。編集はいろいろな想像が働くようにしてみましたので(笑)。
――意味深な答えですね(笑)。ちなみに、今回の注目ポインを挙げるとすればどこになりますか?
いろいろな人物がさまざまな決断をしていきます。それが今回のパッチタイトルである“宿命の果て”にかかってきますので……。
――キービジュアルに描かれているイダ、パパリモ、アリゼー、アルフィノの4人に焦点が当たるのかと思ったのですが、彼らだけではないんですね。
アルフィノとアリゼー兄妹に関しては、ようやくパッチ3.40で真の和解を経て、これからを引っ張っていく若い世代ということで、イラストに登場させています。
イダとパパリモはついにパッチ3.4で合流しましたが、まだ掘り下げられてはいません。3.Xシリーズは暁のメンバーの再掘り下げというか、ある意味初めての掘り下げをしっかりとやってきました。
そして、いよいよ彼らの番ということで、キービジュアルに描かれたという点が大きいです。いろいろな含みがありますので、お話しできるのはここまででしょうか……。筋を隠しながらお話しするのは難しいですね(苦笑)。
――イラストの中央にルイゾワの形見であるトゥプシマティの杖が描かれていたり、彼の意思みたいのもいろいろ継いでいくことも焦点になるのかなと感じました。
ある意味、3国エオルゼア編の完結にも近いという感じもあります。ルイゾワが託してきた思いも、いったんこれで完結させてもいいのかなと。
――『新生エオルゼア』から続いてきた一連のエオルゼアの物語プラス、イシュガルドの物語という流れは完結すると?
そうですね。イシュガルドは同盟に復帰しましたしね。3国エオルゼアが帝国に侵攻されている時も、イシュガルドだけは協力せずに大審門を閉ざし続けた違和感なども、今回のセリフの中に出てきます。次のステージに進むために、いろいろなものの結末が詰まっている感じはありますね。
――パッチ3.0のころは2.0のストーリーも引き継ぎつつ、イシュガルドの新しい物語が描かれたという印象でしたが、それに比べると次の『紅蓮のリベレーター』はかなり新章的な意味合いが強くなりそうですね。
『新生FFXIV』のスタートとなった『新生エオルゼア』は、『旧FFXIV』から生まれ変わらせるという意味合いが強かったのです。
ですから『蒼天のイシュガルド』は、2.0シリーズで描けなかったイシュガルドを徹底的にフォーカスしました。直前のパッチ2.Xシリーズでは暁がバラバラになり、光の戦士は濡れ衣を着せられて、落ち延びるようにイシュガルドへ向かい、そこでゼロから再スタートする意識で僕らも作りました。
一度いろいろなものを断ち切るために、ラストはかなり大きな展開としたのです。逆に次の『紅蓮のリベレーター』は、光の戦士たちの活躍によって、平和になった地域が増えてきました。しかしまだ、そうではない地域があり、“残る敵は帝国!”みたいな部分があります。
ですからこれからは、ガレマール帝国の考え方だったり、植民地化されている人たちの考え方だったりをフォーカスしたいと考えています。4.0シリーズには仕掛けがいっぱいあるのですが、まだ詳しくは言えないのです。初夏にはしっかりリリースしたいです(笑)。
――ちなみにトレーラーにはネロが出てきましたが、パッチ3.4で“大迷宮バハムート”をクリアしているかいないかでアリゼーとの会話が変化したように、“クリスタルタワー”関連ストーリーを終わらせているかいないかでの変化はあるのでしょうか?
多少の変化はあります。ただ、ほとんどの方は“クリスタルタワー”をプレイされているはずなので、あまり気にしなくてもいいと思います。ネロ自体も2.0シリーズのメインストーリーで必ず出会っていますし。
――後はやはり『旧FFXIV』からのプレイヤーとしては、イダの素顔が!? という部分にも期待してしまうのですが?
どうでしょうね(笑)。素顔もですが、そもそも仮面をずっと付けている理由についても、いろいろと考察してもらえればと思います。
『旧FFXIV』から引き継いでるものに関してはキチンと決着をつけたいと考えていますので、こちらはぜひ期待ください。
特に『旧FFXIV』のメインストーリーをしっかり見ていた方は、4.0のPRとともに設定面でいろいろな違和感があると思いますので、そのあたりにも注目してもらえればと。『旧FFXIV』をプレイしていた方にしか味わえない伏線もあると思いますので。
――それはぜひ注目したいと思います。ここまで伺った感じですと、ストーリーについてはパッチ3.5が公開されたあとも、いろいろと考察などができたりしそうですね。
そうですね。僕はミステリ好きなこともあり、単に「楽しんでください」と言うよりも、どうしてもクライマックスには二転三転させて、びっくりしてほしいという思いが強いのです。
実はファンフェスティバルやプロデューサーレターLIVEで公開する情報は、意図的にキーワードの時系列を入れ替えてありまして、最後に全部俯瞰して見ると「ああ、なるほどね」と感じていただけるように作っています。
――ゲーム内のメインストーリーもそうですが、断片的な情報をいろいろ想像して楽しみながら『紅蓮のリベレーター』を待つという感じでしょうか。
そうですね。基本的にファンフェスティバルでは「いずれ実装される未来の話」をしていますが、反対にパッチは現在進行形なので、要素の実装は順序が逆になります。
ただ、時間が経つと『紅蓮のリベレーター』という、未来の話にキレイにつながるようになっています。
――そういった“物語が作られていく感覚“は、むしろ今だからこそできる体験みたいな感じですよね。
『旧FFXIV』を立て直す時から、プレイヤーの皆さんと一緒にゲームを作っていくというお話をさせていただいていましたので、今回もその感覚を持っていただけると幸いです。
『FFXIV』の場合は、ライブイベントなども含めて『FFXIV』だと思ってくださってる方が多いと思うんです。そのような盛り上げ方は『FFXIV』にしかできないのかもしれませんが、そういった部分も含めて楽しんでもらえたらなとは思っています。
東京のファンフェスティバルでも情報はたくさん出ています。最後の核心はフランクフルトになってしまいますが(笑)。
【『FFXIV』東京ファンフェスティバル2016の注目記事】
――インタビュー公開時はファンフェスティバル後になるので、本来ならば今いろいろと聞くべきですが……会場で周りの方とライブで知って、一緒に感動したい気持ちもあり悩ましいです(笑)。
『FFXIV』の場合、メディアの皆さんもプレイヤーであり、光の戦士でいたくださるので、他のゲームのPRと比べるとちょっと複雑な心境ですよね(笑)。
公開する情報は、先にメディアの皆さんにお伝えしたほうが、PR的にはいいのかもしれないですが、ファンフェスティバル当日の記事は、実際にその場でサプライズを受けて興奮して書いていただいたほうがいい記事になるのかなと。こちらとしても悩みどころです。
また、複数のメディアさんに同時にインタビューを受けさせていただくと、できるだけ言葉を合わせる必要があり、結局どのメディアさんの記事読んでも似てしまうという悩みがあります。
ひとまずファンフェスティバル関連で今お話しできるのは、新要素や、もしかしたら新ジョブも、後は新しい挑戦というか、新しい取り組みも含めて、いろいろと準備しています、ということでしょうか。
――東京のファンフェスティバル後の流れはどのようになるのでしょうか?
東京のファンフェスティバル後、1月17日にパッチ3.5が配信されて、その後の2月18日~19日にフランクフルトでファンフェスティバルがあり、最後にパッチ3.5のPart2という流れです。
パッチ3.5のPart2の内容はまだ全然話せないものもありますし、どうしてもトレーラーに入れられないシーンもありますので、そのあたりは流れで追ってもらえると助かります。
意図的に前後はグチャグチャですが、最後は線でつながるようにはしてあります。楽しみにお待ちください。
シリーズで続いてきたコンテンツもいよいよ完結!
――“シャドウ・オブ・マハ”シリーズの完結編となる“影の国 ダン・スカー”は、どんなコンテンツになるのでしょうか?
まず物語として完結して、キレイにまとまります。ストーリー側の調整については、すでにもう終わっています。
“禁忌都市マハ”はプレイ時間が若干長く感じたので、今回は少し縮めるように開発してます。
――“禁忌都市マハ”は最初は難しく感じるけど、慣れてくればスムーズにプレイができる感じでしたが、今回はいかがでしょうか?
同じくらいの難度に調整しています。ただ“禁忌都市マハ”の場合、アイテムレベル(IL)が上がってくればプレイ時間が短くなるのに対して、今回はILのキャップは開放されませんし、クリアタイムがガンガン縮まるという感じはないかもしれません。
空中戦あり地上戦ありと、今回もかなり凝っていて歯ごたえがありますので、ぜひ楽しみにしていてください。3体目のボスはかなりやり直すことになるんじゃないかな……。スカアハがいますし。
――トレーラーの映像の最後に出てきたのがスカアハですか?
はい、スカアハです。
――トレーラーにはデスゲイズらしき姿がありましたが?
はい、デスゲイズです。お約束の飛空艇の上で戦うシチュエーションですね。手すりが早々に壊れるのは、『FFXIV』らしいなと思います(笑)。
――後は剣を持ったサキュバスのような敵が2体目のボスでしょうか?
あれは道中に出てくる敵ですね。ボスですらありません。
――死者の宮殿B150のボスに似てると思いましたが、ザコ敵なんですね(笑)。
ただ、それなりに強いのでご注意ください(笑)。
――“シャドウ・オブ・マハ”のシリーズは、例えばマハ古銭と大判マハ古銭を両方そろえるように、装備とかトークン的な部分が連動してますよね。今回の“影の国 ダン・スカー”にはそういった流れはあるのでしょうか?
“クリスタルタワー”シリーズでは、週に1回アライアンスレイドを全部クリアして報酬がもらえるウィークリークエストがありましたが、同じような遊びが入っています。
――ダンジョンのデザインは庭園みたいな薔薇があったりとか、中世のヨーロッパの宮殿のように感じました。こちらのコンセプトは何でしょうか?
ちょっとネタバレかもしれませんが、もともとマハの魔道士たちが飛空艇で最後に逃げ込もうと思っていた都市が、あの場所なのです。
結局彼らはそこへたどり着く前に、魔行船がヴォイドに飲み込まれてメチャクチャになってしまっていますが。その結果、妖異たちがむしろ自分たちの国として復活させようとしているみたいな状態です。
もともとはマハの連中が移り住むはずだったところが、ヴォイドに侵食されてああなったって感じですね。
ちょっとゴシック……ゴスロリというのも変ですが、スカアハのデザイン見てわかる通り、全体それっぽい雰囲気にはなっています。道化師もいるので、全体的にややトリッキーです。デスゲイズ戦くらいじゃないですかね、わりとシンプルなのは。
――道化師は再登場ですね。
そうですね。ついに最終形態として登場します。
――ディアボロスについてはいかがでしょうか?
あえて公開したトレーラーにはありませんが、大活躍しますのでお楽しみに! ディアボロスの初登場時「カッコいいんだけど、ダンジョンのボスなのかぁ……」と言われていたので、ふさわしいフィナーレを作りました。
『FFXIV』におけるディアボロスという存在が、何を考えていたのかなどもわかります。マハとアムダが戦争していたころのお話も、サイドストーリーからも垣間見えるセリフで読めると思います。今回は設定好きの方にはうれしい内容かもしれません。
――後は2つのダンジョンが今回追加されます。“霊峰浄化 ソーム・アル(Hard)”は、今回は下っていく形になるようですが、デザインのコンセプトや注目ポイントなどあればお聞かせください。
“ソーム・アル”のハードは曲がり角などもあまりなく、ストレートに突っ走って行けるダンジョンになっています。シンプルに構成されていて、かつ、うまくやる余地があるダンジョンですね。
――見た感じだとマグマがカギになりそうな印象でしたが?
そうですね。ノーマルでは、それらしい場所があっても使い切れてなかったので、今回はその要素が強めです。特に後半、雰囲気が変わってからは、しっかりそのあたりも使うようにデザインしました。
――たしかにノーマルの時は、あまりここが火山だという印象は強くなかったです。
完全な自然地形のダンジョンも久しぶりなので、シンプルでありながら、ウェーブ戦のおもしろさを出すようにした、という感じでしょうか。
最近は古い建造物だったり、古代の図書館だったり、作る側もある程度楽なダンジョンが続きました。
今回は完全に自然地形のダンジョンですので、趣向を凝らさないとあまりにも見栄えしないし飽きがきてしまうので、そこは気をつけてデザインをという話はしました。
――デザインという部分では自然地形型のほうが難しいのでしょうか?
自然地形のほうが難しいですね。『FFXIV』の場合、約3カ月半に1回、大量のコンテンツをパッチでリリースしなければなりません。
そのため、世界中のいろいろな会社さんと組んでグラフィックスアセットを作っているのですが、やはり皆さん自然地形が苦手な印象はあります。
建物や建造物はアートチームが製作した設定アートがあるし、渡せばほぼその通りに上げてくださいます。
自然地形というのは構造物じゃないので、どうしても“当たり前”になってしまうので難しいのです。
例えば、狭い通路を途中に挟んでその直後に空間を開かせたい場合、高さも同時に開けないと空間が広がった感じがしません。
プレイヤーは全体を把握するためにカメラを引いてプレイをするので、キャラクターがそこに入ってからカメラが後追いすることになります。
その時に、高さに対しての空間に空きがないと、カメラだけ狭いままバトルが始まることになって、狭苦しさを感じます。プレイヤーの気持ち的に、まだ広がりを感じてないままでの戦いになるということです。
そして敵を倒して先に進むころになって、ようやくカメラが広間に入って広さを感じることになっちゃうのです。
構造物のダンジョンの場合、最初から入口のアーチはこのデザイン、次の部屋の天井は何メートルでと、かなり厳密な設計がしやすいです。
しかし、自然地形だと人工物ではないので、発想力が必要になり、実は作るのが難しいところです。自然地形でレギュレーションをキッチリ指定しちゃうと、垂直でありえない地形になったり、逆に緩くカーブつけようとしたりすると、ソリが細くてカメラが全然気持ちよくないとか、違和感を感じる形になってしまいます。
また、自然地形はパターンに弱い。構造物はタイリングパターンをポリゴンで作ったとしても、そんなに目立たないんです。自然地形でタイリングをすると、人間の目は違和感を感じてしまいます。「これってさっきも見た岩じゃん」となりがちなのです。やはり自然地形は制作難度が高いですね。
例えばここにクリスタルっぽい鉱石を埋めて、そこを光源にしてボンヤリ光っているようにする、というような工夫は“ファンタジー脳“がないと難しいと思います。
現存するものではないですからね(笑)。リアルの物理法則に当てはめて作ると、ただ真っ暗な空間になってしまいます。そういうデザインのセンスみたいなところは、国内外問わず苦労する共通点だなと思います。
――そういう意味でも、今回のダンジョンは細かいビジュアルにも注目してほしいということですね
最初は戦闘に集中してもらえればいいと思います(笑)。余裕ができたら、そういった細かい点もいろいろ見てもらえるとうれしいです。
――もう1つの“巨大防壁 バエサルの長城”ですが、こちらはストーリー上挑むことになるものでしょうか?
はい。今回はトレーラーの紹介もパターンを変えて、メインストーリーを紹介する部分に組み込んでいます。
――帝国の兵器が多数登場するようですね。
シリーズファンにとっては懐かしい兵器やデザインが出てくるので、「これは実は……」みたいな会話で盛り上がってもらえればうれしいですね。
途中に、“大迷宮バハムート:邂逅編4層”らしいシュチュエーションも作ってあります。帝国基地を走り回るのは、内郭と外郭で飽きていると思いますので……(笑)。
――今となっては懐かしいです(笑)。プロデューサーレターLIVEで画像が初公開された時も、「哲学が手に入りそうだ」なんて言われてました。
蒼天のイシュガルドでは“アジス・ラー”などアラグの遺跡のダンジョンなどが多めで、近代の人工物はしばらくありませんでした。
久々に人間というか、帝国が作った基地内に突入みたいな感じです。ライティングや光源、リフレクションに関しては、あまり明るくするとつまらない絵になっちゃうし、暗いと視界的に辛くなるしと、調整は難しかったです。
――ちなみに、パッチ3.4のエキスパートダンジョンは、慣れてくるとスムーズに進めて、周回もしやすいダンジョンという印象がありましたが、今回のエキスパートダンジョンはそれと比較すると難易度的にはどんな感じでしょうか?
最終的にはそれくらいに落ち着けるつもりで、調整をしています。ボスを作っているスタッフは前回のダンジョンとは別の担当者ですが、バランスを見ているのが前回の担当者で、同じくらいにしたいとは言ってました。
ただ、パッチ3.4のダンジョンは、どちらかと言うとまとめやすいというか……。そのアイテムレベルというより、プレイヤーのうまさによって短縮しやすいようになっていたと思います。
――プレイした感じでは、まとめる人はまとめやすいし、まとめなくてもいけるっていう形のダンジョンという印象でした
あのぐらいにはしたいなと思ってます。今は早いですもんね。僕も先週からメッチャクチャ忙しくて、昨日の時点で聖典が90くらいしかなかったんですが、昨日でカンストまで上げられましたし。周回が早くて超楽でしたね(笑)。
――大体15分前後、長くても20分は切る感じですよね
メンバー次第では15分も切りますしね。昨日最後に組んだパーティはメチャクチャ早かったです。
――たしかに慣れてくると、上達した感じも一緒に味わえる、上手いバランスなので楽しいです。後は三闘神のラストである“鬼神ズルワーン討滅戦”が実装されますよね。前回はコンセプトとしては“脳トレ”みたいなのがありましたが、今回のコンセプトは何でしょうか?
うーん、今回は何と言えばいいんだろうなあ(苦笑)。
――トレーラーでは最初、下半身が固定された状態で登場するのは意外でした。
あれはまだ完全に封印が解けてない状態だからです。コンセプトは、うーん、「はないちもんめ」かなあ……世代的にもう通じない人が多そうですね(笑)。今回はトリッキーな部分もありますが、イフリートに近い、王道な蛮神です。
――楔のような要素が?
うーん、これ以上はノーコメントで(笑)。ただ、今まで作ってきたものの締めくくりとして、いろいろな要素が入っているので、遊んだ感触はかなり違うと思います。
――ノーマルならば、ある程度遊べばみんなでワイワイできるくらいの難易度ですか?
ノーマルは大丈夫だと思います。ただ、悩ましいですね……最後の三闘神でもあるし“機工城アレキサンダー零式:天動編”をクリアされている方も多いと思うので、もう少しチャレンジしてもいいのかなと思っていますが……。
――三闘神で言えば“魔神セフィロト”に比べて“女神ソフィア”はクリアしやすいというか、今まで極蛮神戦をあまりやっていなかった人でも、レイドファインダーで比較的短いチャレンジで極もクリアできたという印象でした。それと比較すると今回はいかがでしょうか?
“女神ソフィア”は信頼できる人についてけばなんとかなりましたが、今回はそれよりは難しいかなとは思います。
ソフィアは落ちても蘇生できるのは大きいですね。ほぼほぼ“脳トレ”なだけに“脳トレ”が解ける人についていけば、なんとかクリアできるのがソフィアでしたね。
――それに比べれば、今回は個々の判断が重要になるみたいな感じでしょうか?
個々の判断が重要なのは一緒ですが、なんて言えばいいか悩みますね。とりあえず今回の“ズルワーン”は“ソフィア”よりは難しいと思います(笑)。
――恐らく報酬として入手できるのは武器だと思いますが、ユーザーからの意見としてアクセサリーも実装して欲しいなという意見もありますが?
アクセサリーは“プロトアルテマ戦”の報酬として用意してあります。
――おお! ちなみにプロトアルテマは存在そのものはアラグのもので、三闘神の封印にかかわっていると思いますが、その一連の流れで続いていく形になるのでしょうか?
プロトアルテマとの戦いを単体コンテンツにすると、マッチングにかなり苦労すると考えました。
これまでのコンテンツの特定の場所が入れ替わってプロトアルテマ戦になるようにしてあります。これに関しては、ちょっとギリギリまで調整するかもしれないです。どこに入るかはパッチをお楽しみに。
――単純に“プロトアルテマ討滅戦”をプレイするという形ではなく、何かのコンテンツをプレイしていると出会える、と?
はい。そうなります。
――それはちょっとおもしろい試みですね。となると、難易度的にはいわゆる極蛮神よりかは少し低い感じでしょうか?
日本のファンフェスティバルで体験できるプロトアルテマ戦は、北米ファンフェスよりも難易度を上げました。
あまりにも北米が余裕だったので。日本はさらに多くの人がレイドやっていて、極蛮神もクリアしている率が圧倒的に高いので、歯ごたえなさ過ぎだろうなと。
――では、日本のファンフェスでは公開版とほぼイコールの難易度が遊べるということですね。ちなみに、三闘神のストーリーは今回で完結でしょうか?
これで完結です。なので、レグラたちと決着ということになりますね。謎の仮面の少年・ウヌクアルハイの正体もわかります。
――パッチ3.0シリーズから始まった“聖アンダリム神学院記”、“ヒルディブランド外伝 蒼天編”についても今回で完結しますか?
完結します。“ヒルディブランド外伝 蒼天編”は、「開発は最後にこれがいいたかっただけじゃん」っていっていただけると本望です(笑)。
――トレーラーを見ただけではどういう展開になるのか、サッパリ想像がつかないです(笑)。
今回のストーリーは、ヒルディなのにいい話だったなというところもありつつなんです。ですので、ラストではあのシリーズの新境地というか、新たなイメージを感じていただけるんじゃないかなと思います。
“聖アンダリム神学院記”は犯人が全部わかりますし、神学院が今後のイシュガルドの中で、どこを目指していくのかあたりも見えるのでご期待ください。
――新たなアニマウェポンシリーズが『紅蓮のリベレーター』で始まるとアナウンスがあり、今作っているものは今回で締めという形になるのでしょうか?
そうですね。ただ、パッチ3.5シリーズ中に2段階あります。パッチ2.0シリーズのゾディアックウェポンとほぼ同じような流れになります。
――3.Xシリーズの最後のパッチで、最高のアイテムレベルになると?
はい。あとは派手さが2段階に別れています。プレイヤーの皆さんにとっては、次が正念場だと思います。
――割と時間がなくて、ちょっとずつ進めてる方でも4.0前にはできるのでしょうか?
それは大丈夫です。いろいろなコンテンツをプレイしつつ、強化していただければと思います。
――2.0シリーズのように、完成させておくと次に対してなんらかのアドバンテージを得られる仕掛けはありますか?
悩ましいです。『紅蓮のリベレーター』からは武器育成コンテンツという遊びを、ガラッと変えてしまおうかなと考えているためです。
――次は“禁断の地エウレカ”を使うことが発表されていましたね。システム自体も今までのゾディアックウェポン、アニマウェポンとは違うものになるのでしょうか?
そうですね。ILをガンって急に上げるよりは、1ずつ段階的に上げられないかなとか、いろいろと考えてはいます。
現状は何かのコンテンツをどうこうすれば、アイテムレベルが1段階ドカーンと上がる仕組みになっているので、なんかこうチクチクやっている感を出したいなと。
成長させている感が弱いということと、コンテンツ依存なので繰り返し作業感があってどうしても飽きてしまうというのがあります。
物語やアイテムなど、手を変え品を変えはできるのですが、体験的には何も変わらなくて……。さすがに僕らもマンネリ気味だし、プレイヤーの方もウンザリだろうなって思っているんです。
そう考えた時に、序盤の工程を飛ばせるとなると、どうしても前半にそういったチマチマしたものを持ってこなきゃいけなくなっちゃう。ですので一度これでスッキリ完結させて、新しい段階に進めればなとは考えています。
とは言ってももう少し先の話なので、これから詳細を詰めていく段階です。現時点であるともないともちょっと言えないレベルなため、ちょっと歯切れが悪くて申し訳ないなとは思うんですが……。
ただ、次はガラッと変えたほうが、最終的に皆さんの新しい体験につながると思っているので、楽しみにしていてください。そのぶん、今回はメチャクチャ派手なデザインにしたので、ぜひ長く愛用してもらえればと思います。
――後は蛮族クエストの締めとして、3つの蛮族が協力するクエストもトレーラーでは確認できましたね。
僕もチェックをしましたが、よくできていますので楽しみにお待ちいただけたらと。グナース族もそうでしたが、今回の担当者は比較的新しいスタッフたちなんですが、いい話を書いてくれるし、ていねいに作ってくれるので、今回のラストもかなりいいお話になっています。
『蒼天のイシュガルド』の蛮族デイリークエストは、蛮族側のキャラクターがわりと主役として立ってきてたので、また彼らが登場してどう絡み合うかを楽しみにしてもらえればと。それぞれのキャラの特徴がうまく絡まった話になっていますし、ティアマットすらからまってくるシーンもありますよ。
――クリアすると装備品の報酬が用意されていたりしますか?
いえ、そうしてしまうとやらざるを得ない感じが強くなりますので。でも新しい踊りは手に入るのでご期待ください。
――それは魅力的ですね!(笑)
踊りについては爆笑ポイントですので、ぜひ見てほしいです。
――それは楽しみです。後は、PvP周りのアップデートもいろいろ予定されているということですが、こちらはどんな感じになるのでしょうか?
“ザ・フィースト”に関してはトレーラーにもありますが、新しいマップが追加されます。それ以外ではチャットを一切禁止にして、“ザ・フィースト”専用の定型文でプレイすることになるのが大きいかなと。
PvPに関しても新しい装備がドバっと入ります。まだちょっと詳しくは言えませんが、その装備がほしくてPvPに行く方も多いと思いますので、遊びやすさは大きく引き上げたつもりです。
後は『紅蓮のリベレーター』に向けて、新しい大規模系PvPも作っています。グランドカンパニーの3勢力ではない新しいものですが、今回の各種仕様変更で、いろいろなテストをしていきたいと考えています。
これまでPvPもいろいろ作りましたが、三つ巴戦はシールロックの評判が一番いいという結論に落ち着きました。
今後は“フロントライン”はシールロックを中心に、シールロックの新マップを作っていくことがメインになるかなと打ち合わせしています。
後はデュエルにアイテムレベルシンクも入りますので、PvPを楽しんでいる方がよりストレスなく遊べるようになると思います。
――チャットがなくなるのは大半の方には好感触だったのではないでしょうか。
PvP中の暴言については、実際に味わったことはないけど、そういう評判を聞くと暴言が怖いって方と、アドバイスのつもりなんだけど暴言に聞こえちゃった方と、実際に暴言を吐かれた方など、いろいろいらっしゃるとは思います。
今後は基本定型文のみで行くつもりですし、ぜひ気軽に参加して欲しいなと思います。試合中にあまり長いチャットはできないので「ヒーラーさんちょっと引いて」という短い言葉が「命令された」とか、「きついこと言われた」と捉える方もいます。
例えばサッカーの試合中に「センターバック下がれよ!」っていう言い方が暴言になるのかというと、悩みどころですよね……。
瞬間的な判断が必要な状況で「ヒーラーさんそこにいると危ないと思うので、少し下がった方がいいと思います」なんて、チャットをしていられませんが、やはり草サッカーなのか、真剣勝負なのかという意識の違いも大きいのだと改めて思いました。
――それを考えると、定型文のほうがトラブルが少なくなると思います。
定型文でも連打されるだけで、あおられたと感じる方もいるかもしれませんが、それも見極めていきたいと思います。
――たしかに定型文の連打はそう思ってしまうかもしれません。
一応連打の対策は入れてはあります。全世界のオンラインゲームサービスの中で、現在非常に多いクレームがやはり暴言に関することです。
先日マイクロソフト本社のコミュニティ担当者の方ともお話ししましたが、やはりもうチャットではなく、定型化していく流れが主流になると思います。
――エモーションだけにしても、それはそれで煽りになるかもしれませんし難しいですね。
はい。だからエモ―ションも全部封鎖しました。一切余計なことはできないので、気軽に楽しんでください。
スポーツだから、熱くなること自体はいいことだとは思っています。これからは、オフライン大会をしたいというお声も各企業様からいただいています。それらをやってくためにもそうしたほうがいいかなと決断しました。
――後は、パッチ3.5Xで追加される“シロ・アリアポーのお得意様開拓コンテンツ”はどんな感じなのでしょう? “クロの空想帳”のギャザクラ版みたいな感じでしょうか?
いえ、全然違います。ぶっちゃけてしまえば、NPCと仲よくなる遊びです。いろいろなものを彼らが要求してくるので、それを渡してくとシナリオが進んでいくといった感じです。蛮族デイリークエストのNPC版みたいなイメージですね。
ギャザラーやクラフターは、どうしてもシステムとの対話が多すぎたので、そこを変えたかったんです。実際にはマーケットを通じていろいろなプレイヤーと接触するクラスでが、レベリングをしてる日々はどうしてもエオルゼアに関してのかかわりが薄くなります。
それを、ちゃんとキャラクターとかかわるようにしたいっていう思いがあったんです。本当は5人くらいのNPCから始めたかったのですが、もう4.0の作業をしなきゃいけなくて、どうしても1人しか実装できませんでした。
であれば、下手に今いるキャラクターを使うよりは、最初の1人目をオリジナルのNPCにして、今後NPCを増やしていこうというスタンスにしました。
お得意様っていう遊びの中に、たまたまシロ・アリアポーが今回いて、今後はいろいろなNPCが対象になっていくって感じになると思います。
――蒐集品と蛮族デイリークエストが合わさったようなイメージでしょうか?
デイリーではなくてウィークリークエストの方が近いです。空いている時間を使ってゆっくりやってもらえればなと思います。
――システムマチックに好感度が数値で見えたりとかするのでしょうか?
数値で「50上がった!」とか言われてもなと思い、総合的にはハートマークで見せる感じです。
――制作難易度や最終難易度としては、レベル60になりたての人でも参加できる範囲なのでしょうか?
そうですね。ギャザクラのガチ勢でないと遊べないようにはしていません。お得意様に関して、4.0以降は最終的にはファッションチェック系のコンテンツにしていきたいと思っているんです。
毎週お題が出て、それに対して自分でコーディネイトしてチェックしてもらって、点数を付けてもらうみたいな。本当は今回でそこまでやりたかったんですが、工数が無さすぎました。
――どれが正解とかではなく、この組み合わせだったら何点! みたいな感じでしょうか?
週替わりで特定のNPCがファッションリーダーみたいな感じになって、「何点以上なら認めてあげるわ」みたいのはやりたいと思っているんですが、まだ仕様策定段階です。
別にクリアできなくたってどうということはありませんが、何が今週の正解なんだろうっていうのを、みんなでワイワイやってもらえるといいなと思っていて。
後はそのNPCの着せ替えをするなど、いろいろ発展させていきたいと思っています。他のプレイヤーのためだけではない、ギャザクラの遊び方というところをもう少し広げたいなと。
――プレイヤー1人1人が対象のNPCを、毎週好きなように着せ替えていけると?
はい、後はそれで流行みたいなのを作れたらなぁと思っています。今週この帽子が高いらしいぞって噂になって、それによってマーケットにも若干影響がでることもできたらいいですね。
――“クロの空想帳”も実装後にわりと冒険者の生活サイクルが変わったと思いますが、パッチ4.0以降も続いて行くのでしょうか?
はい。4.0以降も続けていくつもりです。でも、レベルがカンストしたあとの遊びにはなると思います。“クロの空想帳”もイディルシャイア版に関してはレベル60以上あればできますが、次はレベル70になってからの新しい手帳がまた始まると思います。
――当然報酬も変わってくるということですね。
そうですね。レベル70用のおいしいものになってくると思います。いつも担当者が「アイテムをください」って開発チーム内をさまよっているんで(笑)。
他にもパッチ3.5ではギャザクラ用にエフェクト付きの見た目が派手な主道具が入ります。
――それはモチベーションになりますね!
アチーブメントの報酬なので、頑張って手に入れてください(笑)。
――細かいシステム面で、エギがミラプリできるようになりますが、衣装のミラプリみたいに気軽に、好きなタイミングでできるのでしょうか?
タイミングはいつでも大丈夫ですが、テキストコマンドが必要なので、気軽にやりたい方はマクロにすることをオススメします。
一度変更すれば、基本的にはそれが維持されます。ただ、変更した記憶自体はクライアントで保存しているので、例えばリビングではPS4を使って、自室ではPCを使うみたいな状態だと、どちらにも用意する必要はあります。その点はご了承ください。
――でも一度変えておけば、次ログインした時にはそのままですよね?
同じクライアントであれば大丈夫です。
――後はいよいよバディを呼び出したままコンテンツファインダーを使えるようになりますが、やはりこれは前々から準備を重ねて、ようやくこのタイミングで可能になったという感じでしょうか?
新生当時「プレイヤーの成長は、レベルがカンストしたあとアイテムレベルで上がるけれど、ひたすら経験値を稼ぎ、育てるものが何か必要だよね」という話をしていました。
バディはその役目も担っていたのですが、パーティメンバーにならないとHPが見えず、非常に悩んだ末にパーティメンバーとして実装することにしました。
その結果、バディチョコボのプログラムコードがあまりにもパーティ依存になってしまっていて……。ご存知の通り、コンテンツファインダーはパーティの状態に変化があるとキャンセルされてしまうので、ソロ、もしくは、規定人数でなければルーレットが使えず、その仕様がそのままバディにも適用されていました。
しかし、処理はそれで非常に小さな工数で実装できたものの、“F.A.T.E.”も含めて、普段フィールドでチョコボを使うのに、コンテンツファインダーとメチャクチャ相性が悪い状態になってしまった。
この仕組みを強引に修正しようとすると、触り心地が変わってしまって、見た目は一緒なんだけど中身が違うやつになっちゃった、みたいになる危険性がありました。
皆さんかなりチョコボを成長させていらっしゃるので、データを安全な状態にしたままペット化しないといけないので、結局ゼロからコードを書き直して、ほぼ同じ状態になるようにしたので時間かかったというのが実情です。
――ペット扱いになると、仮に召喚士が8人いる場合、召喚獣呼びつつチョコボ呼んだら、ものすごいことになりそうですね(笑)。
そうですね。8人しかいないけどアライアンスパーティみたいな感じにはなります。
――なので4.0の“F.A.T.E.”の景色は壮観だろうなと。
たしかに、そうですね。タイタンエギを出しまくって、チョコボと2人で殴るっていう。パーティを組んでもフルパーティで組めますからね。たしかに4.0のF.A.T.E.はすごそうだなあ(笑)。
パッチ3.5のPart2の目玉となる“ディアデム諸島”のテコ入れ
――“ディアデム諸島”のリニューアルも発表されていますが、どのような感じになるのでしょうか?
まず、ディアデム諸島自体は、プレイヤーの方々からもリクエストが多かった、「遊び方を自分たちで決めさせてくれ」というところに対してのテストケースでもありました。
ある意味ゼロに近い状態の環境を、開発チームが作ろうとしたものでもありました。開発チーム内でも議論があって、「もっとルールが何もないマップだけのコンテンツがあってもいいのでは?」という声と、「いや、結局はルールがないと遊び辛くなるし、最効率しか求めない遊びになる」という声と、両方が存在していました。
『FFXIV』は基本後者の考え方で作っているので、短時間でも遊びやすい代わりに、遊び方を強制されている感覚を感じてしまうことがある。どちらが正しいとか、間違っているではなく、これはニーズに合わせていくものです。
また、「本当に昔のようなフィールドだけの体験が、現代ではイマイチになってしまうのか」という疑問を抱いたまま開発を強制させるのもよくありません。
だから、「一回やってみようか」という話をしました。ただ、昔のMMORPGをプレイした経験などから考えて、『FFXIV』に慣れたプレイヤーの皆さんだと、「いきなりマッチングでフィールドに放り出されてもチャットはできないじゃないか」とは話していました。
実際に蓋を開けてみたら、やはり時間とともに会話が減り、ひたすら同じところで狩り続けるスタイルが定着しました。僕はそれはそれで嫌いじゃないのですが……(笑)。僕たちが報酬のIL設定をミスしてしまったこともあり、冒険ではなく最高率で回るものになってしまいました。
今回はそれらの結果を踏まえて、普段の島内の探索に関しては、アインハルト家に指示を出されてA地点の探索を行う。それが終わったら、次の指令が出てB地点へ行くとか、そういうのがたくさんあって、毎回どの問題が出されるかがパーティごとに違うという方向にシフトしました。
単純探索については、明確に目的を提示して、それをクリアすると報酬が確実にもらえる、という基礎ルールのあるものです。
ただ、それ以外の探索余地はいろいろ入れてありますし、フィールド全域に対してハプニングが起こることがあるので、その時はパーティ内もそうですし、全パーティで連携してみてください! と思って作っています。
そこからは、役割をパーティごとに決めないとクリアできないレイドみたいなものになり、「こちらのパーティは下層から突入しますね」みたいに、話し合ってもらえるようにしているつもりです。
アライアンスレイドと違ってアライアンスウィンドが出ているわけではないので、どこがAアラだ、誰がBアラだと決まっているわけではありません。4パーティ以上いないと倒せないようなボスも出現するので、うまく連携して戦ってもらいたいです。
これまでの『FFXIV』のバトルコンテンツとはちょっと毛色の違うギミックというか、倒し方にもなっています。簡単に言うと入口が4カ所あり、4カ所からそれぞれパーティが入っていって、それぞれ別のことをやらないと最後のボスに攻撃が通らないみたいな。
――“クリスタルタワー”で3パーティに別れて行動していたようなイメージでしょうか?
マップやギミックを含めたボスという感じです。それぞれの役割を果たして、全部のキーを突破したら、後は中央ボスと正面から戦います。そこは、第一世代のMMORPGのレイドっぽい感じにしてあります。
4パーティしか入れないわけではないので、それ以上の戦力があればもっと豪快に行けるでしょうね。ただ、それがいつ起きるかは運しだいなので、探索に行ってサクッと終わったけど、「何も起きないね、どうしよう。もう一周する?」みたいな遊び方ができるようになっています。
――制限時間はあるんでしょうか?
1回の探索自体は60分です。延長するかどうかは、パーティ次第になると思います。
――延長自体は特定のアイテムが必要だったり、特定の行動が必要だったりという仕組みはありますか?
規定の探索が終わるまでは、どんどんアインハルト家から追加指示が出て、次はこの地点へ行ってこれを調べてくれみたいな感じで続きます。
それを果たすと、アラガントームストーンや、スポイルがもらえます。それをアイテムと交換する形式ですね。モンスターからの直ドロップもありますが、それを狙って敵を倒す遊びではなくて、アインハルト家の指令をパーティごとにこなせば、絶対的に報酬がもらえる仕組みになっています。
とりあえず“to doリスト”に指令が出るので、それをやりましょうという感じです。途中で発生している“F.A.T.E.”のようなものに関しては、やるかやらないかはパーティ内で決めてくださいというスタンスです。
あたり一面で“F.A.T.E.”みたいなものが起きていて、探索にかかわるものと、かかわっていないものが混在しているので、どうするかは皆さんで決めていただきたいなと思います。
――エーテリアル装備を集めるのではなく、あくまでスポイルを集めて交換すると?
そうです。スポイルガチャをする感じです。ちなみに風脈はないので、最初から飛べますのでご安心ください(笑)。
後はギャザラーパーティとバトルパーティは入口が分かれているので、ギャザリングしたい方はそれ用のマッチングを選んでもらえば、ギャザリングしようという人としかマッチングしないようになっています。
――実装はやはりPart2になりますか?
はい、正直かなりギリギリです。Part2のスケジュールにも影響するんじゃないかってくらいギリギリ……。もう4.0の開発が本格化しているため、かなりタイトな状態になっています。
――もしかしたら、パッチ3.Xシリーズ最後のコンテンツになる可能性も?
そうですね。デカイものとしては最後のものになるかもしれません。他にもアラガントームストーンの週制限を変更したり、『紅蓮のリベレーター』に向けていろいろなジョブの装備を上げておける準備のための調整などは、細かく入れていくつもりです。
――では最後に2016年は吉田さんから見て、『FFXIV』にとってどんな1年でしたか?
なんかもう忙しすぎて、年の感覚がなくなっちゃいましたね(苦笑)。ただやっぱり、これだけの規模で、またファンフェスティバルを開催できるは、本当に皆さんのご愛顧のおかげで、それが何よりありがたいです。
そのおかげで開発も頑張れていて、次の『紅蓮のリベレーター』の発表ができましたし、パッチとの同時並行開発をなんとかこなそうとしています。
昔だと当たり前なのかもしれませんが、2年、3年のサイクルで拡張パッケージを出すのは本当に大変だなとヒシヒシ感じています。もっと早いほうがいいんだろうなという思いと、これ以上もう短縮なんてできるわけないというところで、すごく新たに考えることが多かったりして……。
でも、それでも本当にファンの皆さんに支えていただいているので、やはり感謝の一言に尽きます。その感謝を日本のファンフェスティバルで皆さんにお伝えしたうえで、また丸一本分の新作RPGとして『紅蓮のリベレーター』をお届けしたいと考えていますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
後はもっと新規層を日本で獲得したいですね。欧米はずーっと拡大傾向にありますが、やはり市場規模と“新しいもの”に目がない日本市場では、新規獲得が大きなカギを握ります。どのオンラインゲームも日本市場では、最後にその壁が高くそびえていますね。
――やはりMMORPGというジャンル自体の捉え方が、海外と日本では違うのでしょうか。先程のPvPの例じゃないですが、日本ではあまりコミュニケーションを取らずにゆるく人とかかわる系のほうが、最近は特に求められがちな気もします。
ゲーマーの人口とか熱量は、日本もその他の諸外国も、そんなに変わらないと個人的には思っています。また、プレイの期間継続率でいえば日本は圧倒的に長いですが、出入りの自由さと気楽さは北米や欧州の方が圧倒的に強くて、悩ましいですね。
当然グローバルで見ないといけない点もあるし、でも僕らにとって日本はお膝元だから、北米のプレイヤー数に大きく水をあけられっぱなしも悔しい(笑)。
日本はやっぱり好みが全然違うので、もっとコツコツずっとログインして遊ぶコンテンツがあった方がいいのかなとも思いますが、全世界でそうとは限らない。ここは本当に悩ましいですね。
――ある意味そこは意識しつつ『紅蓮のリベレーター』を作っていると。
はい。『紅蓮のリベレーター』のスタートからいきなり変えるわけにもいかないので、とりあえずストーリーをということで。あとレベリングが帰ってくるので、いろいろなチャレンジを再開するのは、パッチ4.1以降になると思っています。“禁断の地エウレカ”もその1つですし。
――物語的はもう5.0までほぼ固まっているとの話を聞いたのですが……。
ええ、シナリオの筋を決めるだけなら楽です。それを形にするのがひたすら大変なだけです(笑)
――ちなみに北米と日本のプレイヤーの傾向の違いなどはありますか?
細かく言えば、国ごとにすべて違います。傾向が近いのは北米と欧州、日本と中国、韓国は似ているようで、根本から全然違ってもいます。
日本は課金継続率、プレイの継続月数が世界一です。継続プレイしていただけた場合、以降本当に長い期間プレイしてくださっていますが、そのぶん、ゲームに飽きている方も圧倒的に多くて、この絶対的な飽きからは逃げ切れない。かといって、大きく波乱を起こすことは、サービスである以上本質的に難しいので、コンテンツのタイプで飽きを消すしかありません。つねにそういう部分では戦いですね。
――その辺はオンラインゲームの宿命みたいなところでもありますね。
たぶん。劇的な味の違い、刺激が欲しい。しかしそれを求めない人もたくさんいらっしゃる。どうしてもプレイヤー全体を俯瞰してみなければいけないので、本当にここが悩ましいですね。
――オンラインゲームでもレベルキャップに到達したり、最初のストーリーをクリアしたらもう満足して、もういいかなみたいになったりする人も多いみたいですね。
パッチを小分けにしたほうがいいのかな、と思ったりもしますね。“鬼神ズルワーン討滅戦”、“影の国 ダン・スカー”、そして新ダンジョンが2つ、メインシナリオもあって、サブクエストもある……パッチ公開してすぐに一気にやろうと思えばできますが、一気に駆け抜けてしまうのは勿体ない。コンテンツ開放を2週間ごととかにずらしたほうが、2週にいっぺんパッチが来る感じで、新鮮な感じが長続きするかもしれません。しかし、これまで一気に配信してきたものが小分けになると、それはそれで物足りなさを感じるだろうな、と。
――確かに『蒼天のイシュガルド』の初期は、遅れて“機工城アレキサンダー”が公開されて、そんな感じのイメージでした。
先にノーマルを開けて、その後“零式”が開く、という考え方もありかなとも思うんです。今は本当にいろいろなことを考えています。これから『紅蓮のリベレーター』という新たなステージに行くのは確定で、皆さんにお知らせしているのですが、僕はもう少し先、その先のゲームデザインというか、『FFXIV』のあるべき姿について悩んでいます。
『FFXIV』全体の収益は安定して拡大もしているので、プロデューサーとしてはそれで大満足なのですが、「まだやれるんだよなー……」と思えるところがあって。全体がよければ万々歳っていうのも、ちょっとつまらないなって(笑)。
皆さんは今を楽しんでもらいつつ、2016年のラストは、ファンフェスティバルを見て楽しんでもらって、未来の情報にワクワクしてほしいなと思います。
いろいろなものが待っている2017年になると思いますが、また皆さんと一緒に歩いていければと思いますし、何か思いついたことや今後のアプローチについては、また積極的にお知らせしていく2017年でありたいと思っています。これかもどうぞよろしくお願いします!
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