2017年1月18日(水)
1月12日に発売された『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』。電撃PlayStation最新号のVol.630では、主人公・赤松楓の声を演じている神田沙也加さんの超高校級インタビューをお届け。ここでは本誌では見られなかった、その全文を掲載しよう!
▲神田さんの思考をブレインドライブ! |
――まずは『ダンガンロンパ』との出会いから教えてください。神田さんはシリーズのファンを公言されていますが、いったいどのような部分に惹かれたのでしょうか?
じつは最初にパッケージを手に取ったのは偶然でした! 私はゲームショップなどで、パッケージのデザインが気に入ったものや、パッケージ裏の説明を読んで直感でおもしろそうなものを思い切って買うことが多いのですが、『ダンガンロンパ』もそのなかの1つでした。
――いわゆるジャケ買いというヤツですね。
そうです。パッケージ裏の“ハイスピード推理アクション”の意味はそのときまだよくわからなかったのですが、自分の直感を信じて手に取りました(笑)。それでプレイしてみたところ、見事にドッパまってしまいした!
――ドッパまりましたか! それは最上級のホメ言葉ですね(笑)。
ふふ(笑)。ハマッた理由は、オープニングの映像やサウンドのセンスにいきなり引き込まれたというのもあるのですが、とにかくシナリオがおもしろくて。時間を忘れて一気にクリアしてしまいました。ただ、そのときはまだ今ほど爆発的な人気はなかったので、周囲に「ダンガンロンパ、おもしろかったよね!」と話せる人があまりいなかったんですよね。でも、そのあとテレビアニメが始まったりベスト版が出たりして、だんだん一緒に盛り上がれる人が増えていきました。だから最新作が出るたびにファンのみんなで盛り上がれるようになった今はすごく楽しいですね。
──そんな初期から作品を支えていたんですね。『ダンガンロンパ』シリーズには多彩な魅力があると思いますが、神田さんはどんな部分に一番惹かれたのでしょうか?
やはり、1つのジャンルにくくれないところですね。推理ゲームをベースにアクション的な要素があったりリズムゲーム的な要素があったりと飽きさせないんですよ。あとはやっぱりキャラクターです! たくさん登場人物がいると普通はなかなか顔と名前が一致しないと思うのですが、『ダンガンロンパ』はキャラクターがとても濃いのですぐに覚えられるんですよね。だから“プレイヤーとキャラクターと近しい距離になれるまでの時間”がとても早いんです。
──なるほど。そんな愛すべきキャラクターだからこそ事件やおしおきで死んでしまうのは悲しいですよね。また『ダンガンロンパ』といえば、やはりモノクマがシリーズの顔になると思うのですが、神田さんはモノクマやモノミ、シロクマ、クロクマのなかではどれが好きですか?
舞台で江ノ島を演じたこともあり、やっぱりモノクマが一番好きです! でも印象深いのは『絶対絶望少女』に出てきたジャンクモノクマかな……(笑)。マジで怖すぎて、最初は逃げ回っていて倒せませんでした(笑)。アレは子どもが見たら泣くと思います!
──ジャンクモノクマの登場シーンは衝撃でしたよね(笑)。ちなみにキャラクターのほうでは誰が好きですか?
……う~ん、やっぱり江ノ島盾子です! 『V3』では赤松楓ちゃんを演じさせていただきましたが、やはり舞台での思い入れが強すぎてですね……(笑)!
──江ノ島については後半でゆっくり聞かせていただくとして、まずは『V3』についてお聞かせください。今回、主人公役を演じるということで神田さんのなかでプレッシャーはありましたか?
じつは最初は楓が主人公だと知らなかったんです(笑)。てっきり登場人物の1人だと思っていました。スパイク・チュンソフトさんからセリフの台本が順次送られてきていたのですが、そのなかに「それは違うよ」「その言葉斬っちゃうよ」といったものがあって、マネージャーさんに「まるで楓が主人公みたいだね」と言ったら「主人公だよ」と言われて驚きました(笑)。
──えぇ、そうだったんですか!? 徐々に自分が主人公の役だと知るって前代未聞じゃないでしょうか。
そうなんですかね?(笑)。もちろん主役を演じるプレッシャーはありましたが、楓はナンバリングでは、はじめての女性主人公なので、私自身もファンとして本作がいったいどんなストーリー展開になるのかとてもワクワクしましたね。
──公式サイトなどでは楓は周囲を引っ張るリーダータイプと説明されていますが、演じてみて印象などは変わりましたか?
はい。めちゃくちゃ変わりました! 彼女は怖いぐらいの平和主義者なのですが、前向きな性格が過ぎるとちょっとゾッとするんだなということを思い知らされました。楓のようにリーダーシップを持っている人というのは、もともとの素質みたいなものもあると思うのですが、彼女の場合は自分よりも他人のことを想うエネルギーがとても強いんですよね……。本人は思いやりだと思っていることでも猪突猛進すぎて、仲間たちが同じ速度でついていけないシーンが何度か出てきます。そのため彼女は主人公らしい主人公ではあるのですが、そこは(シナリオ担当である)小高さんらしい、一筋縄ではいかないキャラクターになっていますね。言っていることが正論でも、当てつけされた相手がついて行けないと大変なことになるんですよね。
──周囲のことを考えずに自分の意見を押しつけてしまうタイプなのでしょうか?
いえ、周囲のことを考えるあまり、周りが見えなくなるタイプですね。表面の部分だけを見ると“ザ・主人公”という感じだし、今までのシリーズでいうと朝日奈のような明るさを持っているのですが、深い部分では全然違いますね。
──かなり特殊な主人公ですね。
そうですね。私が舞台で江ノ島盾子を演じているため、発売前から「楓が黒幕だ!!」などとファンから言われていたりもしますしね(笑)。
──主人公なのにかわいそうです(笑)。ちなみに舞台でキャラクターを演じることと、今回のようなスタジオの収録では演じ方も変わってきますか?
そうですね。でも、事前にいただいた資料に楓の表情グラフィックがあったのですが、その喜怒哀楽のパターンがすごく多かったのでイメージはとてもつかみやすかったですね。彼女自身も、ゆがんでいる部分はあるものの、性格や思想は一環しているので、その部分をふまえて私のなかで全力で演じるのみでした。
──『ダンガンロンパ』シリーズは学級裁判パート以外はパートボイスですが、ひとことのセリフの収録は難しかったりしましたか?
もともとシリーズをプレイしているため、パートボイスのイメージもすぐに浮かんだので、特別そこに苦労するということはありませんでした。シリーズのファンでよかったです(笑)。
──なるほど(笑)。そんな神田さんから見て、『V3』の魅力はどこだと思いますか?
今回も『ダンガンロンパ』シリーズらしい作品になっていると思いました! 物語の全編通して、気持ちよく裏切られる快感が得られると思います。新システムが加わった学級裁判もすごくおもしろいですし、細かい部分も全部パワーアップしていると思います。フィールドでの視点もすごく細かく切り替えられるし、至るところが進化していました。学園などの世界観が一新されていることもあり、今までのシリーズをプレイしていない人には、いい入口の作品になっていると思います。ぜひみなさんに遊んでみてもらいたいですね。
──ファンである神田さんから見てもオススメだと。ちなみに『V3』には5人のモノクマーズが登場しますが、神田さんのお気に入りは?
モノファニーです! かわいいから好き!!
──声は山寺宏一さんですけどね(笑)。
そこも含めて好きです(笑)。あとはキャラクターだと春川魔姫ちゃんが好きですね。ツインテールとか声が坂本真綾さんだったりとか、ピンポイントで私の趣味をついてきています!
──続いて神田さんと『ダンガンロンパ』シリーズを最初に結びつけた作品である舞台版についてお聞かせください。もともとは別の役のオファーだったところを江ノ島盾子役を熱望されたとのことですが、その江ノ島への想いの強さはどこから来ているのでしょうか? 彼女の魅力とは?
たぶん、キャラクタービジュアルしか情報がなかったとしても江ノ島がいちばん好きになっていたと思います(笑)。ピンク髪でツインテールで赤チェックの制服というのがすべて好みなんですよ!
──“超高校級のギャル”である江ノ島も好きということですね。
だから最初にプレイしたときはあまりにも早く死んでしまったので悲しかったです……。まさか復活するだろうとは思わないですしね。プレイヤーの注意をひかないようなギリギリのラインのキャラクターなんですよ(笑)。
──たしかに“超高校級のギャル”として登場する江ノ島はモブキャラ感がありますよね(笑)。
そのため、黒幕としての彼女が登場したときはすごく驚きましたね。ものすごいカリスマ性だし。「こんな人が実際に出てきたら何も口をはさめないな」と圧倒されました(笑)。
──登場するどのキャラクターよりも存在感がありますよね。
“新しいカリスマのジャンルが生まれた”と思いました。悪いカリスマの女の子ってかわいいなって。彼女の小悪魔的なところがすごく好きですね(笑)。
▲“超高校級のギャル”として登場する江ノ島盾子。物語序盤でモノクマによって殺されてしまうが、じつは……。 |
──黒幕として再登場するときは“超高校級の絶望”の江ノ島ですが、演じるうえで“絶望”という曖昧な概念について把握するのは難しくなかったでしょうか。神田さんから見た江ノ島が江ノ島たる部分はどんなところにあると思いますか?
“フェチズム”を追求した形が江ノ島だと思っています。人はそれぞれ自分のフェチを持っていると思いますが、彼女はそれが多数派とは違うもので、独自の観点や楽しみ方を持っているんですよね。あと、彼女の絶望的に飽きっぽいという性格とも関係があるのですが、江ノ島には敗北がないんですよ。
──敗北がないとはどういうことでしょう?
苗木たちにやっつけられても絶望だし、逆にやっつけられなくても飽きっぽい江ノ島にとっては絶望だし、彼女は永遠に満たされることがないんです。だけど、彼女にとって絶望は快感でもあるので、勝たなくても負けないんですよ。だから彼女は最強だと思うんです。
──2014年の初演の舞台での展開のように何もされずに放置されるのが一番つらいんですかね。あのときは自分で幕を下ろすこともできず、静かに終焉を迎えましたし。
いえ、あの状況も彼女は絶望と言っているんです。そのため、江ノ島の目線で考えるとじつは負けていないんですよね。だから“絶望”は言ったもの勝ちなんだなと思うんです。
──なるほど。そもそも勝負にならないと。
でも“絶望”と同じで“希望”も言ったもの勝ちなんです。だから江ノ島と苗木は対等にぶつかり合うんです。……って、ちょっと哲学みたいな話になってきてしまいましたね(笑)。
──いえいえ、興味深いです!
でも江ノ島盾子というキャラクターはスパイク・チュンソフトのみなさんと、演じられている豊口めぐみさんが作り上げたキャラクターだと思うんです。だから、アニメの『3』で再びオリジナルの彼女を見ることができたのは本当にうれしかったですね。一方で『絶望編』の物語が進んだとき、私あてに「江ノ島のことが大嫌いになりました!」とおっしゃる方が複数いたのですが、どうすることもできないので困りましたね。
──それは確かに(笑)。
私も原作のファンなのでショッキングな展開が続くのがツラいのはわかるのですが……。でも、私としては江ノ島なりの活躍を見ることができたのもうれしかったですね。
──なるほど。ではもしもアニメの『3』が舞台になったとしたら、ぜひその江ノ島も演じてみたいですか?
アニメは中盤以降のダークな部分が注目されがちですが、私はどちらかというと前半のポップな部分をぜひ演じてみたいですね。アニメの姉のむくろとのやり取りが好きだったので、ぜひ舞台でやってみたいです。今までの舞台ではむくろと江ノ島の一人二役をやっていたのですが、『絶望編』は2人が共存している時代のストーリーなので、掛け合いの演技をしてみたいです。
──なるほど。あとは舞台では主題歌も担当されていますが、どれもゲームをプレイしているとニヤリとするようなフレーズがたくさん盛り込まれていますね。作詞を手掛ける前にゲームを再プレイしたりしているのでしょうか?
そうですね。舞台の曲が挿入歌ではなくエンドロールに流れるものということもあり、見に来てくださった『ダンガンロンパ』シリーズのファンの方の全員にぜひ響いてほしいという想いがあり、MTBやPTAなどのゲームのなかに出てくる用語を歌詞に入れています。それに『ダンガンロンパ』の舞台は原作への愛も強く、クオリティ的な意味で本当に完成させるのが大変なので、キャストのみなさんがカーテンコールを気持ちよく終われるように意識しています。
──神田さんはアニメの『未来編』エンディング“Recall THE END”では作詞も手掛けられていましたが、これもあらかじめ台本を読んで歌詞を作ったのでしょうか?
この曲こそ「わかってくれる人がわかってくれればいい」という想いで作りました。じつは壮大な本編のネタバレ曲だったのですが、放映が1話終わるごとにファンの方々が「この歌詞はこういう意味だったんじゃなかったのか!?」と考察してくれていて楽しかったですね。ニヤニヤしながら読んでしまいました(笑)。
──(笑)。
▲今までシリーズをプレイしたことがない人もぜひ遊んでほしいと、神田さんがいう『V3』。これまで舞台版にしか触れてこなかった神田さんのファンは、この機会にゲームもプレイしてみてはどうだろうか? |
──ここからはシリーズファンとしての意見をお聞きしたいのですが、『ダンガンロンパ』はぬいぐるみやファッション、雑貨など、多彩なグッズ展開をしていますが、神田さん自身はどんなグッズが欲しいですか?
じつはすでにグッズはたくさん持っているんですよね(笑)。ガチャガチャも一生懸命、回しましたし。
──神田さんがファンの方々に混じって普通にガチャガチャをしている姿が絵的におもしろいと思いますが(笑)。
仕事終わりに毎日ガチャガチャを回していましたね(笑)。1回で集めると楽しみがなくなってしまうので、ちょっとずつ集めながら……。それでお気に入りのキャラクターをジャラジャラ身につけていました(笑)。
──普通にファンですね(笑)。
だから新商品で欲しいものと言われても、とっさに思い浮かばないんですよね(笑)。まだ存在しないグッズか……。あ、そうだ! コスプレ方面に寄りすぎてないアパレル関係のものがほしいです。苗木のパーカーや七海のリュックなどコスプレアイテムはたくさん発売されているので、もうちょっとワンポイント的なデザインのアイテムが欲しいです。
──やたらと具体的ですね(笑)。
すみません(笑)。
──いえいえ(笑)。『ダンガンロンパ』はメディア展開も広く行われていますが、ぜひ実現してほしいとか参加してみたい企画はありますか?
逆にまだ展開していないものってありましたっけ?(笑) ちょっとミュージカルとか思い浮かびましたけど、ファン目線で考えるとやってほしくない……かなぁ(笑)。
──想像できませんよね(笑)。あとは可能性としては連続ドラマとかがまだ残っていますね。
ド、ドラマかぁ……。う~ん。……いや、『ダンガンロンパ』シリーズは今の感じがいちばんいいと思います。世界観がとてもステキなので変に壊さなくてもいいかなって。ファンとしては『ダンガンロンパ』のスタッフさんには本編に集中してもらいたいですし(笑)。
──わかりました(笑)。では最後にゲームの発売を楽しみにしているファンにひとことお願いします。
アニメとゲームの『3』は同時に発表されたので驚いたファンの方も多いと思います。しかもアニメは1クールで2本のアニメを放映しましたしね(笑)。でも、それをやってのけてしまう『ダンガンロンパ』シリーズは、本当にとどまるところを知らないバイタリティを持っていると思います。そして、そのバイタリティはゲームも変わらないと思うので、ぜひプレイしてみてもらいたいですね。今回の『V3』は個人的に『1』に似た雰囲気を感じています。『2』のキャラクターも濃くて好きなのですが、『V3』はわかりやすい超高校級がそろっているので、みなさんもお気に入りのキャラクターが見つけやすいと思うん です。ぜひ、そんなキャラクターたちに注目して遊んでもらいたいですね。
──神田さんが演じている楓もいますしね。
そうですね(笑)。ちょっとやっかいな性格をしている女の子ですが、みなさんに愛していただけるとうれしいです。本当に、たくさんの人がプレイしてくれて、いろいろなところで本作について熱く語れればいいなぁと思っています。よろしくお願いします!!
──本日はありがとうございました。
神田沙也加さん プロフィール
ファンティック所属。ディズニー映画“アナと雪の女王”で日本語吹替版アナ役を担当し、第9回声優アワード主演女優賞を受賞。声優だけでなく歌手やナレーションなど多岐に渡って活動している。
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