2017年1月30日(月)
1月29日(日)に開催された“電撃PlayStationプレミアムイベント2017冬”。そのステージイベントの第3部と第4部では、1月26日に発売されたばかりのPS4/Xbox One/PC用ソフト『バイオハザード7 レジデント イービル』のステージが行われた。
第3部では出演声優陣を交えてのトークショー、第4部では本作の開発秘話が語られた。そんな豪華ステージイベントの詳細をお届けする。
第3部のステージが始まると、最初に『バイオハザード7』の最新トレーラーが流れ、そのあとにカプコンの『バイオハザード7』プロデューサー・川田将央氏と、ディレクターの中西晃史氏が登壇。電撃PS編集長の西岡美道を交えたトークショーがスタートした。
▲中西晃史ディレクター(左)と川田将央プロデューサー(右)。 |
まずは川田氏が『バイオハザード7』の概要を解説。本作は「“恐怖”を最大限まで表現するためにはどうすればいいのか?」というコンセプトのもとで作られ、そのためにカメラ視点を変更したり、主人公をより一般人に近いイーサンにしたりと、さまざまな部分にこだわって作られた作品とのことだ。
続いて中西氏が、1月31日(火)から配信されるダウンロードコンテンツ(DLC)第1弾の内容を紹介した。“Banned Footage(発禁フッテージ)”と名づけられたDLCは、どれも発禁(発売禁止)スレスレをイメージしたコンテンツとのこと。
ちなみに、第1弾には3つのコンテンツがあり、“発禁フッテージ Vol.1”(価格:926円+税)を購入すれば、そのすべてを楽しめる。
“ナイトメア”は、アーケードライクなシューター。次々に出現するモールデッドと戦い、どこまで生き残れるかに挑む。
“ベッドルーム”は、本編に登場するベイカー一家のマーガレットにフォーカスを当てたパズルゲーム。本編より前の時間軸で、一家に監禁されている人物がマーガレットの監視の目を盗んでどう逃げ延びるかを体験できる。マーガレットとのやりとりにも注目。
“イーサンマストダイ”は、本編とは独立したオマケで、カプコンの名作アクション『ロックマン』シリーズのような理不尽ともいえる難易度のゲーム。“死んで覚えながら進める”いわゆる死にゲーで、このゲームならではの独特の雰囲気が楽しめる。中西氏いわく「実況プレイなどですごく盛り上がりそう」とのことだ。
続いては、本作に出演した声優2人がゲスト参戦。イーサンの妻・ミアを演じた樋口あかりさんと、ベイカー一家の大黒柱・ジャックを演じた山路和弘さんが登壇し、3つのトークテーマについて語ってくれた。
▲写真左から樋口あかりさんと山路和弘さん。 |
【トークテーマ1】 |
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樋口さんは『バイオハザード』シリーズの大ファンで、オファーが来たときは「マジですか!?」と本気で驚愕。収録を終え、こうしてゲームが発売された今でも「まだ出演したのがウソじゃないかと思う。でも、それくらいうれしかった」という。
山路さんはホラーゲームが苦手で、以前に『バイオハザード』シリーズ作品をプレイしたときも、怖くてすぐやめてしまったという。「そんな自分にオファーが来て、樋口さんとは逆の意味で“マジか!?”と焦った」とのこと。
【トークテーマ2】 |
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樋口さんも山路さんも「収録前のリハーサルで、制作会社さんの奇妙な地下室に行ったときがまず怖かった」という。収録については、樋口さんは「ミアは主人公ではなく主人公を襲うほうだから、怖いというよりもテンションが上がる感じでした」と話した。
山路さんは「演じるときにゲームの映像も見せてもらって、それはまだざっくりとした未完成のものだったんですけれど、それでも僕にはダメだった(笑)」とのことだ。
【トークテーマ3】 |
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樋口さんは「ミアは一般人かと思いきや、何か大切なことを知っていそうな人物。また、二面性があるキャラクターで、どちらが本当のミアなのか、そもそも本当のミアってなんなのかなど、いろいろ考えさせられました」と熱弁した。
山路さんは「ジャックは演じていてじつに楽しいキャラクター。ただ、狂う前のジャックを演じる場面もあって、そのときは“こんなことをいうの?”と本当にびっくりしました。ですから、もとからこうじゃなかったということを考えると、そこに少し悲しさもあるのかな、と思います」と語った。
トークショーのあとは、樋口さんと山路さんが生アフレコに挑戦!
▲樋口あかりさんが演じる“ミア”。 |
▲山路和弘さんが演じる“ジャック” |
2人がそれぞれのキャラクターを演じたあとは、ミアとジャックの会話シーンという、ゲーム中にないオリジナルシチュエーションの生アフレコにも挑戦してくれた。
中西氏がイベント用に書き下ろしたというシナリオを熱演した2人に、聴衆からは惜しみない拍手が送られていた。
続いては、中西氏による実機プレイが行われた。プレイするのは、注目のDLC“発禁フッテージ Vol.1”の“ナイトメア”。
大量のモールデットとの戦いはもちろん、スクラップを集めての主人公の強化や武器の作成、トラップの利用など、さまざまな要素が判明した。ボスとして登場したジャックとの激闘も、会場を大いに盛り上げていた。
“ナイトメア”の実機プレイで、ステージイベント第3部は終了。ここまでに出演されたみなさんのコメントを掲載する。
中西晃史氏
オリジナルシーンのアフレコ、すごくよかったです。またシナリオを書きたくなりました。今日は本当に楽しかったです。
川田将央氏
今日は山路さんと樋口さんに来ていただいて、『バイオハザード7』の世界観がみなさんにさらに伝わったんじゃないかと思います。山路さんのおびえる姿を見ながらジャックが襲いかかってくるっていうのは、みなさんなかなかできない体験で、すごく貴重かな、と感じました(笑)。
山路和弘さん
ジャックがやられるのを見て、なんともいえない気持ちになりました(笑)。僕はこういうのすごく怖いんですけれども、怖いもの見たさでちょっとやりたくなったのは確かです。本当にちょっとやってみようかな、と思います。今日はありがとうございました。楽しかったです。
樋口あかりさん
さっきのプレイを見て、すごくテンションが上がりました。今ここでやりたいぐらいです。私はPS4を持っていないので、明日にでも買いにいきたいと思います! 今日はどうもありがとうございました。
少しの休憩時間を挟んで、ステージイベント第4部が開始。再び開発陣の川田氏と中西氏が登壇し、あらためて『バイオハザード7』の概要を解説したあと、第4部のメインである開発秘話についてのトークショーが催された。
“30分でわかる”と銘打たれたトークショーは、4つのトークテーマに沿って展開。開発のコンセプトからベイカー一家の誕生秘話まで、さまざまな内容が川田氏と中西氏の口から語られた。
【トークテーマ1】 |
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川田氏によると、コンセプトは開発初期から一貫しており、ずっと“恐怖”推しで進めてきたという。そのためにいらないものをそぎ落とす感じで作ってきたとのこと。
中西氏も、開発統括の竹内潤氏から「怖くておもしろいゲームを作ってくれ」といわれたことを受け、「どうやったら怖くなるのか?」を追求。そのためにフォトリアル表現やアイソレートビュー(1人称視点)を取り入れたという。
フォトリアル表現の導入は「恐怖を与えるうえでより現実に近いグラフィックのほうが有利だから」というのが理由。単純に背景などのリアルさだけでなく、人の頭身もリアルさを意識。従来はゲームで映えるよう8頭身に作っていたところを、より現実的な頭身にしたという。そのため「今回とこれまでのキャラクターのモデルを並べると、違和感を感じるはず」と中西氏は語る。
アイソレートビューについては「ホラー表現はより人間の主観的体験に近いほうが怖くなる」という理由で採用。ほかにも“敵の近さ”や“没入感”にもこだわった作りをしているという。
これらを受けて、電撃PS編集長の西岡が「キーワード的には進化した“原点回帰”といった感じでしょうか?」と問うと、川田氏は「原点回帰という言葉はプロモーションで絶対に使わないようにしていました」と発言。これはスタッフ間での徹底させており、自分たちからではなく、メディアやユーザーからいってほしかったという。実際のところ、E3などのイベント発表後、原点回帰という言葉はメディアで頻繁に使われており、開発陣の狙いどおりだったようだ。
また中西氏は、サバイバルホラーはプレイヤーに不安にさせることが重要で、こういったことを想起させるにはヒーローよりも等身大の人物であるイーサンが適任であると断言。敵についても「どうやったら倒せるのか、そもそも死ぬのか? という印象をプレイヤーに抱いてもらいたい」という狙いで、ベイカー一家の面々やモールデッドを考えていったと述べた。
中西氏は「『バイオハザード』は“恐怖”を与えたうえでそれをどう打破していくかがテーマで、これらはもちろん本作でも同じ」と発言。内容としては、戦闘や探索などさまざまだが、これらを実際にどうまとめるかには試行錯誤があったという。
【トークテーマ2】 |
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本作のために開発された新たなゲームエンジン“RE ENGINE”。
REは“偉大なことに挑戦する”という意味の“reach for the moon”から名づけられている。この新型エンジンを利用することで、グラフィックのフォトリアル表現はもちろん、音響表現も強化された。
パフォーマンスでも“1080p 60fps”に対応。これは、VR対応にするために必須の環境で「そのためにエンジン開発のハードルを上げました」と川田氏はいう。中西氏も「没入感を高めるうえで、フレームレートはあればあるほどいい」と追従した。
また中西氏はイテレーション、すなわち開発効率が飛躍的に向上したことも非常に大きいという。ゲーム開発は世代が進むほど物量も増えるもので、従来のやり方のままでは時間も予算も倍々に増えてしまう。だが、開発効率が向上すれば、こういった問題を解決しつつ、クオリティも高められるというわけだ。
“RE ENGINE”はこれからも改良を重ねつつ、今後のカプコンタイトルにも利用していく予定だという。カプコンタイトルのクオリティアップという面でも“RE ENGINE”は重要なものになりそうだ。
続いての話題は“3Dフォトスキャンの導入”について。
カプコンにはこの技術を利用するためのスタジオが作られており、本作ならジャックなどの主要キャラクターのモデルを撮影し、そのデータから3Dモデルを作成している。中西氏がいうには「ただリアルになるだけでなく、ポリゴンなどから手作りするよりもずっと早く作れる」とのこと。
撮影の際はモデルの人物に特殊メイクを施し、ゲーム開発時になるべく手がかからないようにしているという。また3Dフォトスキャンは、人物だけでなく建物や車などにも利用可能。本作の開発効率の向上に、大いに貢献した技術といえる。
【トークテーマ3】 |
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『バイオハザード7』の魅力の1つは、PS4ソフトでも初の“全編VR対応”。
川田氏は「最初は無謀な挑戦かも、と心配でしたが、やってみたらなんとかなりました」とのこと。ただ、VRは体験してみないことにはわからない性質のもので、社内でプレゼンテーションをするときなどは苦労したという。
そこで川田氏は「なら実際に作ってやってもらえばいい」ということで、実験的なVRホラーゲーム『KITCHEN』を開発。E3 2015などで発表し、社内でも好評を得たという。これで「VRでホラーはいける」と川田氏は確信したとのことだ。
【トークテーマ4】 |
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最後は、本作の物語でも重要な役割を担うベイカー一家について。彼らのモデルになった俳優たちの撮影時のエピソードや、初期設定のラフなどが公開された。
これがその初期設定ラフで、一家がゲーム中の姿に変貌する前を描いたもの。当初は犬も登場する予定だったようだ。
ちなみに“一家”にするというのは最初の企画書からあった設定で、中西氏がいうには「今回は主人公を押していかないぶん、敵側をプッシュしたい。1人1人を個性的に描きたいと思っていました」という。
体験版から活躍(?)しているジャックが、ユーザーから人気を得ていることについては、川田氏も中西氏も予想外だったという。川田氏いわく「普通、このデザインでは有名にならないのに、実際に人気が出たのは、ある意味ゲームのキャラクターデザインに革命を起こしたのでは?」と語った。
ベイカー一家は、海外でも人気の様子。『バイオハザード7』のPRとして催された海外イベントの写真では、ジャックやマーガレットに扮したユーザーの姿も数多く見られた。
開発秘話についてのトークも終わりというところで、電撃PS編集長の西岡が、川田氏・中西氏に今後の『バイオハザード』シリーズの予定について質問。
これに対して川田氏は「ユーザーのみなさまの反応を見ていろいろ考えていきたいと思います」と対応。中西氏は「まだどうするかはわかりませんが、サバイバルホラーは謎と驚きが大切ですから、次回作でももっと驚かせていきたいと思います」と、意気込みを語ってくれた。
続いては『バイオハザード7』の最新情報が公開。DLCの“発禁フッテージ Vol.1”に続いて、2月14日(火)に配信予定の“発禁フッテージ Vol.2”(価格:1,389円+税)の情報についても公開された。
“Vol.2”に収録されるのは“21”、“ドウターズ”、“ジャック55th バースデー”の3つ。
“21”は、ベイカー一家のルーカスにフォーカスを当てたギャンブルゲーム。
“ドウターズ”は、ベイカー一家が変貌する前の前日譚を描く物語。
“ジャック 55th バースデー”は、ジャックの誕生日を祝うエクストラゲームだ。
これらに加えて、2017年春配信予定の無料DLC“Not A Hero”も開発中とのこと。さらに電撃が刊行する、本作のインタビューや開発レポート、設定資料などを収録した“バイオハザード7 レジデント イービル ドキュメントファイル”の詳細も公開された。こちらの情報にも注目していきたい。
イベントの最後は、川田氏と中西氏が改めてコメント。電撃PSの西岡によるイベントの総括とあわせて掲載する。
中西晃史氏
『バイオハザード7』もついに発売され、みなさんにちょっとでも楽しんでいただければいいかなという想いです。今回発表したDLCもあわせて楽しんでもらえれば幸いです。
川田将央氏
電撃PSさんとは今回、取材も含め、長くつき合わさせていただきました。やっぱりプレイヤーの方がいて、メディアの方もいて、すごく大きな輪としてみなさんが盛り上げてくださったことに感謝です。我々ががんばって作ったタイトルをみなさんが喜んでプレイしていただけたなら、我々としては無上の喜びを感じます。未プレイの方にはぜひ遊んでいただきたいですし、気に入っていただけた方には、まだまだコンテンツを作成中ですので、こちらも楽しんでいただければと思います。
西岡美道
今回のイベントは『四女神オンライン』に始まり『LET IT DIE』、『バイオハザード7』と、非常に幅広いタイトルを扱い、楽しんでいただけたのではないかと思います。引き続き、電撃PSをよろしくお願いします。今後もこういったイベントを続けていきますので、そのときはまたよろしくお願いいたします。
参加者は、ステージ終了後に1月31日配信のDLCより“ナイトメア”を先行で体験。ステージでの実機プレイを参考にしつつ、自分なりに生き残ろうと試行錯誤していた。
また、会場にはPS VRも用意されており、体験版のプレイやミュージックビデオコンテンツ『Don’t be Afraid -Biohazard × L’Arc-en-Ciel on PlayStation VR-』を見ることができた。既に本編をクリアした人もPS VR体験版ならではの“迫る恐怖”を楽しんでいた。なかには思わず声をあげる人も。
▲他の出展タイトルと同様に、特大パネルでの展示も。 |
▲備え付けられた椅子に座ることで、ベイカー一家の一員になれる特殊なARも設置されていた。 |
▲ARコードを読み込みとこのようにベイカー一家が現れる。 |
さらに、訪れた人のなかから抽選で選ばれた人が参加できる、川田プロデューサーと中西ディレクターのサイン会も開催! 憧れのゲームを生み出したクリエイターに質問をしたり、さまざまな会話をして楽しんでいた。
▲川田Pと中西Dを気さくに声をかけており、終始和やかなサイン会となった。 |
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