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2017-01-31 21:15

総合Pの鈴村健一さんが語る“芝居×バラエティ”の魅力。舞台劇『AD-LIVE(アドリブ)』放送決定!

文:ガルスタオンライン

 出演者も観客も次に何が起きるのか、結末がどうなるのか分からない『AD-LIVE』。その唯一無二の舞台劇が、CSファミリー劇場で放送決定! それにともない『AD-LIVE』の総合プロデューサーを務める鈴村健一さんの合同取材が行われました。

舞台劇『AD-LIVE(アドリブ)』鈴村健一さんインタビュー

――『AD-LIVE』を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

 企画が始まったのは2008年になりまして、WEBテレビ番組『鈴村健一の超人タイツ』で制作したドラマCDの発売記念イベントが原点なんです。普通はそういうイベントってトークショーなどがメインになると思うんですが、それだとおもしろくないので「舞台をやりたい」と僕が言い始めまして(笑)。

 そのドラマCDに出演していたのが、僕と、岩田光央さんと、櫻井孝宏さんの3人だったので、お2人にも相談して、3人で芝居をすることになりました。でも、稽古をする時間がなかなか取れず、であれば全部アドリブでやってしまおう、と実施したのが始まりですね。

――その後、どういったタイミンングで、全編アドリブというスタイルのお芝居を続けていこうと思ったでしょうか。

 先ほどの発売記念イベント、何をやるかは事前にお客さんに言わなかったんです。それで幕が開いて、いきなり芝居を始めました。見ている側は最初「何が起きるんだろう」「いつこのお芝居は終わるんだろう」と思ったと思うんです。でもみなさんのめり込んで見てくれて、終了後は拍手もいただきました。

 それで、芝居が終わった後のトークで最後の種明かしに、「今日やった舞台はすべてアドリブでした」って言ったら、聞いたこともないような声で、お客さんがものすごいどよめいたんです。僕はその時の声や感覚が忘れられなくて、もっとたくさんの人にあの芝居を見てもらいたいと思いました。そして、それをスピンアウトさせて、ひとつの舞台劇として続けてきたのが今の『AD-LIVE』ですね。

――キャストはどのように決めていますか?

 最初はずっと僕と岩田さんと櫻井さんの3人でやっていたのですが、2014年の第4回公演からいろいろな方に出演していただこうと考えまして、そのキャスティングは基本的には僕が決めました。最終的にはきちんと事務所さんにお話しますが、とっかかりは、僕が直接電話をして「こういう企画があるんだけど、出演しない?」と(笑)。

 みなさん最初はアドリブだけの舞台というのは怖いと言うんですけど、終わった後はほぼ100%「また呼んで!」と言ってくれます。なので「痛いのは最初だけ」って(笑)。2015年公演も同様に僕が決めさせていただいてます。

――主宰者として、キャストのポテンシャルの高さなど、どういったところがすごいなと思いますか?

 最低限の世界観や出来事などはあるのですが、そのなかにどういうキャラクターが出てくるか、どういうドラマを作っていくかはすべてキャストにおまかせしています。にも関わらず、2015年の全12公演、一切キャラクターもドラマもかぶらなかった。しかもどれも魅力的な内容。長年表現者としてやってきている、みなさんだからこそできる奇跡だなと思いました。

――すべてアドリブとはいうものの、みなさんどのくらい先まで考えてステージに立たれるのでしょうか。

 シナリオ展開にあたる部分はだいたい考えていどんでいます。そこに、この先こういうことが起きるという布石を打つから、ここは隠しておこうという準備をしますね。大きな流れは心のなかに置きつつ、そのうえで目の前のことを処理して進めます。でも目の前のことだけにとらわれていると、あとからつじつまが合わなくなったりします(笑)。

 先に進めば進むほど設定が増えるので、積み重ねてきたことを覚えてないといけないし、未来のことも想定しないといけない。人によってバランスは違いますが、“考える”と“感じる”の同時進行になるので、日常的に芝居をしている人じゃないとできないことですね。

――鈴村さんは“考える”と“感じる”のどちら派でしょう。

 僕は舞台演出もしているのでロジック派、“考える”にいきがちです。でも感覚もすごく大事で、その瞬間に生まれたものをどう料理していくかは、どちらかに偏ってもうまくいかないかなと思いますね。

舞台劇『AD-LIVE(アドリブ)』鈴村健一さんインタビュー

――2015年は3人1組の公演でしたが、2人1組との違いはありますか?

 3人は混乱しそうだと思われるのですが、じつは3人の方が助かることも多いんです。3人だと他の2人が芝居をやっている間に1人の時間ができて、いろいろ考えたり冷静になれるので、その後の展開に化学変化が起こしやすい。だからもっと人数を増やせると思うんですよ。いつか、5人とか、それこそ10人くらいまで増やしてみたいなという気持ちはありますね。

――印象的なキャストの組み合わせはありますか?

 2015年に初めて男女ペアの公演をやったのですが、観ている側として、男どうしの公演にはない感覚が生まれました。世界観設定的には意図していなかったのに、やっぱりなんとなく恋愛を彷彿とさせることがあって。これは予想していた以上の効果があったし、おもしろかったですね。

――劇中に登場するアドリブワードはどのくらいあるのでしょうか。

 お客さんから事前に募集していて、2015年公演では5万ワードほど集まりました。それをアドリブワードボックスという箱に山積みにして、舞台袖に置いています。そこから自分でアドリブバッグに詰めて、ステージに立つんです。「いいの入ってますように……!」って思いながら引きますね(笑)。

――アドリブワードは先ほどの“考える”やロジックを壊して、感覚的なものに変えることになると思うのですが。

 まさにそうですね。みなさん役者として達者なので、流れを整えようという意識が強くなるんです。それをさせず、ドラマに起伏やうねりを起こすためにアドリブワードを入れています。

――「AD-LIVE 2015」で記憶に残るアドリブワードはありますか?

 名塚香織さんがファットスーツという太って見えるスーツを着ていたのですが、引くワードがことごとく食べ物に関するものという奇跡がありました(笑)。仕込みではないのでびっくりしますね。

――アドリブワードは好きなときに引いていいのですか?

 はい、いつでもOKです。みなさんコミカルなシーンだとバンバン引きますね。でも慣れてくると、シリアスなシーンほど引きたくなります。僕は過去の公演でそれをやったことがあるのですが、結果としては、自分の設定と反するものばっかり引いてしまい、用意していたシナリオが崩壊するということもありました(笑)。

――リハーサルは一切ないのでしょうか。

 舞台装置とテクニカルの段取り確認的なリハーサルとして、その場で適当に決めた、実際の公演とは違うキャラクター設定で一度だけやってもらっています。その場の勢いでやるんですけど、これが奇跡的におもしろかったりするんです。それもまた表現者ならではのアドリブ力だなと感じますね。

舞台劇『AD-LIVE(アドリブ)』鈴村健一さんインタビュー

――最後に、総合プロデューサーとして見所をお聞かせください。

 誰も物語をコントロールできないなかで、「本当にアドリブなの?」という奇跡がたくさん重なります。キャラクターを守りながらお芝居をしつつ、アドリブなのにドラマや世界が成立することはとても芸術的だと思っています。

 本格的なお芝居と、アドリブワードなどで起きるドタバタしたバラエティ。2つの要素を兼ねそなえたコンテンツというのが、この企画の見どころだと思います。どう見ていただいても楽しめるのが『AD-LIVE』だとお伝えしたいですね。よろしくお願いします!

放送予定

『AD-LIVE 2015』2月4日スタート
 CSファミリー劇場にて放送
 毎週土曜19:00 再放送毎週日曜26:30

【東京公演(1日目) 昼公演】2月4日19:00~ ほか
【東京公演(1日目) 夜公演】2月11日19:00~ ほか
 出演:櫻井孝宏・津田健次郎・鈴村健一

【東京公演(2日目) 昼公演】2月18日19:00~ ほか
【東京公演(2日目) 夜公演】2月25日19:00~ ほか
 出演:小野賢章・釘宮理恵・鈴村健一

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