2017年2月2日(木)
『スターオーシャン:アナムネシス』最終目標はトライエースのオールスター作品!?
スクウェア・エニックスが配信中のiOS/Android用アプリ『スターオーシャン:アナムネシス(SOA)』。本作の開発スタッフへのインタビューを掲載する。
本作は運営をスクウェア・エニックスが、開発をトライエースが手がけるスマートフォン用ゲーム。国内300万ダウンロードを突破し、1月26日からは『ヴァルキリープロファイル』シリーズのキャラクターが参戦するなど、その勢いはますます加速している真っ最中だ。
今回は、本作の運営プロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの甲斐聖現さんへのインタビューを敢行。ゲーム開発の裏話から思い描いている今後の展望、現在ファンにもっとも使用されている人気キャラクターについてまで、さまざまな内容を語っていただいた。
より多くのファンを獲得するため……スマートフォンで新たな『SO』がリブート!
――『SOA』のリリースから約2カ月が経過し、300万ダウンロードを突破したわけですが、ユーザーからの反響はいかがでしょうか?
リリース当初から、我々が想定していた以上のお客様に遊んでいただくことができており、ものすごくありがたく思っています。Twitterや各ストアのレビューなどで、ご意見やご要望も含めたくさんのお声を寄せていただいています。
中には厳しいご意見もあるのですが、それも含めて、ファンの皆さんからリアクションをいただけることがうれしいです。
――想定されていた以上の反響があり、いいスタートをできたということですね?
はい。本当に多くの人に遊んでいただけたことはうれしい反面、サーバーに想定以上の負荷がかかって不具合などが発生し、ご迷惑をおかけしてしまった側面もありました。サーバーの増設など、大至急取り組ませていただきましたので、今はその問題は解消していると思いますが、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。
――現在遊んでいるプレイヤーはどのようなユーザーなのか、すでに分析はされているのでしょうか?
具体的な数字は出ていませんが、もともと『スターオーシャン』シリーズを愛してくださっていたファンの方が遊んでくださっていることもあって、とても熱心なファンの方が多い印象です。
また、本作で『スターオーシャン』シリーズを初めて遊ぶという方もいるようで、『SOA』をプレイしたことがきっかけで『5』を始めたという声も見られました。いい相乗効果が生まれていると思います。
――多くの反響が寄せられているとのことでしたが、具体的にはどのような要望が多いのでしょうか?
もっとも多いのは、「やることを増やしてほしい」というご要望ですね。本作はRPGということもあって、ストーリーやイベントのボリュームはしっかりと構築していく必要があると認識しているのですが、熱心なプレイヤーが多いこともあって、まだ需要と供給のバランスがとれていないと感じられている方が多いようです。
――12月に行われていたゲレルやジエ・リヴォースの討伐イベント、ウェルチやネルの季節イベントなど、イベントは行っているのですが、まだ足りないと。
試練の塔や日替わりミッション、ハンマーミッションなどを含め、やることがなくならないように注意しているつもりなのですが、「まだまだ足りない」と感じているユーザーが少なくないようです。我々の想定以上に、イベントなどの達成スピードが早いんですよ。
それだけ熱心なプレイヤーさんに支えられているということなので、今はトライエースさんと共に、遊びの要素を増やしていこうとしている真っ最中です。
――ガチで遊ばれる人が多いというのも、『SO』シリーズらしいですね。
そうですね。ものすごく熱狂的なファンの存在というのは、それだけでありがたいです。
メンテナンスのたびに、Twitterなどで「スタッフ頑張れ!」といった励ましをお寄せいただいたりもします。本作は開発をトライエースさんが、運営をスクウェア・エニックスが担当しているのですが、双方のスタッフともに、そういった激励メッセージには随分とフェアリーヒールしてもらっています。
――あははは、全体回復ですね。
今後の目標としては、1週間ごとに何か新しいイベントを配信するといったように、イベントボリュームを増やしていくつもりですので、ぜひご期待ください。2月2日にはストーリーが追加予定で、さらに上級者向けのミッションも追加していく予定です。
理想としては、上級者向けのイベントと、カジュアルに本作を楽しんでくださっている方向けのイベントを2方向で押し出していきたいと考えています。
▲気になるストーリーに関しては、新たなエピソードが2月2日に追加されるとのこと。 |
――上級者向けのイベントは、戦闘の難易度がアップするのですか?
そうですね。具体的には、前回のジエ・リヴォースのようなマルチプレイを前提とした難易度を想定しています。ジエ・リヴォースは最初こそ「歯ごたえがある」という声が多かったのですが、ユーザーの皆さんのキャラクター強化が追いついてしまってからは簡単に倒せるようになってしまいまして、より高難度のものが求められていることは我々としても認識しています。
あれからさらにユーザーさんのキャラ育成は進んでいると思いますので、それを想定したボスミッションなどをご用意できればと思っています。
――そもそも、本作の遊び方としてはシングルプレイを前提としているのか、それともマルチプレイを想定しているのか……どちらに舵を切っているのでしょう?
どちらも重要だと考えています。スマートフォンで遊ぶゲームなので、仕事の休憩時間などにちょこちょこっと遊んでいただけるシングルプレイの要素は必須ですし、自宅に帰ったりお休みの日に遊んだりする場合は、マルチプレイでガッツリ遊んでほしいです。
シングルもマルチもしっかりと住み分けができたうえで、双方を楽しんでいただけるコンテンツにできればと考えています 。シングルプレイはキャラの育成や武器の強化に適したものとしていき、そこで鍛え上げたものをマルチプレイで試していただく……という流れが『SOA』の根幹になっていくと思います。
――根本的な質問になるのですが、『SOA』をスマホでリリースすることになった経緯から教えてもらえますか?
昨年でシリーズ20周年を迎えた『スターオーシャン』というコンテンツを、もう1度リブートさせたいという側面からプロジェクトがスタートしました。制作にあたり、これまで『スターオーシャン』を遊んでくれていた方はもちろん、まだ遊んだことがないという方にもしっかり楽しんでいただけるものにしなければならないというのをコンセプトに、より多くのお客様の手元に届けたいというのが前提としてあったんです。
そこで、今もっとも多くの人が所持しているハードは携帯電話であろうということから、ゲームの制作がスタートしました。マルチプラットフォームでの開発が比較的簡単にできるゲームエンジンをトライエースさんがお持ちだったので、PS4やPS3で発売された『5』と並行して開発を進めておりました。
――グラフィックのクオリティが『5』に準拠した、ものすごくハイクオリティなものになっていますよね。
はい。それもトライエースさんの技術の賜物ですね。映像がものすごくキレイになっているぶん、電池の消費が大きくなってしまったことは申し訳ないと思っていますのですが……。
――確かにあっという間にバッテリーがなくなります。
あとは、いわゆる旧作といいますか、スーパーファミコンやプレイステーションで展開していた『1』や『2』のキャラを、現在のグラフィックで表現するのにはものすごく気を使っています。
具体的な話ですと、2Dで表現していた時は気にならなかった部分でも、3Dで描き出すと違和感があることもある。そこを直しているので、一朝一夕で簡単に出来るものではないんですね。実は、先日配信した『1』のラティやミリーに関しても、細かいところでリデザインされています。
――『2』のキャラクターがまだ1人も登場していないことは、そこも関係するのでしょうか?
そうなんです。『2』は特に人気の高い作品ということもあり、長らく愛してくださっている方に納得してもらえるクオリティに仕上げなければなりません。それもあって、じっくりと時間をかけて作成させていただければと思っています。
もちろん、『2』のキャラだけ出さないことは絶対にありませんので、そこは安心してもらえれば。
――ウェルチやネルといったキャラには、役割の違ういわゆる“衣装違い”のデザインも用意されていますが、チョイスの理由や経緯は?
ファンの皆さんに人気があるキャラであることはもちろん、イベントありきで制作している部分もあります。「こんなイベントのストーリーを展開していくとしたら、誰が活躍するとしっくりくるだろう」という部分をしっかり考えて作っています。
――世界観を壊さないように配慮されている、と。
もちろんです。クリスマスやお正月など、季節を感じてもらえるイベントについては今後も積極的に取り入れていきたいと思っています。まぁ、開発スタッフとしてはしんどいところなのですが……。まだ出ていないキャラクターもたくさんいるため、そことのバランスをどうしていくのかも大きな課題だったりします。
――追加されるキャラの順番はどのようにして決めているのですか?
マルチプレイで活躍させてほしいというのが根底にあるので、キャラごとのロールを考慮しつつ、バランスを見ながら決めています。そこは“ゲームデザインありき”となりますね。
先ほども申し上げましたが、旧作のキャラはリデザインのことなどもあり、どうしても時間がかかってしまうため、制作スピードも考慮しつつ決めています。
もともとのキャラクターの個性を生かせるよう、スキルやタレントを考えながら作成させてもらっていますので、今以上のスピードでキャラを追加していけるようにするのはちょっと簡単ではありません。申し訳ありません。
――ストーリーにはエンディングが用意されていることが明言されていましたが、ボリュームとしてはどれくらいになるのでしょう? 現在、4章まで配信されていますが、まだ序盤ですか?
そうですね、物語はまだ序盤です。2月に配信される5章でも引き続き、艦長とリーシュ、そしてコロがドタバタとやり取りしながら、ストーリーを引っ張っていきます。ランビュランスという謎の組織のたくらみも少しずつ明かされていき、この後、少しずつ『スターオーシャン』らしい展開が増えていきますのでご期待ください。まだ明言はできませんが、新しいキャラクターも登場しますよ。
――それは楽しみです! そろそろヒロインのリーシュの謎が気になっている人も多いと思うのですが……。
もちろん、リーシュが秘めている謎についても少しずつ明かされていきます。ストーリーはだいたい1カ月に1度はアップデートしていきたいと考えています。
▲いまだ謎の多いリーシュ。彼女についての謎も、今後少しずつ明かされていくようだ。 |
スマホならではの操作性で気持ちよさを追求! シリーズ屈指の爽快感が実現した理由
――バトルアクションが気持ちいいことは『SOA』の特徴の1つだと思うのですが、アクション性をここまで高めた理由を教えてください。
『SO』シリーズの大きなウリとして、“バトルの爽快感”は外せない要素だと思っています。今回はスマートフォンということで、タッチパネルでいかに爽快感を追求していくかという部分を、これまでに『SO』シリーズを手掛けてきたトライエースのスタッフと何度もトライ&エラーを繰り返し、今の形を作り上げていきました。
複雑な操作は難しいと思いますので、いかにしてタップだけで気持ちよさを演出できるか、何度も議論しました。
今回、敵との距離を一瞬で詰めたり離したりできる“チャージアサルト”というシステムを盛り込んだのですが、これは戦闘のテンポをできるだけよくして、爽快感を高めるという狙いから生まれたものです。結果的に、シリーズ随一のスピード感を誇るバトルを作り上げることができたかな、と。
“チャージアサルト”はまだ使いどころが難しい部分もあるかもしれませんが、1度使いこなせるようになると戦いもグッと楽になりますので、ぜひ積極的に試してみてほしいですね。
――正直、ここまで爽快感のあるバトルになるとは思っていませんでした。
これまであった3すくみなどのシステムをあえてオミットしたのは、ゲームとしての爽快感を重視したからです。ここは、トライエースのこだわりも大きいですね。
ユーザーさんがストレスを感じるような、難しいゲームにはしたくないということで、タッチだけでも簡単に戦えるバトルアクションを試行錯誤してきました。これは、新しいファンを獲得していくためにも重要だと考えていたので、開発としてもこだわった部分です。
――近接攻撃が得意なアタッカー、敵の攻撃を引き受けるディフェンダー、遠距離攻撃が得意なシューター、広範囲の攻撃が持ち味のキャスター、回復役のヒーラーという5つのロールが設定されています。現在、特に人気があるロールはどれでしょうか?
そうですね。マリアやネルといった、シューターのキャラを使っているユーザーは多いです。ただ、だからといって他のロールが弱いかというとそんなことはありません。
今後、それぞれのロールの特徴がより際立つようなイベントバトルなども盛り込んでいきますので、「このキャラやロールしか使わない!」と限定せず、さまざまなキャラを使ってみてほしいと思います。
そうすれば、「このロールはこういった使い方をすればいいんだ!」ということもわかってくると思いますし、特定のロールのキャラしか使われないといった偏りはなくなるのではないでしょうか。
――ロール固定や全員アタッカーのミッションということでしょうか? それはおもしろそうですね。現状における各ロールごとの人気キャラを教えてください。
そうですね。では、まずアタッカーから……これは実はアンヌが多かったりします。
――アンヌですか? クリフやフィデルのイメージもありましたけど。
単体への攻撃力に特化したクリフも人気がありますが、育てやすいという部分もあって、アンヌを重用されている人が多いようです。クリフやフィデルはいわゆる“エースキャラ”なので、育成がまだ追いついていない人も少なくないと思いますね。
――次はディフェンダーについて。
ディフェンダーは圧倒的にヴィクトルが人気ですね。たま~~にシマダを使われている方もおられるようですが、あくまでもネタ枠的な立ち位置かもしれません(笑)。
――個人的に、ディフェンダーが今後どのような運用をされていくか、注目しています。ダメージソースとしてではなく、いると心強いといういぶし銀のロールだと思うので。
そうですね。ポジション的にはどうしても地味なのですが、活躍の機会はしっかり用意しているつもりなので、ぜひ使ってみてほしいところです。
次はシューターなんですけど、これはマリアとレイミが多いですね。
――いわゆる“エースキャラ”ですね。
ええ。シングルプレイでもマルチプレイでも立ち回りやすいロールなので、まずは強いシューターをいけるところまで限界突破させて、戦いを有利にしようと考えるユーザーが多いと思います。
――続いて、キャスターとヒーラーも教えてください。
キャスターは満遍なく使われている印象ですが、1番レベルが上がっているのはミュリアでしょうか。これはジエ・リヴォースの弱点が雷属性だったので、そこを突けるミュリアが人気だったのかもしれません。
――なるほど。今後は大きく変動する可能性がありそうですね。
ヒーラーはミキが圧倒的ですね。全体回復が使える“フェアリーヒール”がとにかく便利なので、マルチプレイで大活躍できます。ここらへんは、今後のキャラの追加でどんどん変化していくと思いますね。
――電撃オンラインで人気キャラ投票企画を実施させていただきました。今後実装してほしいキャラを募集したりしたのですが、その結果をご覧になっていかがでしたか?
ああ、電撃さんっぽいなと思いました。実に濃いチョイスだなと(笑)。『SO3』のノートンとか、わりとマニアックなキャラクターにもしっかりと票が入っていて、個人的には驚いた部分もありますね。
――そもそも、1位が『SO3』のアルベルというのは、個人的にもビックリしました。アルベルが人気なのはわかっていましたが、1位はレナとかクロードなど『2』のキャラかなと。
そうですね。上位のキャラのラインナップについてはある程度想定どおりでしたが、それぞれの順位については思っていたものとは異なるところもあり、少し驚きました。
今回のアンケートの結果を受けて、実装の順番や能力を変更しようといった調整をしているキャラもいます。企画にご参加いただいたユーザーの皆さん、どうもありがとうございました!
コラボ企画も進行中? 目指すはトライエースオールスター!?
――コラボしてほしいタイトルについては、『ファイナルファンタジー』シリーズや『テイルズ オブ』シリーズといった大型タイトルから、『エンド オブ エタニティ』のようなトライエース作品まで、さまざまなタイトルがズラリと並ぶことになりました。
はい。開発も注目していた項目になります。1位になった『ヴァルキリープロファイル』については、先日イベントを実装させていただきました。
――『SO』ファン、イチトライエースファンとしてうれしかったです。
同じく、このプロジェクトに関わっている弊社の小林秀一は、「これはただのコラボじゃない。『SO』の世界に『VP』が参戦したんだ!」と息巻いていました。表現としては“コラボ”になるんですけど、タイトルの枠や世界観を超越して、互いの世界に“参戦”したということに、大きな意義があるのだと。
――ピックアップキャラであるレナスとシルメリアを、吉成鋼さんが描かれているのに双方のファンにとってうれしい要素だと思います。
『VP』参戦を実現するのであれば、吉成さんのイラストは必須だと最初から考えていました。極端な話、これが実現できていなければ参戦自体もオミットされていたかもしれないくらい、とても重要なファクターでした。
とはいえ、そう簡単に何度も参戦できるようなものでもありませんから、レナスやシルメリアを仲間にしたい方は、今回のタイミングでぜひゲットしておいてほしいと思います。そのために、通常では考えられないタイミングで、事前告知をさせていただいた側面もあります。
――確かに26日から始まるコラボの内容を、23日の生放送で告知されていましたね。
ええ。通常のスキームで考えると、あまり得策とは言えないんです。ただ、今回はいつも支えてくれているファンの皆さんが、とりわけ熱望されていたイベントであることは我々もわかっているので、事前発表にとりつけた形になります。
他にも、参戦企画は水面下でしっかりと進行しております。例えば『エンド オブ エタニティ』なども、パプリッシャーこそ違えど、開発はトライエースが手がけたタイトルですので、ぜひ我々としても参戦してもらえればと考えています。実現させるためにも、いろいろと交渉を進めたいと思います。
――このバトルシステムでグリグリ動くリーンベルやゼファーを見たいと思うユーザーも多いのではないでしょうか。
お寄せいただいたアンケートも参考にしつつ、参戦企画を積極的に仕掛けていこうと思いますので、こちらもぜひ続報に期待いただければと思います。
――最終的には『SO』という枠をも超えて“トライエースのオールスター作品”を目指すのでしょうか?
具体的なことは何も言えなくて恐縮ですが、ぜひご期待くださいと。この言葉から組んでもらえればうれしいです(笑)。
――最後に、これから『SOA』を始めるという方へのアドバイスと、ファンの方へのメッセージをお願いできますか?
まず、これからゲームを遊んでみようという皆さん、本作は誰かと競争しなければならないような要素はありませんし、キャラや武器の育成がしやすくなる要素もいっぱい盛り込んでいます。初心者応援キャンペーンなども開催していますので、ぜひ1度遊んでいただければ幸いです。
そして、すでにゲームを遊んでくださっている皆さん。いただいている声から、ゲームに注がれている期待と愛をひしひしと感じております。今後、よりいっそう楽しんでいたけるよう、コンテンツを充実させていく予定ですので、引き続き応援をよろしくお願いいたします!
(C)2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc.