2017年2月4日(土)
コーエーテクモゲームスから、2月9日に発売予定のPS4用ソフト『仁王』の完成発表会が、東京で開催された。
『仁王』は、ゼネラルプロデューサーをシブサワ・コウさん、プロデューサーに鯉沼久史さん、開発をTeam NINJAが担当するダーク戦国アクションRPG。妖怪がうごめく幽玄の和風戦国世界を舞台に、手応えのあるアクションが展開する。
会場には開発陣に加えて、徳川家康を演じた市村正親さん、ゲーム本篇のムービーを担当した神谷誠さん、音楽を手がけた菅野祐悟さんが登場。10年以上を経て完成を迎えた『仁王』についてさまざまな角度から語った。
▲登壇者一同。 |
『仁王』プロデューサー・鯉沼久史さんは、2005年に発表してだいぶ時間がかかったが、ついに全世界で同時発売となることを説明。関係者の協力もあり、発売までこぎつけたことに対して、改めて謝辞を述べた。「このタイトルを全世界に向けて盛り上げていきたい」と発売に際しての意気込みを述べた。
「本当に待った」と話し始めたのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント取締役 SIEJAプレジデント・盛田厚さん。シブサワさんが諦めてしまったと考えたこともあったそうだが、来週発売となることをゲームファンとして喜んだ。
盛田さんが印象的だったのは、東京ゲームショウでシブサワさんが『仁王』をプレイした時のこと。落命しながらも何とかクリアし、ガッツポーズするシブサワさんを見て、ゲームを楽しむ原点を感じたようだ。「ワールドワイドで評価が高い本作を、1人でも多くの方に遊んでいただけるようにプロモートしていきたい」とハードメーカーとしてサポートすることを明かした。
トークセッションのコーナーに最初に姿を見せたのは、『仁王』のディレクターである早矢仕洋介さんと安田文彦さん。早矢仕さんは「何度も作り直してきた『仁王』。自信を持ってお届けできるので、来週発売されたらぜひ楽しんでほしい」とコメントすると、安田さんは「10年以上の会社の思いがつまったタイトルを完成させられ、この場に立てて感無量です」と続けた。
▲左が安田さんで、右が早矢仕さん。 |
さらに神谷誠さん、菅野祐悟さんが登壇。2人を始めとするさまざまな人に協力を依頼した理由は、ゲームがおもしろいだけでなく、大作感を出していきたいためだと、早矢仕さんは説明した。
依頼を受けた神谷さんは、構想12年という大作であるうえに、時代劇に興味があったので受けたと語った。ゲーム内ムービーを手がけるため、神谷さんは昨年、一昨年とかなりコーエーテクモゲームスに来ていたことを安田さんは語っていた。
会場で公開されたWeb用コマーシャルは、3、4週間前に神谷さんにオファーが来たとのこと。ドラマを見せるために、芝居シーンを中心に選んでいると神谷さんはコメント。ただ、編集した後の作業があるため、「1週間ほどで手がけました」と苦笑いしながら明かすと、安田さんは「すみません」と謝った後、「でも1週間でここまですばらしいものができるとは!」と感嘆していた。
普段はドラマやアニメなどで活躍している菅野さんだが、ゲームをやらないため、なぜオフォーが来たのか、ずっと謎だったという。発表会前の控室で、本作が時代劇であるため、ドラマ『軍師官兵衛』で音楽を担当していた菅野さんにお願いしたことを開発メンバーから聞いて、謎が解けたようだ。
菅野さんは、全部で50曲近くを手がけたという。その中で苦労したのは、メインテーマのサビのメロディ。5、6回ほど書き直したため、大変だったようだが「最終的に自分もとても満足のいくものができて、よかった」と当時を振り替えった。
安田さんをはじめ、開発メンバーが気に入っているのは、ゲームオーバー時に流れる曲。“戦国死にゲーム”ということで、何度も死ぬため、曲を聴いてやる気が出たり、気持ちが休まったりする曲を依頼したという。菅野さんはゲームオーバーをそのような風に考えたことがなかったため、戸惑いもあったそうだが、上がってきた曲があまりによかったため、タイトル画面でも急きょ使うことになったとのこと。
ここで本作のエンディングテーマ『Dream Of You』が発表になった。作詞と歌唱はサイーダ・ギャレットさんで、作曲は村井邦彦さんが担当している。本作は15カ国語に対応し、全世界で発売されるため、英語の曲にしたという。「手応えのあるゲームなのでこの曲を聞けるように頑張ってほしい」と早矢仕さんは語った。また、ユーザーの声を聞いてアップデートをかけていくというので、期待しておこう。
続いて、シブサワ・コウさんと鯉沼久史さんが登壇。シブサワさんは「何回も作り直してきたのですが、開発から12年経ってこのように発売できて、本当にうれしいです」と笑顔でコメント。鯉沼さんはかかわる時期があれば、かかわらなくなった時期もあったようだ。紆余曲折あったが、完成できたため、ホッとしていると現在の心境を述べた。
ここでお勝を演じた武井咲さんからのビデオレターが公開された。お勝はクノイチでありながら、心の葛藤が描かれるため、そこをしっかり演じたようだ。一方でアクションのセリフに苦労したことを告白。「アクションだけでなく、骨太なオリジナルストーリーを楽しめるので応援してほしい」とメッセージを送った。
次に公開されたのは、オープニングムービー監督・樋口真嗣さんからのビデオレター。『仁王』にかかわること際には、謎に満ちたタイトルが浮上する喜び、驚きがあったと樋口さんは語った。ゲームしたい人の気持ちを増幅させる、それでいて飛ばしたくない映像を意識したとのこと。
樋口さんは『信長の野望』や『進撃の巨人』など、同社のゲームタイトルで映像を手がけているうえに、ゲームユーザーから人気があるためにお願いしたと、シブサワさんは説明。公開された映像の最後に織田信長のようなキャラが映っていることについては、「主人公である三浦按針(ウィリアム・アダムス)が到着したのは関ヶ原の時代。なぜ信長が登場するのかはドラマの楽しみの1つです」と述べた。
本作にて徳川家康を演じた市村正親さんがステージに姿を見せる。シブサワさんや鯉沼さんは、本作のドラマ性を表現するために、実在する実力派の俳優にキャストを依頼しようとしたという。家康はウィリアムが成長するために重要な存在。そこで、市村さんに白羽の矢が立ったようだ。
市村さんは舞台『ANJIN イングリッシュサムライ』で徳川家康を演じる際に、山岡荘八さんの小説『徳川家康』を読んで勉強したとのこと。シブサワさんも好きで何度も読んだことを語った。狸親父で騙すという家康ではなく、やりたいことを叶える家康という、今までとは違う形をやりたいと当時は思ったそうだ。
ご自身が出ているゲーム映像を初めて見た市村さんは「いいね! 思わず入り込んで見てしまいました」とその出来にご満悦の様子。リアルな顔を表現するために、たくさんのカメラで撮影したのは大変だったようだが、そのかいはあったようだ。
いろいろなパーツを動かす撮影は手こずる人が多いが、市村さんは顔のさまざまな部位を動かせるため、予定よりもかなり早く終わったことを明かした。
最後に市村さんは、「恥ずかしかったら言えないが、自信を持ってオススメできるのでいろいろな人に宣伝していきたい!」と、ゲームの出来に太鼓判を押した。
足掛け12年という年月をかけて完成した『仁王』。シブサワさんは「ファンの大きな声援がなければくじけていたかもしれません。皆さまの気持ちがこの完成発表会につながりました。来週発売されたらぜひ楽しんでいただきたいです」とメッセージを送った。
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