2017年4月8日(土)

【おすすめDLゲーム】『LIMBO』のおもしろさは物語の解釈がプレイヤーに委ねられるところ

文:喜一

 こんにちは、喜一です。ダウンロード専用ゲームレビュー企画“おすすめDLゲーム”を始動させます! このコーナーは、ゲームショップや家電量販店では買えないけど、魅力的なダウンロード専用ゲームを紹介しようというものです。

 今回紹介するのは『LIMBO』。レゴとかで有名なデンマークにあるインディーメーカー“Playdead”によって手がけられた横スクロール型のアクションゲームとなっています。

『LIMBO』

【『LIMBO』情報】

喜一のクリアまでのプレイ時間:3時間40分

やり込み度:ゲーム自体は1本道だが、トロフィーを獲得しようと思ったら大変なところも

価格:1,234円

語り手はいない、白と黒を基調としたゲーム

 まず『LIMBO』の大きな特徴はストーリーラインが一切説明されない点でしょう。ゲーム内で見られる文字といったらメニュー画面くらいのものです。

 ゲームについても述べられているのは“運命に逆らい、妹を探して少年はLIMBOの世界に足を踏み入れる”の一文だけ。“LIMBO”には地獄の辺土という意味などがあります。

 つまり運命に逆らって地獄周辺にまで来てしまった主人公が、妹を探すお話となります。

『LIMBO』

 地獄の周辺というだけあって、かなりエゲつない死に方や殺され方をします。例えば、四肢がバラバラになったり、歯車に巻き込まれしまったりなどですね。キャラクターがかわいいデフォルメされたものなので、そこまで残酷な感じはしないのですが、このような表現が苦手な人は注意したほうがよいでしょう。

 明確な物語がないところが結構おもしろく、序盤で川のようなところを渡る場面があるのですが、これもしかして三途の川? とか思いながら、若干ドキドキしていました。三途の川と聞くと仏教だけな気がしますが、ギリシャ神話にもアケローン川と呼ばれる死者の魂を冥界にわたす川があるそうです。

『LIMBO』
▲わりと好きな場面です。

 加えて、ゲームを進めていく途中に死体があったり、邪魔してくる存在がいたりするんですね。これはこれで謎の存在なんです。彼らは主人公の妹探しを邪魔するだけにいるのか、そもそもなんで死体があるのか。

 少しゲームのお話とは離れますが、神話や宗教上で地獄とは、神の怒りに服する場所であります。というわけで、地獄の周辺で妹を探そうなんて勝手なことをしている主人公は、大人しくしておけと言わんばかりに危害を加えられているのかと妄想しながらプレイしました。

 かなりこのあたりの考え方はプレイした人次第なところがあり、自分も記事を書いた後にネット上でいろいろな方の意見を見て、「なるほどなるほど」と頷いていましたね(笑)。

『LIMBO』
『LIMBO』
▲謎は深まる……。

攻略は細かなところに気が付けるかがカギ

 ストーリーの話もそこそこに、本題へ入っていきましょう。まずは、簡単に操作を紹介します。

【操作方法】

左アナログスティック:移動(倒し込む強さによって歩きから走りになります)

×・△ボタン:ジャンプ

〇・□ボタン:アクション

※メニュー画面では×ボタンが決定で、〇ボタンがキャンセル。

『LIMBO』
▲メインメニュー。チャプターを読み込むでは、各場面からプレイが再開できます。設定では画面の明るさを調整可能。

 操作はじつにシンプルと書きたくなってしまうほど簡単です。基本的に重要になるのが、画面上のギミックになります。

 例えば、主人公だけでは登れない段差などがある場合は、何か土台になるものを移動して登れるようにする必要があったり、水辺を移動する際も足場になるものを持ってきたりなど、いろいろな仕掛けがあります。

『LIMBO』
▲1人では届きませんが、船を川辺から引っ張ってくることで……。
『LIMBO』
▲登れるようになりました。

 一番見落としやすいのが取っ手系の仕掛けでしょうか。筆者が大体「これ詰んでね?」と、ひとり言をこぼし始めた時は取っ手系の仕掛けを探しました。目先のことだけでなく、次に起こることを予想しながら柔軟にプレイしていくことが求められるゲームです。

『LIMBO』
▲赤丸のように取っ手があるものは〇か□ボタンで掴んで動かせます。場所によっては、この取っ手が巧妙に設置されているんですよね……。

 そして、後半で重要になってくるのが重力。これにもかなり苦しみました。土台の木箱を重力で操作したり、時には主人公を重力で動かしたりして目的地へ進むといったことも要求されます。

 細かい部分では、寄生虫が頭につくとパニックになりますね(笑)。寄生虫がついた状態だと同じ方向にしか進めなくなり、戻ることができなくなります。光が弱点なので光が差す場所へ行って方向転換してを繰り返して、虫を食べてくれる動物(?)に除去させなくてはなりません。

『LIMBO』
▲寄生虫がとりついた図。
『LIMBO』
▲頭上のミミズみたいなものに食べさせるといなくなりますの図。ナウなヤングにバカウケのキモカワスタイルが特徴のこいつらが、主人公の唯一の味方。

 ちなみに寄生虫がついていると止まることができず、勝手に前へ前へと進んでいってしまうので、わりと焦りますよ(体験談)。

 主人公は普通の人間らしく、落ちたら死にますし、深い水に落ちたら溺死します。とにかく死にやすい系の主人公なので、機転を利かせながらゲームを進めていきましょう。

『LIMBO』
▲自分基準で死にそうな出来事は彼の死にもつながります。

 とにかく詰まってしまったら、その場所に何故それがあるか、何故これを行ったらこのようなリアクションが起きたかを考えていけば、自ずと答えは導き出されると思います。

 箱や取っ手だけでなく、周りの地形がヒントになっていることもありますので、強いて言えば諦めないでチャレンジし続けるのがクリアの秘訣でしょうか。

個人的にはハッピーエンドだと思いたい

 クリアした方なら最後のシーンをご覧になられたと思いますが、筆者的にはハッピーエンドかなと。結局最後まで謎は謎のままなのですが、そこまでドロドロとしたものが残らない終わり方で、一種の結末を示唆してくれているのもポイントです。

 BGMはなく、ほとんど環境音ばかりで構成されており、静かな世界に入り込めるでしょう。BGMがないからこそ、緊張感を駆り立てられる場面もあり、うまく作られていると感心してしまいました。

『LIMBO』

 『LIMBO』を作ってくれたPlaydeadの新作『INSIDE』も2016年に発売されたばかりですので、こちらもいずれレビューさせていただきますよ~! それでは、またお会いしましょう。

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