2017年4月29日(土)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。
第三章“大いなる「希望=絶望」(2015年12月~)”では聖王アーサーを奪還するためにアカネや円卓の騎士、サンタクローズが王都ティンタジェルで戦う物語が展開します。
“大いなる「希望=絶望」1”では、アカネや円卓の騎士、サンタクローズが王都ティンタジェルに到着し、アカネとカゲロウが戦うまでの流れを解説していきます。
魔術師マーリンは天界の外れにある土手で、アーサーとサンタクローズの幼なじみである無の美女エリザベートと、天界から失踪した彼女を追い掛けてきたウェザードリーズの雪術師スノウィと遭遇する。
●“魔術師マーリン”のプロフィール
僕は僕の出来ることをしなければならない。そして一人、向かった先は天界の外れ。やっぱり、ここにいる気がしたんだ。そこは在りし日の聖王と聖者がよく喧嘩をしていた川沿いの土手。彼女と話をさせてもらうよ。優しい表情のまま発した殺意、仕方なくその場を後にした雪術師。共に行こう、彼に、お帰りを言いに。
その土手は、在りし日の聖王(アーサー)と聖者(サンタクローズ)がよく喧嘩をしていた場所で、スノウィはそんな彼らを見て、うらやましく思いながらも、決してああなってはいけないと自分に言い聞かせていた。
●“スノウィ”のプロフィール
天界の雪降る街出身の彼は、歳の離れた兄妹と無の美少女、捨てられた人間の男のことを良く知っていた。自由奔放に振舞う彼らが少し羨ましかった。だが、決してああなってはいけないと言い聞かせていた。何故なら、自分は妖精なのだから。そして仕官をし、卒業、精杖型ドライバ【スノウィ】を手に入れたのだった。
「彼女と話をさせてもらうよ」。優しい表情のまま殺意を発するマーリンを前に、スノウィは仕方なくその場を去る。マーリンはエリザベートに「共に行こう、彼に、お帰りを言いに」と声をかけたのだった。
「もう、私は逃げたりしない」。雪の美女エリザベートはマーリンや雪導犬ナマリとともに、アーサーがいる王都を目指すのだった。
●“雪導犬ナマリ”のプロフィール
ついて来てくれるわよね。雪導犬ナマリの前、無言で頷く二人の男女。初対面の彼らが、なぜ一言で全てに気付けたのか、それは彼女が二体の自立型ドライバを引き連れていたからだった。いつも一緒だった三人が、離れ離れになっていた三人が再び集う時、そこに訪れるのは冬か、春か。止まっていた季節は動き始める。
初対面である彼女(ナマリ)をエリザベートたちが信じたのは、彼女が二体の自立型ドライバを引き連れていたから。そのドライバは、かつてサンタクローズがナマリに預けたもので、帽子をかぶったトナカイ型のドライバはサンタクローズと同じ銃を持っており、もう一体のドライバはサンタクローズと同じようなネックレスを付けている。
●“雪の美女エリザベート”のプロフィール
もう、私は逃げたりしない。雪の美女エリザベートは雪導犬に導かれるように、魔術師と共に王都への道を歩んでいた。その道は初めて歩く道にも関わらず、懐かしさに溢れていた。だから、顔を上げよう。そして、降り出した雨。きっと、この雨が雪に変わる頃には辿りつけるよね。なぜだか、そんな気がしていた。
ちなみに、ここで降り出した雨は重要な比喩となっており、雪はアーサーの思い出の象徴となっている。雨が雪へと変わり、アーサーとの思い出が戻ってくる日は、いつやってくるのだろうか?
王都ティンタジェルにいる堕王エビルアーサーのもとには、彼を利用する悪戯神ロキをはじめ、神才マクスウェルなど、多くの人物が集まっている。
●“神才の視点III”より
僕の王様に、ちょっかいを出さないでくれないかな。神才を遮ったのは悪戯神。彼はね、僕という神の存在証明なんだよ。民は王に縋り、王は神に縋る。そう、だから彼は、僕に縋ってくれさえすればいい。だって僕がいなきゃ、生きられないんだから。
●“神才の視点IV”より
彼の為に僕が存在するように、僕の為に彼が存在するんだ。だが、神才はそれを否定した。だってさ、彼は王である前に。続く言葉を遮る悪戯神。それは、僕達が決めることじゃない、彼が決めることだよ。だから彼に、愛した世界を見せてあげようよ。
世界評議会の聖暦の天才の1人だった闇才ヘンペルは、ロキを慕い、堕闇卿ヘンペルとしてエビルアーサーのもとに身を寄せる。
●“堕闇卿ヘンペル”のプロフィール
私は、神に選ばれたのですね。堕闇卿ヘンペルの創り物の心は囚われていた。美しい神よ、美しい心よ、あぁ、今日も世界は美しい。同士も、そうは思わないかね。問いかけた先、堕王は虚ろな目で世界を眺めるのではなく、ただ映していた。そうか、同士も美しく感じるか、それは良かった。独り言は、響き続いた。
狂騒獣タマは、アーサーが気になって、勝手についてきてしまった。また、タマという名前は、小説『ディバインゲート アーリーデイズ -あの日の僕ら-』で登場した、エリザベートがアーサーにつけた最初の名前(ニックネーム)と同じであり、タマの正体は第七章で明かされる。
●“タマ”のプロフィール
勝手についてきちゃ駄目だよ。そう言いながらも優しく頭を撫でる悪戯な神。だが、言葉を発することのないタマの視線は常に一人の男へと向けられていた。君たちは、似たもの同士なのかもしれない。言葉を発しないもう一人の男。彼のことが気になるのかな。なぜ少女が彼を気にかけるのか、全ては思い出の中だった。
そして、悲戯者シェイクスピアもまた、ロキのもとに身を寄せていた。
●“悲戯者シェイクスピア”のプロフィール
民が辿りつけるように、王都への道を綴るんだよ。それは悪戯な囁き。そして少女が綴る。ただ楽しそうに、悲劇に通ずる道を。みんな、王様に会いたいんだよ。これは希望の物語なんだ。いつかの小さな希望が、こうして大いなる希望になった。だから彼に希望を見せてあげようよ。そして、新たな舞台の幕は上がる。
狂騒獣タマは、彼らのやりとりをじっと見ていた。悪戯神(悪戯神ロキ)のすぐ隣で綴り続ける少女(悲戯者シェイクスピア)、その隣で虚ろな目で空を見つめる堕王(堕王エビルアーサー)、そんな3人を気にせず研究に没頭する堕闇卿(堕闇卿ヘンペル)。
さらに4人を気にも止めないのは、客人であるはずの神才(神才マクスウェル)。
「まだ、彼らは来ないみたいだね」。退屈を嫌う彼らは、アーサー奪還のために動き始めた円卓の騎士たちの来訪を待ち受けていたのだった。
▲神才マクスウェルの設定画。 |
▲狂騒獣タマの設定画。 |
このころ、王都ティンタジェルにて、神才マクスウェルの手によって、新たに2体の第六世代自律型ドライバであるルル・ラルラレーロとリリ・ラルラレーロが作られている。
マクスウェルは「私のことはね、お母さんって呼んでくれていいよ。ママでもいいかな」とうかれるが、初めて開かれたリリの口から出た言葉は、「了解ですよ、マスター」。その一言に、神才は深く傷ついたのだった。
●“ルル・ラルラレーロ”のプロフィール
ここが王都だとしたら、どうして民は一人もいないのかな。どうして王様しかいないのかな。その答えは簡単だった。もうすぐ、多くの民が集まってくるんだよ、一人ぼっちの王様の元にね。そっか、それはとっても楽しいことになりそうだね。そして神才は鼻歌を口ずさんだ。ルールルー、ラールラー、レーロッロロー。
●“リリ・ラルラレーロ”のプロフィール
リーリリー、ラールラー、レーロッロロー。早速ね、君達にお仕事を頼みたいな。プログラムされた二人の堕ちた天才の名前。マスター、あと二人いるみたいですよ。なぜかプログラムされなかった二人の天才の名前。一人はね、もうすぐここに来ると思うんだ。もう一人はね、様子を見たいんだ。神才は楽しそうだった。
ともあれ、ルルとリリに与えられた目的は、2人の堕ちた天才(堕水才シュレディンガー、堕風才ラプラス)の抹殺だった。
命を落とした炎才パブロフと、ロキの仲間となった闇才ヘンペルを除外したうえで、マクスウェルは光才カルネアデスについては「様子を見たいんだ」と楽しそうに語った。
そして、無才メビウスは、「もうすぐここに来ると思うんだ」と予測していたが、のちに語られるように、実際に王都へやって来たのはメビウスが手掛けたレプリカのほうだった。
▲ルルとリリの衣装のラフ画。 |
▲魔術師マーリン。 |
▲アサナ≒マーリン。 |
●高野メモ
マーリンはアーサーの仲間ではあるが、円卓のメンバーではない、という設定で作りました。エピソードエリアでも出てきたとおり、彼は0番目のメンバーです。
再醒のときは、ついに覚悟を決めて戦う、ということで円卓の腕章をつけることにしました。この手の優しい雰囲気の男キャラって、『ディバゲ』では珍しいかなって思います。だいたいヤンチャか、ちょっとチャラいか、クール系ばかりなので(笑)。
●デザイナーコメント(しらとりさん)
マーリンは自分が初めて描いた正統派イケメンキャラだったと思います。モッズコートという指定を受けて描いたのですが、マーリン発表日のニコ生に高野さんがモッズコートを着てきたので、職場でニコ生を見ながらニヤついていた記憶があります。
再醒のイラストでは、決意を固めながらも優しさの残る表情にしたいと思いながら描きました。戦闘用にドライバもトゲトゲしく進化しています。再醒発表時に膝から崩れ落ちて泣いている方がいたと聞き、本当に描いてよかったと思いました。
アーサー奪還の作戦を前に、円卓の騎士たちはアーサーとの出会いを思い出しながら、それぞれの時間を過ごしていた。
スープの仕込みを終えたブラウン=ガレスは、特務機関である円卓の騎士(ナイツ・オブ・ラウンド)の結成時には、自分とアーサーとトリスタンの3人しかいなかったことを思い出していた。
●“円卓の騎士・前日譚”より
前線で戦いたい、だが次の世代へ橋渡しをしたい。還暦を迎えたブラウンは世界評議会警備局を退き、食堂で料理人として勤めていた。そんなガレスに掛けられた声。だったら、その腕で未来を示せ。そこには金髪の青年がいた。お前で二人目だ。
●“ブラウン=ガレス”のプロフィール
仕込みは出来た、これは凱旋した後のお楽しみじゃ。キッチンで一人、スープの仕込みをしていたブラウンは真新しい隊服に袖を通し、過去を懐かしんでいた。あの時は、まだ三人じゃったな。それは特務機関結成時の話。再び私を戦前へ呼び戻してくれて感謝している。どうか、あの時止めなかった私を許さないでくれ。
ヒルダ=ケイは、「彼(アーサー)が目を覚ましても、目を覚まさなくても、一発だけ、全力で殴らせてもらうから」と意気込む。
●“円卓の騎士・前日譚”より
世界評議会の執務室、向かい合った男女。そう思わせてしまうのは、俺の力が足りないからだ。それは青年の言葉。だから、そういう綺麗ごとが気に入らないの。それはヒルダの言葉。俺はお前のその素直さが気に入った。ついて来い、お前で八人目だ。
●“ヒルダ=ケイ”のプロフィール
新しい隊服に袖を通したヒルダは、与えられた任務に口を尖らせていた。どうして私が、こんなことしなきゃいけないのかしら。だが、その尖った口からは、かすかに笑みがこぼれていた。いいかしら、これだけは約束してもらうわ。彼が目を覚ましても、目を覚まさなくても、一発だけ、全力で殴らせてもらうから。
「この命は、あなたのもの。あなたの正義が、俺の正義ですから」。ローガン=パロミデスはくわえた葉巻に火を灯し、アーサーが唱える争いのない理想を思い起こしていた。
●“円卓の騎士・前日譚”より
テロ鎮圧の為、評議会は人質を犠牲にしようとしていた。悲劇を繰り返すのか。民間軍事会社の天涯孤独の男はその決定を受け入れられなかった。そこに現れた評議会の青年。好きにやれよ、始末書なら俺が書いてやる。それは四人目の出会いだった。
●“ローガン=パロミデス”のプロフィール
やっぱり俺には戦うことでしか恩を返すことは出来ないみたいです。思い出すのは出会ったあの日。この命は、あなたのもの。あなたの正義が、俺の正義ですから。ローガンは新しい隊服に袖を通し、咥えた葉巻に火を灯した。だから、どうか帰ってきてください。若き世代の光に、争いのない理想を追い続けてください。
フェリス=ガウェインは、自分を育ててくれた“世界で一番格好いい私のパパ(アーサー)”を取り戻すことを誓う。
●“円卓の騎士・前日譚”より
火の海に消えた家族旅行。泣き叫ぶ一人の少女。あと少し早かったら、少女は幸せな日々を過ごしていただろう。だが、世界は優しくなかった。これは全て俺の責任だ。だから、新しい始まりを贈らさせてもらえないか。それは五人目の出会いだった。
●“フェリス=ガウェイン”のプロフィール
あの日、私を拾ってくれてありがとう。それは行き場をなくしたフェリスの新しい始まり。私を育ててくれてありがとう。隣で見てて欲しかった、なんて言わないよ。だって、パパにはパパのやるべきことがあったんだもんね。私はね、そんなパパが大好きだよ。だってパパはね、世界で一番格好いい私のパパなんだから。
ロア=ユーウェインとラン=パーシヴァルは古びたパブで語り合い、「今度はあいつがなにを見ようとしてたのか、見に行こうぜ」と、アーサーが待つ王都ティンタジェルへ向けて旅立つのだった。
●“円卓の騎士・前日譚”より
で、俺になんか用かよ。不機嫌な男が一人いた。会ってみたかった、じゃ、理由にならないか。ご機嫌な男が一人いた。それじゃ、帰らせてもらうわ。更に不機嫌になった男。ここがお前の帰るべき場所になる。更にご機嫌になった男。お前が六人目だ。
●“ロア=ユーウェイン”のプロフィール
カラン、コロン、開かれたのは古びたパブの入口だった。よぉ、相変わらずへたくそだな。ロアが声をかけたのは奥で的を射ていた先客。お前は球でも突いてろ。その返事に懐かしさを感じながらも、二人は同じ場所で、別々の遊びを始めた。彼らはいつも別々の景色を見つめていた。それはどこにいても変わらなかった。
●“円卓の騎士・前日譚”より
なんで、俺が。嘆いていたのは昨日まで査察局所属だった男。そんな男がお目付け役にと転属を命じられた先は特務機関。そこにはいわくつきの人間が集まっていた。誰の手引きか知らないが、俺はお前を歓迎する。差し出された右手。七人目はお前だ。
●“ラン=パーシヴァル”のプロフィール
なぁ、あのとき俺たちの王様はなにを見てたんだと思う。ランは背中越しの男に問いかける。いつも一緒のオマエのことすらわかんねぇのに、俺が知るかよ。投げ捨てた言葉には続きがあった。だからさ、今度はあいつがなにを見ようとしてたのか、見に行こうぜ。カラン、コロン、開かれたのは古びたパブの出口だった。
そして、アーサー奪還作戦の前に、聖王代理を務めるミレン=トリスタンは、騎士たちに対してアーサーの真意を明かす。
「聖王の奪還、それはきっと彼は望んじゃいない。だからこれは代理としてじゃなく、副官としての命令なの」。だが、そんなことなど全員気付いていた。
「さぁ、行きましょう。私達の王様は、彼しかいない」。こうして、聖王アーサーを奪還するための王都ティンタジェルへの進行が始まった。
●“大いなる希望:序章”より
私は嘘をついていた。ミレンは隊員達に告げる。聖王の奪還、それはきっと彼は望んじゃいない。だからこれは代理としてじゃなく、副官としての命令なの。だが、そんなことなど全員気付いていた。さぁ、行きましょう。私達の王様は、彼しかいない。
アーサーを奪還しようと考える円卓の騎士たちを見たロキと悲戯者シェイクスピアは、小さな希望(かつての円卓たちの小さな戦力)が大いなる希望(アーサーを取り返す強い意志)になったと考える。
●“悲戯者シェイクスピア”のプロフィール
民が辿りつけるように、王都への道を綴るんだよ。それは悪戯な囁き。そして少女が綴る。ただ楽しそうに、悲劇に通ずる道を。みんな、王様に会いたいんだよ。これは希望の物語なんだ。いつかの小さな希望が、こうして大いなる希望になった。だから彼に希望を見せてあげようよ。そして、新たな舞台の幕は上がる。
大いなる希望の終わりが、大いなる絶望の始まりになる。その結末が希望になるのか、絶望になるのか。ロキは、あえて堕王エビルアーサーに円卓の騎士たちの活躍を見せることで、その結末をアーサー自身に選ばせようとしたのだった。
●“綴られし物語”より
少女の筆先が綴る物語。その結末は終わりだった。そして、始まりだった。だが、終わりでもあった。そして、始まりでもあった。さぁ、結末は希望だろうか、絶望だろうか。終わりか、始まりか、それを君に選ばせてあげるよ、ねぇ、僕だけの王様。
マクスウェルが創ったナンバーズの1人であるアイン:W09を撃退した炎咎甲士アカネは、髪を短く切り揃えたレオラ=ベディヴィアと合流。
●“アイン:W09”のプロフィール
炎が辺りを燃やし尽くした時、そこに炎咎甲士が立っていた。派手に騒いだかいがあったぜ。拘束を外し力を解放するアイン。ぶつかり合う炎。オマエを殺して自由を手にする。だが、その戦いを静止したのは髪を短く切り揃えた女だった。貴方を守るよう、仰せ付かりました。甲と銃剣は横に並び、悪しき炎と対峙する。
●“レオラ=ベディヴィア”のプロフィール
新たな隊服を纏ったレオラが髪を切ったのは覚悟の為などではなかった。気付いたんです、恋だったって。それは甲士と共に悪しき炎を退けた後の告白。でも、本当の想いに気付けなかった。見上げた先はかつての理想郷。だから、これは失恋です。溢れる笑顔。そしてもう一度、本当のあの人を、好きになりたいんです。
聖王アーサー奪還のため、2人は王都ティンタジェルへ向かっていた。途中の関所では、関所を突破するために、アカネが黒いタキシード、イフリートがウェディングドレスに着替えて変装(?)で乗り切る場面もあった。
●“アカネ:黒タキシード”のプロフィール
どの世界にも、結婚式はあるのだな。ウェディングドレスを纏った炎精王。なにも、こんな格好じゃなくたっていいじゃん。黒いタキシードを纏った炎咎甲士。ふたりとも、とっても似合ってますよ。隣で眺める聖銃士。変装は、関所を突破するために。指名手配って、面倒くさいな。そして、彼らは先へと進むのだった。
「一度ね、滅ぼしたんだ、でも人間って、過ちを繰り返す。だからね、天才は危険なんだ」。神才マクスウェルは、聖暦の天才の血を絶やすためにカゲロウも開発する。
カゲロウは、一度失われた自律型ドライバの技術、そして炎才パブロフが自分の息子であるアカネのデータをもとに作り上げたシラヌイ:ホムラのデータをもとに開発されたもの。
「ほら、妹が出来たよ」と喜ぶ神才に対して、原初の機体(オリジン)は「似てませんよ」と不機嫌に返している。
●“陽炎II”より
でも、聖暦の天才も大したもんだよ。その言葉に嘘偽りはなかった。お姉ちゃんに、感謝しないと。私ニ姉ナド存在シマセン。片言の返答。可愛くないぞ。可愛サナド、必要アリマセン。そう、第六世代自律型ドライバが求めたのは、破壊衝動だった。
「殲滅対象ハ、炎才ノ息子」とアカネの命を狙うカゲロウ:ホムラ。アカネとの戦いは目前に迫っていた。
黄昏の審判の終了後も、メビウスは世界評議会に残り、破要塞<カタストロフ>でレプリカの修復を行っていた。
聖無才メビウスは、聖なる扉の前で行われた聖王アーサーとレプリカとの戦いを知っており、アーサーが善意で戦っていたことを知っていた、そのため、アーサーの力になろうとしていたのだった。
そして“隣り合わせの野望”とは、偽者のレプリカで原初のオリジンを越える、というメビウス自身の希望を意味している。
●“聖無才メビウス”のプロフィール
聖無才メビウスが監視し続けた世界。集積された情報。辿り着いた成果の結晶。彼女は全てを知っていた。聖なる扉の前、聖王と偽者の機体の死闘を。だから私は、力になりたい。それは彼女が見つけた希望。そして、隣り合わせの野望。私にとってはあなたが本物。だから、それを証明してみせて。行ってらっしゃい。
そんな彼女の元にグリモア教団の六波羅の1人である無波獣スクェアが現れ、レプリカの破壊をもくろむことに。
●“無波獣スクェア”のプロフィール
無波獣スクェアが訪れたのは破要塞<カタストロフ>だった。封鎖されたはずの要塞に灯った光。鍵のかかったドアをこじ開けた先、一体の自律兵器と天才が。それ、修理されちゃあ困るんだよね。力を解放しようとする獣。あなたの傷は、力に変わるから。そう、第五世代最狂の自律兵器が再び目を覚まそうとしていた。
教団員(無波獣スクェア)を撃退したのは、偽物の機体(レプリカ)だった。これを知った神才マクスウェルはわくわくして、第六世代の自立兵器型ドライバである水機兵ヨトゥンに聖暦の天才の殲滅という指令を下すのだった。
●“水機兵ヨトゥン”のプロフィール
着々と準備を進めていた少女の元に届いた知らせ、それは天才である彼女にとっても、予期せぬ出来事だった。教団員を撃退した偽物の機体、修理を施した天才少女の名前、その全てが彼女をわくわくさせた。水機兵ヨトゥンに下された最初の指令、それは聖暦の天才の殲滅。天才はね、何人も存在したらいけないんだ。
レプリカは、聖無才メビウスを襲撃してきた水機兵ヨトゥンを撃退したのち、王都ティンタジェルへと飛び立った。
「私にとってはあなたが本物。だから、それを証明してみせて。行ってらっしゃい」。レプリカを見送ったメビウスは「今のあなたなら、きっと大丈夫」とつぶやくが、そこに無数の評議会警備局員が現れ、メビウスを拘束してしまうのだった。
●“大いなる希望:序章V”より
メビウスは足元で大破しているヨトゥンを見つめながら呟いた。今のあなたなら、きっと大丈夫。見送った一体の機体。直後、現れたのは無数の評議会警備局員。あなたを拘束します。だが、メビウスは満足げな笑みを浮かべた。希望が、聞こえるよ。
▲聖無才メビウスの設定画。 |
新世界評議会の六聖人である炎聖人ダンテは、この時期にグライフとコンタクトをとり、共犯者に加えている。
グライフは水聖人ヨハンに作られた次種族<セカンド>で、ヨハンは彼と同時期に作ったビヨンドを失敗作として処分している。
グライフは、自分と同じように世界評議会で研究されていた次種族<セカンド>である天上獣グリュプスを“出来損ない”と呼び、嫌悪していた。
●“グライフ”のプロフィール
彼が生まれるまでに、多くの存在が血の涙を流した。これは必要な犠牲だ。世界評議会で研究されていた次種族<セカンド>の可能性。俺の奏でる未来に、君が必要だっただけだ。そして口を開いたグライフは、冷たい視線を投げ返した。彼と一緒にされたら困るよ、あんな出来損ないの天上の獣にね。俺達は共犯者だ。
そしてダンテは、天神獣グライフに3つの役割を与えた。一つ、王の象徴であること(王であるアーサーにつくこと)。二つ、神の翼になること(神になるアーサーにつくこと)。三つ、黄金を守ること(いずれ王となる、聖常王クロウリーにつくこと)。
一と二は同じことを意味しているので、ダンテは優先度を聞かれた際に「もちろん二択で構わない」と答えており、ダンテは「王都へ向かえ」=アーサーを優先しろと答えたのだった。
●“天神獣グライフ”のプロフィール
俺の代わりに働いてもらおうか。そして天神獣グライフに与えられた三つの役割。一つ、王の象徴であること。二つ、神の翼になること。三つ、黄金を守ること。で、優先度を聞かせてもらおうか。もちろん二択で構わない。その問いに、表情一つ崩さない炎聖人はこう答えた。王都へ向かえ。彼がまだ、王であるうちに。
ちなみにダンテはこの時期、魔界で魔参謀長ファティマと堕精王オベロンと会っている。
アカネとレオラは、常界の廃棄地区に存在する王都ティンタジェルへの扉にたどりつく。閉ざされていた扉をこじ開けたのは、親友であるアーサーを救いに来た聖叛者サンタクローズだった。
●“大いなる希望:序章”より
アカネとレオラが辿り着いた王都ティンタジェル。それは常界の廃棄地区に存在していた。これはまやかしです。その場所に王都があるはずはなかった。だが、確かに存在していた。そして、閉ざされていた王都への入口。だったら、こじ開けりゃいい。
●“大いなる希望:序章”より
入口に突き刺さった無数のドライバ。こじ開けられた入口。アカネとレオラは顔を見合わせ、そして同時に振り返る。プレゼントを届けに来た。そこに立っていたのはサンタクローズだった。アカネとレオラが浮かべた笑顔。取り返そう、俺達の王様を。
こうして王都に侵入したアカネたちの前に、カゲロウが姿を現す。「じゃ、先に行かせてもらうぜ」。アカネたちはサンタクローズを見送り、カゲロウとの戦いに挑む。
●“大いなる希望:アカネI”より
王都に進入したアカネ達の前に姿を現わしたのはカゲロウだった。こいつだけは、俺が相手しなきゃなんねぇな。一番に身を乗り出したアカネ。私も力になります。刀を構えたレオラ。じゃ、先に行かせてもらうぜ。二人はサンタクローズを見送った。
●“大いなる希望:アカネII”より
息をする暇もなく攻撃を繰り出し続けるカゲロウ。殲滅対象ハ、炎才ノ息子。その対象はアカネだけだった。こいつの狙いは俺だけだ。だからお前は先に行け。会って、想いを伝えたい人がいるんだろ。だが、その言葉に対してレオラは首を横に振った。
●“大いなる希望:アカネIII”より
きっとあの人だったら、あなたを守れと言うはずです。それは、一途に想うがゆえの想い。だから私はあなたを守り抜きます。じゃなきゃ、あの人に顔向けできません。恋焦がれていた乙女の恋は散り、そして散った恋は愛へと花開いていたのだった。
戦いの中でアカネは、父である炎才パブロフが作り、戦いの中で自分がリブートさせた第五世代自律兵器型ドライバのシラヌイ:ホムラのことを思い出していた。
●“大いなる希望:アカネIV”より
だったら、いっきに終わらせようぜ。火がついた二人は畳み掛ける。俺はお前によく似た奴を知ってる。蘇る温かき思い出。だけど、そいつはお前みたいな瞳をしてなかった。もっとさ、温かい瞳をした奴だったよ。だからお前に、温かさを教えてやる。
●“大いなる希望:アカネV”より
レオラが切り落とした両翼。アカネが砕いた心。活動を停止したカゲロウ。んじゃ、その顔を見せに行こうぜ。間もなくして辿り着いたのは王の間。そして、目の前にはたった一つの玉座が置かれていた。だが、その玉座に『王』は存在していなかった。
「だけど、そいつはお前みたいな瞳をしてなかった。もっとさ、温かい瞳をした奴だったよ。だからお前に、温かさを教えてやる」。レオラが両翼を切り落とし、アカネが心を砕き、カゲロウは活動を停止した。
なお、この戦いでアカネがカゲロウをリブートさせたため、のちに第四章“聖戦”でカゲロウは常界の天才たちの元に姿を現すことになる。これはかつてパブロフがシラヌイの開発の際に“偽りのレポート”を提出していたためであり、シラヌイのデータを使ったカゲロウにも、リブートが行われる機能が継承されていたのだった。
●“火焔研フロギストン”より
悪しき炎が囚われた監獄、そこには天才の飽くなき探究心も囚われていた。起動実験レポートに記載されていたのは、新たな炎の力の活路。世界評議会へ提出する直前、天才は最後の1ページを引きちぎり、そして書き足した偽りのレポートを提出した。
●“火焔研フロギストン”より
研究所の最深部、自らの死を偽った天才は研究を続けていた。そして、偽りのレポートを提出してまで成し遂げたかった目的、開発された第五世代自律兵器型ドライバに込めた願い。炎を灯した少年の元へ急げ、それが未完成品への唯一の命令だった。
カゲロウを倒して王の間に到着したアカネだったが、その玉座に“王”は存在していなかった。存在していたのは、“神”となった聖神アーサーだったのである。
▲カゲロウ:ホムラの設定画。 |
▲聖神アーサー。 |
●高野メモ
ついに神様になってしまったアーサーです。片翼で、白い服を隠す黒いコートで、と発注しました。王冠は頭にはのせず、でも手には持っている、という、「じゃあ彼の本当の意思は?」というような、意味を持たせられるように。
実は剣のデザインがディバインゲートのデザインになっています。アーサーが再醒進化で「ついに立ったか!?」と思いきや、まだ膝立ちでした(笑)。
●デザイナーコメント(夏嶋紺さん)
このアーサーを描いた時は、一番最初のアーサーを描いた時から随分時間がたっているように感じました。
初期は線のサイズもきまっており、太い線画を描いていましたが、後はどんどん細く繊細になっていったため合わせて変更しました。試行錯誤しましたが、結果慣れないことを詰め込みすぎて別人になってしまったと反省しています。
【第三章“大いなる「希望=絶望」2”は5月3日(水)夕方ごろに公開予定です】
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