2017年5月10日(水)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。
第四章“聖戦(2016年9月~)”で描かれるのは、天界と魔界の大きな戦い。ヴラドとオベロンを中心とした過去の聖戦、そしてヒカリとユカリを中心とした現在の聖戦に関する物語が展開します。
この“聖戦2”では、現代の聖戦で行われた浴室の美女と六色の女王、そしてウェザードリーズと六魔将の戦いを解説していきます。
▼INDEX |
[7]炎の戦~ヘレネ対アカズキン、サニィ対ヒメヅル |
[8]水の戦~オノノコマチ対アリス、レイニィ対ムラサメ |
[9]風の戦~ヨウキヒ対イバラ、ウィンディ対ヤスツナ |
[10]光の戦~カタリナ対シンデレラ |
[11]闇の戦~クレオパトラ対カグヤ、クラウディ対ムラマサ |
[12]無の戦~ナキリ対スノウィ |
永遠の日常を求めたアカズキンと、ただもう一度やり直したいヘレネ。そんな2人の間に割って入ったのは、二等悪魔である炎刑者フレイムタンだった。
●“#01 聖戦:炎の戦(美炎精将ヘレネ)”より
炎と炎は混ざり合い、空を茜色に染める。そうよ、あの日の出会いはこんな茜色の夕暮れだった。それはまだかつての聖戦が始まる前の出来事。ヘレネが語りかけるあの日の出会い。だから、それがどうしたっていうの。アカズキンの炎はより燃え盛る。
●“#02 聖戦:炎の戦(紅炎魔将アカズキン)”より
あのときだって、私達の日常を奪ったのはあなた達じゃない。かつての聖戦で侵略された魔界。そして、アカズキンの日常は奪われた。あのとき、私はすべてを失った。私の日常も、あなたと出会ったあの街も。だから私は、永遠の日常を取り戻すだけ。
●“#03 聖戦:炎の戦(美炎精将ヘレネ)”より
あれはなにかの間違いなの。ぶつかる炎。今回だって、きっとなにかの間違いなの。だが、盟友であるシラユキを失ったアカズキンの耳には届かない。言葉でわかりあえないのなら、こうする以外に他はないってことね。ヘレネは更なる炎を燃やした。
●“#04 聖戦:炎の戦(紅炎魔将アカズキン)”より
これでもう、最後にしましょう。永遠の日常を求めたアカズキンと、ただもう一度やり直したいヘレネ。そんなふたりの間に割って入った二等悪魔。だったら、あんたらが争う必要はないだろ。その日常に、真っ赤に燃える友達がいたら楽しそうじゃん。
一方、刃と杖を構えたヒメヅルとサニィとの戦いも幕を開ける。「どうしてかな、初めてな気がしないよ」と、2人の戦いは激しさを増していく。
●“#05 聖戦:炎の戦(美炎精将ヘレネ)”より
オマエの日常に、コイツを置いてやれよ。そして、もう一度出会い直せばいい。燃え尽きたふたりの炎。だけどね、私とあなたは、こうして戦場で出会ってしまったの。燃え尽きたふたりの後ろ、そこには刃と杖を構えたヒメヅルとサニィが立っていた。
●“#06 聖戦:炎の戦(炎魔将ヒメヅル)”より
どうも、こんにちは、はじめまして。サニィは挨拶代わりに杖を天へと掲げる。そして、茜色の空を割るように晴れ渡る戦場。降り注ぐ日差し。こちらこそ、はじめまして。ヒメヅルは挨拶代わりに、降り注ぐ日差しの刃を無数に斬ってみせたのだった。
●“#07 聖戦:炎の戦(晴術師サニィ)”より
燃え尽きた炎のあと、再び燃え上がる炎。始まったヒメヅルとサニィの戦い。どうしてかな、初めてな気がしないよ。それはヒメヅルの刃の一撃を受けての言葉。不思議だね、私も初めてな気がしないよ。同時にヒメヅルもサニィの一撃を受けていた。
●“#08 聖戦:炎の戦(炎魔将ヒメヅル)”より
ふたりを止めなくていいのか。フレイムタンは立ち上がることの出来ないふたりへと問いかける。だってほら、あの顔を見てごらん。アカズキンが見つめるのは、切れた唇から血を流すヒメヅル。ほら、あの子もさ。サニィもまた血で前髪を染めていた。
●“#09 聖戦:炎の戦(晴術師サニィ)”より
互いに炎を燃やし、そして互いに血を流すふたり。きっとあの子たちは戦場で出会ってなかったら、素敵な友達になれたんじゃないかな。だが、ふたりが出会ったのは戦場だった。だからきっと、あの子たちはあの子たちの覚悟を決めてるんだよ。
戦いを通じて、ヒメヅルとサニィは戦争ということを忘れ、全力での喧嘩を楽しんでいた。「生まれ変わったら、友達になろう」。それは、最後の一歩を踏み出すとともに放たれた最後の言葉だった。
●“#10 聖戦:炎の戦(炎魔将ヒメヅル)”より
ヒメヅルとサニィ、ふたりの頭の中には、すでに戦争の二文字は消えていた。きっとね、あのふたりは全力で喧嘩してるだけだから。構えた刀と杖。そして、最後の一歩を踏み出すと共に、踏み出された最後の言葉。生まれ変わったら、友達になろう。
聖戦ののち、ヒメヅルとサニィは友だちになった。そして、魔界の真焔隊と天界の真晴隊との合同演習も行われるようになった。互いに傷つけ、取り合った手と手。それは聖戦があったからこそ、生まれた絆だった。
●“#01 聖戦:その後・魔界(紅炎魔将アカズキン)”より
日常ってなんだろう。アカズキンは想いを馳せる。そう、私が欲しかったのは決して平穏なんかじゃなかったんだ。笑い合える友達がいる。大変なことがあるかもしれない、だけど、それでも大切な友達が側にいる。それが、私の欲しかった日常なんだ。
●“#01 聖戦:その後・天界(美炎精将ヘレネ)”より
小さな火種が大きな争いへと発展することがあれば、小さな火種が争いを終結へと導くこともあった。そう、私は彼に救われたんだ。ヘレネは戦場に現れた小さな火種に感謝の想いを伝えた。だから、私は出来ることから始めよう。少しずつ、一歩ずつ。
●“#02 聖戦:その後・魔界(真焔魔将ヒメヅル)”より
きっと、私はあのときに死んだんだ。ヒメヅルの言葉は、あのときのふたりの言葉を肯定する為に。だから、こうして友達になることが出来た。戦いが終わり、手を取り合ったふたり。そして、今度は絶対に負けない。いつかまた、戦えることを願って。
●“#02 聖戦:その後・天界(真晴精将サニィ)”より
サニィは気づいていた。私達は、試合に勝ったけど、勝負には負けたんだ。ううん、試合の勝ちすら、私達の力で成し遂げたものじゃなかった。だから、私達は変わらなきゃいけない。私達なら、変わっていけるよ。そう、生まれ変われたんだから。
余談だが、フレイムタンは聖戦での勝手な行動をしたことで、学園長リイナから鉄拳制裁を受けている。だが、今回は特例ということで退学代わりに一等悪魔へ昇格し、炎魔刑者フレイムタンとなった。
アリスの猛攻の前に耐える一方だったオノノコマチ。だが、氷刑者アイスブランドの裏切りの一太刀によって、形成は逆転し、オノノコマチが勝利を収める。
「さっさと殺しなさいよ」と言うアリスに対して、オノノコマチは「だって、私は約束したの。もう、誰も死んだらいけない、って」と返す。
●“#01 聖戦:水の戦(美水精将オノノコマチ)”より
キミたちは本当に浅はかだよ。アリスの猛攻に耐える一方のオノノコマチ。だが、そんな戦況を変える一太刀。なんで、キミがそこにいるのかな。体勢を崩したアリス。一瞬の隙を突いた小さな一太刀。それはアイスブランドの裏切りの一太刀だった。
●“#02 聖戦:水の戦(蒼水魔将アリス)”より
さっさと殺しなさいよ。アリスの体を縛るオノノコマチの艶やかな水。それは出来ない。否定するオノノコマチ。やっぱ気に入らない、キミたちは。それでも止めをささないオノノコマチ。だって、私は約束したの。もう、誰も死んだらいけない、って。
そんなオノノコマチを銃で撃ち抜いたのは、死刑執行学園のアクアプス。彼は親友であるアイスブランドにも銃を向け、裏切った理由を問いただす。
アイスブランドは、自分が追っていた罪人(アオト)の結末が、自分が聞かされていた話(実はアオトは罪人ではなかった)とは違ったことをうけ、自分の瞳でなにが正しいのか、つまり聖戦の結末を確かめたかっただけだと答えるのだった。
●“#03 聖戦:水の戦(美水精将オノノコマチ)”より
甘いよ。鳴り響く冷たい銃声。打ち抜かれたオノノコマチ。解けた拘束。そして次に向けられた銃口。どうしてそこにいるか、理由を教えてもらおうか。アクアプスの冷たい銃口は、親友だったはずの男へ、冷たい視線と共に向けられていた。
●“#04 聖戦:水の戦(蒼水魔将アリス)”より
俺はただ、自分の瞳で確かめたかっただけさ。アイスブランドが追っていた罪人と、その罪人の結末。俺が信じていた道は否定された。だから反対の世界を見たかっただけさ。そして構えた氷の刃。それが理由なら、僕が君を撃つ理由に値するみたいだ。
●“#05 聖戦:水の戦(美水精将オノノコマチ)”より
なんだか調子狂っちゃったじゃない。アリスは情けをかけられたのではなく、本心であると気づいていた。不思議な世界ね、本当に。それはオノノコマチへの賞賛。そうね、世界は私達の理解できない感情で動いているの。それが、愛ってことかしら。
助けられたアリスはオノノコマチを認め、賞賛し、“愛”という感情を認めようとする。だが、「それなら、私はその愛ってヤツをつらぬくだけよ」とムラサメは刃を抜き、立ちふさがったレイニィとの戦いが始まった。
●“#06 聖戦:水の戦(水魔将ムラサメ)”より
それなら、私はその愛ってヤツをつらぬくだけよ。ムラサメは刃を抜く。引いてください、私が相手をします。立ち塞がったレイニィ。そして戦場を覆う雨雲。ありがとう、私をいい女にしてくれて。いきます。こうして、再び水の戦いが始まった。
●“#07 聖戦:水の戦(雨術師レイニィ)”より
私が愛する人と生きる世界に、あなた達は必要ないの。ムラサメの水を滴らせた刃がレイニィを襲う。そう、私はふたりきりで過ごせる世界を求めてるの。姉妹という絆を越えた愛。だから、死んでもらえるかしら。だが、レイニィは刃を弾いてみせた。
●“#08 聖戦:水の戦(水魔将ムラサメ)”より
私の愛する人はみんな、もう二度と会えなくなりました。レイニィの胸を締め付ける旧友の声。みんな、人間への愛を知ってしまったせいで二度と会えなくなりました。だから私は、信じません。勢いを増した大粒の雨は、レイニィの頬を濡らしていた。
愛する妹のムラマサへの愛を求めるムラサメと、旧友を失ったことで愛を憎むレイニィ。ムラサメはレイニィに自分を愛しろと命じ、「私を愛したのなら、私の為に死になさい。そうすれば、あなたもわかるでしょう。愛する人の為に死ねるという喜びが」と告げる。こうしてムラサメは、歪んだ愛とともにレイニィの心を斬り裂くのだった。
●“#09 聖戦:水の戦(雨術師レイニィ)”より
愛を求めるムラサメと愛を憎むレイニィ。あなたの友達が可哀そうね。どうしてですか。きっと、その友人達は、最後まで愛をつらぬいたのよ。違う、人間に惑わされただけなの。動揺する心。あなたにいいことを教えてあげる。今から私を愛しなさい。
●“#10 聖戦:水の戦(水魔将ムラサメ)”より
弾かれた杖。振り上げられた刃。私を愛したのなら、私の為に死になさい。そうすれば、あなたもわかるでしょう。愛する人の為に死ねるという喜びが。そこにあったのは歪んだ愛。そして、振り下ろされた刃はレイニィの心を斬り裂いたのだった。
戦いを終えて、紅茶を楽しむアリス。戦いに負けたはずなのに、彼女の心は不思議と晴れわたっていた。
●“#03 聖戦:その後・魔界(蒼水魔将アリス)”より
不思議なものね。アリスは紅茶を嗜んでいた。聖戦に負けたはずなのに、晴れ渡っていたアリスの心。それよりも、もっと不思議なこともあるの。ふたつの聖戦を経て、生まれたふたつの世界の絆。いまだけは、この不思議に酔いしれてもいいかしら。
●“#03 聖戦:その後・天界(美水精将オノノコマチ)”より
命ある者が、いつか果てるのであれば、今を生きる者達は、なにをすべきだろうか。私達は生きて、そして次の世代へと、未来への道を作らなきゃいけない。過去が今と繋がり、そして未来が開かれる。オノノコマチは、そんな未来を夢見ていた。
戦いに敗れたレイニィに対して、オノノコマチは「だから、あなたもいっぱい恋をしなさい」と優しい言葉をかける。レイニィが聖戦の後に訪れたのは、天界の海原にほど近い丘の上。
雨の中でレイニィは、「愛とは、なんなのでしょうか」と、大切な人の名前が刻まれた永遠の石碑を見つめ、「いまなら、少しだけわかる気がします」と、小さな笑顔を浮かべたのだった。
●“#04 聖戦:その後・魔界(真蒼魔将ムラサメ)”より
私はただ愛を貫いただけよ。ムラサメの確固たる自信。そして、うちの女王も愛を貫いただけなの。女同士だからこそ、通じ合う心。だけど、いまはその愛を少しだけわけてあげるわ。その手は確かに、天界へと差し出されていたのだった。
●“#04 聖戦:その後・天界(真雨精将レイニィ)”より
私が敗北したのはきっと愛の力なんです。それはレイニィの知らない世界。だから、あなたもいっぱい恋をしなさい。オノノコマチの優しい言葉。誰かに出会い、誰かに恋をして、そして誰かの為に生きる。それが女にとっての最高の生き方なんですね。
イバラとの戦いの中で、ヨウキヒはいつも4人で1つの布団で夢を見ていた幼き日を思い出す。子どものころ、ヨウキヒ、シルフ、オリエンス、ラプラスは、いつも一緒だった。
●“#01 聖戦:風の戦(美風精将ヨウキヒ)”より
起きているのか、眠っているのか。そのどちらに関わらず、イバラを守るように無数の蔦が覆う。あなたはいったい、なにがしたいっていうの。襲いかかる蔦をヨウキヒは問う。私はただ、眠りたいだけ眠りたいだけよ。それはただの寝言だった。
●“#02 聖戦:風の戦(翠風魔将イバラ)”より
寝言は寝てからって、あなたにぴったりな言葉ね。そして寝言の会話は続く。だから私は、別に勝つことに興味はないの。だったら、いますぐ出ていきなさい。ヨウキヒの抗戦は続く。私達が出ていったら、そこに安らげる眠りは訪れるのかしら。
●“#03 聖戦:風の戦(美風精将ヨウキヒ)”より
イバラの問いに深い意味があったのか、それは本人にしかわからない。だが、ヨウキヒの思考を巡らせるのには十分だった。日が暮れるまで遊び、疲れ、そして、ただ眠る。思い出していたのは、いつも4人ひとつの布団で夢を見ていた幼き日だった。
●“#04 聖戦:風の戦(翠風魔将イバラ)”より
ありがと、あなたのおかげで思い出せた。ヨウキヒが纏う風向きが変わる。私はもう一度、取り戻したかった。そこにあったのは、ひとりの妖精として個人的な感情。だから私は、この戦いを終わらせて、そしてもう一度みんなで眠れる日を取り戻す。
●“#05 聖戦:風の戦(美風精将ヨウキヒ)”より
追い風が撒き散らす無数の蔦。だが、そんな追い風が止んだとき、蔦の中心には優しいそよ風に撫でられながら、深い眠りに落ちたイバラがいた。なんだか私ひとり、馬鹿みたいね。そして、疲れ果てたヨウキヒもまた、深い眠りへ落ちていくのだった。
戦いの最中に深い眠りに落ちたイバラを見て、疲れ果てたヨウキヒもまた、深い眠りへと落ちた。そのころ、新たな風の戦いが始まろうとしていた。
「知ってるか、主役ってのは、遅刻して現れるもんだぜ」。果たし状を手にしたヤスツナと、ウィンディとの激しい戦い。
「ずいぶんご機嫌な風だな、笑ってやがるぜ」「なに言ってんだ、今日の風は泣いてるぜ、ベイベ」……そんな会話を聞いていたウィンドベクターは、内容を理解することをやめた。
●“#06 聖戦:風の戦(風魔将ヤスツナ)”より
ひとつの風が止んだとき、また新たな風が吹き荒れようとしていた。怖気づいたのかと思ったぜ、ベイベ。待ち構えていたウィンディ。知ってるか、主役ってのは、遅刻して現れるもんだぜ。そして現れたのは、果たし状を手にしたヤスツナだった。
●“#07 聖戦:風の戦(風術師ウィンディ)”より
こっちからいくぜ、ベイベ。戦場に吹き荒れる風。ずいぶんご機嫌な風だな、笑ってやがるぜ。刀を構えるヤスツナ。なに言ってんだ、今日の風は泣いてるぜ、ベイベ。そして、同行していたウィンドベクターはふたりの会話を理解することを止めた。
●“#08 聖戦:風の戦(風魔将ヤスツナ)”より
風の泣き声が聞こえないなんて、漢失格だぜ、ベイベ。泣き声のような風を放つウィンディ。そんな風を踊るように斬り捨てるヤスツナ。あぁ、俺に斬られて笑ってやがる。理解不能の戦い。だが、それは確かに世界の行く末を握る戦いのひとつだった。
●“#09 聖戦:風の戦(風術師ウィンディ)”より
もう止めとけよ、ベイベ。お前の方こそ。無数の傷口に染み入る風。漢には引けない戦いってヤツがあるんだぜ、ベイベ。奇遇だな、俺も引けない戦いってヤツなのさ。風が泣いているか、笑っているか、それはふたりが命を張るに十分な理由だった。
戦いの果て、ヤスツナとウィンディは、ともに倒れて空を見上げる。そして2人は「あぁ、風は泣きながら笑っていたのだ」という答えにたどりつきながら、瞳を閉じたのだった。
●“#10 聖戦:風の戦(風魔将ヤスツナ)”より
そして、互いに纏いし風の果て、倒れたふたりが最後に見上げたのは空。そこには相変わらずの風が吹いていた。そんな風がふたりの頬を撫でたとき、ふたりはひとつの答えに辿りつきながら瞳を閉じる。あぁ、風は泣きながら笑っていたのだ、と。
聖戦を終えた後、ヨウキヒは堕風才ラプラスが聖戦の裏側でディバインゲートの解放を阻止していたことを知る。その詳細は、第四章“聖戦(裏側)”で解説を行う。
ラプラスはそのまま姿を消したが、ヨウキヒは「大丈夫だよ、いつ帰ってきても大丈夫なように、これからも守り続けるから」と、友のことを思うのだった。
●“#05 聖戦:その後・魔界(翠風魔将イバラ)”より
すべての戦いが終わったとき、イバラは再び眠りについていた。それは戦いが始まる前と同じ光景。イバラにとって聖戦の前も後も、なにかが変わることはなかった。たったひとつ、イバラのみせる寝顔が、少しだけ幸せそうになっていたことを除いて。
●“#05 聖戦:その後・天界(美風精将ヨウキヒ)”より
ヨウキヒに届いたのは悲しいけれど、嬉しい知らせ。そっか、彼女は元気だったんだね。聖戦の裏側でディバインゲートの解放を阻止し、そしてそのまま姿を消したラプラス。大丈夫だよ、いつ帰ってきても大丈夫なように、これからも守り続けるから。
一方、ウィンディとヤスツナは、どちらが勝ったのかよくわからず、ひとまず“引き分け”という結論にいたった。
●“#06 聖戦:その後・魔界(真嵐魔将ヤスツナ)”より
聖戦は終わった。だが、ヤスツナはひとつ気がかりなことが残っていた。結局、ウィンディとの戦いは、どちらの勝利だったのか。そして、ヤスツナが考えに考えぬいて辿りついた一番格好いい答え。ふっ、ここは引き分けってことにしておいてやるぜ。
●“#06 聖戦:その後・天界(真風精将ウィンディ)”より
この勝負預けておくぜ、ベイベ。終わりを告げた風の戦い。ふたりの将の言葉を理解できるものはいない。だが、ふたりの実力は、その場の全員が認めていた。そして、その場の全員が思っていたこと。それは、ふたりとも残念な将だということだった。
シンデレラと相対したカタリナは、王都ティンタジェルで“あの男(聖神アーサー)”がディバインゲートを手にしたことを語り、「この争いに介入されたら意味が無い」と続けようとしていた。
●“美光精将カタリナ”のプロフィール
美光精将カタリナは違和感を感じずにはいられなかった。あなた達の本当の狙いは、なんなのでしょうか。燃え上がる街並み、削られる大地。だが、絶えることのない命。あんたも知ってるでしょ。あの男が聖なる扉を手にしたことを。それでしたら、この争いは。そして、そんな二人の間に、招かれざる神が舞い降りた。
そんな2人の戦いの途中に舞い降りたのは、北欧神である光神オーディン。シンデレラはオーディンに兵を差し向けるが、「待ってよ、私はただの傍観者だから」とオーディンは天高く舞い上がっていった。
●“#01 聖戦:光の戦(美光精将カタリナ)”より
輝かしい光をさえぎったのもまた、輝かしい光。どういうつもりか知らないけれど、私の邪魔はさせない。舞い降りた神へと兵を差し向けたシンデレラ。待ってよ、私はただの傍観者だから。天高く舞い上がり、そして光神はふたりを見下ろしていた。
●“#02 聖戦:光の戦(黄光魔将シンデレラ)”より
そして神に見守られるように、また監視されるかのように、再開した光の戦い。そうそう、ふたりとも頑張って争ってね。光神が何を考えているのか、それを考える余裕が生まれる隙がないくらい、ふたりの瞳にはお互いの姿だけが映し出されていた。
●“#03 聖戦:光の戦(美光精将カタリナ)”より
ひとりが膝をつけば、もうひとりも膝をつく。ひとりが血を流せば、もうひとりも血を流す。いい勝負じゃない。だけど、これじゃよくて相打ちってところかな。それじゃ、そろそろ。光神は神刃を取り出し、そして、狙いを定めたのだった。
実力が伯仲する戦いが続く中、オーディンは神刃を取り出し、「いい勝負じゃない。だけど、これじゃよくて相打ちってところかな。それじゃ、そろそろ」とシンデレラの体を貫く。
「やっぱり、それがあんた達のやり方なのね」と悔しがるシンデレラに対して、カタリナは強く否定するが、その声は受け入れられなかった。
そこに現れたのは、ライキリとシャイニィ。倒れたシンデレラを見て怒りを見せるライキリに対して、シャイニィはこの状況で誤解を解くのは難しいと判断し、「いいぜ、小僧、俺が子守をしてやるよ」とライキリを迎え撃つのだった。
●“#04 聖戦:光の戦(黄光魔将シンデレラ)”より
それは一瞬だった。カタリナが背後に感じた力。神刃が光神の手を離れた直後、神刃は体を貫いていた。やっぱり、それがあんた達のやり方なのね。崩れ落ちる両膝。神刃はカタリナの背中を追い越し、そしてシンデレラの体を貫いていたのだった。
●“#05 聖戦:光の戦(美光精将カタリナ)”より
違う、私達は違うんです。カタリナの心からの否定。地上に舞い降りる光神。やっぱり、それがあんた達のやり方なんだな。おっと、怖い怖い。光神の背後、そこにはすべてを見通したシャイニィが。そして、さらにもうひとつの光が現れるのだった。
●“#06 聖戦:光の戦(光魔将ライキリ)”より
あなた達は、いまも歪な平和を続けていたんですね。横たわるシンデレラを見つめ、そして怒りをあらわにしたライキリ。この情況じゃあ、誤解は解けそうにないな。そしてシャイニィは光神から距離を取る。いいぜ、小僧、俺が子守をしてやるよ。
●“#07 聖戦:光の戦(眩術師シャイニィ)”より
シャイニィを襲うライキリの刃。良い太刀筋だ、うちの怠け者に見習わせたいね。無駄口は聞きたくありません。もうひとつの刀を引き抜くライキリ。いい気迫だ、それに比べてうちの怠け者は。くしゅん。その頃、イッテツは部屋でくつろいでいた。
戦いはシャイニィが優勢で進むが、銃を構えたライトイーグルがライキリの加勢に入る。
一方、シャイニィの隣には、刀を構えた光刑者ライトブレードがいた。
●“#08 聖戦:光の戦(光魔将ライキリ)”より
だが、まだまだ小僧だな。振り回される杖と、振り回される体。大丈夫、君はひとりじゃないんだよ。ライキリの隣には、銃を構えたライトイーグルがいた。だったら、俺も混ぜてもらおうか。シャイニィの隣には、刀を構えたライトブレードがいた。
ライトブレードは、愛するハニーであるワルキューレを殺した光神オーディンと戦うために、シャイニィの隣についたのだったが、オーディンを追うことができず、それならワルキューレに会うために自分を殺してくれ、と宣言するのだった。
●“#09 聖戦:光の戦(眩術師シャイニィ)”より
仇をとりたかったんじゃないのか。それはライトブレードがシャイニィの隣にいる理由。だけど、どっか行っちゃったみたい。いつの間にか姿を消した光神。だからさ、俺をハニーに会わせてくれよ。ライトブレードの視線の先にはライキリがいた。
かつての友であり、裏切り者となったライトブレードを前に、ライキリはただ立ち尽くす。その静寂を破ったのは、ライトイーグルの銃声。その弾丸はライトブレードの胸を撃ち抜いた。
●“#10 聖戦:光の戦(光魔将ライキリ)”より
なんだよ、小僧同士の喧嘩か。シャイニィはふたりを見守っていた。どうしたんだ、裏切り者の俺を、始末しないのか。真っ直ぐな瞳のライトブレード。ただ立ち尽くすライキリ。訪れた静寂。そして、その静寂を終わらせたのは、一発の銃声だった。
聖戦の翌日、シンデレラは自分の傷を手当てしてくれたカタリナの姿を見て、オーディンがカタリナの味方であったわけでないのと、誤解を解く。
●“#07 聖戦:その後・魔界(黄光魔将シンデレラ)”より
聖戦から一夜明け、目を覚ましたシンデレラ。そんな彼女の瞳に映し出されたのは、丁寧に塞がれていた傷口と、彼女のすぐ側で座りながら眠るカタリナの姿だった。そして、その姿を目にしたとき、シンデレラはすべての誤解に気がついたのだった。
●“#07 聖戦:その後・天界(美光精将カタリナ)”より
私は最後まで見届けなきゃいけない。そして、シンデレラに肩を貸したカタリナ。それなら、一緒に見届けましょう。私があなたの体になります。聖戦の終結と共に瞳を閉ざしたシンデレラを天界の医務室へと運び、優しい愛を注ぎ続けたのだった。
一方、真閃魔将ライキリは、「覚悟を貫くことが出来ず、友の手を汚し、友を失った。僕は、変わらなきゃいけない」と、二度と立ち止まらないために鍛練を重ねるのだった。
そんな彼を見守る2つの影。「いいのかな、顔を見せなくて」と言うライトイーグルに対して、光愛者ライトブレードは「いいんだ、オレのことは黙っておいてくれ」と返すのだった。
●“#08 聖戦:その後・魔界(真閃魔将ライキリ)”より
僕は悔しい。それは、聖戦に敗れたからではなかった。僕は最後まで男になれなかった。かつての友とはいえ、戦場で相手を斬ることをためらってしまった自分を責めるライキリ。だから、僕は僕を殺します。そして、来るべき日を見つめるのだった。
●“光愛者ライトブレード”のプロフィール
僕は君が大嫌いだった。魔界の共同墓地に揺れる二等悪魔のコート。だけど、君がいたから僕は強くなれた。真閃魔将は亡き友への想いを吐露していた。くっくっ、作戦成功。そんな姿を楽しげに見つめる光愛者ライトブレード。もぅ、いつまでたっても悪戯っ子なんだから。訪れたもうひとりの友。昔の俺は死んだのさ。
●“#08 聖戦:その後・天界(真眩精将シャイニィ)”より
これからまた、忙しくなるな。シャイニィはひとり、修復中の美宮殿を眺めていた。ったく、どこまで計算していたんだ。問いかけた先の答え。私達の王が帰ってきた。だけど、私は―。俯いたのはヴィヴィアンだった。嘘なら、最後までつき通せよ。
「先に仕掛けてきたのは、あなた達の方よ」。友であるシラユキの遺体を棺に入れて送ってきた天界へと強い怒りを表すカグヤだったが、クレオパトラは棺の一件を知らされていなかった。
「待ってよ、わかるように説明して」「いまさら、なにを言っているの」「あなた達はいつだって、知らないフリをするのね」。カグヤとクレオパトラは想いをすれ違わせながら、戦いを続ける。
●“菫闇魔将カグヤ”のプロフィール
先に仕掛けてきたのは、あなた達の方よ。美闇精将を前に、唇をかみ締めていた菫闇魔将カグヤ。彼女が連れてきたのは、蓮の花に包まれ、深い眠りに堕ちた友の想い。待ってよ、わかるように説明して。いまさら、なにを言っているの。すれ違う想いと、行き違う解釈。あなた達はいつだって、知らないフリをするのね。
堕闇卿ヘンペルはそんな2人の戦いを遠くから見ていた。旧友である美闇精将クレオパトラは、失踪したヘンペルのことを心配していた。
その様子を見ていたヘンペルは、「彼女は、いまでも私のことを」と小さく動揺する。その背後には超越獣ビヨンドの姿があった。
ヘンペルのエピソードは第四章“聖戦(裏側)”で詳しく解説するが、クレオパトラの戦う姿を見ていたヘンペルの小さな動揺は、物語に大きな影響を及ぼすことになる。
●“#01 聖戦:闇の戦(美闇精将クレオパトラ)”より
終わるかに見えたふたりの戦いは、次の夜が明けようとも終わることはなかった。なぜ、そこまでして戦うんですか。そんなふたりの戦いを、ひとり残ったヘンペルは見つめていた。もう、なにをしても無駄だというのに。どうして戦い続けるんですか。
●“#02 聖戦:闇の戦(菫闇魔将カグヤ)”より
私は大切な友を失った。だから、これは弔い合戦なのよ。大切な友達、か。クレオパトラは失踪した友人を思い浮かべていた。それだったら、私にも戦う理由があるの。私はいまでも信じてる。だから、いつか帰ってくる場所を守らなきゃいけないのよ。
●“#03 聖戦:闇の戦(美闇精将クレオパトラ)”より
ねぇ、知ってるかしら。守るべきものを持つ者ほど、弱いのよ。それは大切な誰かを失くした者の主張。知らないのかしら、守るべきものを持つ者ほど、強いのよ。それは誰かの帰りを待つ者の主張。だから私は倒れない。クレオパトラの瞳に光が宿る。
守るべきものを持つ者ほど弱いというカグヤの主張と、守るべきものを持つ者ほど強くなるというクレオパトラの主張。2人の戦いは、シラユキから受け継がれたカグヤによる毒によって共倒れに終わった。
●“#04 聖戦:闇の戦(菫闇魔将カグヤ)”より
お願い、最後に力を貸してくれるかしら。カグヤの背後から飛び出してきた7つの小さな影。あたり一面に撒き散らされる毒。だが、その毒が奪うのはふたりの体温。さぁ、共にここで散りましょう。それで帰れる場所が守れるなら、私は構わない。
●“#05 聖戦:闇の戦(美闇精将クレオパトラ)”より
どうして、なぜでしょうか。ただ、争うふたりを見つめ続けるヘンペル。彼女は、いまでも私のことを。そして生まれた小さな動揺。よぉ、アンタのこと探したぜ。ヘンペルの背後に現れたビヨンド。小さな動揺は、大きな可能性へと変わるのだった。
●“#06 聖戦:闇の戦(闇魔将ムラマサ)”より
ムラマサがその場所に辿りついた時、カグヤは横たわっていた。なによ、簡単に倒れちゃって。そして、その声に重なる言葉。そうね、みんな大したことないわね。少し遅れて現れたクラウディは、横たわったクレオパトラを横目に見つめていた。
その後に行われたムラマサとクラウディの戦いは、互いに守りを捨てた攻戦だった。そこに存在していたのは、純粋な殺し合い。そして、「みんな死ねばいい」と、クラウディは杖から発した闇で作った大鎌を全力で振るった。
●“#07 聖戦:闇の戦(曇術師クラウディ)”より
死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね。クラウディがかざした杖は再び夜を呼んだ。殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す。ムラマサが引き抜いた刀は妖気を死霊を呼び覚ました。さぁ、殺し合いを始めましょう。
●“#08 聖戦:闇の戦(闇魔将ムラマサ)”より
闇に包まれた戦場で行われていたのは、互いに守りを捨てた攻戦だった。あんたなんか、片手で十分よ。ぶら下がるクラウディの片腕。それなら私は、片足で十分ね。引きずられるムラマサの片足。そこに存在していたのは、純粋な殺し合いだった。
●“#09 聖戦:闇の戦(曇術師クラウディ)”より
みんな死ねばいい。魔物への怒りを顕にしたクラウディ。あんたらの女王だって、付き添う闇精王だって、みんな大嫌い。杖から発せられた闇が形を成したのは大鎌。私がすべてを切り裂いてあげるのよ。そこには残された力すべてが込められていた。
「私はこのときを待っていたの」。クラウディの大鎌がムラマサの体を貫いたが、ムラマサが狙っていたのは抜刀術によるカウンターだった。こうして、戦いはムラマサの勝利で幕を閉じた。
●“#10 聖戦:闇の戦(闇魔将ムラマサ)”より
私はこのときを待っていたの。振り下ろされた大鎌が貫くムラマサの体。崩れる残された片方の足。私の勝ちよ。口角を上げたクラウディ。だが次の瞬間に変わる表情。ムラマサ流、抜刀術。怨みは私の好物よ。そして、ふたりの戦いは終わりを迎えた。
聖戦を終えたのち、実は棺に入れられていたシラユキは命を失っていなかったことが判明する。ヴィヴィアンの狙いは、あくまでも聖戦の開戦を早めることで、シラユキの命を奪う必要はなかった。
また、童話の白雪姫が棺の中で眠りから眼を覚ますように、棺に入ったシラユキが眼を覚ますことは、あらかじめ暗示されていたともいえる。
●“雪無魔将シラユキ”のプロフィール
常界遠征から戻った五色の魔将が踏み入れた部屋。真ん中に置かれたテーブルと、並んだ六つの椅子。そう、そのテーブルには六つの椅子が用意されていた。そして、すでに埋まっていた一席。もう、待ちくたびれたわよ。雪無魔将シラユキの帰還。待ちくたびれたのは、私たちの方よ。再会の涙は、次の戦いの力へと。
シラユキの回復を知った知ったカグヤは、友人のもとへと駆けつけるのだった。
●“#09 聖戦:その後・魔界(菫闇魔将カグヤ)”より
聖戦が終わり、棺に込められた意味を知ったとき、カグヤは走り出していた。それじゃあ、もしかして。友が待っているかもしれない。そう、彼女は長い夢を、私は長い悪夢をみていただけ。新たに生まれた希望を信じ、そして友に会いに行くのだった。
●“#09 聖戦:その後・天界(美闇精将クレオパトラ)”より
彼はまた姿を消したのね。クレオパトラの想いが産んだのは、ディバインゲート解放時間のわずかな遅れだった。だけど、いつか帰ってくるでしょう。だって、彼は少し頭が悪いの。だからね、いつか気づいてくれるって信じて待つことにするわ。
●“#10 聖戦:その後・魔界(真妖魔将ムラマサ)”より
怨みは愛に似ている。愛するが故に、怨みへと転化された感情。だから私は、すべてを受け止めた。とても、美味しかったわ。ごちそうさま。それにね、私が傷つけば傷ついたぶん、お姉さまが優しくしてくれるの。だから、私にとってはご褒美なのよ。
聖戦を終えたクラウディは「私は彼らとは仲良く出来ない」と天候術部隊からの脱退を申し出たが、「だからこそ私はあなたにいて欲しい。理想の裏側に存在する現実。そう、あなたのような人が必要なの」という光妖精王ヒカリの言葉によって、真曇精将の役を引き受けることになった。
●“#10 聖戦:その後・天界(真曇精将クラウディ)”より
やっぱりね、私は彼を王であると認めることは出来ないみたい。聖戦の果て、再び入れ替わった王。不信感を抱くのはごく当たり前の感情だった。だけど、いまだけは従ってあげる。もし、王に相応しくないと思ったそのときは、私が殺してあげるから。
ナキリとスノウィの戦いに乱入したのは、ナキリの弟子である無刑者ムミョウガタナだった。
●“#01 聖戦:無の戦(無魔将ナキリ)”より
無益な争いはしたくないんだ。スノウィは投げやりだった。気にいらねぇなぁ、テメェみたいな漢は。僕らが争ったところで、きっとなにも変わらないよ。それじゃあ、目を背けるっていうのか。違うよ、なにも僕が戦わなきゃいけない話じゃないしね。
●“#02 聖戦:無の戦(雪術師スノウィ)”より
だったら、さっさと斬られて退場しろよ。ナキリは鞘に手を添え、そして一直線に足を運ぶ。そして引き抜かれた刀。だが、その刃を弾いたのは杖ではなく、もうひとつの刀だった。ずいぶんと、大きくなったじゃねぇか。ご無沙汰してました、師匠。
●“#03 聖戦:無の戦(無魔将ナキリ)”より
それがテメェの見つけた誠か。ナキリは刀を大きく振り払う。私は気づいてしまったんです。ムミョウガタナが立て直す体勢。だから私は、もうひとつの世界を見てみたい。勝てるはずのない相手を前に、それでも名も無き刃は輝きを放つのだった。
誠を背負い、勝てるはずのない戦いに挑むムミョウガタナ。その結果、想いは虚しくも散り、ムミョウガタナは戦いに敗れたのだった。
●“#04 聖戦:無の戦(雪術師スノウィ)”より
それでこそ俺の弟子だ。偽の一文字を背負ったナキリは愛弟子を褒め称えた。違う、私は誠を背負うんです。だが、その想いは虚しくも散る。立ち上がることの出来ないムミョウガタナ。太刀筋が語ってるぜ、俺と戦い、そして越えてみたかったってさ。
●“#05 聖戦:無の戦(無魔将ナキリ)”より
やっぱり師匠は全部お見通しなんですね。ムミョウガタナが見た誠、自分へ正直な生き方。ある意味テメェは正直者さ。ナキリは少し悲しそうな笑顔を浮かべた。これが漢の生き様だ。そして、スノウィへと向られた刃。そういうの、僕は嫌いだから。
戦いに敗れた無刑浪士ムミョウガタナだったが、その最後の一太刀は、師匠であるナキリの体に卒業の証を残していた。
「これでテメェを縛るもんはなくなった。だから、テメェはテメェの道に生きろ」。赤く染まる滝に打たれていた真絶魔将ナキリから、愛ある破門を言い渡されたムミョウガタナは、大義の誠を貫くため、極東国へと向い、理解者(レディ・ナカザワ)に出会うのだった。
ムミョウガタナもレディ・ナカザワも、ともに背中に“誠”を背負っている。ちなみにレディ・ナカザワのモチーフは、新撰組の幻の女隊士である中澤琴とのこと。
●“無刑浪士ムミョウガタナ”のプロフィール
その格好、どうしたのさ。言い渡された破門。こうなることを望んでいたのかもしれません。すでに一等悪魔同等の力を得ていたムミョウガタナ。これからの私は、名もなき浪士です。そして、そんな彼の理解者がいた。それじゃあ、私たちで大義の誠を貫くとしようか。極東国、そこにはふたりの始まりが存在していた。
●“#11 聖戦:その後・魔界(真絶魔将ナキリ)”より
俺は言った。あいつは、俺と戦いたかっただけだと。だが、それは俺も同じだったんだな。ナキリがあのとき感じた喜び。なかなか、いい太刀筋だったぜ。ムミョウガタナの最後の一太刀は、ナキリの体に卒業の証の傷を残していたのだった。
そしてスノウィは、聖戦の終結は新しい道の始まりだと感じ、王の血を引く同郷の存在(アーサー)のことを気にかけるのだった。
●“#11 聖戦:その後・天界(真雪精将スノウィ)”より
これから、どうなっていくんだろうね。聖戦の終結は新しい道の始まり。きっと、次に流れる血は今回の比じゃないはずだよ。だけど、付き合ってあげる。気になる話も残ってるしね。スノウィが気にしていたのは、王の血を引く同郷の存在だった。
【第四章“聖戦3”は5月13日(土)夕方ごろに公開予定です】
(C) GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
データ