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2017年5月13日(土)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第4章“聖戦3”~ヒカリとユカリ、ヴラドとオベロンの戦いの決着

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第四章“聖戦(2016年9月~)”で描かれるのは、天界と魔界の大きな戦い。ヴラドとオベロンを中心とした過去の聖戦、そしてヒカリとユカリを中心とした現在の聖戦に関する物語が展開します。

 この“聖戦3”では、ヒカリとユカリ、ヴラドとオベロンの戦いを経て、現代の聖戦が終結するまでを解説していきます。

[13]聖戦:ふたりの女王~ヒカリとユカリの戦い

 天界の美宮殿の玉座に1人残されていたヒカリの元へと現れた訪問者。ヒカリはその訪問者と初対面であるにもかかわらず、実の姉である闇愛精モルガンのことを理解し、「はじめまして、お姉さん」と声をかける。

『ディバインゲート』

 モルガンは「そのすべてを受け入れたような顔、気に入らないわね」と、自分とヒカリに妖精王であるオベロンの血が流れていることを告げる。

 「私はあの男(アーサー)が生まれる前に、創られた」と言うモルガンと、「私は兄(アーサー)が生まれた後に創られたんだよね」というヒカリ。

 天界はオベロンと人間であるイグレインの間に子どもができたことを知ると、その子ども(アーサー)が生まれるのを待つことなく、イグレインの身に宿ったDNAからモルガンを創りだした。

 だが、モルガンには禁忌の血(創醒の聖者の血)は受け継がれず、その後生まれたアーサーにだけ、禁忌の血は受け継がれていた。そのことから、再度人工的に新たな子(ヒカリ)を創ったが、ヒカリにも禁忌の血が受け継がれることはなかった。

 「だから私は必要とされなかった」と、モルガンは父オベロンを憎むことで自分の存在を肯定したのだった。

 一方のヒカリは、「私は、ありがとう、と伝えたい。だから、私はいまここにいる。父が目指した世界を創る為に」「父がいたから私が生まれ、沢山の友達と出会えたんだもん」と、父オベロンを肯定する言葉を返すのだった。

 そして、そんなヒカリに会いに、“友達(ユカリ)”がやってきた。

●“#05 聖戦:ふたりの女王”より

 開かれたのは王の間の扉。一歩ずつ、一歩ずつ、響き渡る足音。うつむくことなく、ただ真っ直ぐに前を見つめ、紫色のストールだけが揺れる。久しぶりね。うん、久しぶり。こうして、ふたりの女王の再会は、ひとしれず静かに果たされたのだった。

 「単刀直入に言うわ、いますぐ負けを認めなさい」「断るわ」「言葉で分かり合えないのなら、することはひとつしかないわね」。大鎌を構えるユカリ。こうして2人の女王は、お互いのすべてをかけた戦いを始めた。

『ディバインゲート』

●“#09 聖戦:ふたりの女王”より

 私ね、いまとっても幸せだよ。ヒカリが弾くユカリの鎌。だって、こうしてユカリちゃんとぶつかり合うことが出来たから。ヒカリは自分が飾りであることに気がついていた。だけどね、いまの私は、誰がなんて言おうと、天界を守る女王なんだから。

●“#10 聖戦:ふたりの女王”より

 くだらない話に付き合う気はないわ。ユカリの鎌がさらうヒカリの前髪。ただ私は女王の責任を果たすだけ。ユカリもまた、自分が飾りであることに気がついていた。だから、私は天界を壊す女王になるの。そして、その先の未来で私は―。

●“#11 聖戦:ふたりの女王”より

 ふたりの女王が見つめた未来、それは形は違えど、かつてのふたりの王が目指した未来そのものだった。それじゃあ、ユカリちゃんはやっぱり。だから、私が統合世界を統べるのよ。そして、神へと反旗を翻すのよ。そう、すべてはひとりの少女の為に。

 誰しもが幸せになる世界という光り輝く理想を掲げた女王と、誰しもが辛さに耐える世界という闇をはらんだ現実を掲げた女王。理想と現実、光と闇。表裏一体。だからこそ、2人は同じだった。

●“#15 聖戦:ふたりの女王”より

理想と現実、光と闇。表裏一体。だからこそ、ふたりは同じだった。背中合わせで見つめる未来で繋がる想い。もし、ふたりが手を繋いで歩くことが出来たら。それこそが、誰しもが望む未来。現実から目を逸らさず、そして理想を追い求める未来。

 「やっぱり、ユカリちゃんには勝てないか」。すでに立ち上がることすらままならないヒカリだが、それでも彼女は負けを認めない「だって、こんな私でも天界の女王なんだから」。

●“#16 聖戦:ふたりの女王”より

 やっぱり、ユカリちゃんには勝てないか。すでに立ち上がることすらままならないヒカリ。だったら、負けを認めなさい。ユカリが突きつける最後の言葉。それでも、私は負けを認めることは出来ない。だって、こんな私でも天界の女王なんだから。

 「ねぇ、どうしてふたりが争わなきゃいけないの」。一歩も引くことのない2人の女王を見つめる人影。紅煉帝ヴェルンは、「小さいけれど、立派な女王様だってことだよ。だから全部が終わったとき、オマエ(ミドリ)が慰めてやれよ。いままでお疲れ様、ってな」と言葉を返す。

●“#17 聖戦:ふたりの女王”より

 ねぇ、どうしてふたりが争わなきゃいけないの。一歩も引くことのないふたりの女王を見つめる人影。アイツらは、小さいけれど、立派な女王様だってことだよ。だから全部が終わったとき、オマエが慰めてやれよ。いままでお疲れ様、ってな。

 倒れたヒカリは、ユカリにこの世界のみんなのことを幸せにするという約束をしてほしいと、小指を差し出す。手をつなぐことはできないかもしれないが、指だけつないでほしい、約束を交わして欲しいと。

●“#18 聖戦:ふたりの女王”より

 きっと、ユカリちゃんなら大丈夫かな。ヒカリが差し出した小指。どういうつもり。私とは、きっと手なんか繋げないよね。だから、指だけ繋いで欲しい。そして、約束をしよう。ユカリちゃんが、この世界のみんなのことを、幸せにしてみせる、って。

[14]ヴィヴィアンとファティマの戦い

 その頃、ファティマは美宮殿にたどりつき、ヴィヴィアンと対峙していた。「まさか、あなたが直々に乗り込んで来るとはね」「ええ、みんなが道を作ってくれたのよ」。

『ディバインゲート』

●“#02 聖戦:過去と今”より

 あの棺は、あなたの仕業なのね。ファティマは問う。例え否定してたとしても、あなたはそれを信じるかしら。それがヴィヴィアンの答え。私としたことが、愚問だったわね。そう、誰かが私達に口実を与えてくれた、それだけで十分だったのよ。

●“#03 聖戦:過去と今”より

 だから私は、ずっと機会を伺っていた。もう一度、あなた達と戦争をすることを。その為に女王様を逃がしてあげたんだから。そして、私達は新たな女王を受け入れた。本当はそれで十分だった。だけどね、人質が欲しかったのよ。そう、王様よ。

 「だから私は、ずっと機会を伺っていた。もう一度、あなた達と戦争をすることを。その為に女王様を逃がしてあげたんだから」と語るファティマ。

 かつて一章“黄昏の審判”で、魔界の側であるファティマがあえて天界に介入し、妖精王ティターニアからヒカリを逃がしたのは、戦争の機会をうかがっていたからだった。

●“#04 聖戦:過去と今”より

 すべての駒が揃った。だけど、それをあなたは壊した。それは堕魔王の復活だった。ねぇ、どうしてかしら。どうして彼はあなた達と一緒にいるの。だから、私が正してあげるのよ。あの日の彼は王様だった。だから私は、あの日の続きを始めるの。

●“#05 聖戦:過去と今”より

 あの日の私たちの王様は正しかった。私はこの戦争に勝って、それを証明する。そして、いまの彼は間違っていると証明する。今も昔も、ファティマの心はかつての魔王の姿に縛られていた。だから、鞘を探していたのね。ヴィヴィアンはそっと呟いた。

 ファティマはヴィヴィアンがヴラドを仮初の姿で再生させたことを責めていた。ファティマは聖剣の鞘の力を使い、ヴラドをかつての魔王そのものとして復活させたかったからこそ、サフェスにグリモア教団への潜入任務を与え、鞘を探していたのだった。

●“#06 聖戦:過去と今”より

 ファティマが鞘の力を使い、再生させたかったのは、かつての魔王そのものだった。だが、それを待たずして蘇った堕魔王。そして、そのヴラドの体も、命も、すべて仮初に過ぎなかった。私の手で、彼を蘇らせるのよ。そう、気高き魔界の王として。

●“#07 聖戦:過去と今”より

 だとしたら、やっぱり負けるわけにはいかないね。ヴィヴィアンはファティマの理想を否定した。いつかは、こうなるってわかってた。だけどね、私にもね守らなきゃいけない子たちが沢山いるの。だから、いまこそすべての因果を断ち切らせてもらう。

●“#08 聖戦:過去と今”より

 もし魔界が敗北し、今度こそ完全なる敗北が訪れたら。それは、統合世界における古から続く争いの終結であり、平穏へと繋がる。だから、私達にけしかけさせたのね。ヴィヴィアンの無言が意味した肯定。きっと、あの日の彼もそれを望んでいたから。

 ファティマは天界がオベロンを追放したことを責めるが、ヴィヴィアンは「そうする以外に、方法がなかったの」と返す。在りし日のヴィヴィアンはオベロンが天界を愛し、そして天界のために戦っていたことを知っていた。

『ディバインゲート』

●“【追想】ヴィヴィアン”のプロフィール

 すれ違う理想と、ぶつかり合う理念。変革なき平穏を願う天界、犠牲の先の革命を願う魔界。そんな二つの世界を絶対的な力で抑圧する神界と竜界。今こそ、革命の時だ。魔界の王は民の為に立ち上がる。こうして、かつての聖戦は始まった。そして、魔界への対抗勢力の一人に、ヴィヴィアンが存在していたのだった。

 だからこそ、あえて嘘をついてまでオベロンの守りたかった平穏を守ろうとしたのだった。「彼には、もうすべてを忘れて、ただ静かに生きて欲しかった。なのに、あなた達がまた彼を戦場へ連れ出した。だから私達が勝利を掴み、そして彼に平穏を」と、ヴィヴィアンは続ける。

 「みんな、未来の天界をよろしくね」。例え自分が今に散ろうとも、過去が肯定されるならそれでいいと最後の願いを込めたヴィヴィアンの一撃を止めたのは、ヴィヴィアンに育てられたライル≒ランスロットの「待てよっ」という声だった。

『ディバインゲート』

 「親子の話に水をささないで頂戴」。そして、ファティマの前に割って入ったのは、リオ≠モルドレッドだった。

 ライルはヴィヴィアンを後ろから抱き止め、「天界の平和だとか、因果を断つとか、こんなやり方しか出来なかったのかよ」と伝える。それは怒りであり、悲しみだった。

●“#14 聖戦:過去と今”より

 オレさ、全部知ってたよ。アイツとの出会いも。歳が近いオレを育てたのも、オレに戦い方を教えたのも、すべてはアイツを、誰かの子供を守る為だったんだろ。ごめんね、私の汚れた手で育てちゃって。それこそが、ヴィヴィアンの罪の意識だった。

 ヴィヴィアンがライルを育て、戦い方を教えたのは、すべては“誰かの子どもを守るため”、オベロンの子どもであるアーサーを守るためだった。

 「ごめんね、私の汚れた手で育てちゃって」。罪の意識を持つヴィヴィアンは、「だけど、最後くらいは世界の為に戦った立派なお母さんでいさせてもらえるかな」と最後まで戦おうとしたが、ライルは「もう、頑張らなくていいんだ」とヴィヴィアンを気絶させて、戦いを止めさせたのだった。

●“#15 聖戦:過去と今”より

 だけど、最後くらいは世界の為に戦った立派なお母さんでいさせてもらえるかな。そして、ヴィヴィアンが振り払うライルの両腕。もう、頑張らなくていいんだ。えっ。そして両膝から崩れ落ちるヴィヴィアン。今まで育ててくれてありがとう、母さん。

ライルとリオの密約

 ライルとリオは“共に同じ男(アーサー)を殺す”と誓った約束をしており、共闘する密約を結んでいる。リオの念押しに対して、ライルは「あぁ、オレは自由になるんだ」と返している。

『ディバインゲート』

●“#16 聖戦:過去と今”より

 大剣を握り直し、合図を送るライル。約束を忘れないで。共に同じ男を殺すと誓った約束。あぁ、オレは自由になるんだ。消えるリオの影。そして、なぜか目を見開いているファティマ。それはライルの背後に、更なる影が生まれていたからだった。

 ライルがリオ&モルガンと手を組んだことは、モルガン:サマーのプロフィールに示されている。

『ディバインゲート』

 その際にモルガンが、ライルが持つ聖剣型ドライバ“カリブルヌス”を見て“懐かしいもの”と述べているのは、モルガンがカリブルヌスの鞘を盗み、グリモア教団へと渡していたからだった。

●“モルガン:サマー”のプロフィール

 あーぁ、むかつく。そんな苛立ちを夜の海に溶かしていたモルガン。っていうかさ、アンタなんで帰らないわけ。私は彼を殺す、それは今も変わってないから。ふーん、そう。そんな二人きりの時間に訪れた人影。だったら、オレと手を組まないか。そこには大剣を携えた男が。随分と懐かしいものを持ってるじゃないの。

[15]聖戦:ふたりの王~オベロンとヴラドの決戦

 「しばらく見ないうちに、随分といい女になったじゃねぇーか」。ただその場所で立ち尽くすことしかできないライルの側を通り過ぎ、そしてファティマへと歩み寄ったのは、現天界の王である堕魔王ヴラドだった。

『ディバインゲート』

 「いまでも俺の命令がきけるのなら、すぐ避難しろ」。ヴラドが口にした避難勧告が何を意味しているのか、ファティマは瞬時に理解した。直後、背中越しに感じたのは、現魔界の王である堕精王オベロンの憎悪の力だった。

 「それがいまの、オマエなんだな」と、オベロンに声をかけるヴラド。こうして、2人の王は再会を果たした。

『ディバインゲート』

●“#03 聖戦:ふたりの王”より

 見詰め合うふたりの王。そして、そのふたりの姿を見れば、互いに決めた覚悟は明らかだった。本当のことを、伝えなくていいのか。ライルが開いた口。いまさらコイツに、なにを伝えても、信じてもらうことなんか出来ねぇんだよ。それが天界の罪だ。

●“#04 聖戦:ふたりの王”より

 オマエらも、さっさとここから避難しろ。ふたりの王を前に、自分達ではどうすることも出来ないと悟ったライルとリオ。そして、いまだに言葉すら発することの出来ないファティマ。それじゃあ、始めようか。あの日の続きを、オレ達の戦いを。

 オベロンとヴラドという2人の親友の戦いに邪魔が入らないよう、ヒスイは聖戦の裏側で尽力していた。こうして、誰も邪魔ができない最後の戦いが始まったのだった。

『ディバインゲート』

●“#05 聖戦:ふたりの王”より

 向かい合うふたりの王。元魔界の王、そして現天界の王、堕魔王ヴラド。対するは元天界の王、そして現魔界の王、堕精王オベロン。そんなふたりを大切に想う竜神が守り抜いた、神も竜も、誰も邪魔することの出来ない最後の戦いが始まるのだった。

●“#06 聖戦:ふたりの王”より

 大分鈍ったんじゃねぇのか。オベロンの放つ闇をいとも簡単に弾いてみせるヴラド。そして弾かれた闇が壊す美宮殿の煌びやかな装飾。それじゃ、こっちからいかせてもらうぜ。現れた棺から生まれる無数の光の竜。さぁ、すべてを喰らい尽くしちまえ。

●“#07 聖戦:ふたりの王”より

 ひとりの王が攻撃が繰り出すたびに、美宮殿は悲鳴をあげる。激しい音と共に築かれる瓦礫の山。オレ達の舞台にしちゃ、ちょっともろすぎるんじゃねぇか。すでに失われた宮殿の姿。そして、そんな宮殿の上空でふたりの王は変わらず対峙していた。

●“#08 聖戦:ふたりの王”より

 天界の軍勢も、魔界の軍勢も、ただ上空でぶつかり合うふたりの王を見つめていた。いや、見つめることしか出来なかった。少しでも目を離せば、ふたりの姿を見失ってしまう。そう、ふたりの王の戦いは、目で追うだけで精一杯だったのだから。

 戦いの中、ヴラドは自分に与えられた仮初の命の残り時間を気にかける。そして、残り時間がわずかなせいか、全力を出し切れなかったヴラドはオベロンの放つ衝撃で地に打ちつけられてしまった。

●“#09 聖戦:ふたりの王”より

 かつて、光と闇がぶつかり合ったように、再びぶつかり合う闇と光。どうにか、持ってくれよ。ヴラドが気にかけたのは、仮初の時間。だが、その願いは散る。オベロンの放つ衝撃。それを受け止め切れず、ヴラドの体は地へと打ちつけられたのだった。

●“#10 聖戦:ふたりの王”より

 くそっ、こんなときに。それでもすぐに立ち上がるヴラド。そんなヴラドの瞳に飛び込んできたのは、ただ上空のオベロンを見つめる、天界、魔界の両軍勢だった。そして、ヴラドはその眼差しがなにを意味していたのか、すぐに理解したのだった。

 圧倒的な力を見せるオベロンに対して、天界、魔界の両軍勢は恐怖を覚え、互いに協力し、滅ぼすべき相手は、禁忌の血を引くオベロンではないのかと感じ始める。

●“#11 聖戦:ふたりの王”より

 ヴラドを地へと堕とすほどの圧倒的な力。そう、オベロンへ向けられたのは賞賛ではなく、ただの恐怖だった。そして、天界、魔界の両軍勢は同じときに、同じことを想う。互いに協力し、滅ぼすべき相手は、禁忌の血を引くオベロンではないのか、と。

●“#12 聖戦:ふたりの王”より

 兵の間に伝染する恐怖。そして、各々が構えた武器。向けられた先は、ただひとり上空に浮かぶオベロン。そして、それを止める女王も、参謀長もそこにはいない。誰かが命令を口にすることなく、ただ自然に、オベロンへと向けられていたのだった。

●“#13 聖戦:ふたりの王”より

 上空へと放たれた一撃。続くニ撃。止まらない三撃、十撃、百撃。数え切れないほどの刃。炎、水、風、光、闇、無。そのすべてが放たれる。そして、そのすべての攻撃が止んだとき、上空に浮かんでいたのは、そのすべてを受け止めたヴラドだった。

 天界、魔界の両軍勢によるオベロンへの総攻撃。それを受け止めたのは、ヴラドだった。

 「どうして避けようとしなかったんだ」というヴラドからの問いかけに、オベロンは「俺は、生まれたときから、世界の敵なんだ」と答えた。

●“#14 聖戦:ふたりの王”より

 オベロンはただ、傷だらけのヴラドを見つめる。ヴラドはかすみ始めた瞳でオベロンを見つめる。そして、そっと問いかける。どうして避けようとしなかったんだ、と。すると、オベロンはこう答えた。俺は、生まれたときから、世界の敵なんだ、と。

●“#15 聖戦:ふたりの王”より

 再び上空へと向けられる無数の刃。だが、吹き抜けたのは突風。ちょっと、道を空けてもらうよ。そして、生まれた一本の道。お疲れさま、は、まだ言わない。だから、行ってらっしゃい。ミドリは、ふたりの小さな女王の背中を見送ったのだった。

 再び天界、魔界の両軍勢がオベロンを攻撃しようとする中、ミドリによる突風がオベロンへの道を作る。その道を抜け、2人の女王(ヒカリとユカリ)は2人の王(オベロンとヴラド)のもとへとたどりつく。ミドリは聖戦の裏側で竜界での物語にかかわり、ここでヒカリたちの前に姿を現したのだった。

『ディバインゲート』

 「誰の許可を得て、王に刃を向けているのかしら」「違うよ、あなたは世界の敵なんかじゃない」。小指ではなく、手をつないだヒカリとユカリ。

 この場面には、ユカリの“約束を弾いた左手が繋いだ右手”が、ヒカリの「そして、約束をしよう。ユカリちゃんが、この世界のみんなのことを、幸せにしてみせる、って」という約束を弾き、手をつなぎ“共に世界を幸せにしよう”という意味が込められている。

●“#16 聖戦:ふたりの王”より

 ただ真直ぐに、堂々と胸を張り、ふたりの王の真下へと辿り着いたふたりの女王。誰の許可を得て、王に刃を向けているのかしら。大きく払われた右手。約束を弾いた左手が繋いだ右手。空へと伸びた左手。違うよ、あなたは世界の敵なんかじゃない。

●“#17 聖戦:ふたりの王”より

 ふたりの女王の叫び声、静まり返る天界。だが、飾りであるふたりの女王の言葉に耳を傾ける者は多くなかった。少しずつ、少しずつ、また刃が上空へと向けられる。オマエらは、自分らの王のことが信じられないのか。その言葉は再び静けさを呼んだ。

 あくまでもお飾りのような立場にある2人の女王の言葉に耳を傾ける者は少なく、天界、魔界の両軍勢は少しずつオベロンを再び攻撃しようと構え始めた。そんな状況を変えたのは、裏古竜衆(光竜将ファブラ闇竜将ニズル無竜将ウロアス)を引き連れた紅煉帝ヴェルンの「オマエらは、自分らの王のことが信じられないのか」という一喝だった。

『ディバインゲート』

●“#18 聖戦:ふたりの王”より

 静けさを呼んだ正体、裏古竜衆を引き連れた紅煉帝ヴェルン。聖戦の最終局面、またしても訪れた第三勢力の介入。かつての聖戦の事情を知る者は、口を揃え、予期せぬ邪魔者へ非難の言葉を浴びせるのだった。だが、ヴェルンはその言葉にこう返した。

●“#19 聖戦:ふたりの王”より

 邪魔してんのは、いったいどっちだ。そしてヴェルンは天高く掲げた手を、地へと突きつける。揺れる天界、奪われる重心。民共はさっさとひれ伏して、黙って見届けろよ。そして、ふたりの女王の言葉は、しっかりとふたりの王へ届いていたのだった。

●“#20 聖戦:ふたりの王”より

 なぁ、聞こえたか。それでも、ただヴラドを見つめ続けるオベロン。あいつら、あの頃のオレ達よりも全然幼いんだぜ、なのに大したもんだよな。小さいながらも、女王であろうとしたふたりの女王。なのにさ、オレ達はいったい、何してんだろうな。

 ヴラドはオベロンに、自分が最初から決めていた“聖戦の結末”を告げる。それは自分と戦い、オベロンが勝利するというものだった。

 そしてヴラドはオベロンに降伏文書を渡してから、天界全域に聞こえるよう、声高らかに宣言する。「たったいま、この時をもって、オレは天界の王であることを辞めることにした」、そして「だってここに、誰よりも天界を愛した、本当の王様がいるんだからな」と。

 なお、この降伏文書は本当はオベロンの最愛の人(イグレイン)が真実と後悔を綴ったものだった。のちにこの手紙を読んだオベロンは、かつての聖戦では選べなかったもう1つの道、天界と魔界の共闘を選ぶことになる。

●“#21 聖戦:ふたりの王”より

 あの小さな女王はいま、オマエを「守る」選択をした。だったら、オマエがとるべき選択は、あの日のままでいいんだよ。そうさ、このオレと「戦い」、そして勝利すればいいんだ。それは、ヴラドが初めから決めていた「聖戦の結末」だった。

●“#22 聖戦:ふたりの王”より

 これ、あとで気が向いたら読んでくれ。そしてヴラドは一通の手紙を差し出す。オレからの、降伏文書だ。そして、ヴラドは天界全域に聞こえるよう、声高らかに宣言する。たったいま、この時をもって、オレは天界の王であることを辞めることにした。

●“#23 聖戦:ふたりの王”より

 続くヴラドの言葉。オマエらはいったい、なにを見て、なにを信じてきた。ざわめき立つ天界の両軍勢。やっぱりオレに、天界は似合わなかったみたいだ。そして、最後の言葉。だってここに、誰よりも天界を愛した、本当の王様がいるんだからな。

在りし日の妖精王と魔王

 【追想】オベロン【追想】ヴラドでは、過去の聖戦前夜の彼らの思い出が語られている。

 王として神に綴られた存在であるオベロンは、王であるために生まれてきたが、ヴラドやヒスイという親友を得たがゆえに苦悩していたのだった。

『ディバインゲート』

●“【追想】美宮殿コロッセオ”より

 生まれながらに王である男に、幼い日の記憶はなかった。雨に打たれながら、泥にまみれながら、それでも遊び続けた記憶も、友人も存在していなかった。だが、そんな男に出来た友人。だけどもう、友ではいられないんだ。ありがとう、さよなら。

●“【追想】オベロン”のプロフィール

 王として創られた男は、そのすべてが個の為に捧げられていた。そう、だって俺はその為に生まれたのだから。だが、そんなオベロンのことを、王でありながらも、友として接してくれたふたりの友がいた。迫る決断の日と、今も出せない答え。それは王でありながら、友を手にしてしまったがゆえの弱さと優しさだった。

 一方、ヴラドは“王は個でなく、全である”という覚悟を貫き、民を守るために友を殺すことを選んだのだった。

『ディバインゲート』

●“【追想】不夜城ナイトメア”より

 在りし日の魔王の苦渋の決断。それは王故の決断。もし、自分が王という存在でなければ。争いは起きなかっただろう。だが、自分が王という存在でなければ。出会えなかっただろう。あぁ、そうさ、オレたちは初めから、こうなる運命だったんだ。

●“【追想】ヴラド”のプロフィール

 王は個でなく、全である。それは魔王ヴラドが貫いた覚悟。そうさ、オレは友である前に、王なんだ。自ら下した苦渋の決断。民を守る為に、友を殺す。だが、どうしてだろう。天界への進軍前夜、真っ赤な月が滲む夜。王の瞳に溢れた想い。頬を伝うことはオレが許さない。そして魔王は、固く瞳を閉ざしたのだった。

【キャラクターチェック】堕精王オベロン(聖精王オベロン)編

『ディバインゲート』
▲堕精王オベロン。
『ディバインゲート』
▲聖精王オベロン。

●高野メモ

 堕精王オベロンはイチノセさんが在職中、最後に作ってくれたキャラでした。退職日ぎりぎりでの発注でしたが、どうしてもイチノセさんに描いて欲しかったので、無理くりお願いしちゃった感じです。再醒は北乃さんに一からお願いしました。

 追想から、堕精王を経て、聖精王になったオベロンです。3周年の生放送があった日は、生放送までが始まるまでの時間、1時間ごとにオベロンとヴラドの戦いを配信し、生放送の最後では華々しく聖精王に返り咲いたオベロンを届けることができました。

 聖戦編はさまざまな人物が登場するのですが、僕の中の裏テーマのひとつに、“オベロンを救う物語”というのがあったのを、こっそり報告しておきます。

●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)

 常日頃からオトコのセクシーポイントを研究しているぼくですが、やっぱり涼し気な目元から少し厚みのある唇。ソコから流れるしなやかな首のラインとか、骨ばっているんだけどきれいな指とか、小さめでシマったお尻とか……。

 ……アトは分かるな?

●デザイナーコメント(北乃友利さん)

 怒涛の2周年を経て、3周年の節目にまたもや大役を任せていただいてしまって、改めて身と心と肝の絞ま……締まる想いの中、追想と再醒の2つを描かせていただきました。

 闇堕ちした通常オベロンとは属性も性格も違うものの、オベロン独特の艶らしさを可能な限り残そうと、イチノセさんの元イラストとにらめっこの日々でした。

 高野さんと、そして対になる存在としてヴラドを担当されたUCMMさんとは、設定や構図など細かい所でたくさんご相談させていただいたので、改めて頭が下がる想いです。

[設定画紹介コーナー]聖精王オベロン編

『ディバインゲート』
▲聖精王オベロンの設定画。

[16]聖戦:終章~戦いの結末

 天界の王をやめると宣言したヴラドは、竜の力を解放し、暴れ始める。「オレこそが、天界にとっての恐怖だってこと、教えてやるよ」「そうさ、オレは魔王なんだ。あぁ、天界なんか滅ぼしてやるさ。オマエの家族を、そのすべてをな」。

 滅び行く天界を前に、オベロンの脳裏を温かい思い出がよぎる。「止めろ、止めてくれ」「あぁ、それでいいんだ」。ヴラドは、「そう、オレは魔王で、オマエは妖精王なんだから」と満足げな笑みを浮かべ、オベロンによる最後の一撃を受けるのだった。

 地へと堕ちたヴラド。魔界の王でありながら、最後は天界を守るために戦ったオベロン。どちらの世界の勝利なのかという疑問は、ヴィヴィアンの一声で決まった。「私達の王が帰ってきた。だから、私達の勝利です」。こうして、聖戦は天界の勝利に終わった。

●“#04 聖戦:終章”より

 湧き上がる歓声。それは在りし日の恐怖の糾弾ではなかった。幕を閉じた最終決戦。勝者は堕精王オベロン。そう、天界を守る為に戦った、かつての妖精王だった。地へと降りたオベロンへと駆け寄るヴィヴィアン。そして、大粒の涙を溢したのだった。

 オベロンとヴィヴィアン、ヴラドとファティマは言葉を交わし、積る思いを語り合う。

 「あぁ、牢獄の鍵を壊してくれたのは、君だったんだね」。オベロンはヴィヴィアンが牢獄の鍵を壊し、自分を幽閉から解放しようとしていたことを知る。

 これは実際にオベロンが牢獄から脱出する前の話で、かつての聖戦が終わってオベロンが幽閉された後、ヴィヴィアンが鍵を壊したことでオベロンはイグレインと出会ったが、それは天界に気付かれてしまい、再び鍵がかけられてしまったのだった。

●“#05 聖戦:終章”より

 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。何度も呟く後悔の言葉。ただ、ヴィヴィアンを見つめるオベロン。そして、オベロンはそんなヴィヴィアンを見て、すべてを理解したのだった。あぁ、牢獄の鍵を壊してくれたのは、君だったんだね、と。

 ヴラドは自分の目的がたった1人の友(オベロン)を救うことだったと明かし、「だからオレは、王失格だ。失望してくれて構わないぜ」とファティマに告げる。

 ファティマは「その言葉をそのままお返しいたします。私は、なにもわかっていなかった。王の臣下失格です」と返し、在りし日からファティマが奏で続けた幻想は終わりを告げたのだった。

『ディバインゲート』

●“【追想】ファティマ”のプロフィール

 オレについてきてくれるか。王としての笑みを浮かべた魔王の言葉。その言葉の意味を、在りし日のファティマは頭で理解していた。そして、失って初めて気づく本当の意味。あの日、心の理解がおいつかず、ただ残された後悔。私は、あの日のあなたを否定しない。そして、過去を肯定し続ける生き方を選んだのだった。

●“#06 聖戦:終章”より

 ファティマはヴラドの元へ駆け寄り、そっと抱きかかえる。お帰りなさい、魔王様。一番に駆け寄ってくれるだなんて、やっぱりいい女になったじゃねぇか。作られたのは無理した笑顔。オマエのやり方は認めることは出来ない。だが、よく頑張ったな。

●“#07 聖戦:終章”より

 私はあの日から、ずっと間違えていたみたいです。これが本当のあなたの選択なんですね。ヴラドが選んだのは、王としての責務を全うすることではなく、たったひとりの友を救うことだった。だからオレは、王失格だ。失望してくれて構わないぜ。

●“#08 聖戦:終章”より

 その言葉をそのままお返しいたします。私は、なにもわかっていなかった。王の臣下失格です。こうして、ファティマが奏で続けた幻想は終わりを告げた。そう、あの日のファティマが想い描いた魔王など、初めから存在していなかったのだった。

 ユカリはヴラドに「あなたは魔王として戦い、そして敗北した。だから、その責任をとってもらわなきゃね」と告げ、ヒカリはオベロンに「私はきっと、望まれて生まれてきたわけじゃない。だけど、一言だけ言わせて欲しい。私にこの世界に生きる命を授けてくれて、ありがとう」と告げる。

 そして、それぞれの王の元に傷だらけの十一人の将が集い、王を迎え入れるのだった。

●“#09 聖戦:終章”より

 オレはじきに朽ちるだろう。だから、あとのことは頼んだからな。だが、そんなヴラドの言葉は否定される。随分と、身勝手な魔王様ね。ふたりの元に訪れたユカリ。自分の言葉に、責任を持ちなさいよ。あなたは、魔王として、妖精王と戦ったのよね。

●“#10 聖戦:終章”より

 ヴラドへの肯定。そう簡単に死なせるわけにはいかない。あなたは魔王として戦い、そして敗北した。だから、その責任をとってもらわなきゃね。ユカリの掛け声を合図に、魔王の元に集まったのは傷だらけの十一人の将。だから、早く立ちなさい。

●“#11 聖戦:終章”より

 オベロンとヴィヴィアンの元に、駆け寄るひとりの少女。はじめまして、ですね。それはヒカリの言葉。私はきっと、望まれて生まれてきたわけじゃない。だけど、一言だけ言わせて欲しい。私にこの世界に生きる命を授けてくれて、ありがとう。

●“#12 聖戦:終章”より

そして、お帰りなさい。ヒカリの後ろ、そこには十一人の将が。私達は、あなたを天界の王として再び迎え入れます。きっと、犯した罪は消えない。だけど、あなたならもう一度、立派な天界の王となり、この世界を愛してくれると信じています。

 固く結ばれた王と王の右手と左手、そして女王と女王の右手と左手。つながれる手と手を竜神ヒスイが見つめるなかで、聖戦は終結を迎えた。

●“#13 聖戦:終章”より

 これで、良かったんだ。ヒスイはひとり、固く結ばれた王と王の右手と左手を、女王と女王の右手と左手を見つめていた。聖戦の終結。そして、新しく生まれた共に歩む道。その道の先には、未来へと進む神々の後姿が浮かび上がっていたのだった。

【キャラクターチェック】堕魔王ヴラド(聖魔王ヴラド)編

『ディバインゲート』
▲堕魔王ヴラド。
『ディバインゲート』
▲聖魔王ヴラド。

●高野メモ

 オベロンと対の存在として生まれたヴラドです。

 ヴラドはイラストが出る前から、ネクロスのストーリーで“綺麗な顔の男”と表されていたと思うので、登場を待っていていたユーザーさんは多かったんじゃないでしょうか。

 オベロンのクールさとは反対に、結構ヤンチャな感じで、とお願いしました。それでいて、“悪そうな奴にみえるけど、本当は悪い奴じゃない”というベタベタな設定で作ってもらいました。

 聖戦編で魔王のカリスマ性を存分に描くことができたかなと思います。こんな上司がいたら、一生ついていきたい。そんな風に思えるキャラクターです。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 吸血鬼が元ネタという結構想像しやすいキャラながらも、オベロンと対になり、そしてストーリーの中でハードルもあがっていて、綺麗でいながらヤンチャ系という一枚で表現するのになかなか苦戦を強いられた思い出があります。

 吸血鬼で生き返った存在ということで、目の下に隈があり血色が悪いのですが、追想のときは死ぬ前なので、実は隈がなかったり少し血色がよかったりします。

 たしか、はじめの時は髪を結ってなくウェーブなロンゲでしたし、髪色も黒に近い紺みたいな感じでしたね。あの髪色になるまで大分いろいろ試した記憶があります。

[設定画紹介コーナー]堕魔王ヴラド編

『ディバインゲート』
▲堕魔王ヴラドの設定画。

[17]後日談~戦いに勝利した天界は、魔界と共闘することに

 聖戦は天界の勝利で幕を下ろした。ユカリは「私はただ過去をなぞったに過ぎない」と考えるが、天界は魔界と共に戦うという新しい道を選ぶことになり、違う未来が広がり始めていた。

●“#16 聖戦:その後・魔界”より

 私はただ過去をなぞったに過ぎない。だけど、こうして新しい道が生まれた。違う未来が広がり始めた。だから、もう少しだけ頑張ってみようと思う。どうか、最後まで見守っていてね。ユカリはひとり、お揃いのストールを抱きしめていたのだった。

 天界では、ヴィヴィアンが天界から去ろうとしていたが、ヒカリはそれを引き止める。ヒカリは、オベロンを理解してあげられるのはヴィヴィアンだけだと言い、「だから、王の側でその罪を償って下さい」と告げる。

●“#15 聖戦:その後・天界”より

 どこへ行くつもりですか。天界を去ろうとしていたヴィヴィアンを引き止めたのはヒカリ。あなたのしたことを認めることは出来ません。だけど、私達の王を理解してあげられるのは、あなたしかいないんです。だから、王の側でその罪を償って下さい。

●“#16 聖戦:その後・天界”より

 再び姿を消したモルガン、そして禁忌の血を選んだアーサー。私はまだ立ち止まることは出来ない。そして、確実に一歩ずつ歩き出したのは幸せな世界。きっと、これからもっと忙しくなる。だけど、私たちならきっと進めるはずだから。さぁ、行こう。

 魔界に戻った聖魔王ヴラドは、あらためて神界への進行を考える。だが、仮初の命である彼に残された時間は、潤沢に残っているわけではなかった。

『ディバインゲート』

●“#17 聖戦:その後・魔界”より

 聖戦の果てに生まれた新しい道。それは、天界と手を取り合い、肩を並べて歩く道。そして、オレたちの目的は、あのときも、いまも変わらない。だから、あのときの続きを始めよう。聖魔王ヴラドが睨んだのは神界。これからのオレたちなら、必ず―。

●“聖魔王ヴラド”のプロフィール

 いいか、よく聞け。不夜城の王の間、響き渡るのは聖魔王ヴラドの高らかな声。オレはオマエらを裏切った。その事実を変えることは出来ない。だが、オマエらはこうして、再びオレを信じてくれた。だから、オレはオマエらを信じる。もう、ひとりで背負い込んだりはしない。だからどうか、このオレについて来てくれ。

 そして天界の聖精王オベロンは、ヴラドから託されたイグレインからの手紙を読み、真実を知る。イグレインは、オベロンを裏切ったわけではなかったのだった。

 あの日選ぶことができなかった、もうひとつの道である天界と魔界の共闘。神界との戦いの日は、近付いていた。

『ディバインゲート』

●“#17 聖戦:その後・天界”より

 オベロンが握り締めていたのは、降伏文書だと偽られていた、最愛の人からの手紙だった。真実と後悔。そして、覚悟と希望。俺は、あの日選ぶことの出来なかった、もうひとつの道を選ぶよ。だから、共に行こう。これからの俺たちなら、必ず―。

●“聖精王オベロン”のプロフィール

 美宮殿の王の間。ただ静かに語りだしたオベロン。自らの体に流れる禁忌の血。かつての聖戦の真実。俺は過ちを犯した。沢山の家族を、天界を傷つけた。だから、どうかその償いをさせて欲しい。左手に握られた対のネックレス。右手に抱えられた王の証。いまここに誓わせて欲しい。誰よりも、この天界を愛し抜くと。

ヴラドに憧れていたデオン

 ヴラドに憧れていたデオンは、あらためてちゃんとヴラドに挨拶をする。「だったら、もっと憧れさせてやるよ」。その言葉は、デオンの胸に深く響いていた。

 リイナは右の拳でヴラドを一発殴った後に、「お帰り」と告げるのだった。

●“#13 聖戦:その後・魔界”より

 ちゃんと挨拶しろって。デオンの背中を押したリイナ。背中を押されたデオンの前には聖魔王ヴラドが。知らないと思うが、コイツもかつてのオマエに憧れてたんだぜ。だったら、もっと憧れさせてやるよ。その言葉は、デオンの胸に深く響いていた。

●“#14 聖戦:その後・魔界”より

 リイナが放つ右の拳。それを黙って受けるヴラド。よっし、これでもう俺は気が済んだ。だから、お帰り。リイナはそっと、ヴラドの肩に手を置いた。俺たちは、あの日よりも強くなったんだ。だから、これからは遠慮なく頼ってくれていいんだからな。

天界に出向したコスモ

 妖精であり、天界の出身でありながら魔界に助力していた幾元嬢コスモ。彼女は聖戦ののち、天界と魔界の架け橋にと、天界へ出向させられている。

●“#12 聖戦:その後・魔界”より

 こんなのってあんまりよ。コスモは不服を申し立てていた。なんで、この私が天界に出向かなきゃなんないのよ。天界と魔界の架け橋にと、それは天界の出であるコスモだからこそ選ばれた仕事だった。こうなったら、あいつらから富を巻き上げるわ。

ディバインゲートの解放の阻止

 聖戦の裏では、聖光才カルネアデスなどによって、ディバインゲートの解放を阻止する戦いが行われていた。その詳細は第四章“聖戦(裏側)”で解説する。

●“#12 聖戦:その後・天界”より

 みんな、ありがぴょん。再び散る聖暦の天才達。聖戦の裏側で行われた戦い。阻止することの出来たディバインゲートの解放。これでしばらくは安心だぴょん。そう、しばらくの間だけ。天才達は気づいていた。すべて、時間稼ぎにしかならないことを。

●“#13 聖戦:その後・天界”より

 コガネは毛布を取り出すと、机に突っ伏したまま寝息を立てるカルネアデスの肩にそっとかけた。いまだけは、すべてを忘れて休んでください。来るべき日の為に、私ももっと頑張ります。だから、所長ひとりですべてを背負いすぎないでくださいね。

第四章(聖戦の表側)を振り返る高野メモ

 過去の聖戦と今回の聖戦を描いた、大ボリュームな四章となりました。

 少し書きすぎてしまったな、と反省していますが、実際に書き出すと止まらなくなり、ついつい書いてしまった章でもありますし、それだけ書かなければいけなかった章かと思います。

 以前までは戦闘描写などあまり書かなかったり、行間の出来事をすっ飛ばしていたのですが、ユーザーさんが「どうして彼らはこうなったの?」「なにが目的で戦ってるの?」など、疑問を抱いていただけるようになり、そのアンサーとして、自分的には丁寧に書いた章にもなっています。

 1周年のときから、ずっと聖戦編のプロットというか、メモ書きをし続けているのですが、本当に書ききることができるかな、綺麗にまとめることができるかな、と、書き始めるまでは正直不安でもありました。ですが、書ききることができたのは、キャラクターたちが勝手に動き出してくれたからだと思います。

 ふたりの王とふたりの女王の話、そしてファティマとヴィヴィアンなど、関わるたくさんの人たちの話を読んでいただき、本当にありがとうございました。

【第四章“聖戦(裏側)”は5月17日(水)夕方ごろに公開予定です】

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