2017年4月26日(水)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。
第二章“完全なる落日/黄金の夜明け(2015年8月~)”は真教祖メイザース、および教祖クロウリーが率いるグリモア教団における騒動や、そこに持ち込まれた聖剣の鞘に関する物語が展開します。
この“完全なる落日/黄金の夜明けII”では、グリモア教団本部で行われる激しい戦いが終わるまでを解説していきます。
鞘を奪還するために教団本部に侵入したアオト&アスル=ブルーノ&マリナとミドリ&オリナ=ラモラックは、そこで再会を果たす。
教団本部は本館を中心に東西南北の五つの館に別れており、アオトたちは西館へ、ミドリたちは東館へ向かう。
西館へ向かう途中、アオトたちは北館の近くでライル≒ランスロットと遭遇する。
「久しぶりだな、クソチビ」。その言葉とは裏腹に、嬉しそうな表情を浮かべるライル。「うっせーよ、チャラ男」。怒りながらも笑ってみせたアスル。そんな2人を、アオトは優しい瞳で見つめる。こうして3人はそれぞれの想いを胸に、教団本部へと突入するのだった。
西館についたアオトを迎えたのは、水通者ロジン。彼女は「安心して、私は君の敵じゃない。ただ、会わせたい人がいるの」と、アオトを隠し通路へと導き、その双子の弟である西魔王アリトンに引き合わせる。
●“完全なる落日:アオトII”より
会いたかったよ、兄さん。隠し通路を抜けた先に待っていたのはアオトの血を分けた弟、西魔王だった。語られる真実。出来の悪いフリをしていた兄と、出来の良いフリをしていた弟。もう、僕に残された時間は少ない。だから、最後に決着をつけよう。
両親の歪んだ愛情を受け入れられるほど、あの日の二人は大人じゃなかった。愛を愛だと理解するのには、時間が必要だった。だから僕は、僕を肯定し続けるしかないんだ。そんな言葉とともに繰り出させるアリトンの水の刃が、アオトの身体を貫く。
●“完全なる落日:アオトIII”より
両親の歪んだ愛情を受け入れられるほど、あの日の二人は大人じゃなかった。愛を愛だと理解するのには、時間が必要だった。だから僕は、僕を肯定し続けるしかないんだ。研ぎ澄まされた水の刃が貫いた体。どうして、よけてくれないんだよ、兄さん。
「どうして、よけてくれないんだよ、兄さん」。あえて自分の刃を受けたアオトを見て、戸惑うアリトン。それに対してアオトは、「君はもう自由だ」「君の罪は、僕が留め続けるよ」と手を差し出す。
その時、新たな名もなき西魔王がアリトンを襲う。そんなアリトンをかばったのは、水通者ロジンだった。
●“完全なる落日:アオトIV”より
君はもう自由だ。見つめ合う蒼い瞳。アオトは優しい声で語りかける。君の罪は、僕が留め続けるよ。差し出された手に視線を落とした西魔王。君は、その手を掴むのかい。その声はいない筈の三人目の男の声。危ない。刃が貫く体。僕が、西魔王です。
「あの日、あなたは私の手をとってくれた」「なんで」「だから次は、あなたがお兄さんの手をとる番だよ」「どうして」「あなたと過ごせて、私の現世は最高でした」。西魔王アリトンの腕の中で、水通者は瞳を閉じた。
その日、西魔王は二度死んだ。旧西魔王アリトンは新西魔王を討ち、そして旧西魔王アリトンは、西魔王だった自分を殺した。“完全なる落日/黄金の夜明け”の終結後、アリトンは西従者アリトンとしてクロウリーにつき従うことになる。
一方そのころ、アオトと別れたアスル=ブルーノは西館の大広間を抜けた先で、蒼のクリスマスの真犯人であり、父の仇である堕水才シュレディンガーと遭遇していた。
「ボクガアイタイノハ、キミジャナイ」。電子音声と共に立ち去ろうとする堕水才の前に立ち塞がったアスル=ブルーノは、「あっちには、行かせねーよ」「オレはずっと、オマエに会いたかったぜ」と槌を構える。
「手を貸すよ」。そこに、水波神サフェスが現れ、堕水才シュレディンガーに手を差し伸べる。
●“完全なる落日:アスルII”より
西館を進んだ先にいたのは、アスルの憎むべき堕水才だった。ボクガアイタイノハ、キミジャナイ。電子音声と共に立ち去ろうとする堕水才の前に立ち塞がったアスル。あっちには、行かせねーよ。構える槌。オレはずっと、オマエに会いたかったぜ。
「うるせぇ、チビ。オマエら、まとめてぶっ潰す」。全身全霊を注いで、サフェスたちめがけて振り下ろされた槌は、3人を支える地面を砕いた。館の床は崩壊し、3人は地下へと落ちていくのだった。
●“完全なる落日:アスルIV”より
手を貸すよ。新たな水の正体は、堕水才の隣りに現れた水波神だった。相手は、子供一人か。布越しに聞こえた声。うるせぇ、チビ。オマエら、まとめてぶっ潰す。全身全霊を注ぐアスル。二人めがけて振り下ろされた槌は、三人を支える地面を砕いた。
崩壊した西館の地下、重なった瓦礫から這い出したアスル=ブルーノは、地下道の先で1つの扉を見つける。そして、扉から漏れて聞こえたのは、無数の声が呼ぶ一人の名前、メイザースの名前だった。
メイザースやティルソン、教団員が集まり、真教祖の就任が宣言された地下祭壇にて、アスル=ブルーノは捕らえられてしまう。
●“完全なる落日:アスルV”より
崩壊した西館、重なった瓦礫から這い出したアスルは辺りを見回した。かすかに灯された光。ここは地下か。二人を探し歩き出したアスルが見つけたのは、地下道の先の一つの扉。そして、扉から漏れて聞こえたのは、無数の声が呼ぶ一人の名前だった。
アリトンに命を奪われた名もなき西魔王だが、「でもね、だったら何度でも創ればいいだけの話だから」と、のちにメイザースによって新たな西魔王エギュンが創られている。
▲西魔王アリトン。 |
▲西従者アリトン。 |
●高野メモ
満を持して登場したアオトの双子の弟、アリトンです。モード系のファッション画像をいくつか渡して、デザインしてもらいました。鍵穴のキーホルダーなど、イチノセさんが上手く入れてくれましたね。
再醒はラフをイチノセさんに書いてもらい、その後を北乃さんに仕上げて頂きました。やはりアリトンの手を伸びた水溜りに映るロジンの手、という演出は、『ディバゲ』のキャラクターデザインのなかでも、1位2位を争うくらいにお気に入りです。
●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)
少年系きたっ! と気張りすぎて、休日出勤した高野さんを何だかんだ理由をつけて待たせ、細かいところを修正していました。
再醒でのドラマチックな演出は、偏(ひとえ)に北乃さんのお力によるところが大きいかと思います。
●デザイナーコメント(北乃友利さん)
構図やポーズなどは、イチノセさんのラフをそのまま踏襲させて頂きました。初めて手掛けさせて頂いた再醒イラストなのもあって、意気込みとプレッシャーの間で、先達のユニットイラストを参考にさせて頂きつつ挑んだ覚えがあります。
特にロジンの、水面の演出と指定に関しては、これが1枚のイラストにさまざまな設定やギミックを練りこむ『ディバゲ』イラストの技か…! と学ばせて頂いた、いろいろ感慨深い一枚です。
東館に突入したミドリとオリナ=ラモラックの前に立ち塞がったのは、六波羅に所属する2体の第四世代自律兵器型ドライバである炎波機トラングルと風波機トラピゾイドだった。
「アタシだってね、あの頃より強くなったんだよ」。左手の棍で風波機を弾き、右手の棍で炎波機を防いだオリナは、敵を引き受け、ミドリを先に進ませる。
「なんだか、嫌な予感がするの」。解かれていた教団の警備と不穏な空気を気にしながら先に進んだミドリは、東魔王オリエンスと遭遇する。
「一緒にいるんだよね、私にはわかるよ」。その言葉が向けられたのはミドリではなく、風精王シルフだった。そして笑顔は歪む。「けひひ」。
「また奪うんだね、私達の居場所を」。そう叫ぶオリエンスだったが、彼女自身はすでに教団内に自分の居場所がないこと、そして完全世界など存在しないことを理解していた。
●“完全なる落日:ミドリIV”より
また奪うんだね、私達の居場所を。再開を果した東魔王と風精王。師匠が話してくれた、友達だね。歪な平和の犠牲者は襲い掛かる。どうしてアル。私達はもう、ここしかないの。だが、東魔王は知っていた。もう、ここにも、居場所がなかったことを。
そして、そんなオリエンスへミドリはひとつの答えを提示した。居場所は“この場所(グリモア教団)”ではなく“人(クロウリー)”であると。その言葉はオリエンスに大切なことを気づかせ、のちのオリエンスの行動へとつながるのだった。
2人の戦いはミドリの勝利に終わる。クロウリーの四大魔王は、すでに半数以上が敗北をしていた。
●“完全なる落日:ミドリV”より
知ってるよ、完全世界なんて存在しないって。ぶつかり合う風と風。だけど、私はあの子を信じた。あの子の目は真っ直ぐだった。私は、完全が欲しかった。そう言ってもらえるだけで嬉しかった。溢れる本心。心安らげる居場所を求めて、何が悪いの。
●“完全なる落日:終章II”より
居場所を求めることを、否定しない。語り掛けるミドリ。あの子も、そうだった。巻き起こした風に乗せる想い。だけど、居場所はきっと、この場所じゃない。近づく決着。なら、どこだっていうのよ。棍が打ち砕いた心。場所じゃなくて、人なんだよ。
▲東魔王オリエンス。 |
▲東従者オリエンス。 |
●高野メモ
メモを漁っていたら「笑顔でかわいい○○系」と出てきました(笑)。2014年の9月の終わりに発注したのですが、その当時の秋のファッションなど参考にしました。
小花柄だったり、茶色いレザーだったり。私服でも全然かわいいと思うので、ぜひ真似してみてくださいね!
●デザイナーコメント(UCMMさん)
仕様で武器なしで服装もかわいいゆるふわファッションの女の子と来て「どうやってこの仕様で魔王にするんだ……」と頭を抱えたのを覚えています。
ただ唯一○○系という個性的な仕様があったのでかわいらしい笑顔から進化であの○○顔に変わる部分にすべてを注ぎ込みました。
再醒でどうあの顔を超えようかと思いましたが、まさか目があんなことになってしまうとは……。
北館に突入したライル≒ランスロットを待ち伏せていたのは、無数の教団員。「さぁ、派手にいこうぜ」。大剣を手にした青年は、一人、五人、十人と切り捨てていく。
「面倒くせぇ、いっぺんに掛かって来い」。そんな叫び声に呼応するかの様に姿を見せたのは、4人の男女(光通者テンニ、光波神サイン、炎通者ショクミョウ、闇通者テンゲン)だった。
「悪いけど、俺は光ってるヤツが大嫌いなんだ」。ライル≒ランスロットの大剣が光通者と光波神を薙ぎ払う。「俺達にも守りたい場所がある」。そんな炎通者と闇通者との決着は、一瞬にしてついた。「甘ったれたこと言ってんな」。
●“完全なる落日:ライルII”より
悪いけど、俺は光ってるヤツが大嫌いなんだ。ライルの大剣が薙ぎ払う光通者と光波神。俺達にも守りたい場所がある。そんなライルに立ち向かう炎通者と闇通者。だったら、守ってみせろって。決着は、一瞬にしてついた。甘ったれたこと言ってんな。
4人を一蹴したライル≒ランスロットの前に北魔王アマイモンが立ちはだかる。「本館には行かせねぇよ」。無数の銃声が鳴り響く。「犬っころはお手でもしてろ」。だが、ライル≒ランスロットが差し出した左手は、すでに力が入っていなかった。
「勝てる戦いには興味ねぇが、これも俺の役目だ」。振られ続けるアマイモンの尻尾は、興奮の表れ。「始めようか、レッツ、ハッピー」。
●“完全なる落日:ライルIII”より
本館には行かせねぇよ。無数の銃声が鳴り響く。犬っころはお手でもしてろ。だが、差し出した左手には既に力が入っていなかった。勝てる戦いには興味ねぇが、これも俺の役目だ。振られ続ける尻尾は、興奮の表れ。始めようか、レッツ、ハッピー。
ライルとの交戦中、アマイモンは今の教団がクロウリーを捨てようとしていることを理解していることを語る。クロウリーの居場所を守るために戦うアマイモン。
そして、そんな戦いを1匹の竜が引き裂いた。「ねぇ、僕も混ぜてよ」。
元特務竜隊<SDF>の一員である極楽竜ジョーイの槍がライル≒ランスロットの左足に刺さり、右足は北魔王アマイモンの弾丸が撃ち抜いた。
●“完全なる落日:ライルV”より
こんなの、聞いてねーよ。あはは。左足に突き刺さる極楽竜の槍。勝ちだ。右足を打ち抜いた北魔王の弾丸。オレ、格好悪ぃ。崩れ落ちるライル。だが、そんな傷だらけの体を支えたのは火竜を連れた竜だった。人間にしては、なかなかやるみたいだな。
「オレ、格好悪ぃ」。崩れ落ちるライル。だが、そんな傷だらけの体を、火竜(オズ)を連れた古竜王ノアが支える。
ノアはジョーイを追い払い、ライル≒ランスロットは北魔王アマイモンを撃退することに成功するのだった。
●“完全なる落日:終章I”より
退避した極楽竜と、逃げることのない北魔王。その覚悟に、恥じぬ最後をくれてやろう。燃え盛る炎。これが、オマエの覚悟なんだな。ライルの問いに、ニヤリと返した炎。そして、力なき聖剣が切り裂く北魔王の信念。尻尾振る相手を、間違えんな。
特務竜隊<SDF>の一員である極楽竜ジョーイは、黄昏の審判の際に戦ったライル≒ランスロットとの再戦を望み、首筋に埋め込まれた生体管理チップを引きずり出し、世界評議会の施設である訓練場から逃げ出し、特務竜隊<SDF>を離脱した。
ライルが教団に向かったことを教えたのは、新生世界評議会の最高幹部である屠竜者ベオウルフだった。
●“極楽の竜III”より
あそこに行けば、もう一度彼に出会うことが出来るよ。そう、それは悪魔の囁きだった。だから極楽竜は施設を抜け出した。これで、まずは一匹の竜が消えてくれたね。悪魔の囁き、それは人であり、竜である男の囁き。すべては、屠竜者の描く未来へ。
▲北魔王アマイモン。 |
▲北従者アマイモン。 |
●高野メモ
最後に作った旧四魔王でした。メモには「アリトン:美形クール/パイモン:◯◯/オリエンス:○○スマイル、ってきているので、ギンジばりなドキュンなオラオラにしたいです。」って書いてありました(笑)。
再醒進化は、いろいろな場所で何度か話したのですが、弾痕のエフェクトが二次元と三次元を繋いでいて、これも1位2位を争うくらいにお気に入りの演出です。
タトゥーを消すのではなく、つけられた傷に自分でもう1本足しちゃうあたり、アマイモンらしくて好きです。
●デザイナーコメント(UCMMさん)
ギンジもお気に入りで自分はこの手のオラオラキャラが好きなのかノリノリで描いた記憶があります。怖そうでどこかかわいげある、いい奴です。
再醒ではそんなかわいさを一切消して本気でかっこいいアマイモンにしようと気合を入れて描きました。
オリエンスと合わせてオフラインイベントでの発表前日ギリギリまで描いていて、発表された瞬間なんか安心感で泣いてしまいそうになりました(笑)。
四大魔王であるアリトン、オリエンス、アマイモンが敗れたことで“完全な落日”が訪れ、メイザースが真教祖に就任した。
そのころ、教団本部の本館前にノアとライル、ミドリが到着。
地下から響き渡る歓声を聞いたノアは、“竜が神に敗れた時、そこに存在していた例外”、すなわち竜でありながら、竜を裏切り、神に味方したメイザースを許すことはできないと、火竜となったオズとともに地下祭壇へと向かう。
「だったら、お姫様(カナン)は私が助けに行くね」「きっとね、あの子(ドロシー)はあなたと出会えて、幸せだったと思うんだ。だからこれは、私からの恩返しだよ」。ミドリは体を捨てた火竜(オズ)へと恩返しを口にし、地下牢を目指すことに。
●“黄金の夜明け:序章III”より
だったら、お姫様は私が助けに行くね。それは、いつかの恩返し。だって、あなたの大切な人なんでしょ。それは体を捨てた火竜へと向けられていた。きっとね、あの子はあなたと出会えて、幸せだったと思うんだ。だからこれは、私からの恩返しだよ。
少し遅れて到着したオリナ=ラモラックは、ライル≒ランスロットとともに鞘を回収するために宝物庫へ。2人は、アスル=ブルーノが姿を現さないことを気にかけていた。
姿を現さなかったのは、アスル=ブルーノだけではなかった。周囲が不安に感じる中、さらに遅れて現れたアオトの服は赤色に染まっていた。そして、そんなアオトに肩を貸すアリトン。
アオトは仲間たちに、自分の弟であるアリトンを紹介。アリトンは「僕は、弟でもなければ、西魔王でもない。だから僕はね、僕の戦いの続きを始めるよ」と、旧教祖であるクロウリーから与えられた特別な任務の続き=教団を壊滅するために動き始めるのだった。
●“黄金の夜明け:序章VI”より
ちゃんと挨拶しなって。だが、目を逸らすアリトン、あえて何も聞かない仲間達。そして、そっと発せられた言葉。僕は、弟でもなければ、西魔王でもない。だから僕はね、僕の戦いの続きを始めるよ。それは、旧教祖が与えた特別な任務の続きだった。
メイザースは教団の各所に監視カメラを設置しており、四大魔王が敗北する様子などを把握していた。
この時、何者かによって南館の監視カメラが壊された。そのおかげで、のちにボームやカカシたちは本部に侵入することができ、ミドリの窮地を救うことができたのだった。
この謎の人物は、ノアやミドリたちが地下祭壇や地下牢を目指して出発した後にも姿を見せている。誰もいなくなった本館へ、北館からの通路を通って現れた謎の人影。
その正体は、姿を消していた南魔王パイモン。彼女はクロウリーを救うため、南館から侵入し、教団本部で暗躍していた。
●“ソロモン:サウス”のプロフィール
西魔王が横たわる西館の隠し部屋、東魔王の心が打ち砕かれた東館、北魔王の信念が切裂かれた北館。そんな三つのモニターに、教団員の視線と心は釘付けだった。そして、誰の興味の対象でもなかった平和で静かな南館に設置されたカメラが一瞬だけ捕らえた人影。直後、モニターが映し出したのは、ただの砂嵐だった。
●“ソロモン:ウエスト”のプロフィール
君の行動は、想定内だったよ。メイザースは少し遅れて映されていた西館から続く隠し部屋をモニター越しに見つめていた。君の役目は、果されたんだ。西魔王に差し向けられた西魔王。そして君は、永遠に語り継がれるだろう。教団の為に死んだ、完全な存在としてね。あがいても無駄さ、逃げ道はどこにもないんだよ。
●“ソロモン:イースト”のプロフィール
メイザースのすぐ近く、新たな東魔王はそこにいた。君の代わりは、すでに用意してあるから。見つめた先は東館を映したモニター。こうなることは、初めから知っていただろ。なのに、どうしてそんな瞳をしているんだい。その問いは、共にモニターを見つめる堕風才に向けられていた。さぁ、お別れの言葉を贈るんだ。
●“ソロモン:ノース”のプロフィール
ドラマは、こうじゃなくちゃ。北館を映すモニターには、予期していた乱入者の姿があった。やっぱり、姫様を取り返しに来たんだね。浮かべたのは余裕の笑み。それとも、僕を始末しに来たのかな。崩れない笑み。いいよ、もっと派手に暴れてよ。抑えることの出来ない笑み。僕はずっと、君達に会いたかったんだから。
地下祭壇を目指す古竜王ノアの行く手を阻む二人の水の魔物(堕水才シュレディンガー、水波神サフェス)。
シュレディンガーたちを引き受けたのは、アオトとアリトンだった。ノアは先を急ぎ、アオトとアリトンはサフェスと刃を交える。
アオトはアリトンを守りながら、「君は、悪魔なんかじゃないよ」と語る。「あの日、僕は逃げた。だけど君は、逃げなかった。悪魔になるべきは、僕だったんだ」。アオトはすべての罪を留めようとしていたのだった。
●“黄金の夜明け:アオトIV”より
水の刃を弾いたのは、アオトの刀だった。君は、悪魔なんかじゃないよ。傷ついた体が抱き起こしたアリトンの体。あの日、僕は逃げた。だけど君は、逃げなかった。悪魔になるべきは、僕だったんだ。アオトは全ての罪を留めようとしていたのだった。
そして、そんな2人を前に堕水才シュレディンガーの動きは止まっていた。「違う、違う、違う、違う、違う、違う」。堕水才の脳裏を埋め尽くす言葉。
彼の瞳に映し出されていたアオトたちの瞳は、あの日の瞳ではなかった。蒼き兄弟の瞳は、ともに濁ることなく、澄み切っていたのだった。
アオトたちは、その隙を見逃しはせず、堕水才シュレディンガーを打ち倒す。彼の初恋は、最高の形で終わりを迎えたのだった。
●“黄金の夜明け:アオトVI”より
違う、違う、違う、違う、違う、違う、堕水才の脳裏を埋め尽くす言葉。だが、蒼き兄弟はその隙を見逃しはしなかった。あの日覚えた初恋は、恋する人の手により、終わりを迎えた。それ故に、堕水才の初恋は最高の形で終わりを迎えたのだった。
竜界の姫である 永久竜カナンが囚われていた地下牢に到着したミドリは、雷帝竜イヴァンと交戦する。
だが、ミドリに残された体力は限界を迎えようとしていた。棍を握る力は抜け、立つことに精一杯となったミドリは窮地に陥る。
●“黄金の夜明け:ミドリV”より
だが、ミドリに残された体力は限界を迎えようとしていた。なによ、偉そうなこと言ったって、所詮は人間ね。棍を握る力は抜け、立つことに精一杯だった。そろそろ、死んでもらおうかしら。雷帝竜の最後の一撃が轟く。やっぱり、心は一緒なんだ。
雷帝竜イヴァンの最後の一撃を受けとめたのは、古ぼけた機械(道化機ブリキ)だった。
●“黄金の夜明け:ミドリVI”より
最後の一撃を受けとめたのは、古ぼけた機械だった。本日に限り、当園のパレードは出張とさせて頂きます。ウサギのきぐるみは告げる。小さな犬は獣を呼び出し、背の高い案山子は風の刃を、翼の獅子はその鋭い牙を、それぞれの想いを放つのだった。
「本日に限り、当園のパレードは出張とさせて頂きます」。ウサギのきぐるみ(道化者ボーム)は告げる。小さな犬(道化犬トト)は獣を呼び出し、背の高い案山子(道化魔カカシ)は風の刃を、翼の獅子(道化獣レオン)はその鋭い牙を、それぞれの想いを放つのだった。
「みんながね、どうしても行きたいって言うんだ」。言葉ではなく、道化嬢ドロシーの心の声がミドリに届く。
こうしてイヴァンは撃退され、カナンは地下牢から救出されたのだった。
●“黄金の夜明け:ミドリVII”より
みんながね、どうしても行きたいって言うんだ。それは、言葉ではなく、心の声だった。誰かが監視カメラを壊してくれたおかげで助かったよ。牢屋の扉が開かれると共に、響き渡る竜の咆哮。救出された竜界の姫は、少し複雑な表情を浮かべていた。
地下牢に向かうミドリの前に姿を見せた堕風才ラプラスは、「あの子(オリエンス)を倒してくれてありがとう。もし、あなたが倒せなかったら、その時は」と、礼を述べる。
●“黄金の夜明け:ミドリII”より
それは恩師の親友であり、かつての仲間の産みの親だったからだった。私はあなたのこと、止めなきゃいけない。構えた棍。だが、堕風才はその道をあっさりと明け渡した。あの子を倒してくれてありがとう。もし、あなたが倒せなかったら、その時は。
誰だって、友達を自分の手にかけたくはない、それは堕風才も同じだった。
ミドリにとって堕風才ラプラスは、恩師である風精王シルフの親友であり、かつての仲間であるマイカゼ:カグラの産みの親。2人は初めての出会いなのに、初めて会った気がしないと言葉を交わした。
●“黄金の夜明け:ミドリIII”より
誰だって、友達を自分の手にかけたくはない、それは堕風才も同じだった。ウチもあの時、そうしたくなかった、沢山反対したヨ。だが、離れていた時間は長すぎた。今さら、私は誰も信じることは出来ない。だから私は、あの日の自分だけを信じるの。
聖剣の鞘を目指して宝物庫へ向かったライル≒ランスロットとオリナ=ラモラックをさえぎったのは、執事竜ティルソンだった。
「君たちが探しているのは、聖なる鞘かな、それともこの少年かな」。ティルソンは、傷ついたアスル=ブルーノの体を投げ捨てる。
最悪の形で果された再会。「絶対許さない」「よっぽど殺されたいみたいだな」と、怒りをあらわにするライルたち。
●“黄金の夜明け:オリナII”より
君たちが探しているのは、聖なる鞘かな、それともこの少年かな。二人の前に立ちふさがったのは執事竜。そして、目の前に投げ捨てられたアスル。最悪の形で果された再会。絶対許さない。よっぽど殺されたいみたいだな。二人は、怒りを露にした。
「たった二人で何が出来るというのだ」。執事竜ティルソンの背後から現れた新たな四大魔王の南魔王アザエルと東魔王サマエル。
3対2で余裕の笑みを浮かべるティルソンたちだったが、その直後、笑みは焦りに変わった。
「悪いけどさ、二人だけじゃねーんだ、出て来いよ」。傷だらけの旧北魔王(アマイモン)が加わったが、オリナたちの劣勢に変わりはなかった。
●“黄金の夜明け:オリナIII”より
たった二人で何が出来るというのだ。執事竜の背後から現れた新南魔王と新東魔王。余裕の笑みを浮かべる三人。悪いけどさ、二人だけじゃねーんだ、出て来いよ。直後笑みは焦りに変わった。なぜ、貴様がここに。派手にいくぜ、レッツ、ハッピー。
●“黄金の夜明け:オリナIV”より
そこには、傷だらけの旧北魔王が重火器を構えていた。あのまま死んでいれば、完全な存在になれたというのに。死ぬのはテメェの方だ。だが、一人加わったところで、オリナ達の劣勢に変わりはなかった。もう一人加わったら、どうなるかな、けひひ。
「もう一人加わったら、どうなるかな、けひひ」。旧東魔王(オリエンス)もオリナたちに加勢する。「私はあんたらを助けたいんじゃない、こいつらが許せないだけ」。
攻防戦が続く中、ティルソンは鞘がすでに宝物庫から運び出されたことを告げる。動揺するオリナだが、ライルの言葉が核心を突く。「だったら、なんでオマエらがここで道塞いでんだよ」「この先には、大切な何かがあるんだろう」。
●“黄金の夜明け:オリナVI”より
すでに、鞘は宝物庫から運び出された後だった。そんなことって。動揺するオリナ。君たちが来ることは、初めからわかっていたよ。だったら、なんでオマエらがここで道塞いでんだよ。ライルが突いた核心。この先には、大切な何かがあるんだろう。
その言葉で活気を取り戻したのは、この先にクロウリーが幽閉されている確信を得た旧魔王2人だった。
その時、地下祭壇へ向かったはずの古竜王ノアの咆哮が響きわたり、オリナたちは危機を察知する。アスル=ブルーノを抱えて逃げるオリナとライルは、南魔王パイモンとすれ違う。
●“黄金の夜明け:オリナVII”より
その言葉で活気を取り戻したのは旧魔王二人だった。聞こえた竜の咆哮。チビを抱えて逃げろ。オリナ達とすれ違う人影。ここは俺達が食い止める。旧北魔王は銃声を響かせる。だから、あんたが迎えに行きなさい。旧東魔王は人影を見送ったのだった。
「ここは俺達が食い止める」「だから、あんたが迎えに行きなさい」。アマイモンとオリエンスはティルソンを引き受け、パイモンは宝物庫に幽閉されたクロウリーを助け出したのだった。
「なぜ、お前がここに」。驚くクロウリーに対して、「約束を忘れてしまったのですか」と南従者パイモンは優しい微笑みを浮かべた。
「なぜだと、聞いているんだ」。その微笑みの返事にと、流れたのは大粒の涙。真っ暗な地下宝物庫で果された再会。
そしてパイモンは、小さな体をそっと抱き寄せる。「ずっと側にいるって、約束したじゃありませんか」と。
●“黄金の夜明け:終章I”より
みなみまおーは、ずっといっしょにいてくれますか。それは、幼き日に交わした何気ない約束。だが、少女は幾つ歳を重ねようと、その約束を忘れることはなかった。そして、そんな約束を交わした相手もまた、二人の約束を忘れることはなかった。
「みなみまおーは、ずっといっしょにいてくれますか」。それは、幼き日に交わした何気ない約束。だが、少女は幾つ歳を重ねようと、その約束を忘れることはなかった。
そして、そんな約束を交わした相手もまた、2人の約束を忘れることはなかった。
▲南魔王パイモン。 |
▲南従者パイモン。 |
●高野メモ
パイモンだし、◯◯で! とふざけて話していたら、本当に◯◯になりました。再醒進化は、アリトン同様、イチノセさんにラフを作ってもらい、以後は北乃さんが引き受けてくれました。
パイモンの再醒進化だけは、どうしても事前に告知をして欲しくなくて、「実装と同時に告知をして欲しい!」と頼んだのを覚えています。
すごい喜んでもらえたのを実感して、“ただ情報を出す”のではなく、「情報の出し方も『ディバゲ』らしくできたら」と思ったキャラクターでした。
●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)
ぼくは◯◯がいっぱい描ければそれでよかったので、いっぱい満足でした。再醒は北乃さんの実力なら、ゼロからデザインできたほうが楽だったかと思いますが、上手くハンドリングできず、ご迷惑をおかけしました。
●デザイナーコメント(北乃友利さん)
パイモンのパイモンたる部分に注意しつつ、こちらも頂いたラフから起こしました。再醒前とは随分と装いが変わっていて、長らく姿をくらませていた間に一体何があったんでしょうか、きっといろいろあったんでしょう。
そんな彼女ですが、2周年イベントの時に再醒が発表される従者たちの中で一人だけまだ伏せられていて、後にサプライズ再醒できた時にはやっとクロウリーや仲間たちと再会できたねぇ! と嬉しくなりました。
シュレディンガーとサフェスをアオトたちにまかせた後、古竜王ノアは地下祭壇を目指していた。
地下道に立ちはばかる無数の教団員に対して、「まずは、僕の魔法をご覧下さい」と、火竜になったオズが指先を鳴らす。そこに現れたのは、炎が模したオズの家族たち。三つ編みの少女(道化嬢ドロシー)と、小さな犬(道化犬トト)、背の高い案山子(道化魔カカシ)と、翼の獅子(道化獣レオン)、古ぼけた機械(道化機ブリキ)だった。
●“黄金の夜明け:ノアII”より
それでは、先に進ませてもらおうか。続く地下道、立ちはばかる無数の教団員。まずは、僕の魔法をご覧下さい。オズが鳴らした指先。そこに現れたのは、炎が模した三つ編みの少女と、小さな犬、背の高い案山子と、翼の獅子、古ぼけた機械だった。
六つの炎が切り開く王の道を進むノアの頭を「あの日、お前を連れ戻していたら」と後悔が過ぎるが、その後悔は、すぐに温かな炎が燃やし尽くした。「もし、そうしていたら、お前は皆と、出会えなかったんだな」。
「久しぶりだね、古の竜王様。そして、出来損ないの道化竜もね」。踏み入れた地下祭壇の先には、真教祖メイザースが鎮座していた
●“黄金の夜明け:ノアV”より
始まった攻防戦。君は、王に相応しくないよ。だが、ノアは動じなかった。あぁ、知っている。その言葉の込められた意味。僕が、統べる者になる。無数に湧き出る教団員。私は王様失格だからな。古の竜王は、古へと帰る覚悟を決めていたのだった。
●“黄金の夜明け:ノアVI”より
私は王でありながら、あるまじき道を選んでしまった。その証拠が寄り添う罪深き道化竜だった。まさか、初めから。焦りを隠せない真教祖が出したのは各教団員への避難勧告。だから、私は古の竜王なんだ。新しい時代は、貴様以外の誰かに任せよう。
●“黄金の夜明け:ノアVII”より
グリモア教団本部全域に轟く竜の咆哮。それは炎となり、辺りを紅く包み込む。もうじき、ここも崩れるだろう。その咆哮は、あらかじめ決められていた脱出の合図。私達はもう、今の時代に必要ないんだ。紅く染まる言葉。だから、共に眠るとしよう。
●“黄金の夜明け:ノアVIII”より
鳴り止んだ竜の咆哮、いつまでも燃え盛る炎が照らし出したのは夜明け。この日、グリモア教団本部は全壊した。そして、一夜明けようとも、五夜明けようとも、十夜明けようとも、古竜王ノアと、従えた道化の火竜が竜界の玉座に戻ることはなかった。
古へと帰る覚悟を決めていた古竜王ノア。その激しい咆哮はグリモア教団本部全域に轟いた。その咆哮は炎となり、辺りを紅く包み込む。
「私達はもう、今の時代に必要ないんだ」。紅く染まる言葉。「だから、共に眠るとしよう」。
この日、グリモア教団本部は全壊した。そして、古竜王ノアと、彼女が従えた道化の火竜が竜界の玉座に戻ることはなかった。
ノアは教団を燃やし尽くす覚悟をしており、アオトやミドリたちには、あらかじめ脱出の合図を教えていた。その合図とは、激しい咆哮だった。
宝物庫でこの咆哮を聞いたオリナとライルが、アスルを抱えて急いで脱出したのは、このためである。
アオトは教団本部でのシュレディンガーとの戦いの後、ミドリは地下牢でカナンを救い出した際に、それぞれこの咆哮を聞き、脱出を急いだ。
牢屋の扉が開かれるとともに響きわたった、祖母である竜(ノア)の咆哮を聞いたカナンは、少し複雑な表情を浮かべていた。
南従者パイモンに手を引かれ、教団本部を脱出したクロウリーは「私はもう、教祖ではないのだ」と涙ながらに訴える。
「ええ、存じております。だから私は、南魔王ではなく、南従者なのです。そして、私だけではなく、きっと彼らも同じはずです」。2人は崩れ行く教団を眺めながら、かつての3人を待っていた。
●“黄金の夜明け:終章III”より
私はもう、教祖ではないのだ。旧教祖は涙ながらに訴える。ええ、存じております。だから私は、南魔王ではなく、南従者なのです。そして、私だけではなく、きっと彼らも同じはずです。二人は崩れ行く教団を眺めながら、かつての三人を待っていた。
「ほら、見てください」。南従者の一声は、旧教祖の視線を誘導するに十分だった。西から男が1人(西従者アリトン)、北から男が1人(北従者アマイモン)、東から女が1人(東従者オリエンス)、装いを新たにした3人が、再び一つの場所へと集まろうとしていたのだった。
「そしてほら、もうじき、夜が明けますよ」。崩壊した教団を見下ろす、元教祖であるクロウリー。「私達は、不完全な世界に生きるんだ」「さぁ、ここからもう一度始めよう」。
本来は真教祖メイザースが教団を掌握することで訪れるはずだった“黄金の夜明け”は、金髪の少女と、4人の従者のもとへ訪れていた。
●“黄金の夜明け:終章VIII”より
崩れ落ちた砂上の楼閣を見下ろす旧教祖。そして、再び集った四人の従者は、それぞれの想いで思い出に手を振る。私達は、不完全な世界に生きるんだ。風になびく金色の髪。さぁ、ここからもう一度始めよう。そこには、黄金の夜明けが訪れていた。
東従者オリエンスは教団との決別のため、自らの左目をえぐった。そして、堕風才ラプラスに「私とあなたは、選んだ居場所が違った、それだけの話よ。いつかまた、会いましょう」と告げ、クロウリーと合流する。
●“黄金の夜明け:終章IV”より
教団を後にした旧東魔王の後ろ、ふと姿を現した堕風才。全部知ってたのね。口を閉ざしたままの堕風才。今更、ごめんなさいだなんて聞きたくない。遮られた言葉。私とあなたは、選んだ居場所が違った、それだけの話よ。いつかまた、会いましょう。
兄であるアオトに別れを告げた西従者アリトンは、流水獣マリナの待つ浜辺へ。新西魔王の手にかかった水通者ロジンを抱きかかえ、そっと海へ浮かべ、「さよなら」と別れを告げるのだった。
●“黄金の夜明け:終章V”より
兄に別れを告げた旧西魔王は流水獣の待つ浜辺へ。そこで待っていたのは、流水獣だけではなかった。もう一人の待ち人を抱きかかえ、そっと海へ。さよなら。水面に浮かぶ体。最高の現世はまだ終わらないよ。そして、繋いだ手は解かれたのだった。
北従者アマイモンは、左腕に残ったグリモア教団の紋章のタトゥーにもう一筋の傷を足し、教団との決別を示した。
●“黄金の夜明け:終章VI”より
旧北魔王は左腕に残った傷跡に、もう一筋の傷を足した。これで、お別れだ。そして首輪に手を伸ばし、自らの手でベルトを締めた。これは服従の証なんかじゃない、忠誠の証だ。これから始まる未来、振られた尻尾は、振り止むことを忘れていた。
そして首輪に手を伸ばし、自らの手でベルトを締めた。「これは服従の証なんかじゃない、忠誠の証だ」。これから始まる未来、振られた尻尾は、振り止むことを忘れていた。
崩壊する教団から脱出したオリナとライル、アスル。彼らに、鞘の奪還を失敗したことを悔いている暇はなかった。聖王アーサー奪還のために他の円卓の騎士たちはすでに動き始めていたのだった。その物語は、第三章“大いなる「希望」=「絶望」”で詳しく語られる。
遠く離れた丘の上から、崩れる教団本部を見守るミドリとカナン。いつの間にか鳴き止んでいた竜の咆哮。永久竜カナンは、「そういう、ことなのね」と、ただ悲しい瞳で見守るのだった。
「見届けてやれよ」。ミドリたちのすぐ横には竜神ヒスイの姿があった。
「見届けたら、俺について来い」。こうしてミドリたちは、ノアという王を失った竜界へ向かうことになる。
アオトとアリトンは、崩れ落ちる教団本部を背に約束を交わした。「僕はこれからも、アオトとして生き続ける」。それは弟の自由のために。
「僕はこれからも、アリトンとして生き続ける」。それは罪を償うために。兄に別れを告げたアリトンは、クロウリーの従者として従うのだった。
一方、ノアの炎によって壊滅的なダージを受けたグリモア教団だったが、メイザースやティルソン、イヴァンは健在だった。
ロジンは名もなき新西魔王によって命を落とし、その指示を受けていたマリナは教団から離脱。また、サイキックスの1人だった風通神ジンソクは、教団を離脱して個人配達屋を始めていた。
魔界の魔参謀長ファティマに届けられた、グリモア教団本部の崩壊が記された報告書。それを記したのは、水波神サフェスだった。
運び出されることなく教団本部から姿を消した鞘。とある実験のあと、殺されず、生かされていた旧教祖。そして、未だ不明確ではあるが、鞘が持つという効力。それらの報告を読んだファティマは、「なるほど、そういうことだったのね」と、次の一手を考え始めたのだった。
自室に戻ったファティマの元に訪れた来訪者は、新世界評議会の六聖人である水聖人ヨハン。ヨハンはファティマに“世界の決断”を伝えるのだった。
●“魔なる参謀長”より
報告を終え、自室へと戻ったファティマの元へと訪れた来客者。それで、世界はどのような決断を下したのかしら。僕が前から話してるとおりだよ。それはあなたにとって、つまらない世界よね。その一言は、世界の決断を鈍らすのに十分なものだった。
戦いを終えたライル≒ランスロットは、精参謀長ヴィヴィアンにひざまくらをされながら、教団本部崩壊の一部始終を語っていた。
真教祖も古竜王も行方不明のまま。ライルは事件がまだ終わっていないと感じていた。
「そしてね、最後にもう一つ、気になる話があるんだ」。それは、殺されることのなかった旧教祖クロウリーに対する言及。「私はまだ、納得いってないんだよね。運び出された鞘と、殺されなかった旧教祖。もし、その仮説が正しかったとしても、それは意味のないことだから。やっぱり、まだなにか残されていると思う」。
そんな折、自分の出生の秘密を知った光妖精王ヒカリがヴィヴィアンのもとを訪れる。
「私にはお兄ちゃんもお姉ちゃんもいません。いるのはパパとママだけです。それは、今も変わりません」。1人の人間として生きてきたヒカリにとって、本当の両親は自分を育ててくれたパパとママだけだった。
「だけど、私には兄(アーサー)と姉(モルガン)、父(オベロン)と母がいます。それも、今は変わらない事実なんです」。オベロンを父に、アーサーとモルガンという異母兄と実姉を持つことの意味を、ヒカリは自覚していた。
ヴィヴィアンたちが蘇生させたヴラドは、ヒカリに「嬢ちゃんはありのままの事実を受け入れたいのか、それとも否定したいのか」と告げ、死という事実が否定された、死ぬことのできない2人の王様の昔話を聞かせることに。
ヴラドとオベロンをめぐるその物語は、第四章“聖戦”で詳しく描かれることになる。
もともと二章は聖戦の話にいこうと思っていたのですが、なにやらいろいろと準備をしていたら教団まわりの話が膨れ上がってしまったので、二章を教団の話に変更しました。
“完全なる落日”と“黄金の夜明け”が前後の話になるのですが、黄金の夜明けの最後に書きたかったシーンは決まっていたので、わりとすんなり進んだ気がします。
それでも結構なボリュームだったので時間がかかりましたが(笑)。
たしかこのあたりから、クエストのほうのテキストには実名を使うようになりました。
アオトやミドリ、ノアなどがいわゆる“味方”であり、クロウリーや四大魔王はいわゆる“敵”の立場であったにもかかわらず、クロウリーたちの応援をしている人が多かったイメージです。
後の聖戦でもそうなのですが、『ディバゲ』では正義の反対もまた別の正義、というのを気にするようにしていて、それはこの教団編でもハマったかなと思いますし、自分もクロウリーたちのことが大好きになりました。
もちろん、いい悪役として活躍してくれたティルソンのことも好きになりました(笑)。
【第三章“大いなる「希望=絶望」”は4月29日(土)夕方ごろに公開予定です】
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