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2017年5月9日(火)

『FGO』スタッフ座談会の模様をお届け。女性スタッフが考えるこだわりとは【マチ★アソビvol.18】

文:イトヤン

 徳島県徳島市で5月5日~7日に開催されている“マチ★アソビ vol.18”。ここでは5月6日にufotable CINEMAで行われた、“『Fate/Grand Order』スタッフ座談会 in マチ★アソビ vol.18”の模様をお届けします。

“『Fate/Grand Order』スタッフ座談会 in マチ★アソビ vol.18”

 過去のマチ★アソビでは、FGO PROJECTクリエイティブディレクターの塩川洋介さんが『Fate/Grand Order(フェイト/グランド・オーダー)(以下、『FGO』)』について語るクリエイターズトークという形で、ファンにはすっかりおなじみのイベントとなっていました。ところが今回は、ひと味違ったスタイルで展開されることに。

 イベントがスタートすると、『FGO』の企画・開発・運営を担当しているディライトワークスとアニプレックスの女性スタッフが登壇。ディライトワークスの佐藤さん、堀江さん、山村さん、そしてアニプレックスの黒﨑さんという計4名で『FGO』について語り合う、座談会形式となっていました。

 4名の皆さんはそれぞれ、“Quick”や“Buster”の文字が書かれたおそろいのパーカーを着て登場。これはもちろん、『FGO』で使用されるコマンドカードを表しているのですが、4名なのになぜか“Arts”を着ている人がいなくて、3種類のカードすべてがそろっていないというがおもしろいところです。

 ちなみに、イベントの後半で明かされたのですが、この4名の皆さんには“コマンドカード娘。”というユニット名がつけられているとのことでした。

『FGO』にかかわる女性スタッフ4名のお仕事とは?

 座談会の最初の話題は自己紹介も兼ねて、『FGO』で各自が果たしている役割を、観客の皆さんに説明することになりました。

 ディライトワークスの佐藤さんはゲームの開発スタッフとして、プロジェクトマネージャーとバトルキャラクターの実装を担当しているとのこと。

 佐藤さんによるとプロジェクトマネージャーは進行を管理したり、開発上の問題をチェックしてスムーズに開発が進むようにしたりする役割だそうです。

 一方、バトルキャラクターの実装は文字どおり、バトルシーンに登場するサーヴァントの実装を行うお仕事です。会場では、クー・フーリン(ランサー)のバトルモーションをリニューアルする際の映像を使って、実際の作業の内容を紹介していました。

 まず最初にサーヴァント、この場合はクー・フーリンがどのようなアクションを行うのかという絵コンテを、TYPE-MOONが作成するとのこと。それをもとにして、デザイナーがCGモデルのアニメーションを制作します。さらに、攻撃などのカメラワークやSE(効果音)などをつけることが、佐藤さんの役割なのだそうです。

 次に堀江さんは、ディライトワークスで『FGO』の広報を担当されています。広報のお仕事は、プレスリリースと呼ばれる公式発表の作成や雑誌、WEB媒体への情報提供、それらに掲載される素材の提供や情報の確認といったものになります。筆者のようなゲームメディアの窓口となってくれるお仕事です。

 また堀江さんは、公式サイトで連載されているリヨさんのコミック『もっと!マンガで分かるFate/Grand Order』のプレスリリースにも携わっているそうです。

 一方、山村さんはディライトワークスで『FGO』の宣伝を担当されています。アニプレックスと共同して『FGO』の宣伝活動を企画しているという山村さんのお仕事はまず、このマチ★アソビのようなリアルイベントの企画・準備・運営だそうです。

 これには、マチ★アソビや3月に東京で行われたAnimeJapan 2017への出展といったものだけでなく、“FGO 夏祭り2016 ~1st Anniversary~”のように、自分たち自身で企画から運営までを行うイベントもあるとのこと。

 また山村さんは、ニコニコ生放送の“カルデア放送局”や“超!A&G+”の“カルデア・ラジオ局”なども担当されているそうです。

 山村さんによると、宣伝チームが大事にしていることは“『FGO』を愛してくださっているマスターの皆さんに、どうやって感謝の気持ちをお返しするか”ということだそうです。『FGO』が好きな人の心に刺さるようなことを、今後も企画していきたいと語っていました。

 アニプレックスの黒﨑さんは、7月から放送が開始されるTVアニメ『Fate/Apocrypha』のプロデューサーも務めている方です。『FGO』では映像/楽曲制作担当として、TV-CMや2016年末に放送されたTVアニメといったなどアニメーションの発注やディレクション、さらにボーカル曲の制作などを行っているとのこと。

 ちなみに、『FGO』のBGMの制作はTYPE-MOONで行っているそうですが、そうしたBGMをサウンドトラックとして発売することも、黒﨑さんのお仕事だそうです。

宝具動画の撮影にも、細かなこだわりが!

 続いて、各自のお仕事をより具体的に説明するために、5月24日まで開催中のFate/EXTRA CCC×Fate/Grand Orderスペシャルイベント“深海電脳楽土 SE.RA.PH”(以下、CCCイベント)において、どんなパートを受け持ったのかが紹介されました。

 佐藤さんは、エリザベート・バートリー(ランサー)とロビンフッドのリニューアル、さらに鈴鹿御前の実装を担当したとのこと。また、公式サイトなどでCCCイベントを紹介するスクリーンショットを撮影することも佐藤さんのお仕事で、ニコ生の放送前に配信されている宝具動画も、佐藤さんをはじめとする何人かで分担して撮影されているそうです。

 堀江さんと山村さんのCCCイベントでの大きなお仕事は、4月26日にニコ生で放送された、“Fate/Grand Order カルデア放送局SP Fate/EXTRA CCCスペシャルイベント開催記念放送”だったそうです。また山村さんは、さきほど佐藤さんが説明した宝具動画の撮影を、ご自身でも分担して受け持っていたのだとか。

 山村さんによると、宝具動画の撮影には「宝具の効果で“MISS”という文字を絶対に出さない」といった細かいこだわりがいくつもあり、時間をかけて撮影しているそうです。

 一方、堀江さんは番組で出すスライドのチェックやニコ生放送終了後のプレスリリース配信に携わっていたそうです。山村さんの動画作成にも確認の行程で携わり、時には冷静に指摘する役割なのだとか。サーヴァントの見せ場を最高の状態でお客様に届けるためにするために、宣伝と一緒に奮闘しているそうです。

 映像制作の黒﨑さんは、CCCイベントを紹介するTV-CMで流れるアニメーションの制作を担当したそうです。『Fate/EXTRA CCC』のゲームで使用されたアニメーションを担当していたアニメスタジオがシャフトだったので、CMのアニメもシャフトにお願いしたそうです。

スタッフの皆さんのサーヴァントに対する思い入れは?

 ここからは、4名の皆さんが自身の『FGO』に対するこだわりについて語り合う、“FGOテーマトーク”の時間となりました。

 まずは、4名の皆さんのサポート編成画面を公開して、その組み合わせやサーヴァントの育成ぶりを解説するという内容に。ただ、会場では写真撮影がNGだったため、この記事では詳しくご紹介できないのが残念なところです。

 最初に披露された堀江さんのサポート編成画面では、聖杯がオジマンディアスとガウェインについているなど、スキルと聖杯の行き先がイケメンに偏っているというツッコミが、他の3名や会場から挙がっていました。

 続いて披露された黒﨑さんは、TVアニメの『Fate/Apocrypha』を担当していることもあり、そちらの作品でも登場するサーヴァントをひいきして入れているそうです。また、ベディヴィエールに聖杯がついている点については、「6章のシナリオを終えた後に、初めての聖杯は彼に捧げようと思ったから」と説明していました。

 次に山村さんのサポート編成画面が公開されると、そのやり込みぶりに、会場からは“ガチ勢一歩手前”との声が上がったほど。顔ぶれの中には諸葛孔明もいましたが、山村さんによると「前回の“マチ★アソビvol.17”が終わった時に、徳島空港へ向かうバスの中で、自分へのご褒美で召喚したら来てくれた」とのことです。

 そして最後に登場したのは、佐藤さんのサポート編成画面です。この画面が会場のスクリーンに映し出された瞬間、そのやり込みぶりに、『FGO』のコアファンが集まった客席がザワザワとどよめくほどの衝撃を与えていました。

 それだけやり込んでいる佐藤さんですが、「子ギルに聖杯をつけたらギルガメッシュに進化するんじゃないかと思ってやってみたら、やっぱりダメでした」というユニークなコメントで、会場の笑いを誘っていました。

バトルアクションには、なかなか見られないレアパターンも存在する!?

 続いてのテーマは“おすすめの宝具動画”です。

 黒﨑さんがプッシュしたのは、ギルガメッシュ(キャスター)の“王の号砲(メラム・ディンギル)”です。これを“声に出して言いたい宝具ナンバーワン”と解説した黒﨑さんは「自分もウルクの民の一員として、一緒に詠唱に参加したい」と語っていました。

 山村さんのオススメは、ネロ・クラウディウスの“童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)”です。ネロの背後で黄金劇場が広がる瞬間を初めて見た時に「こんなにキレイな演出があるんだ」と感動したそうです。山村さんは、『Fate/EXTELLA』でのネロとアルテラの展開にも大いに心を動かされたそうで、「私の中でネロは切ってもきれない」とのことでした。

 酒呑童子の“千紫万紅神便鬼毒(せんしばんこう・しんペんきどく)”をあげたのは、堀江さんです。色っぽいボイスやお酒が流れていく色合いなど、「演出が全部好き」という理由を説明していましたが、「桃とブドウがすごく美味しそう」という意外な点にも注目していました。

 佐藤さんはアーサー・ペンドラゴン〔プロトタイプ〕の“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”をあげていましたが、この宝具に関しては開発的なところで、強く記憶に残っているそうです。

 この宝具の演出では、円卓の騎士たちに承認されることで剣のグラフィックがエクスカリバーへと変化するのですが、開発中には承認されてもエクスカリバーにならないというバグがずっと残っていて、修正に苦労したのだとか。もちろん現在公開されているものでは、そのようなことはありません。

 座談会の最後は、“ファンの皆さんにこれだけは伝えたい”という話題になりました。ここで佐藤さんから『FGO』には最近、バトル時のレアパターンが実装されたという話が紹介されました。

 これは、バトル時のボイスやアニメーションがある確率で、通常とは異なるレアなパターンを見られることがあるというものだそうです。会場では、実際に見られる2種類のレアパターンが、動画で紹介されました。

 1つ目は、“ぐだぐだ明治維新”の限定サーヴァント茶々のスキル使用時です。通常のパターンでは、スキルを使用して得意げに胸を張る茶々が、レアパターンでは勢い余って転んでしまうという描写になっています。

 もう1つは、エリザベート・バートリーの宝具“鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)”です。こちらのレアパターンはなんと、攻撃時にエリザベートの発する歌声に「ぼえぇ~」という音声がついているユニークなものでした。

 佐藤さんによると、現在配信しているサーヴァントの中に、いくつかレアパターンのあるものが存在するそうなので、ぜひ発見してみてくださいとのことでした。

 堀江さんからも「どうしてもお伝えしたい」と明らかにされたことは、堀江さんのお仕事の1つとして紹介された「もっとマンガで分かるFate/Grand Order」のチェックに関することです。

 リヨさんがコミックの中で、「ネームがボツになった」とネタにしていますが、堀江さんによると実はあまりボツになってないそうです(笑)。細かい変更はあるものの、たいていのネタはTYPE-MOONさんが「おもしろいからオッケー」で通しているということを、堀江さんはずっと言いたかったと語っていました。

 座談会の最後は、会場の観客からの質問コーナーとなりました。「以前のイベントでヘラクレスのモーションのリニューアルが発表されましたが、実装はまだですか?」という質問に対して、佐藤さんは「現在、粛々と進めさせていただいておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います」と回答していました。

“アガルタの女”の新情報やドレイクの宝具演出リニューアルをサプライズ発表!

 座談会が終了したところで、今回のイベントを会場の最後方から見守っていた塩川洋介さんが、観客の前に登場しました。

 「これからは自分の出番はもうないかな」と語っていた塩川さんでしたが、この人が登場したら……ということで会場のファンの皆さんも期待していた、『FGO』の最新情報が公開されることになりました。

 まず発表されたのは、『FGO』の1.5部となる『Fate/Grand Order -Epic of Remnant-(エピック オブ レムナント)』の最新情報です。

 1.5部の2章目となるエピソードの正式タイトルが“亜種特異点II 伝承地底世界アガルタ アガルタの女”に決定したことが、この場で発表されました。

 塩川さんによると、“アガルタの女”はそのタイトルどおり、女性サーヴァントが多くなっているそうです。そこで会場で公開されたのが、“不夜城のキャスター”と呼ばれる女性サーヴァントのイラストです。

 不夜城のキャスターは、顔をベールで覆った、エキゾチックな雰囲気の女性サーヴァントですが、塩川さんの説明では、彼女は上に掲載している『Epic of Remnant』キービジュアルに、すでに登場しているのだそうです。

 さらにもう1騎、“不夜城のアサシン”と呼ばれる女性サーヴァントのイラストも、会場で公開されました。こちらのサーヴァントはこの日が完全に初出とのこと。

 不夜城のアサシンは、チャイナドレス風の衣装をまとった幼い雰囲気の女性サーヴァントで、いったいどんな英霊なのか気になります。今回公開されたサーヴァントは、現時点ではクラス名しか明かされていないため、「ぜひ真名を考えてみてください」と、塩川さんが語っていました。

 また塩川さんによると、“アガルタの女”の参加条件は、『FGO』終局特異点をクリアしていることになるそうです。「現在開催中のCCCイベントをはじめ、今後の『FGO』では終局特異点をクリアしていないと参加できないものが増えていくので、できるだけ多くの人にクリアしてもらいたい」とのこと。

 塩川さんがデータを調べたところ、『FGO』のプレイヤー全体のうち、6~7割の人が終局特異点をクリアしているそうです。「普通のゲームやスマホゲームで考えたらとんでもない割合」と塩川さんも語っていましたが、さらに多くの人にクリアしてもらいたいそうです。

 また“アガルタの女”の配信時期は、一日も早くお届けしたいと思っているものの、「夏までには配信したい」と語っていました。

 このあとイベントは、観客の皆さんへのプレゼントコーナーやインフォメーションコーナーとなり、これで終わりかと思いきや……最後の挨拶の際に、大きなサプライズが用意されていました。

 佐藤さんの「開発のメンバーから会場の皆さんにプレゼントをお持ちしましたので、こちらをご覧ください」という言葉に続いて、スクリーンに映し出されたのはなんと、フランシス・ドレイクが登場する動画です。ドレイクの宝具“黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)”のリニューアルされた演出が、ここでサプライズ発表されたのです!

 この動画では、背景に大海原が広がる中、ドレイクの立つ海賊船が荒波の中から登場し、激しい砲撃を繰り出す様子がダイナミックに描き出されていました。今回披露されたのはリニューアルされた宝具演出の動画だけで、バトルモーションなどに関する説明はありませんでしたが、どのような形でいつ実装されるのか、さらなる情報が待ち遠しいところです。

 ドレイクの動画が終わったところで、塩川さんが「自分も負けていられないので」と言いながら披露したのは、大胆なセパレートの水着を身につけた、源頼光の設定画です! これを目にした観客の皆さんからは、大きな歓声と拍手が巻き起こっていました。

 塩川さんによると、『FGO』では新しい水着イベントを夏に向けて鋭意制作中とのこと。その中から今回は、まだ開発中の段階ながら、頼光の設定画をこの会場限定で公開したそうです。塩川さんは「これが再臨するとどうなるかにも、期待してください」と語っていました。

 サプライズ発表を終えて、塩川さんがファンへの感謝の気持ちをコメントし、イベントを締めくくりました。

(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT

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