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2017年6月10日(土)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第7章“扉の先へ2”~レプリカとオリジンの最終決戦

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第七章“扉の先へ(2017年4月~)”では、アカネたち(統合世界)とアーサーたち(神界)の戦いを主軸にした最終決戦が展開します。

[6]リヴィア対文明竜。そして、ヒスイとベオウルフの戦い

 画神たちを撃退した聖暦の天才たち。だが、戦いは終わらない。そこに屠竜卿ベオウルフが現れ、戦いの継続を宣言するのだった。

『ディバインゲート』

●“♯01 扉の先へ:屠竜卿”より

 感動の再会はそこまでです。研究所に現れたベオウルフ。彼らもよく頑張ってくれましたよ。その言葉は横たわった画神たちへと。それでは、二回戦を始めましょうか。その体で、いったいいつまで持つでしょうか。本当は回収したかったのですが――。

●“屠竜卿ベオウルフ”のプロフィール

 画神の襲撃を退けた聖暦の天才たち。だが、すでに天才たちの戦力の大半は失われていた。それじゃあ、最後の仕上げといきましょうか。現れたベオウルフ。まずは、裏切り者の君から。飼いならされた竜が襲う堕闇卿。少し遊んであげてください。異なる竜が襲う生まれたての自律兵器。命乞いするなら、いまだけだよ。

 ベオウルフは自我を失った特務竜隊を使役し、裏切り者のヘンペルや生まれたての自律兵器(サミダレ:グスク)を襲わせる。。

 なお、特務竜隊のうち、極楽竜ジョーイのみはライルと戦うために二章で独断行動をとり、隊から離脱していたため、この場には姿を現していない。

●“♯02 扉の先へ:屠竜卿”より

 ――壊してしまいましょう。殲滅対象、研究所及び、レプリカ。さぁ、存分に暴れるがいい。飛来した5つの影。先陣をきって炎を撒き散らしたのは、すでに自我の失われたデラト。竜を手なずけるのは、やはり楽しいものだ。パーティーを始めようか。

●“♯03 扉の先へ:屠竜卿”より

 デラトに続き現れたアング。そしてアングもまた、自我は失われていた。君たちの残りの体力で、いったいいつまで持つだろうか。そう、先の戦いで研究所の戦力は半減していた。命乞いの時間は終わったんだ。ただ這い蹲り、己の無力さを嘆くがいい。

●“♯04 扉の先へ:屠竜卿”より

 ラブーもまた、自我は失われていた。そして、ただ滅びゆく現状に涙を流す。どうか来世は愛に包まれますように。涙すら流さないように、決して苦しむことのないように、逝かせてあげるから。安らかな死、それこそが彼女の愛の形の最終形だった。

●“♯05 扉の先へ:屠竜卿”より

 一方、世界の悲しみを叫び続けるサッド。どうして自分がこうなってしまったのか、いまとなっては考える思考回路すら残されてはいない。だが、それでもサッドは本質的に感じていた。いま世界を襲う悲しみこそ、イマの世界における最後の悲しみと。

●“♯06 扉の先へ:屠竜卿”より

 憎しみにとらわれたヘート。引きずりだすことすら出来なくなった生体管理チップ。憎むべきは己か世界か。だが、そんなことはいまのヘートにとってはどうでもよかった。憎しみの答えにすら興味を示さず、ただ目の前の獲物を狩りたいだけだった。

 壊れ行く研究設備と、失われゆく血。ベオウルフと特務竜隊を前に抵抗すらできない天才たちだったが、ある人物の一太刀が形成を逆転させる。

 「僕は君たちを竜だとは認めない」。増援に現れたのは竜の血を誇りに思うリヴィアだった。

『ディバインゲート』

●“♯07 扉の先へ:屠竜卿”より

 ベオウルフと特務竜隊を前に、抵抗すらままならない残された天才たち。壊れ行く研究設備と、失われゆく血。だが、そんな形勢を逆転させる一太刀。僕は君たちを竜だとは認めない。そう、研究所に現れたのは竜の血を誇りに思うリヴィアだった。

●“♯08 扉の先へ:屠竜卿”より

 怪我人が出てきたところで、なにも変わりやしないよ。リヴィアをあざ笑ってみせたベオウルフ。それでも、君たちくらいの相手なら、いまの僕でも十分だよ。僕を昔の僕だと思わないでね。リヴィアがみせた自信。僕は決して鍛練を怠りはしなかった。

●“♯09 扉の先へ:屠竜卿”より

 リヴィアへと襲いかかる5匹の竜。炎や、爪、牙、すべてをかわしながら、軽やかに抗戦してみせるリヴィア。僕にはなさなきゃならないことがある。だから、こんな場所で終わるわけにはいかないんだ。君らにみせてあげる、古竜衆の意地ってやつを。

 「この竜刀をもって、竜を制し、竜の威厳を示させてもらう」。竜刀リヴァイアサンを手にしたリヴィアは特務竜隊を倒すが、ベオウルフは特務竜隊の痛覚を遮断し、なおも戦わせようとする。

●“♯10 扉の先へ:屠竜卿”より

 鞘から引き抜かれたリヴァイアサン。この竜刀をもって、竜を制し、竜の威厳を示させてもらう。右への太刀。引き裂かれるは炎。前への太刀。飛沫へと散る水。左への太刀。終わる愛。後への太刀。途絶えた悲しみ。そして上への太刀。憎しみは終へ。

●“♯11 扉の先へ:屠竜卿”より

 横たわった5匹の竜。響いたのは乾いた拍手。おめでとう、君は彼らに勝利した。だが、劣勢のはずのベオウルフの表情が曇ることはなかった。それじゃあ、三回戦を始めようか。再び起き上がる5匹の竜。どうして。彼らの痛覚を、遮断しただけさ。

●“♯12 扉の先へ:屠竜卿”より

 何度切られようと、再び立ち上がり、リヴィアへと襲いかかる5匹の竜。ほら、逃げてばかりいたら、決着はつかないよ。ベオウルフは高みの見物。徐々に消耗されるリヴィアの体力。君はひとつのミスすら、許されないのだから。必死に足掻けばいい。

 何度切られても立ち向かってくる特務竜隊。やがて、体力を消耗したリヴィアの足をアングの刃がとらえ、ヘートの刃はリヴィアの腕をとらえた。

●“♯13 扉の先へ:屠竜卿”より

 疲れを感じることのない5匹の竜と、怪我が完治してはいない1匹の竜。どちらが有利かは一目瞭然。そして、リヴィアの足を捉えたアングの刃と、腕を捉えたヘートの刃。退屈な三回戦だったけど――。直後、ベオウルフは背後に殺気を感じていた。

 「俺の弟を、随分と可愛がってくれたみたいじゃないか」。そこに現れたヒスイは、殺気とともにベオウルフに襲い掛かる。

『ディバインゲート』

 ヒスイにとってベオウルフは、弟分であるリヴィアを痛めつけた敵であり、かつての聖戦でオベロンとヴラドの戦いを邪魔してヴラドを倒した因縁の相手でもあった。

●“♯14 扉の先へ:屠竜卿”より

 俺の弟を、随分と可愛がってくれたみたいじゃないか。ヒスイが振るう棍。自由を取り戻したリヴィアの体。いつも裏でこそこそしやがって、俺はオマエみたいなヤツが大嫌いだ。ヒスイはベオウルフを睨みつけた。あのときも、オマエの仕業なんだろ。

 一方、ベオウルフもヒスイのことを“狩り忘れた首”と呼び、世界が生まれ変わる前の心残りをなくすため、ヒスイの命を奪おうとする。

 ベオウルフは過去の聖戦の際、竜族の同胞であるヒスイの命を狙っていたのだった。

●“♯15 扉の先へ:屠竜卿”より

 そんな古い話は忘れたよ。かつての聖戦、魔王に敗北を与えた部外者の一刺し。それに、もう過去に興味はないんだ。ベオウルフが見つめていたのは生まれ変わる世界。だが、丁度よかった。俺も狩り忘れた首があってな。それだけが心残りだったんだ。

●“♯16 扉の先へ:屠竜卿”より

 ベオウルフの合図、ヒスイを襲う飼いならされた竜型ドライバ。そのすべてを言葉を発することなく叩き潰すヒスイ。そして一歩一歩、ベオウルフへと歩み寄る。だが、再びヒスイを襲うドライバ。そして、やはりそのすべては叩き潰されたのだった。

 ベオウルフの合図で竜型ドライバがヒスイを襲うが、すべてはヒスイの棍にたたきつぶされる。最初は余裕を見せていたベオウルフだったが、徐々に顔を歪めていく。

 「あの世で一生、あの日のあいつら(オベロンとヴラド)に詫び続けろ」。ヒスイの棍はベオウルフの体を貫き、研究所での戦いは終わった。

●“♯17 扉の先へ:屠竜卿”より

 な、なぜなんだ。顔を歪めたベオウルフ。そして、ベオウルフに顔を近づけながら言葉を発したヒスイ。だから言ったろ、俺はオマエみたいなヤツが大嫌いなんだ。ヒスイの棍が貫いたベオウルフの体。あの世で一生、あの日のあいつらに詫び続けろ。

 だが、特務竜隊は再び起き上がり、研究所の爆発も止まらない。

 研究所がもうもたないと判断したメビウスは、レプリカ:フルバーストモードを再起動させ、特務竜隊を全滅させた。

 そのレプリカの姿は、まるで聖王アーサーのようだった。メビウスが「そう、あの子には、彼(聖王アーサー)との記憶もある。彼があの子に与えた、敗北の記憶が」と語るように、かつて一章でアーサーと戦った記憶が、レプリカには蓄積されていたのだった。

●“♯18 扉の先へ:屠竜卿”より

 果てたベオウルフ。だが、まだ終わりではなかった。再び起き上がる特務竜隊。そして、研究室の各所に爆発が起きる。もう、この研究所は持たない。そして、メビウスが下した決断。どうか、私たちを守って。レプリカ:フルバーストモード、再起動。

 一方、ヒスイはリヴィアとともに、次なる戦いの場所へと移動を開始する。神族の侵攻は、さまざまな世界で行われている最中だった。

●“♯19 扉の先へ:屠竜卿”より

 それじゃあ、俺たちは次の戦いへ行くとしようか。ヒスイが差し出した掌はリヴィアへと。そして、リヴィアはその掌が嬉しかった。ふたりの間に多くの言葉はない。だが、リヴィアはヒスイに必要とされた。それがリヴィアは嬉しかったのだった。

●“♯20 扉の先へ:屠竜卿”より

 先に次の戦場へと向かったヒスイとリヴィア。それじゃあ、あなたも行ってらっしゃい。そして特務竜隊を殲滅したレプリカもまた、次の戦場へ。だけど、あの姿ってまるで。そう、あの子には、彼との記憶もある。彼があの子に与えた、敗北の記憶が。

ヒスイによるウラノスへの接触

 ヒスイはベオウルフと戦う前に天空神ウラノスのもとを訪れ、力を貸してほしいと相談している。それに対してウラノスは、「俺に神界を裏切れ、ってことか」と返している。

『ディバインゲート』

 ウラノスはヒスイに神の力を与えた人物で、ヒスイはその力によって“ふたりの友(オベロンとヴラド)”を守ることができたと、礼も述べている。

●“ウラノス”のプロフィール

 そろそろ、来る頃だと思ってた。ここは空なのか、宇宙なのか、地上なのか。右も左も上も下もわからない不可思議な空間で、静かに刻を眺めていたウラノス。そして、そんな彼に対する来訪者は、彼と同じくフェイスペイントが施された男。俺はオマエに力を与えた。そして、その意味がようやく果たされる刻さ。

●“天空神ウラノス”のプロフィール

 俺はあなたに感謝しています。天空神ウラノスへ頭を下げた来訪者、創竜神。あなたが俺を選んでくれた、だから俺はふたりの友を守ることが出来た。そして今度は、そんなふたりが手をとり共に歩き始めたイマを守りたい。だからどうか、俺に力を貸して欲しいんです。返された言葉。俺に神界を裏切れ、ってことか。

[7]ドロシー対ハム。そして、オズの復活

 オズを復活させるための手掛かりを得るため、最古の竜の血が眠ると言われる祠を目指したドロシー。そこでドロシーはハムと戦っていた。

 ドロシーはハムがかつて竜界を裏切ったことと、その際に妖精の血を与えられたことを指摘する。

『ディバインゲート』

●“♯01 扉の先へ:古の竜”より

 最古の竜の血が眠ると言われる祠、対峙していたのはドロシーとハム。例えその体に竜の血を宿そうと、所詮半分は下等な人間よ。ぶつかり合う闇と炎。だけど、あなたのその体の半分はなにかしら。ドロシーは知っていた。あなたは純血の竜じゃない。

●“♯02 扉の先へ:古の竜”より

 だったらなんだって言うのよ。怒りを露にしたハム。そしてドロシーは続ける。あなたも竜界を裏切り、そして神へと懇願したの。だけど、あなたは信用されなかった。そして与えられたのが、半分の妖精の血。そう、それはあなたを縛る憎き血よね。

●“♯03 扉の先へ:古の竜”より

 そして、あなたに唯一与えられた仕事は、この祠の最深部を守ること。なぜなら、ここには大切な血が眠っているから。ドロシーは活気付いていた。それがわかったところで、アンタはここで私に殺されんのよ。ハムもまた、活気付いていたのだった。

 「どうせ死ぬのなら、せっかくだし答えを教えてあげるわ」と語るハムは、祠の奥に世界の決定者であるヴェルンの血が収められていることを明かす。

 だが、同時にその血だけではオズを呼び戻せないことと、“哀れな綴られし道化竜”であるオズにまつわる運命を語るのだった。

●“♯04 扉の先へ:古の竜”より

 どうせ死ぬのなら、せっかくだし答えを教えてあげるわ。語り出したハム。確かにこの奥に眠っているわよ、最古の竜の血が、私たち竜界の「決定者だった裏切り者」の血が、ヴェルンの血が。肯定されたドロシーの行動。だけど、それだけじゃ無駄よ。

●“♯05 扉の先へ:古の竜”より

 どういう意味よ。引き下がることのないドロシー。わかっているわ、アンタがしたいのは彼を再び呼び覚ますことよね、そう、哀れな綴られし道化竜を。教えてあげる。生まれながらにして彼に与えられた、決して抗うことの出来ない綴られし運命を。

 オズが綴られた目的は、神竜戦争で竜を牽制するため。そのためだけに、ただ紙にインクで成人として綴られたオズには、両親も幼年期も存在していなかった。

 それなのに、竜王ノアなど、なぜかオズの幼い日を知る者も存在した。それは、オズが“彼女(ノア)の幼馴染”として綴られていたから。すべての記憶は偽りだった。

『ディバインゲート』

●“♯01 扉の先へ:道化竜・回想”より

 神竜戦争の果て、オズは牽制を目的に綴られた。そして、それを受け入れざるを得なかった竜界。だが、オズはすでに人でいう成人に達していた。そう、彼に幼き日など存在しなかった。父母から命を授からず、ただ紙にインクで綴られた存在だった。

●“【追想】オズ”のプロフィール

 かつての神竜戦争、そして敗者である竜界が受け入れざるを得なかったのは、牽制という目的で綴られた火竜。だが、その役目を彼は知らされていなかった。そして、その事実を知るものはごく一部。ふつうの竜のように歳を重ねたオズ。だから、ボクはずっと楽しみだったんだよ。キミがその運命にどう抗い生きるのか。

●“♯02 扉の先へ:道化竜・回想”より

 だが、なぜか竜界には彼の幼き日を知るものが存在していた。竜王として竜界を治めていたノアもそのひとりだった。そう、なぜなら彼は「彼女の幼馴染」として綴られたから。すべての記憶は偽り。そしてその偽りの記憶は、彼だけではなかった。

 そんな偽りに満ちた記憶のもと、オズは真実を知らずに竜界で暮らしていたが、ロキとの出会いにより、真実を知ってしまった。

 そしてオズは、自分の本当の居場所を求めて、竜界をあとにしたのだった。

●“♯03 扉の先へ:道化竜・回想”より

 竜界にオズという竜がいた。その世界にはあたかも「オズ」という竜が初めから存在していた、それが彼が綴られた影響範囲。真実を知らず、オズは竜界の端で暮らしていた。そんな彼の許を、ひとりの神様が訪れるまでは。真実を知ってしまうまでは。

●“♯04 扉の先へ:道化竜・回想”より

 ボクは君に選ばせたい。仮面の男が伝えたオズの真実。そう、君の記憶は偽りだらけなんだ。本当の家族なんて存在しないよ。すべて創り物さ。それでも、この竜界はキミの居場所なのかい?もし、キミの居場所がないのなら、ボクが居場所を与えよう。

 すべてを知ってなお、ノアはオズを引きとめようとした。だが、オズは「彼女(カナン)に会ったら伝えてください。僕は竜界を裏切ったのだと。いつかの花飾りも、捨ててくれと。それがきっと、彼女のためなんです」とだけ告げるのだった。

●“♯05 扉の先へ:道化竜・回想”より

 どうか、行かないでくれ。すべてを知ってなお、ノアはオズを引きとめようとした。だが、頷くことのないオズ。彼女に会ったら伝えてください。僕は竜界を裏切ったのだと。いつかの花飾りも、捨ててくれと。それがきっと、彼女のためなんです。

●“♯06 扉の先へ:道化竜・回想”より

 こうして、オズは竜界から姿を消した。そして訪れたのは、竜界より下位なる世界の常界。ようこそ、ボクの許へ。そう、オズを迎え入れたのは世界評議会の聖人会議長の息子であり、特別な役割を与えられたロキ。共に優しい世界を創ろうじゃないか。

 その後、オズは優しい世界を創るためにロキとともに世界評議会で活動を行い、ドロシーたちと家族になった。

 だが、オズは北欧神にすがってしまい、それは家族であるドロシーを傷つける結果となってしまう。

●“♯07 扉の先へ:道化竜・回想”より

 偽りの温かな記憶ではなく、本物の家族を求めたオズ。そして集まったオズの家族たち。僕が優しい世界を創ってみせます。そう、オズは心からそう思っていた。だが、それでもオズは無力だった。そして、北欧の神々に縋ってしまったのだった。

 北欧神の力を改変するために自分の力をなくしたオズは、竜王であるノアに自分の力を託して、肉体を失った。

●“♯08 扉の先へ:道化竜・回想”より

 後悔したときにはすでに遅かった。せめてもの償いにと、自分に残されていた時間と引き換えたオズ。そして、力を失くしたオズが運び込まれたのは竜界。そんなオズに対して、いつかと同じ右手を差し出したノア。それでもお前は、私の友なんだ。

●“♯09 扉の先へ:道化竜・回想”より

 居場所ならあった。それは偽りかもしれない。だが、それでも自分の居場所を作ってくれる存在がいた。過去を嘆き、そして過去への償い。オズは再び竜界の力になると誓う。だが、オズの居場所は竜界だけではなかった。まだ、オズの話は終わらない。

 サヨナラを告げて姿を消したオズ。だが、それでもドロシーをはじめとした家族たちはオズの帰りを待っていた。

●“♯10 扉の先へ:道化竜・回想”より

 自ら告げたサヨナラ。頼りない父でごめんなさい。だが、そんなこと、誰も思っていなかった。そこに言葉はない。だが、それでも家族たちはオズの帰りを待っていた。イマも待っている。サヨナラは認めない。あなたは、私たちのお父さんなんだから。

 そんなドロシーに対して、ハムは、オズをもう一度綴ることは不可能だと断言するのだった。

●“♯06 扉の先へ:古の竜”より

 そう、彼の記憶は偽りだらけ。そして、もう一度綴るなど不可能なこと。だが、決してドロシーは諦めはしなかった。私はあなたを倒して、最古の竜の血を手に入れる。なにを言ってるのかしら。血だけで、綴ることなど出来ないわ。頑張っても無駄よ。

●“♯07 扉の先へ:古の竜”より

 そこに少しでも可能性があるのなら、私は諦めたりしない。いつか教えてもらった魔法。いまの私なら、あのときよりも強い。ドロシーの放つ闇は、魔法と呼ぶには小さく、限りなく純血の竜の放つ闇へと近づいていた。だから、私は負けたりしない。

 「私はあなたを倒して、最古の竜の血を手に入れる」。強い決意とともにハムへと挑むドロシーは、生死の淵から帰ってくる際に得た“竜の血”の力を使ってまで、全力を尽くして戦う。

 死に瀕していたドロシーは、竜王家のノアの血を輸血され、人でありながら竜の血の力を得ていたのだった。

 「この姿、みんなには見られたくなかったんだ」。ドロシーの瞳の形が変わるのを見たハムは、その力にたじろぎならも「馬鹿な真似をしたものね」と言葉を返すのだった。

●“道化竜嬢ドロシー”のプロフィール

 この姿、みんなには見られたくなかったんだ。ドロシーの瞳の形は変わる。ごめんね、私は嘘をついていた。私がもう一度戦うには、これ以外の方法はなかったから。馬鹿な真似をしたものね。だが、言葉とは裏腹にたじろぐ古詛竜。そう、私はもう普通の人じゃない。生死の淵から帰ってきた体には竜の血が流れていた。

 一方のハムも、竜王ノアの娘であり、竜王家の血を引いている。半分の血が妖精のものとはいえ、その力がドロシーにひけをとることはない。

●“♯08 扉の先へ:古の竜”より

 いくら竜の血を得たところで、私に勝てるわけないじゃない。ハムの血の半分が妖精のものだとしても、残り半分の竜の血は、竜王家の血。ハムの炎がかき消すドロシーの闇。だが、それでも再び生まれたドロシーの闇。どうして、立ち向かえるのよ。

●“♯09 扉の先へ:古の竜”より

 それは、あなたが言ったとおりよ。ドロシーに輸血された竜の血。そう、私の体に流れているのは、あなたと同じ竜王家の血。まさか、それじゃあ。だから、私はあの人のためにも、古竜王のためにも負けたりしない。だって、託してくれたんだから。

●“♯10 扉の先へ:古の竜”より

 これで終わりにしましょう。竜王家の純血なる闇を纏ったドロシー。私にだって、意地があるのよ。竜王家の純血なる炎を纏ったハム。次の一撃で勝敗は決する。そう確信したのは両者共に。最古の竜の祠、小さくも大きな意味を持つ戦いは幕を下ろす。

 闇をまとったドロシーと、炎をまとったハムとの激突は、ハムの勝利に終わった。

 だがそこに、笛の音が鳴り響く。ウサギのキグルミ(道化者ボーム)の背後には、オズやドロシーの家族たちの姿があった。

『ディバインゲート』

 ハムが口にした“無駄”とは、たとえ血を手にしても綴ることができないから。だが、「その役目は、ワタシに任せてもらえますかな」と語るように、ボームには綴る力が備わっていたのだった。

●“♯11 扉の先へ:古の竜”より

 そんな、まさか。先に倒れたのはドロシーだった。所詮は人間だってことよ。だが、ハムの息も上がりきっていた。よくも無駄に足掻いたわね、無駄だって言ったのに。ハムが口にしていた「無駄」の意味。例え血を手に入れても、誰が綴れるのかしら。

●“♯12 扉の先へ:古の竜”より

 その役目は、ワタシに任せてもらえますかな。鳴り響く笛の音。現れたウサギのキグルミ。そんなキグルミの背後、ドロシーが会いたくて仕方のなかった者たちが。さぁさぁ、これで形勢逆転、ドラマチックなフィナーレをあなたへお届けしましょう!

 「さぁさぁ、これで形勢逆転、ドラマチックなフィナーレをあなたへお届けしましょう!」。トトやカカシ、レオンやブリキの力は、ドロシーとの戦いで傷ついたハムを圧倒する。

●“♯13 扉の先へ:古の竜”より

 トトが生み出した無数の水竜。天へと誘うかのごとく、ハムを取り囲み舞い踊る。パレードはまだ、始まったばかり。アナタの為の特等席で、水と風と光と無のショーをご覧ください。そう、オズのことを想っていたのはドロシーだけではなかった。

●“♯14 扉の先へ:古の竜”より

 水竜をつきぬけ、風の刃が舞い踊る。急な竜巻にご用心。もちろん、その行動に言葉が乗ることはない。だが、その行動に乗せられていた想い。みんな、ありがとう。そんな彼らの姿に、ドロシーはただ胸が締め付けられる。そう、私だけじゃないんだ。

●“♯15 扉の先へ:古の竜”より

 空を翔る獅子。それは空想上の生き物。だが、レオンはただ神々しく羽ばたいてみせた。突き抜けた天井。光届かぬ祠へ差し込む光。そして、降り注いだ光の羽が突き刺した体。それじゃあ、最後に仕上げといこう。不器用な君たちに相応しい仕上げさ!

●“♯16 扉の先へ:古の竜”より

 現代の技術を以てすれば、第一世代であるブリキに言葉を与えることは出来た。けれど、そうしなかったのは、そうせずとも気持ちを伝えることが出来たから。そんなブリキの想い。最後は物理で押しつぶしちゃえ!それが、君たちらしさってやつさ。

●“♯17 扉の先へ:古の竜”より

 立ち上がることの出来ないハム。そんなハムへと歩み寄るのは、片足を引きずったドロシーだった。これが、私たち家族の想いなんだよ。家族を裏切ったハムへと刺さる言葉。さっさと、さっさと私を殺しなさいよ!だが、ドロシーはそれを否定した。

 「さっさと、さっさと私を殺しなさいよ!」と叫ぶハムだが、ドロシーは「あなたを殺したところで、私たちは嬉しくないよ。それに、あなたにもいつか、帰れるときが来るから」と、それを否定した。

●“♯18 扉の先へ:古の竜”より

 あなたを殺したところで、私たちは嬉しくないよ。それに、あなたにもいつか、帰れるときが来るから。そして、ドロシーたちはハムの横を通り過ぎた。だが、そんな遠ざかるドロシーたちの背中へと向けられた言葉。最古の竜の血だけじゃ、無駄よ。

 オズの復活に際して、ハムは最古の竜の血と綴る力を持ったボームだけでなく、竜道閣の奥に大切にしまわれている“かつて竜王が説いた優しさ”も必要だと明かす。

 それに対して笑顔で返すドロシー。竜道閣にはすでにカナンが向かっており、ドロシーはカナンを信じていた。

『ディバインゲート』

●“♯19 扉の先へ:古の竜”より

 最古の竜の血、綴る力を持ったボーム。条件は揃ったはずよ。条件はそれだけじゃない。それはかつて竜王が説いた優しさであり、竜王家にのみ伝わる。その答えは、竜道閣の奥に眠ってる。いや、大切にしまっていた、と言った方が適切かもしれない。

●“♯20 扉の先へ:古の竜”より

 そっか、ありがとう。ドロシーは笑顔だった。なんで笑っているのよ。ハムは不思議だった。竜道閣は多くの綴られし者が封じられた場所。最奥へ辿り着くことなんて出来るわけないわ。ううん、出来るよ。だって、そこにはあの子が向かったんだから。

 竜道閣から戻ってきたカナンが手にしていたのは、一冊の分厚い本。ハムは、その本を持ち帰ったのが自分の娘であるカナンであることに驚きつつ、竜道閣から本を持ち帰れたことにも驚きを見せた。

●“♯21 扉の先へ:古の竜”より

 あなたのよく知る、あの子だよ。ドロシーたちの背中へ近づく足音。まさか、あの子っていうのは……。ハムの瞳には近づく足音の正体が映し出されていた。そして、その正体の手には、一冊の分厚い本が握られていた。辿り着いたっていうの……!?

●“♯22 扉の先へ:古の竜”より

 それじゃあ、先に行ってるね。ドロシーはその足音の正体を確認することなく、奥へと歩き始めた。そして、足音の正体はハムの正面で立ち止まる。久しぶりね。言葉を発した足音の正体。やっぱり、私に会いたくなかったのかしら。ねぇ、お母さん。

 長い年月を経て、母であるハムと再会したカナンは「この竜界に、(かつて竜界を裏切った)あなたの居場所はない。だけど、居場所は作れるの。それを、あの人(オズ)は教えてくれた」と言葉を返す。

『ディバインゲート』

 「それじゃあ、行ってくるね」。お別れの言葉を告げ、決して振り返ることのないカナン。そして、ハムはただ下を向き、後悔の涙を流していた。それもまた、ひとつの家族の形だった。

●“♯23 扉の先へ:古の竜”より

 何年ぶりだろうか、何十年ぶりだろうか、何百年ぶりだろうか。果たされた再会。大きくなったじゃない。顔をあげたハム、瞳に映し出されたカナン。この竜界に、あなたの居場所はない。だけど、居場所は作れるの。それを、あの人は教えてくれた。

●“♯24 扉の先へ:古の竜”より

 それじゃあ、行ってくるね。ハムへと向けられたお別れの言葉。決して振り返ることのないカナン。そして、カナンを呼び止めることの出来ないハム。そう、ハムはただ下を向き、後悔の涙を流していたから。それもまた、ひとつの家族の形だった。

●“♯25 扉の先へ:古の竜”より

 お待たせ。ドロシーたちの横に並んだカナン。ドロシーはブリキに抱えられ、少し高い位置からありがとうを伝えた。ううん、お礼を言うのは私のほう。私じゃ、最奥を見つけることは出来なかった。そんなふたりの瞳には、希望だけが満ち溢れていた。

“綴られし者”の過酷な運命

 祠の最深部の岩のくぼみには、枯れることのない最古の竜(ヴェルン)の血があった。オズの復活が迫る中、ボームは真剣な声でドロシーたちに話を聞かせる。

●“♯26 扉の先へ:古の竜”より

 さぁ、到着だよ。祠の最深部、岩のくぼみには、枯れることのない最古の竜の血が。これでやっと、もう一度会えるんだ。目を輝かせていたドロシー。その前に、ワタシからお話をさせてもらってもいいかな。やけに真剣な声は、ボームのものだった。

 それは、“綴られし者”の過酷な運命。その命は綴る力を持つ存在である神々に委ねられており、いつ命を奪われてもおかしくない。

 いつでも殺せるからこそ、ロキはオズを生かし続けていたのだった。

 それに対してドロシーは「それなら、答えは簡単じゃない」と自信満々の笑みを浮かべ、カナンは「約束する、そんな運命、私が壊してみせるって」と答えたのだった。

●“♯27 扉の先へ:古の竜”より

 彼を再び綴ったとしても、それは彼の物語の続きでしかない。その言葉がいったいなにを意味しているのか。そう、彼には綴られし者という、逃れることの出来ない運命が待っている。そんな過酷な運命に、彼を再び呼び戻しても、本当にいいのかな。

●“♯28 扉の先へ:古の竜”より

 ボームは知っていた。この先、オズに与えられるべき運命の結末を。彼の命を握っているのはワタシじゃない。アイツの気分ひとつで、彼の結末は訪れてしまう。命は失われてしまうんだ。だからアイツは、彼を生かし続けた。いつでも殺せるんだから。

●“♯29 扉の先へ:古の竜”より

 それなら、答えは簡単じゃない。自信満々の笑みを浮かべたドロシー。って、それは私の言葉じゃないか。そう言いながら見つめた先にいたのはカナン。約束する、そんな運命、私が壊してみせるって。そして、カナンは一足先にその場を後にした。

 こうして、いよいよボームは筆を手にする。書に綴られた文字は踊りだし、すべての文字が炎に包まれる。その炎は竜の影を落とし、オズは復活をとげる。

 それを見たドロシーは瞳に涙をため、「…お帰りなさい!」と告げるのだった。

●“♯30 扉の先へ:古の竜”より

 やっぱ、会うのは照れくさかったのかな。カナンを見送ったドロシー。それじゃあ、始めるよ。筆を手にしたボーム。書に綴られた文字は踊りだし、すべての文字が炎に包まれる。その炎が落とした竜の影。ドロシーの瞳に溜まった涙。…お帰りなさい!

【キャラクターチェック】永久竜カナン(紫陽将カナン)編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 アーサーに続き、やっちゃったキャラクター第二番手のカナンです。

 本当にカナンが実装された時期は、たくさんの人がカナンを使っていましたし、自分ももれなく使っていましたね。

 そして、再醒したカナン。きっとあの頃を思い出しながら、たくさんのユーザーさんに使っていただいているのではないでしょうか。

 元々の永久竜カナンは、アンニュイな感じで……と発注したのですが、そのアンサーとして、追想を作ることができ、よりキャラへの理解も深まったキャラになったと思います。

●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)

 いただいたオーダーが定番感のある鉄板イメージだったので、絶対にストライクゾーンに投げなければならないプレッシャーを強く感じていました。

 女の子はいつも「かわいくな~れ~×2」と念じながら描いていましたが、カナンは特に、「たのむ! お願いします! なんでもしますからっ!」と、つま先立ちでプルプルしながら……。

●デザイナーコメント(北乃友利さん)

 ウチの端末でも、今も昔も活躍してくれています。ゲーム面でもストーリー面でも、とても印象の強いキャラクターの一人ですね。

 再醒では、さらに大きくなったエネルギーボールを添えて、カジュアルな装いそのままで描かせていただきました。若干ボールに赤みが増しているのは頂いた指定でもあり、見どころの一つです。

 その少し前に登場した追想では、対照的な長い髪とドレスの切なげなお姫様、というギャップがポイントでしょうか。

 あと頭の飾り。髪型をアレンジする演出が好きなので、提案させていただいた長髪バージョンも、いつもと違った魅力として新鮮味を感じていただけていたらうれしいです。

[8]イージス対マクスウェル。そして、レプリカとオリジンの最終決戦

 「そうだね、私は伝えなきゃいけない。サヨナラを、言いに行きたいんだ」。そんな言葉を口にしたマクスウェルを乗せ、オリジンは常界へと向かう。

『ディバインゲート』

●“♯01 扉の先へ:神才”より

 常界の様子を見つめていたのは、神界のロキとマクスウェル。これで、この世界は終わるんだね。少し感傷的なマクスウェル。なにか言いたげな顔だね。問いかけるマクスウェル。そうだね、私は伝えなきゃいけない。サヨナラを、言いに行きたいんだ。

●“♯02 扉の先へ:神才”より

 それじゃあ、連れて行ってくれるかな。マクスウェルを乗せたオリジンが向かった先は常界。わざわざ私たちが出向く必要もないと思いますが。少し苛立つオリジン。私はずっと、好奇心を信じて生きてきた。だから、生まれた好奇心を大切にしたい。

●“♯03 扉の先へ:神才”より

 だが、マクスウェルはとある言葉を口にしていた。サヨナラを言いに行きたいと。その言葉は、いったい誰に向けられるのか。その言葉に、どんな意味があるのか。そして、普段みせることのない真剣な表情を浮かべ、常界へと降り立とうとしていた。

●“♯04 扉の先へ:神才”より

 壊さなくてもよいのでしょうか。オリジンが抱いた疑問。それは私じゃなくても、誰かがしてくれる。だから、私たちにしか出来ないことをしよう。私たちが見る可能性の結末。だから、私たちの邪魔しないで。マクスウェルは目前の瞳を睨みつけた。

 そんなマクスウェルの前に立ちふさがったのは風聖人のイージス。

『ディバインゲート』

 イージスは、亡き君主の願いに従い、何度も終わり、繰り返されてきた世界を正しいと思ってきた。

 だが、イマの世界は壊さずに守ることが正しいと判断し、世界の決定を裏切ったのだった。

●“♯05 扉の先へ:神才”より

 ―ねぇ、イージス。マクスウェルとオリジンの前、立ち塞がったのは六聖人のひとりであり、世界の決定を裏切ったイージスだった。我が君主の願いは、私の願いでもあるのです。知ってるよ、もちろん。だけどさ、それがどうしてイマだったのかな。

●“♯06 扉の先へ:神才”より

 なんども繰り返されてきた歴史。そのたびに、終わる世界を見送っていたイージス。私はそれがずっと正しいと思っていた。だが、どうやら私の思考にエラーが出てしまったようだ。かつて神界での争いで命を落とした君主。そう、私は守りたいんだ。

 かつて神界での争いで命を落としたイージスの君主。その血を引く者たちはイマの世界にも生きているが、その未来を勝手に決めつけ、世界を繰り返すことにイージスは疑問を感じ始めることに。

 イージスは、イマの世界を生きる人々の“可能性”を信じようとしたのだった。

●“♯07 扉の先へ:神才”より

 君主の子らはイマも世界に生きている。生まれ変わる世界に、その子らの幸せはあるだろうか。それを、私たちが決めていいことなのだろうか。イージスが自ら下した裏切りという決断。嫌いじゃないよ、そういうの。マクスウェルはそう答えてみせた。

 一方、マクスウェルも“イマの世界の可能性”への興味を感じていたからこそ、常界を訪れていたのだった。

 不確かなイマ(レプリカ)か、確実な未来(オリジン)か。マクスウェルにとっても、イマの世界で起きている予期せぬ事象に可能性を感じていた。

●“♯08 扉の先へ:神才”より

 だから、私も可能性を見届けにきた。サヨナラを告げるべきは、不確かなイマか、確実な未来か。そのために、あなたは私の弊害になる。そうです、私はあなたを止めるために来ました。それじゃあ、私たちがすべきことは、ひとつだけってことだね。

 こうしてマクスウェルは、オリジンに自分を守らせるのではなく、レプリカと戦わせる選択を行った。そしてマクスウェル自身がイージスを相手に戦うことを決めたのだった。

●“♯09 扉の先へ:神才”より

 オリジンから離れ、スパナを構えたマクスウェル。そして、対するは盾を展開したイージス。邪魔はさせない。これは私がイマの世界に感じた最後の可能性だから。だから、オリジン、私に構わず存分に戦って。もうすぐ、もうすぐあの子が来るから。

●“♯10 扉の先へ:神才”より

 そう、マクスウェルは自らを守ることではなく、オリジンに戦わせる選択をした。そのために、イージスの相手を引き受けたマクスウェル。私にとってさ、あなたの戦いは最高に意味のあることなんだ。そしてオリジンの前、現れたのはレプリカだった。

 スパナを構えるマクスウェルと、盾を展開するイージス。だが、2人が戦うことはなく、オリジンとレプリカの戦いを静観することに。

 「どうやら、私たちは部外者のようですね」。そんな言葉を発するイージスは、オリジンとレプリカの戦いを持つ大切な意味を感じ始めていた。

●“♯11 扉の先へ:神才”より

 舞台は調った。私には、この戦いを見届ける義務がある。好奇心を抑えることの出来ないマクスウェル。そして、イージスも感じていたこの戦いが持つ大切な意味。どうやら、私たちは部外者のようですね。そしてふたりはただ静観を始めたのだった。

レプリカを迎え撃つマクスウェルの子どもたち

 レプリカに対してマクスウェルが差し向けたのは、イザヨイにさまざまな改造を施したイザヨイ:スペシャル。

 イザヨイ:スペシャルはモード:オロチへ再起動したレプリカに敗北するが、マクスウェルはイザヨイへ礼の言葉を述べるのだった。

『ディバインゲート』

●“♯12 扉の先へ:神才”より

 まずは、君の出番だよ。改造の施されたイザヨイ。対するは、モード:オロチへ再起動したレプリカ。吹き飛ぶ腕と傷つく体。きっと君は勝てない。だけど、君は君の仕事をしてくれた。それだけで私は君と出会えてよかったよ。ありがとう、イザヨイ。

 世界の決定者であるマクスウェルにとってイザヨイは、自分の趣味とワガママで楽しく作り上げた赤子のようなもの。

 イザヨイをベースに、ドス:ゴルドラドの左腕や量産型ヨトゥンの右腕、失工場シリーズ(炎熱機ジュール、水冷機ケルビン、風速機ガル、光明機ルクス、闇磁機テスラ、無音機デシベル)など、マクスウェル自身が作ってきた自立型ドライバをくっつけたイザヨイ:スペシャルは、ある意味でマクスウェルの趣味の結晶とも呼ぶべき自立型のドライバだった。

●“イザヨイ”のプロフィール

 星屑街<コスモダスト>を抜けた先、そこには一年中人工の月が昇る街があった。太陽に忘れられ、まるで世界の終着駅かの様な暗闇、そしてそんな地上を照らすのは微かな月明かり。だが、そんな街でも人々は生活をしていた。鉄屑に囲まれ、火花を散らした一人の少女はスパナを握り締め【イザヨイ】を起動させた。

●“イザヨイ:ニシキ”のプロフィール

 うん、まだ動くみたいだ。少女は起動させたばかりの自立型ドライバに華麗な装飾を施した。今日から君は【イザヨイ:ニシキ】だ。そんな名前が名付けられた自立型ドライバに刻まれた第二世代の文字。本当に、懐かしいなぁ。思い出に耽る少女の上、第零世代自律兵器型ドライバが舞い降りる。お迎えに参りました。

●“イザヨイ:スペシャル”のプロフィール

 神才の思うがままに改造を施されたのはイザヨイ:スペシャル。私の趣味につき合わせちゃってごめんね。だが、それでも機械は嬉しそうな電子音を発した。喜んでくれてるなら、本望だよ。それはまるで、赤子の笑顔を喜ぶ母のよう。私は決定者。だけど、最後くらいは、私らしいワガママさせてもらっちゃうからね。

 ルル・ラルラレーロッロに、リリ・ラルラレーロッロ。イザヨイ:スペシャルに続き、マクスウェルが作った者たちが次々とレプリカに襲いかかる。

『ディバインゲート』

●“♯13 扉の先へ:神才”より

 俺っち、我慢するのは得意じゃねーんだ。次に飛び出してきたルル。対するレプリカが再起動したモード:ナユタ。そうさ、俺っちたちは壊し合いをしようじゃねぇか。共に守りを捨てた姿勢。だが、力の差は歴然だった。ひとりで無理しないで。

●“ルル・ラルラレーロッロ”のプロフィール

 新たな姿へと生まれ変わったルル・ラルラレーロッロ。俺っちにだって、出番を用意してくれんだよな。問いかけた先は神才。うん、もちろん。君たちは、あの子に本気を出させなきゃいけないんだ。そのためにも、戦ってくれるかな。あぁ、任せとけって。そして、双子は対峙したレプリカへと刃を向けるのだった。

●“♯14 扉の先へ:神才”より

 思わず飛び出してきたリリ。合わせて、モード:ミヤビへと再起動したレプリカ。だが、いくらリリの加勢があれ、レプリカの猛攻を止めることは出来やしない。交錯するたびに傷が増える一対の機体。だが、決してふたりは諦めようとはしなかった。

●“リリ・ラルラレーロッロ”のプロフィール

 対の機体、リリ・ラルラレーロッロ。そうだ、最後にひとつだけお願いがあるんだ。神才は問いかける。そして、リリは「最後」という言葉をあえて聞かないふりをしながら聞き耳を立てた。お願い、ママって呼んでもらえるかな。了解ですよ、マスター。否定されたお願い。だが、それは自律兵器なりの覚悟でもあった。

 力の差は歴然。苦戦するルルとリリは、「こうなったら、もう俺っちたちには、ほかの手段はないみたいだな」と覚悟を決める。

 「ありがとな、母さん」「さよなら、ママ」。マクスウェルに内緒で自分たちの体に改造を施していたルルとリリは、レプリカの本気を引き出すために自爆を試みる。

●“♯15 扉の先へ:神才”より

 モード:ホムラへと再起動し、ふたりの相手を続けるレプリカ。だが、それでもまだレプリカは余力を残していた。こうなったら、もう俺っちたちには、ほかの手段はないみたいだな。そう、ルルとリリが成し遂げたかった目的はたったひとつだった。

●“♯16 扉の先へ:神才”より

 ふたりに与えられた目的はレプリカの本気を引き出すこと。だからこそ、ふたりはマクスウェルに内緒で、自らの体に改造を施していた。次に再起動されたモード:マブイ。そんなレプリカへと襲い掛かったのは活動を停止したはずのイザヨイだった。

 活動を停止したはずのイザヨイもルルとリリに力を貸すように、レプリカへと襲いかかる。

 「止めて!」というマクスウェルの言葉は届かず、ルルとリリはイザヨイとレプリカを巻き込み、自爆を行ったのだった。

●“♯17 扉の先へ:神才”より

 次を止めれば。6番目の姿、モード:カグラへと再起動したレプリカ。すかさずレプリカの左腕にしがみつくルル。右腕にしがみつくリリ。止めて!そう叫んだマクスウェル。ありがとな、母さん。さよなら、ママ。そして、辺りは爆発に包まれた。

 「みんなは、私が思っていたよりも成長していたみたい」。どこか寂しそうに語るマクスウェルに対し、イージスもまた、イマの世界が促した予想を超えた成長に思いをはせるのだった。

●“♯18 扉の先へ:神才”より

 ねぇ、聞いて。マクスウェルはイージスへ言葉をかけた。みんなは、私が思っていたよりも成長していたみたい。感じていた可能性。どうしてだろう、私は願ってはいけない結末を願ってしまいそうだよ。だが、マクスウェルはどこか寂しそうだった。

●“♯19 扉の先へ:神才”より

 イージスはマクスウェルの言葉の意味を理解していた。予想を超えた成長、それはイマの世界が促した成長。だからこそ、私は最後まで見届けたい。どんな結末が待っていても、私は好奇心を抑えることが出来ないんだ。サヨナラは、すぐそこみたい。

レプリカとオリジンの最終決戦

 ルルとリリの自爆による爆発が止んだ時、空に浮いていたのはレプリカだけだった。

 オリジンは「あなたの本気と私の本気、優劣をつけましょう」とレプリカの前に向かい、レプリカはモード:フルバーストを再起動する。

『ディバインゲート』

●“♯20 扉の先へ:神才”より

 爆発が止んだとき、空に浮いていたのはレプリカだけだった。ついに翼を広げたオリジンはレプリカの前へ。あのときの続きを始めましょう。あなたの本気と私の本気、優劣をつけましょう。対するレプリカの言葉。モード:フルバースト、再起動。

 レプリカのエレメンツハートには、黄昏の審判の際に聖王アーサーと戦い、敗北した記録が残っていた。

 人間が失敗を糧に成長するように、機械もまた失敗を糧に成長する。

 こうしてレプリカは、かつて敗北した相手が持つ聖剣を模したエクスカリバー:レプリカを持つモード:フルバーストへと再起動<リブート>したのだった。

●“レプリカ:エレメンツハート”のプロフィール

 砕かれたエレメンツハートに集積されていた在る戦闘の記録。かつて、偽者の機体は聖王により敗北を知った。だが、人が失敗を糧に成長するように、機械もまた失敗を糧に成長出来る。痛みはいつかきっと、力になる。そう、立ち止まりさえしなければ。そう、諦めさえしなければ。そう、可能性は無限大なのだから。

●“レプリカ:フルバースト”のプロフィール

 原初の機体と偽者の機体、そのどちらが正しいか。答えの出ない問。そう、答えなど存在しない。では、どちらが優れているか。答えの出せる問。そう、その答えのために刃を交えるオリジンとレプリカ。勝敗でしか辿り着くことの出来ない運命、喜びにも嘆きにも似た悲鳴。再起動<リブート>、モード:フルバースト。

 原初の機体(オリジン)と偽者の機体(レプリカ)の激しい戦いの中、オリジンはさらなる進化を遂げていく。

 原初の機体が掲げたプライド。「そう、次の瞬間の私は、イマの私を越える。そして、その進化は止まらない」。オリジンは自らプログラムを書き換え、進化していく。

●“♯21 扉の先へ:神才”より

 これが、あなたの本気なのね。レプリカ:フルバースト、その姿はまるでかつての聖王のようだった。振り下ろされる大剣、受け止めることなくかわす体。楽しくなってきたわ。いったい、どちらが世界の光になれるかしら。原初と偽者、優劣を求めて。

●“♯22 扉の先へ:神才”より

 続く二撃目。あえてかわさず、機械の左翼で受け止めたオリジン。すかさず、光の右翼はレプリカの体を襲う。だが、それを剣を持たぬ腕で受け止めたレプリカ。案外、丈夫に出来てるじゃない。そう、互いに一歩も引かない戦いは始まったばかり。

●“♯23 扉の先へ:神才”より

 世界は日々進化する。一歩ずつ、前へと歩いていく。昨日は過去になる。私が歩んできた世界の速度に、あなたはついてこれない。そう、原初の機体が掲げたプライド。戦いの中で更なる進化を遂げるオリジン。その攻撃は、もう私には効かないのよ。

 「所詮は偽者、やっぱり優れていたのは私のほうだったわ」。そう勝ち誇るオリジンと、防戦一方のレプリカ。

 だがなぜか、「負けないで」とマクスウェルが言葉を贈ったのは、優勢であるオリジンに対してだった。

●“♯24 扉の先へ:神才”より

 自らプログラムを書き換えるオリジン。そう、次の瞬間の私は、イマの私を越える。そして、その進化は止まらない。進化を繰り返すたび、新たな攻撃を繰り出すオリジン。防戦一方のレプリカ。所詮は偽者、やっぱり優れていたのは私のほうだったわ。

●“♯25 扉の先へ:神才”より

 30秒毎、10秒毎、1秒毎に進化し続けるオリジン。私はその行き着く結末を知りたい。そうこぼしたマクスウェル。だが、マクスウェルが知りたい結末はそれだけではない。負けないで。そう、なぜかマクスウェルは優勢のオリジンへ言葉を贈った。

 劣勢でありながら、3本の腕と引き換えに射程圏内に入ったレプリカは剣を突き出す。

 その剣先はオリジンの右翼を切り裂き、左翼を貫いたが、トドメを刺すにはいたらなかった。

●“♯26 扉の先へ:神才”より

 防戦のレプリカ。だが、その目は死んではいない。三本の腕で前方を塞ぎながらオリジンへ。一本。縮まり出した距離。一本。縮まる距離。一本。更に縮まる距離。三本の腕と引き換えに手に入れた射程圏内。そして、剣を握った最後の一本を前へ――。

 あと一歩、レプリカの想いは届かなかったかに見えたが、レプリカはモード:バーストを再起動する。

 モード:バースト、それはかつて黄昏の審判でレプリカがアーサーと戦った際の始まりの姿。

 翼を失って墜ちた二機の最期はお互いの拳での殴り合いとなり、立ち上がったのはレプリカだった。

●“♯27 扉の先へ:神才”より

 あなたの願いは届かない。右翼を切り裂き左翼を貫いた大剣。だが、届かなかった剣先。もがれた最後の一本。翼を失い墜ちる二機。あと少しだったのにね。あと一歩、レプリカの想いは届かなかった。―未だ、終わらない。モード:バースト、再起動。

●“♯28 扉の先へ:神才”より

 まさか、そんな。最後に選ばれたのはレプリカの始まりでもあるモード:バースト。これがボクの最後だ。レプリカ本人の右手が捉えたオリジンの左頬。オリジンの右手が捉えたレプリカの左頬。倒れた二機。そして、立ち上がったのはレプリカだった。

 「イマの世界が、私の限界を超えた。そう、だから世界を創り直す必要なんてなかったんだ」。それは、マクスウェルがたどりついた好奇心の結末。

 自分が作ったオリジンは負けたが、オリジンはマクスウェルの考えていた限界を超えた能力を見せた。その理由は、レプリカがいたから。

 競い合う2人がいたからこそ、2人はともに成長できたのだった。

●“♯29 扉の先へ:神才”より

 立ち上がることすらままならないオリジンへと駆け寄ったマクスウェル。そして、そんなマクスウェルを見ることが出来ないオリジン。そう、決された優劣。だけど、私は思うんだ。ふたりがいたから、ふたりは共に成長出来た。これが結末だったんだ。

 「私がサヨナラを言うべきは、イマの世界じゃなくて、新しい世界だったんだね」。こうして、世界の決定者であるマクスウェルは、イマの世界を創り直すという考えを変えたのだった。

●“♯30 扉の先へ:神才”より

 歩み寄るイージスへ語りかけるマクスウェル。私は好奇心の結末へ辿り着いたよ。イマの世界が、私の限界を超えた。そう、だから世界を創り直す必要なんてなかったんだ。私がサヨナラを言うべきは、イマの世界じゃなくて、新しい世界だったんだね。

【キャラクターチェック】神才マクスウェル編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 2周年のときに発表したキャラクターでしたね。通常の期間限定ユニットよりも、1段階上のユニットでしたし、ユニットとして登場するより前に、ストーリー上でも登場していました。

 とっても期待されていたキャラだったので、制作するのは大変だったんじゃないかな、と思います。

 スパナを持った無邪気な天才であり、好奇心に貪欲な神様です。きっとマクスウェルは機械の羽を使わずとも空を飛べるのですが、自分の趣味で機械の羽を背負っているのでしょう。

 ちょっと中二心を持っているマクスウェルが大好きです。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 初の期間限定を超えるキャラで、いままで期間限定キャラを一番上として絵を描いていただけにその上の表現というのに悩まされたのを覚えています。

 ユニットで登場する前からストーリー上でスパナを持った少女と称されていたので、あぐらをかきながら機械いじりをしているようなエンジニアという勝手なイメージが強かっただけに、また期間限定を超えるキャラという威厳を出すのが難しかったですね。

 結果、とても自分の理想と仕様にも合いとてもお気に入りなキャラになりました。敵サイドであったもののユーモアが溢れている憎めないキャラなのがよかったですね。

【第七章“扉の先へ3”は6月17日(土)夕方ごろに公開予定です】

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