2017年7月1日(土)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。
第七章“扉の先へ(2017年4月~)”では、アカネたち(統合世界)とアーサーたち(神界)の戦いを主軸にした最終決戦が展開します。
▼INDEX |
[20]聖神アーサーと創醒の聖者の語らい |
[21]精霊王たちの決意 |
[22]愛を統べし者との戦い |
[23]ディバインゲート |
[24]アーサーの処刑 |
[25]アーサーの選択 |
[26]観測神によるエピローグ |
第7章を振り返る高野メモ |
【キャラクターチェック】精霊王編 |
【キャラクターチェック】愛を統べし者編 |
【キャラクターチェック】ディバインゲート編 |
かつての自分の本拠地であるアヴァロンを再現した場所で、玉座に腰をかける聖神アーサー。
彼の物語の始まりは、雪降る聖なる夜での親友(サンタクローズ)との出会い。ふたりの優しさ(サンタクローズの父であるニコラスとアーサーの母であるイグレイン)がもたらした“仕組まれた出会い”は、アーサーに王としての生きる道を決定付けた。
●“♯01 扉の先へ:聖神”より
神界に模されて創られていた理想郷アヴァロン。その最奥の玉座にひとり腰をかけていた聖神アーサー。彼は終わる世界を見ながら、なにを考えているのだろうか。なにを想っているのだろうか。彼の心を知るのは彼ひとり。そして、最後の幕は上がる。
●“♯02 扉の先へ:聖神”より
思い返せば、それは短い道のりだった。そして、長い道のりだった。始まりは雪降る聖なる夜。ふたりの優しさが生んだ親友との出会い。そして、その出会いが決定付けた彼の生きる道。選ばれた王道。王たるものは民に弱さを見せることは出来ない。
成長したアーサーは世界評議会に招かれ、常界を統治する聖王となる。
自分を犠牲にする覚悟でディバインゲートへと姿を消した聖王アーサーは、堕王となり、のちに神へとなった。
神は王へ、民へ恵みを与えると同時に、必ず試練を与える。アーサーは常界に北欧神を差し向け、人々に試練を与えたこともあった。
●“♯03 扉の先へ:聖神”より
やがて王は闇へと堕ちた。堕ちようとも、王が見つめていた希望。その希望がもたらしたのは神への道。そう、神たるものは王に弱さを見せることは出来ない。だから俺は決して立ち止まることは出来ないんだ。それが、神という存在なのだから。
●“♯04 扉の先へ:聖神”より
神は王へ、民へ恵みを与えると同時に、必ず試練を与える。それが正しいのか、間違っているのか。議論の余地はない。それが神の存在意義なのだから。イマの世界へ与える試練。そして、代わりに与えられる恵みは生まれ変わる世界。それが世界の理。
世界の決定者、ひいては神々は、はるか昔から人々をよりよい世界へと導くために世界の崩壊と再生を繰り返してきた。
聖神アーサーは世界の決定者となったが、それは世界の理からはずれた“例外の決定者”と呼ばれる特殊な存在でもあった。
●“♯05 扉の先へ:聖神”より
神話の時代から、世界は常に崩壊と再生を繰り返していた。そこに疑問を抱く神々は少なかった。そう、今回の世界が生まれ、イマのために戦う者たちが現れるまでは。だが、なぜ今回の世界はその輪廻の歯車から外れようとしているのだろうか。
アーサーは、神によって綴られた存在である妖精の王オベロンと人間の女性のイグレインとの間に生まれた禁忌の子として、隔離されて育った。
だが、親友のサンタクローズからタマ、そしてアルトリウスという名前をもらい、1人の人間として歩み始める。
世界評議会に招かれた後も、特務機関である円卓の騎士(ナイツ・オブ・ラウンズ)たちの愛情や絆とともに生きてきたアーサーは、神となった今も自分のやるべきことを見据えていた。
●“♯06 扉の先へ:聖神”より
数多の因果が絡まりあい、生まれてしまった禁忌の子。そして、沢山の愛情に包まれながら、生きてしまった禁忌の子。だからこそ、その子だけは理の外側にいた。そうさ、俺に出来ることは、もう少ししか残されていないんだ。それは、なんのためか。
「どうか、世界が平和でありますように」「どうか、世界に幸せが溢れますように」。それはどちらも、いつかのアーサーが抱いていた希望だった。
●“♯07 扉の先へ:聖神”より
それとも、誰のためか。ただ、アーサーは終わりゆく世界を見つめながら、自分のやるべきことを見据えていた。どうか、世界が平和でありますように。それは、いつか彼が抱いていた希望。どうか、世界に幸せが溢れますように。それもまた、希望。
そんなアーサーの耳にアカネたちが近づく足音が聞こえてくる。
「彼らは、希望だろうか、絶望だろうか」とアーサーに問いかけたのは創醒の聖者。創醒の聖者は世界の決定者であり、アーサーの父であるオベロンに神の血を分け与えた存在である。
●“♯08 扉の先へ:聖神”より
少しずつ、近づく足音。その音は7つだった。ようやく、あいつらが来たみたいだ。真剣な表情だったアーサーの口角が少し上がる。彼らは、希望だろうか、絶望だろうか。そう言葉を口にしたのは、音もなく現れた創醒の聖者。さぁ、どっちだろうな。
「幾重にも連なった悲しみの連鎖、それを終わらせることなど出来はしない。だが、それでも君が望むのなら、その世界を見せよう」。イマの世界の終わりを前に、アーサーへと語りかける創醒の聖者。
そして、アーサーの前に聖なる扉<ディバインゲート>が現れた。
●“♯09 扉の先へ:聖神”より
世界の終わりというのは、いつも悲しいものだ。無表情のまま、似合わない言葉を口にした創醒の聖者。君はいま、どちらを見つめている。アーサーのほうを向くことなく、問いかけたのも創醒の聖者だった。俺が見たい景色は、昔もイマも変わらない。
●“♯10 扉の先へ:聖神”より
そして、創醒の聖者は続けた。幾重にも連なった悲しみの連鎖、それを終わらせることなど出来はしない。だが、それでも君が望むのなら、その世界を見せよう。映し出された世界。これが君の理想とした世界だよ。そこにはひとつの扉が浮かんでいた。
●“♯11 扉の先へ:聖神”より
ただ、なにもない空間。浮かんでいた扉。その扉は瞳にも似ていた。そして、その瞳にはなにも映ることはない。これが、私たち聖なる扉<ディバインゲート>が見つめる世界だ。私たちの瞳には、決してなにも映らない。世界の歩みは止まるのだから。
創醒の聖者は、世界を創り直すことは生きとし生ける命のためだと語る。悲しみの連鎖が途切れることは、世界の進歩を止めるに等しいことだと。
それに対してアーサーは「そうだな、俺もそうだと思う」と同意の言葉をはさみつつ、「いや、思っていた、と言ったほうが適切かもしれないな」と続ける。
●“♯12 扉の先へ:聖神”より
悲しみの連鎖が途切れること、それは世界の進歩を止めるに等しいこと。だから、その世界にはなにも存在していない。その世界は絶えるのだから。だからこそ、私たちは世界を創り直す必要がある。そう、これは生きとし生ける命のためなのだから。
●“♯13 扉の先へ:聖神”より
そうだな、俺もそうだと思う。そう答えたアーサー。いや、思っていた、と言ったほうが適切かもしれないな。そう言い直したアーサー。いいや、いまさらなにを言っても変わりはしない。そう続けたアーサー。君はいったい、なにを思っているんだい。
「俺は俺の、成すべきことをするだけさ」と述べるアーサーに、創醒の聖者は「それが、この世界の終わりだと知ってのことか」と返す。
それに対してアーサーは「構わない」と返し、「たとえ世界が果てようと、それでも新しい芽は生まれる。やがて、花は開く。俺はその可能性を信じる。それが俺の見た希望だ」と、自分を犠牲にしてでもイマの世界の可能性を信じることを告げるのだった。
●“♯14 扉の先へ:聖神”より
俺は俺の、成すべきことをするだけさ。それが、この世界の終わりだと知ってのことか。あぁ、それでも俺は構わない。たとえ世界が果てようと、それでも新しい芽は生まれる。やがて、花は開く。俺はその可能性を信じる。それが俺の見た希望だ。
アーサーから失われていた自己愛と、アーサーに残されていた慈愛。創醒の聖者は、それが“アーサー=世界の理の外側の存在”であるがゆえだと悟り、「君という存在は、世界に存在していない」と語るのだった。
●“♯15 扉の先へ:聖神”より
そんなことのために、君は自分を犠牲にするというのかい。アーサーから抜け落ちた感情。失われていた自己愛、残されていた慈愛。そう、それこそが世界の理の外側の存在であるがゆえ。ようやくわかったよ。君という存在は、世界に存在していない。
創醒の聖者が世界そのものを形創るのだとしたら、アーサーが形創ろうとしていたのは、世界の外側。
アーサーの目的は、聖なる扉<ディバインゲート>への干渉を行い、消滅させること。
それをアーサーが行えるのは、彼が理の外側、すなわち唯一の“世界の外側の存在”だから。世界の外側にいるからこそ、世界の内側を司る聖なる扉への干渉が可能となるのである。
入口が存在するから出口が存在するかのように、内側が存在したからこそ存在した外側。外側の存在となったアーサーは、ディバインゲートの消滅を目論む。
●“♯16 扉の先へ:聖神”より
かつて、聖王アーサーという存在は間違いなく世界の中心に存在していた。だが、その心はその世界には存在しているようで、存在していなかった。創醒の聖者が世界そのものを形創るのだとしたら、アーサーが形創ろうとしていたのは、世界の外側。
●“♯17 扉の先へ:聖神”より
理の外側、そう、唯一の世界の外側の存在であるアーサー。彼が成すべきこと。それは世界の外側から、世界の理に干渉すること。すなわち、世界の内側を司る聖なる扉への干渉。消滅。いまの俺なら、それが出来るだろう。そう、俺は成すべきことを。
「やはり、この世界にディバインゲートなんて必要ないんだ。だからこそ、俺がこの繰り返された崩壊と再生の歴史に終止符を打とう。イマを生きる命をかけて」。かつて、堕ちし王(アーサー)が選んだ神への道。それは決して絶望の道ではなく、希望の道だった。
●“♯18 扉の先へ:聖神”より
かつて、堕ちし王が選んだ神への道。それは決して絶望の道ではなく、希望の道だった。やはり、この世界にディバインゲートなんて必要ないんだ。だからこそ、俺がこの繰り返された崩壊と再生の歴史に終止符を打とう。イマを生きる命をかけて。
アーサーの目論見を知った創醒の聖者は「ならば、私は君を喰らうことで、完璧な存在になれるのだろう」と語り、アーサーは「そして、俺はその言葉をそのまま返させてもらう。そう、共にひとつになろう。聖なる扉として―」と返す。
こうして、アーサーと創醒の聖者は、共にひとつになる選択をしたのだった。
“完璧な存在”となったのはアーサーなのか、それとも創醒の聖者なのか。その答えが明言されないまま、アカネたちが玉座に到着し、物語の続きが語られることになる。
●“♯19 扉の先へ:聖神”より
入口が存在するから出口が存在するかのように、内側が存在したからこそ存在した外側。ならば、私は君を喰らうことで、完璧な存在になれるのだろう。そして、俺はその言葉をそのまま返させてもらう。そう、共にひとつになろう。聖なる扉として―。
王の間に到着したアカネたちが見たのは、アーサーとも創醒の聖者とも異なる「ひとり」の人影。
「ようこそ、聖なる扉の間へ。君たちを歓迎しよう、そう―この私が」と、その存在は自らを“愛を統べし者”だと名乗る。
●“♯20 扉の先へ:聖神”より
アカネたちが辿り着いた王の間への入口。重い扉から溢れ出した金色の瘴気。そう、この奥にアーサーがいる。意を決して開かれた扉。置かれていた玉座。たった「ひとり」の人影。ようこそ、聖なる扉の間へ。君たちを歓迎しよう、そう―この私が。
●“♯01 扉の先へ:願いの果て”より
そこにアーサーはいなかった。アカネたちを見つめていたのは愛を統べし者。彼はもういない、私は彼で、彼は私なのだから。だが、その語り口で伝わった真実。そう、アーサーは飲み込まれたという事実。私と共に、生まれ変わる世界を見届けようか。
「彼はもういない、私は彼で、彼は私なのだから」。アカネたちはその語り口で、アーサーが創醒の聖者に飲み込まれたという事実を悟る。
●“愛を統べし者”のプロフィール
ひとつひとつの小さな愛が形作る小さな世界。そして、やがて生まれた大きな世界。真っ白な世界、飾られた地図、そして世界に恋をした少年。少年は歳を重ね、世界を愛した。やがて、世界のために命を差し出した。それもまた、小さな愛が作った世界。聖なる扉に包まれた命。すべては、聖なる扉を討たせるために。
●“再創の瞳”のプロフィール
その瞳に映し出される世界。ひとりひとりにとっての世界。そんな世界が形作る世界。命あるものはいつか気づくだろう。自分が生きるべき世界を。たとえ小さな世界だとしても、それが大切な世界であると。そして、なぜ、その世界が大切なのか。なぜ、その世界を愛するのか。すべては自分を愛してくれる者のために。
愛を統べし者の背後にはディバインゲートが浮かんでいた。そして、アーサーの心とも言える狂騒獣タマの体が徐々に光へと変わっていく。
「アイツ(アーサー)の心は、もう、どこにも存在しないってことなのかよ」。怒りをあらわにするアカネたち。彼らは精霊王との言葉を交わし、愛を統べし者との戦いにのぞむ。
●“♯02 扉の先へ:願いの果て”より
ただ、立ち尽くすことしか出来ないアカネたち。愛を統べし者の背後、浮かんでいたディバインゲート。ねぇ、どうして。アオトが気づいた異変。徐々に、その体が光へと変わるタマ。アイツの心は、もう、どこにも存在しないってことなのかよ。
●“♯03 扉の先へ:願いの果て”より
ふざけんなよ。怒りを隠すことの出来ないアカネ。あぁ、その怒りをぶつけてやればいい。アカネに寄り添うように現れたイフリート。俺が教えてやるよ、オマエが愛した世界は、やっぱり愛すべき世界だった、ってことを。この拳で、教えてやるよ。
イフリートをはじめとした精霊王たちは、オベロンに与えられた禁忌の血を受け継ぎ、その呪いを背負うことになった。
それにより永遠の孤独が訪れようとも、精霊王たちはイマの世界を守り続けることを決意したのだった。
●“炎茜精イフリート”のプロフィール
本当に、いいんだね。そう問いかけたのは聖精王。あぁ、みんなそのつもりだ。そう答えたイフリート。揃って首を縦に振った精霊王たち。綴られし存在に与えられた禁忌の血。それは呪いだった。私たちにも、その呪いを背負わせて欲しい。私たちの心はひとつなんだ。共に、イマの世界のために戦わせて欲しいんだ。
●“♯04 扉の先へ:願いの果て”より
大丈夫だよ、彼はきっと帰ってくる。そう声をかけたのはアオトに寄り添うウンディーネ。同じ血が、それを感じているの。ウンディーネに受け継がれた呪い。それもまたアーサーが受け継いでいた呪い。うん、だから僕たちは、僕たちのすべきことを。
●“水蒼精ウンディーネ”のプロフィール
ウンディーネたちは気づいていた。自分たちに禁忌の血が分け与えられる意味を。きっと、私たちは永遠の存在になるんだよね。だけど、それでいいの。私たちはこれから先も、イマの世界を守り続けなきゃいけない。そんな大切なお仕事が出来るなんて、とっても素敵だと思うんだ。やがて、永遠の孤独が訪れようとも。
●“♯05 扉の先へ:願いの果て”より
ねぇ、師匠。私ちょっとワクワクしてるんだ。だって、私はいまから世界を救うんだよ。こんなことって、きっともう二度とない。ううん、二度と起こらないように頑張るね。それでこそ、ウチの一番弟子ネ。それじゃ、おもいっきり駆け抜けるよ!
●“風翠精シルフ”のプロフィール
ウチらの可愛い弟子たちのためアルネ。シルフはいつもどおりに笑ってみせた。もちろんあの子たちも、すべてをわかったうえで背中を押してくれたヨ。だから、ウチらは選択したネ。ううん、あの子たちがいたから、ウチらは選択出来たアルネ。それに、王様にだけ業を背負わせるなんて、そんなこと選択出来ないヨ。
●“♯06 扉の先へ:願いの果て”より
私は信じてる。それがなにか、ウィルオウィスプは尋ねなかった。私が聞きたい言葉は、さよならじゃないんだよ。私が聞かせたい言葉も、そんな言葉じゃない。みんなで一緒に笑い合うんだ。私とパパとママ、父と母と姉、そして、お兄ちゃんと。
●“光陽精ウィルオウィスプ”のプロフィール
ウィルオウィスプに与えられた禁忌の血。取り戻した体。だが、それは決して喜ばしいことではなかった。この呪いは、私たちで終わりにしましょう。じっと見つめ返した聖精王。いまにもこぼれそうな言葉。ううん、あなたがその言葉をいう必要はないんですよ。だからどうか、イマの世界だけを見つめていて下さい。
●“♯07 扉の先へ:願いの果て”より
そんな表情が出来るようになったんだね。ユカリを優しく見つめたシャドウ。ええ、きっと私は変わった。だからみんな、変わることは出来るの。沢山の涙があった、だから私はいまここにいる。そんな沢山の涙を、無駄にするわけにはいかないもの。
●“闇紫精シャドウ”のプロフィール
少しだけ、怖いかもしれない。そう溢したシャドウ。だけど、きっと怖いのは私だけじゃない。私たちだけじゃない。きっとみんな怖い。色々な恐怖と戦っている。だから、私が安らぎをもたらさなきゃいけない。そう、だから私は乗り越えてみせます。取り戻した笑顔。イマの世界のために、みんなの安らぎのために。
●“♯08 扉の先へ:願いの果て”より
ドライバを構えたギンジ。みんなが作ってくれた道、最後はめちゃくちゃにぶっ壊してもいいよな。あぁ、いままでよく我慢したな。となりで優しく微笑むゼロ。俺たちは真実を見届ける義務がある。こんな俺でも、イマの世界の希望なんだからよ。
●“無銀精ゼロ”のプロフィール
なぜだろう、呪いのはずなのに温かいのは。それは体を取り戻したからではなく、聖精王の想いがその体に流れ込んできたから。それじゃあ、行くとしようか。再びドライバへと戻った精霊王たち。どうか彼らに力を。終わる世界に抗う力を。願うことはただひとつ。私たちは生き続けよう、終わることないイマの世界に。
●高野メモ
オズに続き、ついに再醒を果たして体を取り戻した精霊王たちです。インタビューとかでも話しすぎてしまったので、予想されちゃってたかな、と思いますが、それでも驚きと喜びを与えることのできた再醒かなと思います。
コンセプトとしては“3年半の集大成”とだけ伝えました。ので、あえて衣装デザインなど大きく変えず、元々の再醒前のイラストのセルフオマージュです。
リリース当時、精霊王たちと始めたユーザーさんのためにも、物語の最後は精霊王たちとともに締めくくって欲しかった、そんな“ありがとう”の気持ちを込めたユニットたちです。
●デザイナーコメント(UCMMさん)
コンセプトが“3年半の集大成”ということもあり、自分がこのゲームではじめて手がけてたシリーズの再醒となりました。
元の絵とテーマを変えないことで逆にいかに3年半で変わったか分かりやすく伝え新しさと懐かしさを感じさせられたらいいなと思い作成しました。
主人公目線での彼女たちを意識し、「おかえり」といってあげたくなるようなイラストになったのではないかなと思います。
「始めようか、終わりの始まりを。最後の審判を」。イマの世界に終わりをもたらそうとする愛を統べし者に対して、一斉にドライバを構えたアカネたち。
何に対しても無関心だったギンジ、深く暗い闇に包まれていたユカリ。だが、ギンジは最高幹部としての責務とともに生き、ユカリは優しい闇に包まれ、夜明けの先のイマを求めて戦う。
6人の少年少女たちは、それぞれの“イマ”のために愛を統べし者に挑むのだった。
●“♯09 扉の先へ:願いの果て”より
始めようか、終わりの始まりを。最後の審判を。世界に訪れる終わり。生まれ変わろうとする世界。一斉にドライバを構えたアカネたち。俺たちの旅はこれでお終いだ。みんな、いままでありがとう。それじゃ、行こうか。イマの世界を生きるために。
●“♯10 扉の先へ:願いの果て”より
やりたいこともない、夢なんてない、将来なんてどうでもいい。少年はいつも無関心だった。そんな少年が見つけた夢。見つめた将来。俺はイマを生きる。振り下ろされた斧。込められた最高幹部としての責務。それが、あの日の少年のイマの姿だった。
●“♯11 扉の先へ:願いの果て”より
少女は夜が好きだった。訪れる静寂、紫色に染まる街、暗く深い「闇」に包まれていた。だが、刻は過ぎ、少女は優しい闇に包まれていた。死神のごとく、振り払う鎌が切り開く未来。あの日の少女は夜明けを求めた。そう、夜明けの先のイマを求めた。
●“♯12 扉の先へ:願いの果て”より
光り輝く太陽の様な笑顔、少女はいつも笑っていた。楽しい時も嬉しい時も、哀しい時も苦しい時も、笑うことしか出来なかった少女。そんなあの日の少女は、最後まで笑顔だった。振り回される大剣。すべてはそう、イマの世界で笑い合うために。
●“♯13 扉の先へ:願いの果て”より
少女は走る、誰よりも早く、今を駆け抜ける為に。小さくも巻き起こした「風」を身に纏って。あの日の少女が巻き起こした小さな風は、やがて大きな風に。構えられた棍はイマの世界への風穴を開けるために。世界さえも変えるほどの、大きな風へと。
●“♯14 扉の先へ:願いの果て”より
ぽつり、ぽつり、降りだす雨。そんな空を虚ろな瞳で眺める少年の空いた心を埋める様に、滴り落ちていた雫。だが、その雫がもたらした恵み。あの日の少年が振るった一対の刀。悲しみの雨空を切り開き、イマの世界へ希望という虹をかけるために。
そして少年(アカネ)は炎(イフリート)に出会った。そして少年はみんなに出会った。時にはくじけそうになり、涙を流すこともあったが、それでも思い出すのは楽しかった出来事ばかり。
「俺たちはイマを生きるよ。行こう。開かれた扉の、その先へ―」。こうして、戦いはアカネたちの勝利で幕を閉じた。
●“♯15 扉の先へ:願いの果て”より
そして少年は「炎」に出会った。そして少年は「みんな」に出会った。いっぱい転んだ。だけど楽しかった。いっぱい泣いた。だけど楽しかった。思い出すのは、楽しかった出来事ばかり。俺たちはイマを生きるよ。行こう。開かれた扉の、その先へ―。
戦いが終わった玉座に、オズやロキ、サンタクローズたちが姿を現す。戦いに敗れた愛を統べし者(アーサー)の姿を見た彼らは、それぞれの反応を見せる。
ロキは「はは、そんな、嘘だ、嘘でしょ、ボクは認めないよ。ねぇ、どうしてだい、ボクは、ねぇ―」と言葉を放ち、サンタクローズもあの日に与えられた伝説の王の名前(アルトリウス)を呼び続けるのだった。
●“♯16 扉の先へ:願いの果て”より
オズたちが駆けつけたとき、すでに戦いは幕を下ろしていた。立ち尽くすアカネたち6人。目の前に浮かぶディバインゲート。その間に横たわるひとりの男。はは、そんな、嘘だ、嘘でしょ、ボクは認めないよ。ねぇ、どうしてだい、ボクは、ねぇ―。
●“♯17 扉の先へ:願いの果て”より
横たわったひとりの男へと駆け寄ったサンタクローズ。そして、呼び続けたのは、あの日に与えられた伝説の王の名前。あの日の僕らはもういない。俺たちはこれからを生きるんだ。お前はもう、頑張らなくていいんだ。だから一緒に帰ろう。聖夜街へ。
アーサーが選んだ最後の決断。それはあえて創醒の聖者に取り込まれ、内側から力を封じるためだった。
「これがキミの描く物語だったんだね。嬉しいよ、結末が見れて」。アーサーの決断に気付いて高揚するロキの首に、オズの炎の剣が突き立てられる。「それなら、もう満足でしょう」という言葉とともに。
●“♯18 扉の先へ:願いの果て”より
アーサーの最後の決断。創醒の聖者に取り込まれ、内側から封じた力。だからこそ、開かれた道。これがキミの描く物語だったんだね。嬉しいよ、結末が見れて。高揚したロキ。それなら、もう満足でしょう。そして、ロキの首に突き立てられた炎の剣。
「待っているのは、希望かな、絶望かな」。その言葉と共にロキの体は燃え上がり、「あぁ、認めよう。ボクたちの負けだよ。サヨナラ」という言葉を残して絶命した。
●“♯19 扉の先へ:願いの果て”より
それじゃあ、行ってくる。アカネたちは、振り返ることなく目の前のディバインゲートへ。行ってらっしゃい、少年たち。待っているのは、希望かな、絶望かな。その言葉と共に、燃え上がるロキの体。あぁ、認めよう。ボクたちの負けだよ。サヨナラ。
●高野メモ
聖者でありつつも、アーサーの要素を、という発注で作ってもらいました。ラスボスはディバインゲートのほうなのですが、人型としてのラスボスはこちらで、そんなラスボスにふさわしいユニットになったんじゃないかな、と思います。
それにしても、自分で名前をつけておきながら、とっても恥ずかしい名前になりました。ですが、それすらも『ディバゲ』らしいかな、と気にいっています。
内側の愛情と外側の愛情、それがひとつになりました。見た目こそは聖者の延長線ではありますが、その内側には、しっかりとアーサーが存在しています。
●デザイナーコメント(UCMMさん)
ゲーム内キャラユニットとしては最後に手がけたユニット、ラスボスということでいかにもラスボス!な感じがでるようにしました。
聖者ともアーサーぽくもあり、どちらでもないようにうまくまとめられたのではないかと思います。
ディバインゲートと対峙した、アカネたちと精霊王。聖なる扉が壊れれば、世界は扉が現れる前の状態に戻る。だが、それはイマを否定するのと等しい行為だった。
イマの世界は、イマを生きる者たちが選び、行動してきた結果であり、それを元に戻す=なかったことにすることは、これまで行われてきた世界の破壊と再生と同じようなものといえる。
●“閉ざされた扉”のプロフィール
聖なる扉が壊れれば、世界は扉が現れる前の状態に戻るだろう。だが、それはイマを否定するのと等しい行為。扉によりもたらされた沢山の悲劇。だが、それでももたらされた沢山の喜び。幾億の命のすべてを肯定するために、少年少女たちがすべきこと。さぁ、聖なる扉は開かれた。進もう、すべてを肯定するために。
世界を変えるためには、2つの力が必要となる。1つは絶望で、絶望を受け取ることで扉は半分開かれる=天へと開かれる。
もう1つは希望で、希望を差し出すことで扉は半分開かれる=地へと開かれる。
●“絶望の扉”のプロフィール
世界を変えるには、ふたつの力が必要だった。ひとつ、受け取るべきは絶望。そして、世界は半分開かれる。扉は絶望を差し出したことで、絶望の扉は天へと開かれるだろう。そう、傷を負わずして、世界を変えることなど出来やしない。その覚悟があるか否か。すべては想いを。訪れる決断のときは、間近に迫っていた。
●“希望の扉”のプロフィール
世界を変えるには、ふたつの力が必要だった。ひとつ、差し出すべきは希望。そして、世界は半分開かれる。扉は希望を受け取ったことで、希望の扉は地へと開かれるだろう。そう、傷を負わずして、世界を変えることなど出来やしない。その覚悟があるか否か。すべては想いを。訪れる決断のときは、間近に迫っていた。
聖なる扉が存在したからこそ争いは生まれたが、聖なる扉が存在したからこそ、多くの命は出会うことができた。
それを知るアカネたちが選んだことは、扉を開くことでも、閉ざすことでもなく、扉を消滅させる道だった。
「俺たちは、扉を越えて生きていく、イマの世界を―(生き続けるために)」。
●“ディバインゲート”のプロフィール
そして、少年少女たちは歩き出す。聖なる扉が存在したからこそ争いは生まれた。それは、紛れも無い事実。だが、聖なる扉が存在したからこそ、多くの命は出会うことが出来た。そう、だから扉を開くでも、閉ざすでもない。それが俺たちの出した答えなんだから。俺たちは、扉を越えて生きていく、イマの世界を―。
「いつかまた会おう」。精霊王たちは扉の中へと姿を消し、ディバインゲートは金色の光と共に消滅した。
精霊王という大きな力を希望として差し出すとともに、その大きな力と離別する絶望。2つの力によって、世界は変わったのだった。
●“♯20 扉の先へ:願いの果て”より
いつかまた会おう。アカネたちが見送ったのは、扉の中へ消える精霊王。それは差し出した希望であり、受け取った絶望。金色の光と共に消滅するディバインゲート。零れ落ちる涙。泣いてもいいじゃないか。俺たちは、不確かなイマを選んだんだから。
●高野メモ
ディバインゲートのデザインは、アニメ化のときにこちらで最初にラフを制作しました。
そのときに、まずは世界評議会の3つの天秤のデザインを作り、そこに教団の瞳のモチーフがあり、その両方の起源として、天秤、瞳をモチーフに製作しました。
こだわった点といえば、天秤のギミックです。上に開く扉は天秤を軽くすることで上に上がりますし、下に開く扉は天秤を重くすることで下に下がります。
それは、“受け入れるもの”と“差し出すもの”を意味しており、その両方を成立させないと、扉を開くことはできない、という意味を込めてデザインしました。
●デザイナーコメント(UCMMさん)
アニメ化の際に高野さんと仕様を考えたディバインゲート、教団の瞳の起源を感じることのできるデザインをできて、とてもしっくりきたのを覚えています。
ゲーム内では、聖者の背景で中心部が初めて登場したことにはお気づきの方も多かったと思うのですが、再醒の北欧神の背景にも、バラバラになった左右の天秤部分が6分割されていました。
ぜひ完成されたディバインゲートと照らし合わせて見てほしいですね。
「―あれから、少しの月日が流れた」という聖常王クロウリーの言葉とともに語られる、ディバインゲート消滅後の後日談。
閉ざされた聖なる扉は、精霊王が宿していた呪いと反発し合い、消滅が観測された。これによりイマの世界の消滅はまぬがれ、長きにわたる神界と統合世界との争いも終わった。
●“♯01 扉の先へ:終章”より
―あれから、少しの月日が流れた。私たちが選んだイマの世界。閉ざされた聖なる扉は、反発しあう呪いのもと、消滅が観測された。そう、争いは終わった。多くの犠牲と引き換えに、長きにわたる争いは終わったんだ。ひとりの男の最期だけを残して。
だが、一部の人々はアーサーが選んだ自己犠牲の最期について、納得できずにいた。アーサーの処刑の準備が進む中、彼を本当に処刑すべきなのか否か。
●“♯02 扉の先へ:終章”より
俺は納得出来ない。ギンジは声を荒げた。だが、これがアイツの望んだ結末だ。ギンジを見つめ、そう答えたダンテ。悪いが、俺も納得出来ない。ダンテに対して、そう言葉にしたニコラス。ええ、アタシも出来ないわ。そう続けたのはジャンヌだった。
●“♯03 扉の先へ:終章”より
僕は、少しだけわかる気がします。そう口にしたのはオズ。僕はずっと、彼を好きになれなかった。だけど、彼がいたから僕たちの未来は生まれた。そう、これが彼の望みであれば、叶えてあげるべきではないでしょうか。本当に、彼が望むのであれば。
●“♯04 扉の先へ:終章”より
いまさら、誰が本当のことを信じてくれるのかしら。口を挟んだユカリ。彼は世界の敵だった。そう、だった。だけど、彼がしたことに、弁解の余地はない。それ以外の方法がなかったとはいえ、彼は多くの犠牲を生んだのだから。それは消せない事実。
●“♯05 扉の先へ:終章”より
じっと俯いていたヒカリが溢した言葉。私は生きて欲しい。一生懸命、これからを生きて欲しい。たとえ、彼がそれを望まなかったとしても、それを望む人は沢山いるんだよ。そして、零れた涙。もう、私は嫌だよ。誰にもいなくなって欲しくないよ。
●“♯06 扉の先へ:終章”より
ヒカリを優しく抱きかかえたミドリ。どうにか出来ないんでしょうか。そんな言葉を口にしたミドリはわかっていた。たとえ、自分たちがその決断を下さなかったとしても、彼は自らこの決断をしてしまうと。やっぱり、こんな最後なんて、私は嫌です。
アーサーの処刑に関する議論の中、沈黙を壊したのはイージスだった。
「どうか、彼を救ってあげることは出来ませんでしょうか」。イージスが救いを求めた先は、神才マクスウェル。
●“♯07 扉の先へ:終章”より
訪れた沈黙。交錯するそれぞれの想いと彼の想い。ひいては、生きとし生ける命すべての想い。そんな沈黙を壊したのはイージス。どうか、彼を救ってあげることは出来ませんでしょうか。そう、彼女が救いを求めた先。そこに神才マクスウェルがいた。
それに対してマクスウェルは1つだけ方法があると返すが、「もしそれを、彼(アーサー)が望んだら、だけど」と続ける。
●“♯08 扉の先へ:終章”より
あるよ、ひとつだけ方法が。かすかに生まれた希望。もしそれを、彼が望んだら、だけど。そう、選んだ不確かなイマの世界に「完全」などという言葉は存在しない。やっぱり、最後は彼に委ねるしかないんだ。だから、彼の好きにさせてあげなよ。
「これが、僕たちの選んだイマなんだね」と言葉をこぼすアオト。アカネは何が正しくて悪いのかはわからないが、「俺たちはこれからも、迷いながら、悩みながら生きていく。そうする以外、道はない。それが俺たちの選んだイマなんだから。あぁ、最後を見届けよう」と語るのだった。
●“♯09 扉の先へ:終章”より
これが、僕たちの選んだイマなんだね。そう、わかっていた。イマの世界でも、決して止まることのない涙。僕たちは選んだんだ。そして、僕たちに選ばせてくれたのも彼なんだ。だから、僕たちに出来ることはひとつだけ。初めから、そうだったんだ。
●“♯10 扉の先へ:終章”より
俺はわからない。なにが正しいのか、なにが悪いのか。だけど、きっとそういうものなんだと思う。俺たちはこれからも、迷いながら、悩みながら生きていく。そうする以外、道はない。それが俺たちの選んだイマなんだから。あぁ、最後を見届けよう。
アーサーの処刑の準備は、しんしんと粉雪が降り積もる中で進んでいく。エリザベートは11人の人影(円卓の騎士)とともにアーサーが待つ丘へと向かう。
●“♯11 扉の先へ:終章”より
しんしんと降り積もる粉雪。コンコン。扉の鳴る音がした。ガチャ。扉の開く音がした。お待ちしてましたよ。そう優しくエリザベートが出迎えたのは11人の人影。ご案内しますね。そして、エリザベートは歩き始めた。行きましょう、彼が待つ丘へ。
「次は俺の番だな」。かつて、雪積もる丘の上で互いに背中を預けあったアーサーとサンタクローズ。アーサーの約束が果たされた今、サンタクローズもまた、約束を果たすために立ち上がり、世界に幸せをばらまきに向かう。
「世界の悲しみを止めたい。これは、俺(アーサー)にしか出来ないことなんだ。その後にはさ、お前(サンタクローズ)にしか出来ないことがあるだろ」。アーサーが大親友であるサンタクローズに頼んだのは、世界を幸せにすること。
「(サンタクローズは)一年に一度だけど、世界を幸せにする、とっても偉い人なんだろ?」「だからさ、お前はこの世界に幸せをばらまいてくれよ。そのために俺は……」と。
そして交わされた、2人の約束。「俺は約束するよ。この名前(アーサーの本名であるアルトリウス)に恥じない、立派な王様になってくるから」。
●“♯12 扉の先へ:終章”より
雪積もる丘の上、互いに預けあう背中。あの日、世界でいちばん近いふたりは、世界でいちばん遠い場所を見つめ合いながら、ひとつの約束を交わした。そして果たされた片方の約束。次は俺の番だな。立ち上がった片方の男。それじゃ、行ってくるよ。
処刑を前にしたアーサーは、静かに世界を眺めていた。そこに訪れたのは11人の円卓の騎士。
思わず涙を流しながら「お疲れさまでした、ボス」と話しかけるレオラに対して、アーサーは「ありがとう、最後まで俺を信じてくれて」と返す。
●“♯13 扉の先へ:終章”より
残された男はひとり、静かに世界を眺めていた。そんな男の許へ歩み寄る11人。思わず涙が溢れ出たレオラ。お疲れさまでした、ボス。そして、男は振り返った。金色の瞳に映し出された11人の円卓の騎士。ありがとう、最後まで俺を信じてくれて。
●“♯14 扉の先へ:終章”より
思わず抱きついたフェリス。ずっと、ずっと、ずっとずっと会いたかった。そんなフェリスを優しく抱き締めかえした男。ふたりを見て、優しい笑顔を浮かべたローガンとブラウン。長生きはするもんですな。あぁ、おかげで素敵な光景を見れました。
●“♯15 扉の先へ:終章”より
あんたが見たかったのは、イマの世界だったんだな。そう溢したロア。ったく、格好つけやがって。同調したラン。だけど、もういいさ。俺たちはいつだって、あんたが見たい景色を見たいんだから。そう、いまも昔も、それは変わってなかったんだ。
●“♯16 扉の先へ:終章”より
ただ見つめていたヒルダ。いいんですか、彼のこと殴らなくて。そう笑ってみせたアサナ。ふんっ、私だって空気くらい読めるわよ。ふふ、らしくないですね。思い出したかのように、ヒルダは右手を強く握り締め、そして俯きながら肩を震わせていた。
●“♯17 扉の先へ:終章”より
ミレンとオリナ、ふたりは肩を並べ、優しく男を見守っていた。ありがとう、アタシはボスが守ってくれた世界を、広い世界を大切にするよ。ええ、とっても素敵な目標じゃない。そして、ミレンがひとり溢した言葉。それならきっと、彼は報われるわ。
アーサーと言葉を交わす円卓の騎士たち。ようやく訪れた幸せな時間だが、その幸せは長く続くことはなかった。
「そろそろ、いいかしら」と姿を見せたリオ。その訪れはアーサーの処刑時間が来たことを示していたが、アーサーは優しい顔で「俺の望みを叶えてくれて、ありがとう。君は決して裏切り者ではなかった。君を迎え入れて良かった」と返す。
●“♯18 扉の先へ:終章”より
なんて声をかけたら良いかわからないアスル。そんなアスルへ向けられた一言。こんなに、背が伸びていたんだな。それは、近い距離だからこそ言えた言葉。ようやく訪れた幸せな時間。だが、その幸せは長く続くことはない。そろそろ、いいかしら。
●“♯19 扉の先へ:終章”より
現れたリオ。リオの姿を見てもなお、優しい顔の男。リオの訪れがなにを意味しているか、わかっているのにも関わらず、男は優しい顔をしていた。俺の望みを叶えてくれて、ありがとう。君は決して裏切り者ではなかった。君を迎え入れて良かった。
そして、その場にライルも現れる。かつての円卓の騎士がそろう中、ライルはアーサーに「もう、思い残すことはないか」と問い、アーサーは「あぁ、ないと言えば嘘になるな」と返す。
それに対してライルは、目を合わせずに「なら、その選択をすればいい」と答える。
これから行われるアーサーの処刑。ライルはそこで、アーサーにとある選択をさせたいと思っていたのだった。
●“♯20 扉の先へ:終章”より
もう、思い残すことはないか。その言葉とともに現れたライル。あぁ、ないと言えば嘘になるな。男はそう答えた。なら、その選択をすればいい。目を合わせようとしないライル。そう、ライルはその選択をさせたかった。―行こうか、処刑の時間だ。
雪が降り積もる中、聖夜街の外れでアーサーの処刑が行われようとしていた。
「俺がすべての責務を果たそう。そして消えよう、聖なる扉の最後の欠片として―」。覚悟を決めたアーサーの体を、ライルの持つ聖剣が貫く。
●“♯01 扉の先へ:愛する世界”より
聖夜街の外れ、雪降り積もる世界。沢山の人が見守る中、処刑台へと上ったひとりの男。愛する世界のため、世界の敵となることを選んだ男、コードネーム・アーサー。俺がすべての責務を果たそう。そして消えよう、聖なる扉の最後の欠片として―。
震えるライルの手。聖剣を引き抜くと同時に、アーサーの血が白い雪を赤く変える。そしてライルがうつむきながらアーサーに差し出したのは、聖剣の鞘だった。
かつてヴィヴィアンが所有し、黄昏の審判の際に彼女が堕王エビルアーサーへと届けようとした聖剣カリブルヌス。 ファティマがヴラドの復活のために鞘を求めたように、その鞘には“万物を再生する力”が秘められている。
それはすなわち、アーサーの体を普通の人へと修復する力を持つことを示していた。
過去にモルガンによってグリモア教団へと運び込まれ、クロウリーの体に埋め込まれた鞘は、クロウリーの体から取り出され、ライルのもとへとわたっていたのだった。
●“♯02 扉の先へ:愛する世界”より
ライルの持つ聖剣が貫いたアーサーの体。その聖剣を持つ手は震えていた。引き抜かれると同時に、真っ赤に染まりゆく真っ白な雪。そして、ライルは俯きながらアーサーに聖剣の鞘を差し出した。……なぁ、選択しろよ、お前が本当にどうしたいかを!
●“♯03 扉の先へ:愛する世界”より
いつその力が暴走するかもしれない聖なる扉の欠片であったアーサーを救う唯一の方法、それは鞘の力を使い、その体を普通の人へと修復すること。鞘を受け取ったアーサーは残された命を振り絞りながら、世界を見つめていた。あぁ、俺は決めていた。
「……なぁ、選択しろよ、お前が本当にどうしたいかを!」。聖剣の鞘の力を使い、アーサーに生きてほしいというライルの叫びに対するアーサーの答えは、自分の死を決めていたということ。
だが、「そう、決めていたはずなんだ。だが、どうして。俺は死ぬのが怖いのだろうか」とアーサーは続ける。
アーサーの瞳からこぼれ落ちる涙。「そうか、俺が恋した世界は、みんながいたから愛せたんだ。もし、許されるのなら、いや、許されなかったとしても、俺はイマの世界で生きたいんだ」。
●“♯04 扉の先へ:愛する世界”より
そう、決めていたはずなんだ。だが、どうして。俺は死ぬのが怖いのだろうか。瞳から零れ落ちた涙。そうか、俺が恋した世界は、みんながいたから愛せたんだ。もし、許されるのなら、いや、許されなかったとしても、俺はイマの世界で生きたいんだ。
かつて禁忌の子として否定され続けた命。その後、アーサー自身が否定し続けていた彼の命は、多くの人々からだけでなく、アーサー自身によっても肯定された。
鞘の光はアーサーの体を包み込み、いつその力が暴走するかもしれない聖なる扉の欠片だった彼の体を普通の人へと戻した。
人々は口をそろえて、「世界の敵だったアーサーは処刑された」と言った。聖なる扉の欠片として、聖神として、世界の敵となったアーサーの存在は消滅した。残ったのは、普通の人であるアーサーの存在。
そして人々は、口をそろえてこう続けた。「お帰りなさい」と。
●“♯05 扉の先へ:愛する世界”より
あの日、否定され続けた命は肯定された。そして刻は経ち、再び肯定されたその命。アーサーを包み込んだ鞘の光。みな、口を揃えてこう言った。世界の敵だったアーサーは処刑された、と。そして、みな、口を揃えてこう続けた。お帰りなさい、と。
観測神クロノスは語る。西暦2017年5月28日、聖なる扉の消滅を観測した、と。
聖暦という時代は終わりを迎え、6人の少年少女の長き冒険の旅は終わりを迎えたが、イマの統合世界<ユナイティリア>はこれからも続く。
●“♯01 扉の先へ:イマの世界”より
西暦2017年5月28日、聖なる扉の消滅を観測した。終わりを迎えた聖暦という時代、終わることのないイマの統合世界<ユナイティリア>。炎の少年、水の少年、風の少女、光の少女、闇の少女、無の少年、6人の長き冒険の旅は終わりを迎えた。
●“♯02 扉の先へ:イマの世界”より
彼らの冒険を、最後まで見届けてくれてありがとう。彼らに代わり、私から礼を述べさせてもらおう。きっと、彼らはこれから過去になるだろう。だが、どうか彼らのことを忘れないであげて欲しい。イマを生きることを選び、必死に戦い抜いた彼らを。
●“♯03 扉の先へ:イマの世界”より
不確かなイマ、それは決して完全なものではなく、脆く儚い世界。悲しいこともあるだろう。傷つくこともあるだろう。涙することもあるだろう。だが、それが生きるということなのだから。もし、辛くなったら思い出して。必死に生きた彼らのことを。
クロノスは語る。不確かなイマは完全なものではなく、脆く儚い世界。悲しいことも、傷つくことも、涙することもあるだろうが、それが生きるということ。「もし、辛くなったら思い出して。必死に生きた彼らのことを」と。
「彼らが生きた記憶は、みなの心の中で生き続けるのだから」。その言葉とともに、クロノスの観測は途切れた。
●“♯04 扉の先へ:イマの世界”より
彼らが生きた記憶は、みなの心の中で生き続けるのだから。そう、観測はここで途切れる。だが、それは決して終わりではないんだ。そうさ、イマの世界は続いていく。共に、不確かなイマを生きていこう。大丈夫さ、私たちと出会えた君なら、きっと。
だが、クロノスの観測が終わっても、イマの世界は続いていく。
「扉を越えた彼らになにが待っていたのか、もう少しだけ彼らの未来を覗いてみようか」。それがクロノスからの最後の贈り物であり、再会への約束だった。
●“♯05 扉の先へ:イマの世界”より
そして、扉を越えた彼らになにが待っていたのか、もう少しだけ彼らの未来を覗いてみようか。それが、私から君への最後の贈り物だ。またいつの日か出会えることを願って、再会を約束しよう。さよなら。 記・観測神クロノス
4章のときから、7章が終わる時期は決まっていたので、どうにかきっちりと終わらせたいと思い、5章、6章、そして7章と書いてきました。
7章では、やらなきゃいけない話、やりたい話などが盛りだくさんで、ただ、だらだら書くわけにもいかず、1日2エリア10クエストと決めて、その中でできる限りの物語を描こうと決めて書き始めました。
7章は約3年と8ヶ月にわたる物語の集大成となる最終章です。きっちりと完結させることができる、という嬉しい感情で筆が早く進むときもあれば、ついに終わっちゃうのか、という寂しい感情もあり、なかなか筆が進まないこともありました。
だけど、それでも筆を進められたのは、キャラクターたちがそれぞれの想いを抱き、勝手に動き出してくれたからだと思います。そして、そんなキャラクターたちを愛してくれて、どうもありがとうございました。
話したいことはいっぱいあります。僕はすべての答えを持っています。ですが、『ディバゲ』らしく、物語の最後まで行間を感じてもらえたらと思います。
ちょっとだけ、意地悪。だけどその代わり、行間だったり、その後の話だったり、これからはみんなの手で自由に紡いでくれたらと思います。だって、アカネたちはイマの世界を生き続けているのだから。
約3年と8ヶ月の物語、アカネたちの冒険を最後まで見届けてくれて、どうもありがとうございました。
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