2017年5月16日(火)
今年で5回目を迎える日本最大級のインディーゲームのイベント“A 5th Of Bitsummit”。5月20日、21日の2日間にわたって京都の“みやこめっせ”で開催されるBitSummitの特別企画をお届け!
▲5月11日(木)発売の電撃PS Vol.638では “ビットサミット”を特集。こちらも要チェック! |
電撃PlayStation編集部が注目する出展者に今回の出展タイトルや開発秘話などをインタビューしていく特別企画の第2回。今回は、『マジックポーション』シリーズを手掛けているARTIFACTSさんに、まもなく登場する最新作を中心にお話をうかがった。
樹ひかり氏が個人で運営しているゲーム開発サークル。趣味の漫画・小説の執筆活動を経て、2010年ごろよりビジュアルノベルの制作を手掛けている。フリーゲーム『地下99階のロンド』から、すべて同一世界が舞台となる作品を作り続けている。最新作『マジックポーション・デストロイヤー』は、魔法の薬にまつわる人々の話を描いた『マジックポーション』シリーズの3作目にあたる作品だ。
▲全50話のPC向けの連作短編ビジュアルノベル『マジックポーション・ストーリーズ』。レトロRPG風のビジュアルが特徴だ。 |
▲道中で獲得した資源で薬を作り、強化しながら進むPC向けの自動探索型のRPG『マジックポーション・エクスプローラー』。 |
──まずは、最新作となる『マジックポーション・デストロイヤー』を制作した経緯を教えてください。
樹ひかり氏:私はもともと7年前からビジュアルノベルひと筋で作っていました。だから、ずっとビジュアルノベルというジャンルで制作していくつもりだったんです。
ただ、以前『マジックポーション・ストーリーズ』をリリースしたときに、パブリッシャーのPLAYISMさんと協力させてもらうようになって、海外向けとして出せる作品も作りたくなってきたんですよ。そこで、ちょうど制作ツール・ウディタの扱いに慣れてきたこともあり、少し実験的な小作品を作ろうと思ったのが始まりです。
そのときに制作したのが、前作に当たる『マジックポーション・エクスプローラー』です。これは、ビジュアルノベルとはまったく違うストラテジー的な作品だったのですが、制作が思っていたよりも楽しく、いろいろと相性がよいことがわかりました。
次は、このシステムをさらに昇華させたゲームにしてみようと考えた結果、今作っているのが、近日リリース予定の『マジックポーション・デストロイヤー』です。前作でストラテジー形式の作品作りに目覚めていなければ、本当はビジュアルノベルで展開する予定のストーリーだったんですよ。
▲マジックポーション・デストロイヤー / 対応ハード:PC |
──前作でストラテジー作りに目覚めたとのことですが、『マジックポーション・デストロイヤー』のベースは、前作と同じような流れになるのでしょうか?
樹:レイアウトや雰囲気は変わりましたが、ゲームシステムは前作を踏襲しています。前作のシステムをさらに発展させ、削れる部分を削り、そして前作と似た触感ながら雰囲気がガラっと違う。そんな作品です。
──物語は、前作の世界と同じ舞台なのでしょうか?
樹:雰囲気は違いますが『マジックポーション』シリーズの一環なので、前作や前々作と同じ世界です。ただし、今回は過去の時代の出来事を描いています。
──あえてシリーズの未来ではなく、過去の時代を描こうと思った理由を教えてください。
樹:『マジックポーション・デストロイヤー』のストーリー自体は、前々から書きたかった話だったんですよ。第1作の『マジックポーション・ストーリーズ』よりも前から書きたいと思っていて、じつは『マジックポーション・ストーリーズ』のあとがきにも書いていたくらいなんです。
ただ、当時は技術もなく話も熟成できておらず、そのころの自分では作りきれないと判断したので、保留していました。それでも、今作は『マジックポーション』シリーズの原点にあたる話なので、いつか必ず作りたかった。今回、ようやく作れるようになった気がしたので、制作に踏み切りました。
──ジャンルが変わっても『マジックポーション』シリーズとして、同じ世界の作品を展開されているのには、どのような理由があるのでしょうか?
樹:もとをたどれば、『マジックポーション』シリーズの世界は7年前に作ったフリーゲーム『地下99階のロンド』から続いています。この世界は、簡単にいうと“ファンタジー世界が、そのまま21世紀の現代になったような世界”です。魔法やモンスターが出てくるファンタジーなのに通信技術があったり、オンラインゲームがあったり、特殊活動部隊がいたりと“私が作りたいものがだいたい作れる舞台”なのです。だから、ずっとこの世界をふくらませていけるんですよ。
──フリーゲームから続いていたんですね。ちなみに、最新作のボリュームは、前作と同じくらいですか?
樹:ボリュームは、だいぶ増えると思います。1周のプレイの長さも前作以上ですが、本作はリプレイ性も高い設計なので、前作より長く遊べると思います。
──ビットサミットでは、ゲームを最初から遊べる形で展示されるのでしょうか?
樹:製品版を最初から遊ぶ感じでふれてもらえる予定です。本作はステージ制になっているのですが、重要なチュートリアルが収まっているステージ2までを会場で遊べるようにしたいと考えています。
本当は、今回のビットサミットに合わせてリリースしたかったのですが、ちょっとオーバーしちゃいそうなので、製品版は夏コミまでには発売したいと考えているんですよ。
──ちなみに現在何人体制でゲームを作られているのでしょうか? ホームページを拝見するとマンガなども描かれていますが、ゲーム制作を始めたキッカケについて教えてください。
樹:ARTIFACTSは個人サークルで、開設からずっと私1人で運営してます。お気づきのとおり、もともとはマンガを作るサークルでした。そしてマンガを描いていくうちに、今度は小説作りに目覚めてしまい、その後しばらくして、かつて書いた短編小説をNScripter上で走らせてみたくなり、やってみたらうまくいったんですよ。
この“うまくいった”瞬間が、ゲーム制作の道に入る分岐点でした。このとき、うまくいかなかったら今の自分はなかったでしょう。それ以後、ビジュアルノベル作りに傾倒し、現在に至ってます。
──ビットサミットでは、どのような層に遊んでもらいたいと考えていますか?
樹:『クッキークリッカー』のような数字のインフレや実績解除に快感を覚える方なら、かなり相性がよいと思います。そもそも、あの快感を私なりの形にしたくて設計したようなゲームデザインですから。老若男女、そうした要素が大好きな人に届いてほしいですね。
▲シリーズおなじみマジックポーション(魔法薬)も登場。今回の効果は……? |
▲前作のストラテジーをベースに、より遊びやすくなっている本作。魔女の館から脱出し、弟の住む村へと帰還せよ! |
・日程:2017年5月20日(土)、21日(日)
・時間:10:00~17:00
・会場:京都市勧業館“みやこめっせ”1階第2展示場
・入場料:一般 2,000円 / 中高大学生 1,000円 / 小学生以下 無料(2日間有効)
・主催:BitSummit実行委員会
※一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)(Q-Games Ltd. / PYGMY STUDIO CO., LTD. / VITEI BACKROOM Inc. / O-TWO inc. / 17-Bit / Digital Development Management, Inc. / Indie MEGABOOTH)、
株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス、株式会社 Skeleton Crew Studio、株式会社インピタス、京都コンピュータ学院、京都府
・制作:株式会社オリコム
(C) 2010-2017 ARTIFACTS
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