2017年5月22日(月)
共感覚(シナスタジア)シューティングゲーム『Rez』の進化版として、昨年発売された『Rez Infinite』。本作の体験をさらに拡張する“シナスタジアスーツ”の最新版である2.0のプレス向け体験会がEnhance Gamesにて開催された。
ここではシナスタジアスーツ1.0体験者による2.0レポートに加えて、生みの親である水口哲也氏のインタビューを電撃PlayStation編集部がお届けする。
ゲームといえばデュアルショックのバイブレーション機能などを除けば、映像と音、言い換えるなら視覚と聴覚による刺激が体験のほとんどを占めていますが、シナスタジアスーツは新たに“触覚”による刺激を全身に追加させています。つまり、ゲームをプレイしていて得られる情報量が段違いに多いのがポイントです。
以前、『Rez Infinte』の発売イベントにてシナスタジアスーツ1.0を座った状態で体験させていただいたのですが、今回は立った状態でArea Xをプレイ。
“触覚”というのは不思議なもので、座ったときは意識していなかった足元につながるドラムの振動が、立ったときはおもわず体がリズムを取るために動き出したくなるほどの感覚に。体が自由になった状態だと全然体の反応のよさが違うということを知りました。
また、Area Xでスーツを体験できたのもまったくの新体験。1.0ではDC版の『Rez』をベースにしたステージで体験できたので、それは比較的直線的な体験だったのですが、Area Xでは上下左右自由に動くことができるので、よりゲーム内の世界に入り込んだ感覚がありました。
PS VRではじめてプレイしたときの感動もすごかったですが、シナスタジアスーツ2.0を着てプレイすると、「これは別ゲーでは!?」という感動すら覚えました。
体験もさることながら、スーツ自体の光の色や光る場所が自在に変化する様子も、見ていて飽きなくて、非常に斬新。他人がプレイしているとき、ゲーム画面を見るべきかプレイヤーを見るべきか、正直迷いましたね(笑)。
そういう意味では、『Rez Infinte』というゲームは、ゲームの枠からはみ出た“エンターテイメント体験”と言えるのかもしれません。個人的には、次は宙吊りになり擬似無重力空間でArea Xの世界を楽しみたいです!
▲Enhance Games 水口哲也氏。 |
――シナスタジアスーツ2.0はいつ完成したのでしょうか? また1.0からどう進化したのでしょうか?
水口哲也氏(以下、敬称略):シナスタジアスーツの2.0が完成したのは2016年の末あたりですね。1.0では振動用のスーツとLED用のスーツは別々だったのですが、2.0ではひとつになっています。また、今回から短いデモですが“Area X”をプレイできるようなっています。
▲シナスタジアスーツ1.0(左)と2.0(右)。 |
――振動子の位置などは変わっていますか?
水口:位置自体はシナスタジアスーツ1.0の段階でかなり研究していたので、変更はありません。触覚についてはこういうのをやってみようかということはありました。
――シナスタジアスーツはまだ実験段階だと思うのですが、ユーザーがもっと触れやすい環境にすることは考えていますか?
水口:今はまだセッティングも大変ですし、どうしても特別感があるのですが、ユーザーが普通にプレイできる未来はもちろん考えています。いつ実現できるかはわかりませんが、必ずそういう時期が来ると思います。
――シナスタジアスーツは会場に展示されている1.0と2.0の1着ずつしかないのでしょうか?
水口:予備などを含めると5、6着はあります。シナスタジアスーツは、Enhance Gamesとライゾマティクス、慶応メディアデザインで共同開発しているので、今のところはそこに関わってる開発者や研究者が使っている状態です。
――光らせている色と音の関係性はありますか?
水口:ありますよ。この振動だからこの色にしようかなというのは考えて作っています。そこは『Rez』らしく、共感覚的なものですね。
――それは水口さんのイメージなんでしょうか?
水口:僕だけじゃなくて、制作スタッフたちが、ああでもないこうでもないと決めていきました。まだまだこれからいじっていくと思います。
――今回久しぶりにシナスタジアスーツを着て本作をプレイして、ドラムの振動が足元だということを改めて感じたのですが、重低音だと足元のほう、高音だと肩の辺りという意図はあるのでしょうか?
水口:そうですね。僕も初代『Rez』から触覚や振動など色々試してきましたが、ここは明確な理由があるというよりはイメージなんですよ。ここはアートな領域で、“こう感じるのが一番気持ちいい”という考えを実行している感じです。
――アートな考えと最先端のテクノロジーが組み合わさって体験したことのないエンターテイメントが作り出されていくのですね。
水口:まだまだこれからですよ。ようやく入り口に立てたくらいだと思っています。新たなテクノロジーが出てくれば次に行きたいけど、まだちょっと待たないと行けないものもあると思います。
――それは具体的にはどんなところでしょうか?
水口:あらゆる面です。ビジュアルであれば片目で8Kくらい欲しいんです。でもそれは10年後くらいでしょうかね……。あとはARとかMRももっと一般的になってきて欲しい。それは外の世界とつながり始めるということなので、他に進化しようとしてる技術とかも融合してくるんだと思います。やりたいことリストがどんどんたまっていきますね(笑)。
――今後やっていきたいことはなんでしょうか?
水口:これからも色々な実験を繰り返して、VRの未来を『Rez Infinite』で試していきたいと考えています。シナスタジアスーツも2.0で終わるつもりはなくて、3.0の構想も頭のなかにはあります。
あと6月3日には、日本科学未来館でドームVRの実験をする予定です。半球型のドームシアターに投影して爆音で『Rez Infinite』をやってみようかなって。1人がプレイヤーで他の人はそれを鑑賞する形なのですが、それでも気持ちいいんじゃないかと考えてます。気になる人は続報にもぜひ注目してください。
――シナスタジアスーツ3.0の構想について、今の段階でお話できることはありますか?
水口:まだ内緒です(笑)。頭のなかではもう動いていますよ。
――今回のデモでは視覚的な楽しさを拡張して、プレイヤーだけでなく場も巻き込んだおもしろさに昇華した印象でした。日本科学未来館のイベントも含めて、これらはゲームの可能性を広げるためのものなのでしょうか?
水口:今までだとゲームのコンテンツは発売したら終わりというものでしたが、『Rez Infinite』については発売したところがはじまりといった感じです。
ゲームの体験を拡張するためにスーツも作りましたし、ゲームの楽しみ方を別の形で模索するのにドーム型のVRの実験をしてみたり、やりたいことがいっぱいなんです。VRの未来や可能性ってもっとあるので、本作をおもしろいと言ってくれたユーザーとセッションしながら新しい未来を創りたいなと思います。
――今年の取り組みはシナスタジアスーツ3.0などを推し進めて行く感じでしょうか?
水口:やっていきたいですね。どうやってやるかはまだ模索中ですが、VRの可能性や体験を感じてもらえるように、ゲーム以外でも他にももっと仕掛けていくと思います。
――最後にユーザーへ一言をお願いします
水口:まだまだこんなもんじゃないと思っていて、色々挑戦していきたいと考えています。『Rez Infinite』という作品をリリースして半年、みなさんからの反応がだんだんと返ってきているおもしろい時期なので、ここから先はこのキャッチボールの感じというか、次の新しい挑戦や試みを好きな人たちとできたらと思っています。
これからもいろいろなことをはじめたり、ツイッターで呟いたりしていくと思うので、気になる方は一緒におもしろいことをやりましょう。
2017年5月22日(月)15時よりiam8bit Japanにて、『Rez Infinite』コンプリート・パックがアンコール販売されます。コンプリート・パックにはiam8bit Japanで購入可能なすべての『Rez Infinite』関連グッズに加えて、シナスタジアスーツ2.0体験会への招待チケットなどの限定特典が同梱。気になる方は要チェック!
・レコード・セット(日本語訳ブックレット付)
・ゲームソフト(PS4 パッケージ版)
・T シャツ(Level 01 Player Form)≪サイズ:S~XXXL≫
・T シャツ(Exclusive Design by Phil Fish)≪サイズ:S~XXXL≫
・ピンバッジ(Player Form 00)
・ピンバッジ(Level 01 Player Form)
・【特典】CD(Area X の楽曲中、レコード・セットに未収録の謎の音楽ユニット Hydelic(ハイデリック)による『Starlight Infinite』のオリジナル曲、sasakure.UKによる同曲リミックスの2曲を収録)
・【特典】非売品『Rez Infinite』ステッカー
・【特典】今後東京で開催される<シナスタジアスーツ 2.0(最新版)体験会>へのご招待チケット(パスカード型)
(C)Enhance Games, Inc.
(C)SEGA.
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