2017年6月14日(水)

『スーパーマリオオデッセイ』について小泉歓晃Pと元倉健太Dに21個の気になることを聞く【E3 2017】

文:てけおん

 任天堂は、“Nintendo Spotlight”で発表したNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)用ソフト『スーパーマリオオデッセイ』について、メディア向けのQ&Aセッションを行いました。その中で明らかになったことをお伝えしていきます。

『スーパーマリオオデッセイ』

 このセッションに登壇したのは、小泉歓晃プロデューサーと元倉健太ディレクターの2人。2人は取材陣の質問に先駆けて、本作のテーマや、なぜ箱庭世界でこのゲームを作ろうと考えたのか? といった部分をプレゼンテーションの形で解説してくれました。まずはその解説からお届けしましょう。

 本作におけるクッパはかなり本気。ピーチ姫と結婚式を挙げようとしています。そこでマリオは、ピーチ姫をクッパから救い出すため世界を巡る旅に出ます。

 この流れから、本作のテーマが“驚きを探す大いなる旅”であることが明かされました。小泉氏は「海外に初めて行った時のことを思い出してください。初めて目にした異国の街並み、初めて手にした異国のコイン、人々との出会い――そうした旅の驚きを体験することを目指しています」と説明してくれました。

『スーパーマリオオデッセイ』

 またこのゲームを作るにあたって、『マリオ』シリーズにある“誰にでもわかりやすいデザイン”をきちんと踏襲することを意識したそうです。例えばダメージを受けるものは痛そうなトゲトゲしたデザインにしたり、手に入れるとうれしいものは光らせたりといった具合です。

 これは、世界中の人々が一目見て理解でき、安心して遊べるようにとのことで、小泉氏は“共感”という言葉でこの考えを説明していました。そのうえで本作では「もしも私たちが知っている街にマリオがきたら?」という“驚き”を意識的に盛り込んだそうです。

 ここからは、元倉氏がなぜ本作が箱庭世界になったのかを含め、ゲーム部分について説明してくれました。

 本作は、驚きをテーマにスタッフが楽しいと思ったことを詰め込もうとして制作が始まり、すぐにたくさんのアイデアが集まったそうです。こうしたアイデアを無駄にすることなく詰め込みたいと考えた結果、多数のアイデアを収める器として箱庭世界になったそうです。

 ゲーム部分においては、マップの中で入手できるパワームーンが非常に大きな役割を果たします。パワームーンを集めていくことで、それが原動力となって次の国へと行ける仕組みです。パワームーンは、プレイヤーが興味を覚えてアクションすることで手に入ります。

 そして本作のもっとも特徴的な部分が、新アクション・帽子投げです。これは、平面方向だけでなく上下にも投げたり、マリオを中心にくるくるとブーメランのように周りを浮遊するように飛ばすことができたりします。また、足場にしてマリオがジャンプするシーンも映像では公開されていました。

 武器にしたり足場にしたり、驚きに満ちたマリオの旅を助けてくれるこの帽子の名前はキャッピー。そんなキャッピーの最大の能力、それは、キャッピーを相手にかぶせることで乗り移ることができる“キャプチャー”です。

『スーパーマリオオデッセイ』

 キラーをキャプチャーして足場のない場所を自由に飛んだり、ハンマーブロスになってハンマーを投げてみたり、足を伸ばす敵に乗り移って通常では行けない高さの場所を探索してみたり……。といった具合です。

 次にamiiboについて。新たに公開されたamiiboは、ウェディングスタイルのマリオ、ピーチ姫、クッパ。服やポージングにこだわりを持って作られているそうです。

 最後に“Nintendo Spotlight”のPVに収録されていた歌について。この歌は本作を象徴する要素。シリーズで初めてボーカルソングを採用したことについて、本作の“楽しいことを詰め込んだ”と“驚き”の2つを表していると説明してくれました。この歌についての詳細は後日お知らせしてくれるとのことですが、ゲームの中にも登場するようです。

 Q&Aの前に行われたプレゼンテーションはここまで。ここからは、試遊を終えた取材陣の質問について、2人が答えてくれたことをまとめてみました。

――Nintendo Switchの携帯性を生かしたゲームデザインになっていますでしょうか? 例えば数分間しか遊べないような場合でも楽しむことはできますか?

 非常にたくさんのパワームーンがあって、メインストーリーを楽しむ以外にも、2分や3分といった短い時間で楽しめる遊びはあります。

――箱庭世界についてより詳しく聞かせてください。プレイしてみた感じ、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のオープンエアーとはかなり違うように感じました。

 子どものころに公園で遊んだ経験をイメージしてデザインしています。広大なところではなく、目の前にあるものでどう遊ぶのかを考えて作っているのです。例えば木に登るにしても、ただ登るのではなく、いろいろな登り方、だんだんと上手くなるのがマリオにあっているのではないかと。

 本作はジャンプアクションなので、我々が「こうやって遊んでほしい」というレベルデザインをしても、想定外の遊び方をされるお客さんもいます。こちらは冷や汗をかいたりするのですが(笑)、それもまた正解のひとつだと考えます。

『スーパーマリオオデッセイ』

――開発のどの段階で帽子のアクションを入れたんでしょうか?

 帽子のアクションは、さまざまなアイデアのうちのひとつとして生まれてきたものです。特に、Joy-Conにフォーカスしたアイデアとして出てきました。

――ゲーム全体の規模感について教えてください。

 ステージの規模感については詳しくは言えませんが、十分に満足していただけるであろうものを用意しています。

――操作についてお聞きします。本作ではJoy-Conを両手持ちでやったり、Nintendo Switch Proコントローラーで遊んだりと、プレイヤーの状況に応じてさまざまな操作法で遊ぶことができます。それらについてお聞かせください。

 本作では、どの操作法でもすんなりと遊べることを目指しています。Joy-Conでプレイすることを推奨していますが、このプレイの場合、ちょっといいことが起きるといったポジティブな楽しみを用意していますし、身体になじみやすい操作法を目指しています。

――キャプチャーできるものとできないものの違いが明確になっていませんでした。これは、ユーザーにいろいろと試してみてもらいたいという考えからでしょうか?

 そうです。いろいろと試してもらいたいと思っています。またキャプチャー以外にも、いろいろな場所でキャッピーを使えるようになっています。ただひとつ、“帽子をかぶっている敵にはキャッピーをかぶせられない”というルールがあります。

――ただの帽子ではなく、キャッピーというキャラクターを登場させた理由や、キャッピーにドラマは用意されているのかを教えてもらえますでしょうか?

 元々帽子投げの遊びを作っていたのですが、キャプチャーという要素を盛り込むにあたって、これまでのマリオの帽子だとキャプチャーすることはできなかったので、キャッピーを登場させました。もちろん一緒に冒険する理由もありますが、後々明らかにしたいと思います。

『スーパーマリオオデッセイ』

――メキシコをテーマにした国がありましたよね! あの国を作った理由は? メキシコの人は非常に喜ぶと思います!!

 元倉がメキシコに行ったことがあり、「ぜひ作りたい」とのことでメキシコをモチーフにした国を入れました。

元倉氏「オラ!(こんにちわ!)」(会場笑)

――8bit版のマリオになって遊ぶ仕掛けがあって、とても懐かしさを感じました。他にも懐かしさを感じる要素はありますか?

 ご期待ください!

『スーパーマリオオデッセイ』

――多人数プレイの要素はありますか?

 (いつでもどこでも誰とでも楽しめる)Nintendo Switchのゲームなのであるかもしれませんが、今日はナイショです。

――ルイージたちおなじみのキャラクターは出ますか?

 さまざまなキャラクターを出そうと思っていますが……ルイージが出るかどうかは明言を避けさせてもらいます。

――『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ではみんなが画面をキャプチャーして共有していましたが、そういう要素は?

 テーマが旅ですので、旅といえば、写真はつきものだと思います。

――いわゆる変身要素はキャプチャーに集約しているのですか?

 はい。今回の変身要素はすべてキャプチャーに集約し、新しい体験をお届けできるようにしています。

『スーパーマリオオデッセイ』

――オンライン要素は用意していますか?

 オンラインと一口に言っても、さまざまな遊びがあると思いますが、何らかを用意しようと思います。

――ひとつの国の中に、どれだけ未発見のパワームーンがあるか確認する方法はありますか?

 パワームーンのリストがあるので、ある程度は確認できます。

――DLCは考えていますか? コスチュームや新しい王国についてなど。

 検討する余地はあると思います。

――amiiboの活用法を教えてください。

 amiiboはコスチュームをもらえたり、ゲームの中のお助け要素として使えます。

――マップはゲームを進めていくことで何らかの変化はありますか?

 マップを使ってファストトラベル(目的地に一気に移動できる)ができます。

――サイドクエストの数はどれくらいあるのでしょう? また、どうやってサイドクエストを確認できる?

 わかりやすくサイドクエストを表示するようなデザインにはなっていません。興味のあるものを調べてみたらサイドクエストが始まった、というようなデザインです。

――ニュードンクシティ(試遊できた国のひとつ)のデザインインスピレーションはどこから来ているのでしょうか?

『スーパーマリオオデッセイ』

 遊びとして楽しそうなもの、マッチしているものを優先して取り入れていますので、明確な年代は設定していません。ただ、市長として登場するポリーン(※)を取り巻く環境のことは意識してデザインしています。

※ポリーン:『マリオ』シリーズに登場するキャラクター。

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