2017年6月16日(金)

『エースコンバット7』河野一聡Pにインタビュー。『7』は質感や温度の表現まで踏み込む!【E3 2017】

文:電撃オンライン

 バンダイナムコエンターテインメントが2018年発売予定のPS4用/Xbox One/PC用ソフト『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』。そのプロデューサーである河野一聡氏にお話をうかがいました。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』
『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』
▲河野一聡プロデューサー。

約10年ぶりのナンバリングタイトルにかける想いとは?

――どういった経緯で本作の開発に至ったのでしょうか?

 『エースコンバット』シリーズのナンバリングが実は10年ぐらい開いていて、現世代機(PS4やXbox One)のタイミングに、「きちんとした『エースコンバット』のナンバリングをまず出そう」というところから開発がスタートしました。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――それが決まったのはいつぐらいのタイミングですか?

 『エースコンバット インフィニティ』を作る前ぐらいだったかと。企画自体は3年ほど前に持ち上がって、その段階で雲の表現をしっかりやることは決まっていました。現世代機に挑戦するかどうかの時期ですね。『7』に関しては、前世代機では実現できないレベルのアイデアが多くありましたし。

 そこまで大きなチームではないので、先にF2Pタイトルでプレイヤーの皆さんに“場”を提供しようと『エースコンバット インフィニティ』から取り掛かりました。

――VR対応が特徴の1つとしてありますが、開発当初から意識はされていましたか?

 その時点では意識していませんでしたが、情報が出た時に「夢に見ていたことができる!」と思い、すぐに検証したんです。今は解消されていますが、最初のころはVRで酔わないようにするところにとても苦心しました。

――E3の試遊でF-14D Super TomcatとF/A 18F Super Hornetを出したことに理由はあるのでしょうか?

 特に深い意味はありません(笑)。やっぱりトムキャットと言えば往年の名機ですし、スーパーホーネットは現在、主要機体として運用されていますので、この2機なら戦闘機に詳しくない人でも名前ぐらいは聞いたことがあると思います。

 実を言うと最初は3機入れる予定でしたが、残りの1機が空母から発艦させられる機体じゃなかったので、E3では空母からの発艦を楽しんでいただこうと。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――収録機体数はどれくらいになるのでしょうか?

 現世代機レベルの表現で30機ぐらいは揃えたいと思っています。これまでの流用でよければ機体数をもっと増やせるのですが、本作はデータを最初から作り直しているので。

――試遊の時に感じたのですが、機体のコントロールパネルがすごくリアルでした。また、上を見た時にはキャノピー部分に擦り傷があったのでビックリしましたよ。

 リベットまできちんと表現するなど、時間をかけて細かく作り込みました。現世代機で表現するとなった場合、単に美しいだけではグラフィックのよさが伝わりにくいと思ったんです。パネルラインの相い具合などスタッフがとことんこだわりぬいてくてれています。そこまでこだわりぬいた機体、キャノピーに雲突入時は水滴が流れ、次第に氷結していく。本作では質感や温度がプレイヤーに感じていただけるといったところまで踏み込みました。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』
▲雲を潜り抜けると風防のガラスに水滴が。グラフィックへのこだわりを感じます。

――1つの機体を作るのにどれほどの時間がかかるのでしょうか?

 機体のモデル自体もそうですが、ギアが入っていく仕組みなど脚回りのアニメーションにも注力しているので相当手がこんだものになっています。かかる時間が違いますので、長さについては一概には言えません。

――グラフィックだけでなく、BGMにもこだわっている印象を受けました。

 最新ナンバリングタイトルとなった時にスタッフをしっかりと集めたいと思って、昔からシリーズを作曲していただいている小林啓樹さんには真っ先に声をかけました。どの楽曲も、彼のこだわりがたくさん反映されているものに仕上がっていると思います。またチームスタッフにも歴代の『エースコンバット』に関わった人に楽曲作成の依頼をしています。集大成のイメージです。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――試遊ではアーセナルバードを撃墜できなかったのですが、勝つことはできるのでしょうか?

 プレイしだいでダメージの与え方は変わりますが、あれは序盤ですし、初めて遭遇したアーセナルバードの怖さを知っていただくミッションになっています。加えて無人機と戦う感覚を味わってもらう、ゲームプレイとしての伏線です。プレイヤーには勝つよりやらなきゃいけないことがあったりします(笑)。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――ストーリーはどのようになるのでしょうか?

 ストーリーについては、『この世界の片隅に』の片渕須直監督と久しぶりにお仕事させていただきました。『04』や『5』以来になるのですが、片渕監督が予想以上に『エースコンバット』のことをキチンと覚えてくださっていて、その流れのディテールまでしっかりとした内容になっています。

――E3のタイミングで発表されたPVにも、エルジア王国とオーシア連邦が対立することが明示されていますが、なぜこの2国の対立を描くことになったのでしょうか?

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』E3 2017出展用トレーラー

 エルジア王国は『04』で敵だった国、オーシア連邦は『5』でプレイヤーサイドだった国です。両国の対立は過去に描かれていませんし、シリーズファンも興味のあるところだと思ってエルジア王国とオーシア連邦を選びました。

――プレイヤーはどちらの国に属するのでしょうか?

 これから徐々に明らかにしていきたいと思います。まずは2つの国のことを知って、考えていただきたいです。

 『7』では単純に国と国の戦いだけでなく、有人機と無人機、新世代と旧世代などさまざまな構図があり、ストーリーは単純な形で終わらないようにしていますので、片渕監督の書く脚本にご期待ください。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――『エースコンバット』シリーズのファンに『7』で感じてほしい部分はどこになるのでしょうか?

 ナンバリングを追いかけてくださっている方たちが心から喜んでもらえるように、仕様をすべてナンバリング基準で考えていますし、内容も当然充実させているつもりです。よりよい『エースコンバット』がちゃんと帰ってきた、と思ってもらえたらうれしいですね。

――息の長い作品ですので、本作で初めて『エースコンバット』を知る人もいると思います。そんな人に、本作ならではの魅力を伝えるとしたらどこになりますか?

 まず、見た目ほど難しくはないことを伝えたいです。手軽に大空を飛び回る爽快感を味わえる点が1つの魅力ですし、フライトシューティングにしては珍しくシナリオにも凝っています。

 戦闘機でフライトしながらエースパイロットの体験ができる、世界でも希有(けう)なソフトですので、ぜひとも手にとっていただきたいです。

『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』

――私も久しぶりに触ったのですが、2種類選べる操作法から簡単なほうを選んだら、すぐに馴染めました。

 初心者の方でも気軽に遊べるようにしています。操作に慣れて意のままに動かしたくなったらエキスパートを選ぶという設計は、シリーズのラインとしてしっかり守っています。

――最後に、本作を心待ちにしているユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。

 発売を2018年に延期させていただきましたが、そのぶんこだわっていることが伝わるトレーラーやデモができていると思います。引き続き、応援よろしくお願いします。

E3試遊版がどんな内容だったのかレビュー形式でお届け

 せっかく遊ばせていただいたので、本作のミニレビューをお届けします。

 E3での試遊は10~15分程度。プレイヤーはF-14D Super TomcatとF/A 18F Super Hornetのどちらかを選んでプレイできます。ミサイルや機関銃といった兵装に加えて、F-14DではLAAM(※射程距離が非常に長いミサイル)、F/A 18ではQAAM(※追尾性能が非常に高いミサイル)を使うことができました。

 試遊が始まると、まずは10機編成の敵(F-4EとF-16C)とのドッグファイト。10機の敵を撃墜してひと息ついたところで、突如謎のミサイル攻撃が! BGMも切り替わり、巨大な飛行空母“アーセナルバード”および無人戦闘機との戦いが始まります。

 最初の戦いよりも苛烈な攻撃に耐えつつ無人戦闘機を落としていき、アーセナルバードに攻撃! ――というところで試遊は終了。

 ひさびさにフライトゲームをプレイしてみたのですが、フライトゲームに不慣れな人でも、2つある操作スタイルのうち初心者向けであるスタンダードを選べば、「どっちが空でどっちが地面だったかわからなくなっちゃった……」ということに陥ったりせず遊べます。操作自体も特別に複雑なわけではないので、数分で慣れることができました。

 また、英語だったので完全に理解はできませんでしたが、僚機に乗ったキャラクターたちがよくしゃべってくれるので、アーセナルバードが登場する直前のミサイル攻撃で混乱してしまっても、なんとか状況を把握することができ、置いてけぼりになることなく楽しめました。

 グラフィック部分は非常にリアルで、キャノピー部分についた擦り傷や、雲に突入すると水滴がつき、ものすごい速さで流れていく様子なども確認できました。

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