2017年6月16日(金)
PlayStationのキーマンが語るPS4。IPを映画などに展開するために組織を変える。【E3 2017】
米国・ロサンゼルスにて、現地時間6月13日~15日に開催されているコンピュータゲームの祭典“Electronic Entertainment Expo 2017(E3 2017)”。
その会場で、ソニー・インタラクティブエンタテインメントアメリカ プレジデント兼ワールドワイド・スタジオ(WWS) チェアマンのショーン・レーデン氏にインタビューを実施。WWSチェアマンとしての1年やPlayStation VRの動向などについてお話をうかがった。
「やってみよう」というチャレンジ精神が大事
▲ショーン・レーデン氏 |
――昨年4月1日から兼任でWWSのチェアマンになられて1年が経ちました。これまでの成果や今後の課題について教えてください。
ショーン・レーデン氏(以下、敬称略):私がWWSのチェアマンを兼任することになったのは、マーケティング部門と制作部門の協力体制をより強化するためです。マーケティングと制作は業務の遂行上、時に衝突することがありますが、その衝突を良い結果に導いて行くことが必要となります。
私はいずれの業務経験もあるので、その知見を生かして推進しているところです。約10年振りに制作に戻ってきたことになりますが、制作の現場では、どうしたらユーザーのみなさんに感動をお届けできるか、ということを常に考えるなど、ものづくりのプロセスが非常に楽しいです。
また、我々にはいろいろなIPがありますが、ゲーム以外でIPを利用することにまだあまり積極的ではありませんでした。これからは、映画やテレビ、コミックといった二次使用で裾野を広げていくことができないか、と考えています。
『アンチャーテッド』シリーズや『Horizon Zero Dawn』など、さまざまなIPが順調に育っていますし、コアなファンもついてくれているので、今後はそのようなファンの方々への需要にも応えていきたいと考えています。
――今おっしゃった施策はどのぐらいで実現すると考えていますか。
ショーン・レーデン:どちらもすぐに実現できる内容のものではありませんので、今は実現に向けた組織作りを行っているところです。
――カンファレンスではSIEのファーストパーティタイトルが多かったのですが、意図的なものだったのでしょうか?
ショーン・レーデン:毎回発表するファーストパーティタイトルの数には波がありますが、今回はヨーロッパやアメリカ、日本のスタジオで開発している作品を紹介できるタイミングが重なったのだと思います。
――『Horizon Zero Dawn』のDLCは先ほどの施策の1つなのでしょうか?
ショーン・レーデン:そうですね。事前情報を一切出さなかったので、スクリーンにゲリラゲームズのロゴが出た瞬間、会場も盛り上がりました。『Horizon Zero Dawn』はセールスも好調ですし、世界的に評価の高いIPになってくれたと実感しています。
――IPという意味では、主人公のアーロイも人気になりましたね。
ショーン・レーデン:WWS開発作品の共通点として、『アンチャーテッド』のネイサン・ドレイクなどもそうですが、ストーリーやキャラクター性に力を入れています。そのようなゲームを作れるのが我々の強みだと考えています。
▲アーロイ |
――PS VR対応タイトルも多くなってきました。今後はどのように展開させていくのでしょうか?
ショーン・レーデン:我々は、PS VRを周辺機器ではなく、1つのプラットフォームと考えています。実際、ゲームだけではなく映画やテレビなどの分野からもたくさん声がかかっています。
ただ、これまでの映像作品はクリエイター側がカメラをコントロールするのに対し、PS VRはユーザーがカメラを自由に動かすことができます。そのため、クリエイター側も新たなチャレンジが必要となり、そこから新しい技術やノウハウが出てくると思います。
ゲームとしては、まだ規模の大きなコンテンツはそれほど多くなく、さまざまなインディーのコンテンツを中心にご紹介している状況です。PS VR向けにどのようなゲームがいいのか試行錯誤しながら、いろいろとチャレンジしている段階だと思います。
PS VRはこれまで100万台を売り上げており、今後もさらに伸ばしていきますので、新しい発見やチャレンジはこれからも出てくると思います。グリーンフィールド(何もない芝生)の上にPS VRのビジネスを作り上げていくのは、初代PlayStationのアプローチと似ているかもしれません。とにかく「やってみよう」というチャレンジ精神が大事だと思います。
――『モンスターハンター』シリーズの最新作『モンスターハンター:ワールド』が発表されました。
ショーン・レーデン:カプコンさんには感謝の気持ちと同時に大きな期待を寄せています。私が2007年にロンドンから帰って来て当時のSCEJプレジデントになったときに『モンスターハンターポータブル 2nd G』が発売されました。ちょうど私が制作部門から販売部門に異動になった時期のタイトルということもあり、PSP(PlayStation Portable)の売り上げにもよい結果をもたらしてくれた印象深いシリーズの1つです。
『モンスターハンター』は日本のマーケットではビックタイトルになりました。今回のタイトルでその良さを世界中のより多くの人に伝えたいですね。もちろん我々も可能な限り協力していきます。
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