2017年6月16日(金)
『グランツーリスモSPORT』光へのこだわりが生み出すクオリティ。山内一典氏インタビューも【E3 2017】
米国・ロサンゼルスにて、現地時間6月13日~15日に開催されているコンピュータゲームの祭典“Electronic Entertainment Expo 2017(E3 2017)”。本イベント会場では『グランツーリスモSPORT』のセッションが開催された。
セッションでまず説明されたのはビジュアルについて。『グランツーリスモSPORT』は4K、60FPS、HDR、ワイドカラー、そしてVRに対応したおそらく世界で最初のタイトルだろうと語られた。とくに、HDRの開発には4年かかったとのこと。日中の太陽や新月の夜など、自然界のさまざまな明るさをキャプチャーし、ゲーム中では幅広い光の表現が可能になっている。
1作目の頃から光には気を遣って制作しているとのことで、一般的なデジタルカメラやPCのモニターでは正確に表現できない“フェラーリの赤”も、『グランツーリスモSPORT』とHDR対応テレビを組み合わせることでしっかり表現できるそうだ。
ほかにも“マクラーレンの黄色”など、本作に収録されている車の10%くらいは一般的な機器で表現できるカラースケールに収まっていないが、本作ではそれぞれの自動車の色が正確に表現されている。
発売時点で140種類の自動車が用意されている予定とのことだが、こだわりによって本作のビジュアルはおそらく各メーカーがプロモーションのために用いるキャプデータをのぞけば世界で最もクオリティの高いモデルだと語られていた。
また、コースのクオリティも高く、発売時点で15ロケーションで27のレイアウトが収録されているそうだ。現行世代のゲームコンソールで一番表現が難しいのは日中の晴れの表現だそうだが、本作では晴れていて太陽が見えているような条件でどれくらいリアリティを出せるのかというところで勝負をしているとのことだ。
セッションのあとには、シリーズプロデューサーの山内一典氏にお話をうかがうことができた。
『グランツーリスモSPORT』は酔いづらい?
▲山内一典氏 |
――本作のムービーでe-sportsのカジュアルな一面を感じるシーンがありました。
山内一典氏(以下敬称略):『グランツーリスモSPORT』のオンラインのコンベンションモードに、フレンドと一緒にレースをするモードがあります。このモードはどちらかと言うと、自分の気心の知れた人と和気あいあいとやるものなんですね。一方で、ワールドシップチャンピオンモードではレベルの高い本気の争いになるのだろうと思います。この2つの側面は自然に出てくるものと考えています。
――VRに対応させるうえで、酔いへの対策はどのようなことをされましたか?
山内:そもそも意外と酔いづらいと思います。車の運転が座って行うものだということと、座席はインテリアに囲まれているので自分の基準点が明白であることがその理由です。また、運転中は自分が行きたい方向に目線が自然に定まってきます。そうすると自然と酔わなくなるというのがありますね。人間は常に未来予測ができれば酔わないんですよ。
逆に、未来予測が出来なくなった瞬間に0.5秒で酔いますね。もちろん『グランツーリスモSPORT』自体、フレームレートをきちんと維持していますし、操作に対して直感に反さない動きをさせているという点も酔わない理由になってきます。
――『グランツーリスモSPORT』はドライビングシミュレーションとして優秀なソフトだと思います。今回VRを導入することで、さらに真のリアルに近づいたのでしょうか?
山内:最初にVRヘッドセットができたのは1962年で、今から50年以上前のことなんですね。言ってみればいつまでたっても実用化されてなかったわけですよ。だから僕が生きているうちは発売されないのかなと思っていたら、やっとコンシュマーレベルで出てきたわけですね。
今のものがパーフェクトだとは全然思わないのですが、50年経ってやっと出てきたVRデバイスなわけだから、それを大事に育てていきたいという気持ちはあります。ですから、このテクノロジーに常に寄り添いつつ、でももうちょっと未来を見据えて開発を進めていきたいと思いますね。
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