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2017年7月1日(土)

【電撃PS】高橋慶太氏のコラムを全文掲載。『塊魂』のPLAYMOBILを作ろうとしたことがあったなぁ。

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』。ゲームデザイナーとしての日常や、ゲーム開発にまつわるエピソードを毎号掲載しています。

『電撃ゲームとか通信。』
『電撃ゲームとか通信。』

高橋慶太氏PROFILE

  バンダイナムコゲームス(現BNE)時代に『塊魂』、『のびのびBOY』を制作。その後『Tenya Wanya Teens』を発表。GoogleのARプロジェクト“Tango”向けに『WOORLD』を開発、現在は『Wattam』を制作中。

 この記事では、電撃PS Vol.641(2017年6月22日発売号)のコラムを全文掲載!

『電撃ゲームとか通信。』

第九十五回:『塊魂』のPLAYMOBILを作ろうとしたことがあったなぁ。ところでドイツのゲームって。

 どうも。PLAYMOBIL(以下PM)デビューは大学時代とつい20年前くらいのことなんだけど、最近の『ゴーストバスターズ』などとのコラボシリーズのクオリティーの高さに、PMの良さを再認識した高橋です。

 当時買い漁ったPMたちで6歳と3歳の子供が現在進行系で遊んでいるので、少なくとも無駄遣いではなかったし、恩師でもあるナムコの尾崎さんともPMが好きという共通点があったからこそ、一緒に協力して『塊魂』のアイディアを製品化まで漕ぎ着けることができた、といっても過言ではありません(言い過ぎ)。

 そして、自分がPM好きだからという公私混同した理由で、王子の横長頭の形をしたヘルメットを人形に被せて王子っぽいPMをつくる、というのが塊おもちゃ商品のアイディアの1つとしてありました。当時の輸入元であった増田屋の会社の外観やエントランス周りのことをすごくおぼろげながらも覚えているので、ライセンスの杉山さんか工藤さんと一緒に自分も実際に行ったんだと思います、多分。

 増田屋の担当の人曰く、当時のPMは他社とのコラボにはあまり興味がなく、しかもビデオゲームというものに関して老舗のおもちゃメーカーとしてあまりよろしく思ってないかも、という話だったので難しいかなもという結論に。し、か、し、現状、ゴーストバスターズやポルシェとタイアップしているところをみると、どうやら他のIPとのコラボレーションにも関心が出てきたのかなー? 

 そして、あの夢アイディアも実現可能なのでは、と思ったりするけど、そもそも自分は塊のIP持ってないし、塊はゴーストバスターズやポルシェほどメジャーではないですしね。死ぬ前までになにかしらコラボができたら良いなあ、くらいでとどめておきます。と、こんな受け身では何にも起きないですね。いずれは発祥の地ドイツに行って工場はもちろん開発の現場を見学してみたいなあ。

 と、それで思い出したけど『ICO』『人喰いの大鷲トリコ』の上田さんが、5月末にスウェーデンで開催されたNORDIC GAMEというゲームのイベントに行ってきたことをテキスト経由で教えてくれて。そしてどうやらそのイベントに参加しただけではなく、『Division』を開発したUBISOFT傘下のMassive Entertainment、あとは最近リリースされた『LittleNightmares』を開発したTarsier Studiosにも訪れたそうなんです。

 ゲームスタジオの事などに関してはまったくのド素人なので、そもそも一般的に知られているゲーム会社がスウェーデンにいくつかあった事自体にびっくり。自分のなかのスウェーデンのイメージは、シンプルで白と黒で構成された良質のプロダクトをつくっている国、というもの。

 たしかスウェーデンは自分が好きなプロダクト/ブランドで溢れかえっていたはずだ、と思い軽く調べてみたら、、今は無きに等しいNOKIA、Marimekko(服のブランド)とムーミンはフィンランド、Kay Bojesen(プロダクトデザイナー)とnormann-copenhagen(家具等のブランド)はデンマーク。

 あれ? 国が近いから勘違いしていたのかしら? 全部スウェーデンじゃない。もっと慣れ親しんだブランドがあるはずと見落としてました、スウェーデンミートボール(ベジタリアンボールもいける)が美味しく、つい先日も行ってきたIKEAです。青と黄色というスウェーデンの国旗カラーで構成されたIKEAのロゴはまさにスウェーデンを代表する企業の1つ。

 日本ではイケアと読むけど、アメリカではアイケアと発音するのです。おそらく本場スウェーデンでもイケアなんだけど、英語読みだと違ってくるらしい。カメラのNikonもナイコンと読むし、面倒臭い。あとは有名どころと言えば車のVOLVOとSAAB。Nikon繋がりでハッセルブラッドというカメラメーカーもスウェーデン。ファストファッションブランドのH&Mもそうみたい。

 と、スウェーデンの代表的な企業を並べてみると、そこにゲームの会社があるのもちょっと頷ける。他のスカンジナビア諸国と比較して、重軽工業分野が得意なのかもしれませんね。全く行ったことも無いし知識も無いから完全な憶測ですが。もしもこの憶測が当たっていたとしたら、ドイツなんてそれこそ車やプロダクトが大得意なわけで、当時のPMは認めていなかったようだけど、ビデオゲーム開発も盛んなのでは? 

 全く詳しくないけど、ドイツはボードゲームでも有名な国だから、きっとビデオゲームのスタジオも多いはず。ということで調べました。ついでにTwitterでも聞いてみたけど、、聞いたことがあるゲームをつくったスタジオは1つだけでした。

 『Crysis』というシューターや『CryENGINE』というゲームエンジンを手がけた“Cryteck”だけ。あとはモバイルゲーム系で大きな会社がいくつかある程度。んー、どうもそれほど盛り上がってる感じはしません。んー、スウェーデンで使った“製造業が盛ん=ゲームスタジオもまあまあある”論が早くも違うものとされちゃった模様。

 車やほかのプロダクト、そしてボードゲームをつくるのは盛んだけど、ビデオゲームをつくることはいまいち盛り上がってない感じ(個人的想像だけど)なのは一体なんなんでしょう? やっぱりボードゲームのほうが人気? もしそうだとしたら、それはそれで良い。

 物質的というか手で触れられるものを愛でる文化が他の国よりも強いのかもしれません。あとは伝統文化をより重んじる傾向があるのか。ビデオゲームなんてここ30年か40年の歴史しかないですし。そういえば本当に今思い出したけど、以前ピクトプラズマというアニメーションイベントに呼ばれてドイツに行ったことがありました(そこで『Everything』のデザイナーであるDavidさんとも知り合った)。

 会場となった都市が旧東ドイツだったか旧西ドイツだったか覚えてないけど、昔の都市の面影が色濃く残った都市は他の国とは明らかに違う雰囲気だったの事を思い出しました。あー、なんかドイツにあまりゲームスタジオが多くないことも個人的に納得。と自分しか分からない形で今回はおわりー。

(C) Keita Takahashi

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.641』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年6月22日
■定価:694円+税
 
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