2017年8月28日(月)
現在、数多くのプレイヤーを楽しませているスクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『スターオーシャン:アナムネシス(SOA)』。
今回は、この人気作を世に送り出したスクウェア・エニックス、そして開発を手掛けるトライエースの主要スタッフにお集まりいただき、これまでの苦労話や開発エピソード、未来の展望からファンの願いに対する取り組み方までを、3時間にもわたる超ロングインタビューでアツく語っていただいた。
後編では、開発スタッフでしかわからないゲーム内のデータや、『スターオーシャン』ファンとしても気になるであろう“アイテムクリエイション”実装の有無についてを率直におうかがいしてみた。
――では、ここからはユーザーには調べようがない開発サイドでしか把握できない部分についてお聞きしていきたいと思います。まず、このインタビューをお聞きしている8月上旬現在で、もっとも人気のあるキャラについて。
甲斐聖現さん(以下、甲斐):これは出し惜しみではなく、人気のキャラってなかなか難しいんですよね。その時行われているイベントや流行によって変動しますし、そもそも何をもって“人気キャラ”とするのかも難しい。
よくバトルで使われているキャラなのか、レンタル設定されているキャラなのか、はたまたホーム画面に設定されているお気に入りキャラなのか……。
山本拓生さん(以下、山本):ちなみに、お気に入りキャラ設定については調査してきておりまして、8月上旬現在、常夏のレイミが一番多いですね。
――あ、じつは僕もそうですね……納得です。
山本:ちなみに、その前は花嫁マリアが一番多かったです。やはり、流行というものはあると思います。
小島創さん(以下、小島):使用キャラやレンタル設定キャラは、誰々がというよりは“アタッカーとシューターが多いですかね……”くらいの、漠然とした答えしか出せませんね。
ミッションがオートで回れるか、どのキャラが相性がいいか、などでも全然変わってしまいますので。
山本:これは正直、開催されているイベントにもよるかと思います。
――特定のキャラを愛して、ずっと使い続けているユーザーさんも少なくない反面、そこらへんの攻略要素をしっかりと理解してプレイしているユーザーさんもまた多いってことなんでしょうね。では、次にバトルについて。実装当時、「なんだこの難易度は!」とうわさになった“絶級”ですが、これはいったいどれくらいのユーザーがクリアしているんでしょうか?
甲斐:これもイベントによりますね。直近で開催していてデータが取れた“壊れた支配者と囚われの王妃”で戦うルインデイモントの絶級は30%強くらいでした。
山本:初めて絶級を実装したビーストモナークのクリア率は、もっと低かったんですけどね。20%くらいでしょうか。じつは、開発中はもっともっと難しくて、開発スタッフでもクリアするのに2時間くらいかかったりしていました。
――30%と聞くと、個人的には思ったよりクリア率は高めだなと感じます。最初にビーストモナークの絶級と戦った時は「これはエンドコンテンツが来たな」と思ったものですが、3割のプレイヤーがクリアしているとなると、そこまでのものともいえないような。
小島:これは、マルチプレイのパーティによっても変動しますよね。極端な話、ホストはすぐにやられてしまっても、残りの3人が熟練のパーティであれば、それだけでクリアできてしまう可能性もあります。それこそ、周回プレイで絶級を回しているような猛者プレイヤーはもっともっと少ないと思いますよ。
――ここで聞いておきたいのが、先日のロードマップで公開された“覇級”についてですが……。こちらはどのような狙いで実装するものなのでしょうか?
甲斐:じつは、絶級をゲーム内に実装して皆さんに遊んでもらうその前から、より上の難易度となる覇級の実装は決まっていました。
じつは、ユーザーさんからは本当にいろいろなご意見を日々いただいています。空いた時間でちょっとずつ遊んでくれる方や、毎日ガッツリ遊んでいただいてイベントも攻略し終わっている方からも、さまざまなご意見をいただきます。
一方では、もっとシングルで無理なく遊べる要素が欲しいというご要望もあれば、一方ではもっとマルチで歯ごたえのある敵が欲しいというご要望もあり、本当にいろいろです。
まずは、それらの要望のひとつである、本当に歯ごたえのあるバトルを体感していただくためのモード。それが覇級となります。
――なんだか、クリアを前提にしていないようなおっしゃりようですね。
甲斐:生放送でもいいましたが、周回プレイは必要とせず、1回でもクリアすればもうOKにしようかなと考えています。というか、今の獄級や超級のように、気軽に周回に挑む気にはならないのではないかと……。
小島:正直、こちらとしては今の絶級は本当にギリギリの難易度として調整しているわけではありませんので、これに歯ごたえがないと思っておられるユーザーさんにこそ遊んでほしいコンテンツとなります。
――そうでした……トライエースのアクションRPGには“そういうチューニング”のバトルがあるってことを思い出しました(笑)。
小林秀一さん(以下、小林):ただ、「1回だけクリアすればそれでOK」にしてしまうと、本当の上位層以外は詰んでしまう危険性もあるんですよね。「今からプレイしても上手な人に助けてもらえないしな……」ってなると、そもそもプレイすらされなくなる可能性もあるわけで。
――そこらへんはまだまだ検討の余地があるってことですかね。これは続報に期待したいと思います。あとは“エレメンツバースト”に関しては、いかがお考えですか? いわゆる“エレバハメ”と呼ばれる、エレメンツバーストでボスをずっと動けなくしてしまう荒技もあるようですが……。
小島:とても有効な戦術のひとつだと思っています。属性武器をそろえる必要があり、なおかつ的確に攻撃を当て続ける技術もいるなど、その状態に持ち込むために超えなければならない壁もありますから。
ただ、これだけが戦略の基本になってしまうのはちょっとおもしろくないので、この戦略一辺倒になってしまいそうな場合は、今後エレメンツバーストが効きにくい敵を出すといった可能性はありますよ。
――あとは、ロードマップ公開の際にあえて明言されなかった感もある“アイテムクリエイション”ですが。もうこれ、実装されると思っておいていいんですかね?
小林:うーん……生放送では自分で煽っておいてなんですが、そんなに簡単に仕様を決めていいものではないんですよね。コンシューマーの『SO』シリーズでは、アイテムクリエイションで強力な武器を生み出すのが楽しみのひとつだったと思いますが、『SOA』でそんな仕様にすることはできませんからね。
スタンドアローンのゲームではなく、オンラインのゲームなのでバランスを考えたり、そもそも何のアイテムを作ると有用なのかとか……。
甲斐:そうなると、「そもそも『SOA』でアイテムクリエイションって言われても、いったい何を作れば楽しくなるの?」となるんですよ。正直、これはまだ我々のなかでも結論が見えていない部分です。
小林:そうはいっても、実装しないわけにはいかないですよ。本作が『スターオーシャン』である以上、こだわらないわけにはいかない部分でしょう。
山本:そうですね。『スターオーシャン』シリーズの生みの親である弊社の五反田からも、アイテムクリエイションはなんとか実装するよう言われておりますし。ちょっとまだ答えは出ていませんが、少々お時間をいただければと思います。
小林:五反田さんからも言われているくらいなんだから、これはもう、ちゃんと実装しようということで。個人的には、ミニゲームみたいにしてほしいですけど。
小島:なるほど。一概にアイテムクリエイションといっても、シリーズによってその内容は全然違いますからね。強引に言ってしまうと、武器やアクセサリの強化関連が「アイテムクリエイションです!」って言えなくもない。
――鍛冶……という意味では、アイテムクリエイションになるのでしょうか……。でも、それはちょっと違う気がしますね(苦笑)。
小島:そうですよね(苦笑)。最終的には、なんとかバランスを壊さない形で実装したいと思います。
小林:2年目に向けた新しい楽しみ方という側面ではあると思うので、もう少し先のお話になると思います。
――では、また数カ月後にインタビューにおうかがいして懲りずに同じ質問をぶつけますので、その時に進捗を教えてください。それくらいの心づもりで待っていようと思います。
――これからの『SOA』の方向性として、シングルプレイとマルチプレイ、比重としてはどちらに力を入れていかれるのでしょう?
甲斐:欲張りな言い方になりますが、モバイルゲームではどちらのモードも重要だと思っているので、どちらにも力を入れていきたいんですよ。マルチプレイに関しては、先ほどお話に出た“覇級”など、より手ごたえのあるコンテンツを考えています。
対して、シングルプレイについては、年末ごろに“ディープダンジョン”というコンテンツを用意しています。これはキャラの育成具合が問われるコンテンツになりますね。
――ロードマップにも記載されていましたね。これはどういう遊びになるのでしょう?
山本:具体的なところはまだお話できませんが、階層式のダンジョンになっていて、1つの階層に挑戦してクリアするごとに、そこで使用したキャラは以降の階層では使えなくなっていく仕様を考えています。
――なるほど。年末までにできるだけ多くのキャラを育成しておくことが重要になりそうですね。
山本:もちろん、キャラの使用制限は一定時間の経過などでリセットされるので、いつまでたってもクリアできないって仕様にはなりません。とはいえ、いろいろなキャラを駆使して遊んでほしいと思います。
――生放送では、相互フォロワー同士のプレイについても言及されていましたね。でも、そもそも『SOA』は自分をフォローしてくれている人を見ることができない時点で、相互フォロワーになるのはかなりハードルが高いように感じています。これにはどのような意図があるのでしょうか。
甲斐:オンライン上だけでのつながりでも相互フォローはできるんですけど、本音をいえば、会ったり連絡が取れる友だちと相互フォロワーになり、顔を突き合わせて遊んでもらいたいという気持ちがあります。
アクションゲームを仲のいい友だちで集まってワイワイ言いながら遊ぶのって、本当に楽しいじゃないですか。最近だと、SkypeやLINE通話を使って、オンラインゲームを遊ぶこともありますけど、それをぜひ、『SOA』でもやってほしいと思っているんです。
――なるほど。
甲斐:もちろん、オンライン上での相互フォローを否定しているわけではありませんし、今後、ここらへんの仕様は変更が入る可能性もあります。
ただ、ゲーム内で簡単にオンラインだけの相互フォローができるようになると、友だちと集まって遊ぼうという流れになりにくいと思っているので、そこらへんを考慮して、今の仕様になっています。
山本:直近で遊んだ人の履歴を見られるような機能の開発も、途中までは進めていましたので、それらの仕様を盛り込む可能性もあります。
――個人的には、ブロックリストを増やせるようにしてほしいと思っています。これはメディアの人間としてどうお聞きすればいいのか難しいところではありますが、たとえば4人で戦っても歯ごたえがある敵と戦っている時に、オート操作にして足並みを乱されたりすると、もう一緒に戦いたくなくなってしまうんですよね。意外とそういうプレイヤーさんに遭遇することも多いのですが、実際のところはいかがでしょうか?
小島:これはなかなか難しい問題ですね。人によってブラックリスト機能を“とても使う”、“全然使わない”の差が激しいんです。
マルチプレイについては、ルームの作成者であるホストにキックの権限がありますし、一度キックされたプレイヤーはそのルームにはもう入れなくなるような仕様も実装していて、データベースへの負荷などを踏まえて慎重に検討している状態です。
――なるほど。マルチプレイを始めてみないことには、オートプレイなのかマニュアルプレイなのかわからないって側面もありますし、たしかに簡単ではないですね。
小島:じつは、オートプレイについてのご意見もたくさんちょうだいしているのですが、実際のところは解決方法がなかなか見つからなくて。たとえば強敵と戦っているのに、オートプレイをしているユーザーがいたとします。
そのプレイヤーを「オートプレイだから外そう」となったとして、その外されたプレイヤーの空き枠は、結局オートプレイのキャラになるだけのことなんですよね。それでは本末転倒だと思いますし……。
――言われてみればそのとおりですね。
甲斐:じつは、ここらへんのご要望はたくさんいただいているので、慎重に検討は重ねております。
山本:覇級などの難易度に関しては、“オートプレイ禁止”の設定ができるようにしようとか、いろいろな意見が出ているところですよね。
――ちなみに、そういった要望なんかはどちらにお送りすればいいのでしょうか?
山本:ご要望は、公式サイトのお問い合わせフォーム宛にお送りいただければと思います。Twitterなども拝見してはいますが、確実なのはやはりお問い合わせフォームからのご意見ですね。しっかりとすべて目を通させてもらっていますので。
小島:ちなみに、こちらのお問い合わせフォームに不具合の報告を入れていただく際には、エラー番号や端末情報、OSのバージョンなど、少しでも情報をいただけると大変助かります。
エラー画面を撮影いただければ、そこに出ているエラーコードを見ることができますので、弊社側での状況の再現が比較的容易になります。問題解決の近道になりますので、どうぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。
小林:素直にいいと思った部分、おもしろいと感じた部分についても、ぜひ教えてもらいたいですね。SNSを通じて、それを広く拡散してもらえるのもたいへん助かります。
それが我々の活力になりますし、ひいてはゲームの改善にもつながっていく部分です。僕自身、お客さん目線で気づいたことなどを意見として、甲斐やトライエースの皆さんにぶつけるようにしています。
皆さんの応援が『SOA』のこれからの糧になっていきますので、引き続き、どうぞよろしくお願いします!
――皆さん、本日はどうもありがとうございました!
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