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2017年8月26日(土)

【電撃PS】高橋慶太氏制作のゲームはまもなく公開!? 電撃PS掲載コラム全文掲載

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』。ゲームデザイナーとしての日常や、ゲーム開発にまつわるエピソードを毎号掲載しています。

『電撃ゲームとか通信。』
『電撃ゲームとか通信。』

高橋慶太氏PROFILE

 バンダイナムコゲームス(現BNE)時代に『塊魂』、『のびのびBOY』を制作。その後『Tenya Wanya Teens』を発表。GoogleのARプロジェクト“Tango”向けに『WOORLD』を開発、現在は『Wattam』を制作中。

 この記事では、電撃PS Vol.645(2017年8月24日発売号)のコラムを全文掲載!

『電撃ゲームとか通信。』

いろいろありましたが9月には作っているゲームを見せられそうです、たぶん

 どうも。ざるそば用に買ってきたネギをみじん切りにする際に、根っこのあたりを長めにとっておきそれを植木鉢に植え、そこからネギがまた育ってくるのを楽しんで眺めている高橋です。

 以前にも試したことがあるんだけど、今回は季節的にも良かったのか思った以上にすくすくと成長し、2週間ほどで収穫時期を迎えました。おかげ様で急にざるそばを食べたくなってもわざわざスーパーまで行く必要もなく、美味しく頂くことができたのです。

 蕎麦自体に特別こだわりがあるわけでもなく、立ち食いでもインスタントでもOK。だけど、うどんか蕎麦かと言われたら断然蕎麦。犬派か猫派かと言われればどっちでもいいんだけど、蕎麦かうどんかだったら迷うことなく蕎麦。

 しかし、本当に自分は蕎麦が好きなのか? と問いただしたくなるほどネギも好き。それも蕎麦と一緒に食べるみじん切りになったネギが大好き。試したことはないけど、ざるそばと同じ分量のネギが出されたら全部食べられるくらい好き。

 夏にざるそばを食べる風習の無い文化圏に住む人は本当に人生損してるなあと思います。日本に生まれて良かった。ところで、この号の電撃が発売されている頃に発表されているかどうか分からないから明言は避けますが(多分まだギリギリ発表してないと思う)、機会を逸するのもなんなのでフライング気味で言うと、今年はPAX Westで何か出展予定です。

 2年振りのシアトル。今つくってる例のあのゲームのプレイアブルデモです。これがあったので今年は自分だけ日本に帰れなかったのです。このコラムを書いてる時点のデモの完成度は60%弱。

 さて、どれだけのクオリティのものになるかちょっと心配ではあるんだけど、頑張るしかない。2年前のデモの時点でまあまあ出来てた風なのに、なんでこんな時間にがかかっているのか不思議に思う人が、この広い世界に数人くらいいるかも知れません(自分自身もその内の1人)。

 なぜかと言うと、2年前のPAX終了後、一旦ゼロからつくりなおしているからです。前のコラムでもちょっと触れた記憶があるけど、2年前のビルドは所詮プロトタイプの為のものであり、本当に実現したいことを実装するとなると拡張性や信頼性が全く足りなかったのです。

 あと、遠い昔のようだけど、当時はUnity4でつくっていて、途中で5へとメジャーアップデートを果たした訳だけど、そのお陰でツギハギだらけでみっともないコードになったのもゼロからつくり直した1つの理由。

 いっそのこと、そのタイミングでエンジンも変えておけばよかったと思わなくもないですが、そこは後の祭り。とにかくそこから再度発表できるなんて、まるで夢のようです。

 デモビルドですらまだ完成していない今、実際のゲーム本体がいつ完成するかもまだハッキリとは分からないけど(スケジュール上の目標はあるけど)諦めずにつくり続けていて良かったとおもいます。色々あったけど本当にラッキー。

 つくりなおす機会を得たことも本当にラッキー。そのまま何もなく順調に進んでいたら、不安定な土台で拡張性のないまま開発を続けないといけなかったかも知れません。不幸中の幸いではないけど、そういう意味でも本当にラッキー。

 さて、PAXに向けて許せるレベルのクオリティのビルドが出来れば良いんだけど、、、どうなることやら。最近、PAXなんて通過点であってゴールではない、と自分を励ましながら無意味に肯定することが増え気味。それはもちろん今の仕上がり具合に不安があるからに他ならないんだけど。

 デモ以外にもトレイラーも準備しているのですが(本来はE3用に準備していたもの)、それもまだ完成してない。ありがたいことに今回はトレイラー専門の会社に手伝ってもらっていて、自分らの作業は原案と監修だけ。

 自分達でつくっていた前回までと比較すると、比べものにならないくらい作業が少ないんだけど、それでも上がってくる成果物のレビューとフィードバック、そして確認のためのスカイプミーティングと、デモに集中したい自分らにとってはそれなりに時間が割かれてしまう事に。

 ああ、自分はなんて贅沢なことをほざいているんでしょうか。こんなこと、望んでも簡単に出来ることではないですよね。とりあえずはPAXという通過点(しつこい)に向けて粛々と作業するだけです。

 自分が今どんな事をしているのかざっくり説明すると、、、メインの作業はゲームフローに沿って各種イベントやキャラのAIを設定しつつ基本的なゲームプレイの調整もこなしてる、といったところ。もちろんビジュアルやサウンドのチェックもしてる。

 要するに全体をチェックしてる。サブの作業ではUI/2Dグラフィックスも担当しているので、チュートリアルに必要な絵なども描いてます。そして今、このUI周りに大きな変更を加えようとしているのです。もうすぐ締め切りなのに。

 ざっくり言うと、今までは拡大縮小の変更も簡単だし輪郭もきれいでデータサイズも軽い、という理由でオリジナルデータをベクターでつくりPNGに出力してた。そしてつい先日、PAX用に各種メディアで使われるであろうメインビジュアルが必要になったのです。

 それを家で描いてる時に、ふとデフォルトのものではないアートブラシを使おうと思ったのが全ての始まり。画用紙に描いてるようなタッチのブラシが気に入ってしまい、ベクターの綺麗なラインが全く味気ないものに感じられるようになってしまったのです。

 ということで、いま絶賛データをつくり直してるとこ。文字情報も前まではフォントを使ってたけど、いまは出来る限り手で描いてます。後々ローカライズの作業が大変になるのは目に見えてるけど、手描きのUIの持つ「きちんとしてない感」が自分のゲームに合ってるんです。まあ、こういうことをしてるから時間がかかるんでしょうねえ。ダメですなあ。

(C) Keita Takahashi

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.644』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年8月10日
■定価:694円+税
 
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