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2017年9月24日(日)

『ノナプルナイン 被験体:999999999』など力作の数々を紹介。インディーレポート第3回【TGS2017】

文:まさん

 メジャーなゲームはもちろん、世界各国から集まった最新のインディーゲームも楽しめる日本最大のゲームイベント“東京ゲームショウ2017”

 第1回第2回の記事に続いて展示されているインディーゲームのなかから、ライター・まさんがオススメの作品を語っていきたいと思います。

『東京ゲームショウ2017』

 なお、今年はインディーゲームの出展がインディーコーナーだけではなく多岐にわたっているため、紹介している作品以外にもさまざまなインディータイトルを試遊できました。コーナー外に意外な良作が散らばっていることもあり、あらためてTGS会場の広さを実感しますね。

チリからやってきた2D格ゲー
『OMEN OF SORROW : THE DARK STRUGGLE』を体験せよ!

 体力の限界から、前回の記事でインディー紹介を終わらせようと思っていた自分の耳に、展示されているという情報が飛び込んできたゲーム。それが、この記事の1本目となるAOneGamesの『OMEN OF SORROW : THE DARK STRUGGLE』です。

 なにぃぃぃ! これが出ているなら紹介しないわけにはいかない! ……ということで、急遽3本目を書くきっかけになった本作。じつは7月にプレイ動画が公開されていて面白そうと思っていたものの、詳細がよくわからなかったんですよ。

『東京ゲームショウ2017』

 “昏き嵐(ダーク・ストラグル)が、南(チリ)からやってくる”

 ポスターのキャッチコピーが異常にカッコいいですが、本作は南米チリ産の2D格闘ゲームです。コマンド入力があり、コンボがありと、非常にオーソドックス……と言いたいところなのですが、本作ならではのシステムが多すぎて気になるんですよ!

 青いゲージを消費してBLESSED状態になると、どの技もコンボがつながるようになる(開発者談)とか、とにかくシステムが豊富。わからないことも多いのですが、ちゃんと独自の格闘ゲームになっていて期待が高まります。

『東京ゲームショウ2017』

 展示版では、12キャラ中4キャラしか使えませんでしが、4キャラだけでも特徴的な立ち回りが可能で、格闘ゲームが下手な自分でもワクワクが止まりません。PS4での発売を予定しているとのことでしたので、発売されたら買いますよ!

謎に満ちた展開と気合の入ったアニメーション
『ノナプルナイン 被験体:999999999』

 展示された体験版の範囲だけでは、本当におもしろいのかおもしろくないのか判断すらできない。だけど、ただものじゃない何かを感じる……。そんな作品が『ノナプルナイン 被験体:999999999』でした。

『東京ゲームショウ2017』

 基本は横スクロール形式のポイントクリックアドベンチャーなのですが、構造が通常のソレとは違います。横スクロールの画面で動く半裸の少女。その姿を監視カメラ越しに見ているプレイヤー。プレイヤーに情報を与えてくれる謎のガイド。

 体験版の冒頭から少女と観察者とガイドという3重の構造で物語が始まるのに驚きを隠せません。いきなり、メタフィクションっぽい! さらに、ゲームが始まると少女の失われた記憶を探るべく、ポイントクリックで背景を調べていくことに。

『東京ゲームショウ2017』

 雑誌を調べると、妙に凝った劇中劇として調べた雑誌の漫画が突然流れはじめたり、モニターを調べると突然話が飛んで「???」と混乱の極みに持っていかれる自分。そうこうしているうちに体験版が終了しました。序盤の1シーンを切り取ったようですが、正直なところ、TGSの体験パートだけではまったく全貌がつかめません。

『東京ゲームショウ2017』

 しかしながら、アニメーションや移動中のイラストなど全体的なクオリティが高く、とにかく“何か”を予感させるものが、いろいろ詰め込まれているのを感じられました。PVでは暴力的な要素や際どいシーンも確認できて、完成形を見てみたくなる作品です。

『東京ゲームショウ2017』

堅実に遊べるツインスティックシューター
『NOAH:the gunslinger witch』

 ノーマナのブースで展示されていた『NOAH:the gunslinger witch』は、個人的に気に入った1作。『Nuclear Throne』的なツインスティックシューター(キャラクターを移動させながらカーソルを動かすことで全方位を攻撃できるシューティング)のローグライクゲームで、3つの銃を切り替えながら戦っていくルールになっています。

『東京ゲームショウ2017』

 ランダムで構成されたステージをクリアして新たなスキルを取得し、残弾を気にしつつ敵を倒していく。演出や攻撃に突出した派手さはありませんが、非常にしっくりと馴染むように遊べたのが好印象でした。

『東京ゲームショウ2017』

駆り立てるのはリバーシと欲望
横たわるのはスマートフォンな『リバーシクエスト2』

 TGS2017では、TOKYO INDIE FEST 2017でも話題を呼んでいたYOKOGOSYSTEMの『リバーシクエスト2』も出展されていました。これは『タクティクスオウガ』のようなグラフィックで描かれるリバーシRPG。前作も洋ゲー風のクオリティが高いグラフィックでしたが、今回は見た目や細かい演出までレトロゲームライクに変化しています。

『東京ゲームショウ2017』

 システムはリバーシのルールを踏襲しており、自軍のユニットで相手のユニットを挟むことでダメージを与え、盤面を支配していくことが基本となっています。挟む敵ユニットが多いほどダメージが増えたり、自軍のユニットの能力を把握して配置を決めたりと、リバーシそのものではなくシミュレーションRPGのような戦略性があるのも特徴的です。

『東京ゲームショウ2017』

 実際に遊んでみると、本当にスーパーファミコン時代のゲームが好きでリスペクトしつつ、リバーシ系のゲームとして新しく仕上げていることがヒシヒシと伝わってくる作品でした。

『東京ゲームショウ2017』

日本語版もPS Vita版もまもなく発売! 
本当に待っていた『VA-11 HALL-A』

 ラストは、Sukeban gamesの『VA-11 HALL-A』。PLAYISMから日本語対応したPS Vita版が発売される本作ですが、じつは2015年の記事でも取り上げたことがある作品です。

『東京ゲームショウ2017』

 PCで発売されて以降、インディーゲームファンから高い評価を受けており、日本語化が本当に待ち望まれていたんですよ。かくいう自分もその1人。最初のデモ版を購入してから長く待たされました……。

『東京ゲームショウ2017』

 本作はカクテルを作ってお客と交流し、物語が進んでいくアドベンチャー。80年代のPCゲームのようなシックなグラフィック。日本でも受けそうなアニメ調のキャラクター。サイバーパンクな世界観に会話と、好きな人には本当にたまらないゲームなのですよ。

『東京ゲームショウ2017』

 各メディアも注目しているのは間違いありませんが、日本語訳もかなり気合が入っていてパッケージ版も出ます。私も確実に買うので、みなさんも買いましょう! 

 そのほかにも、Ver2.0&PC版が発表されて期待が高まっている『Strange Telephone』や、PlayStation Mobileの末期に発売されていたシューティング『Million Shells』など、気になる作品が盛りだくさん!

 ゲームの電撃アワードにノミネートした『常世の塔』も展示されるたびに完成度が上がっていると感じました。見どころ満載のインディータイトルが多数展示されているTGS2017。今年も、本当にたくさんの良作に出会えました。

 もちろん、紹介していない物にもキラリと光る作品があるのは間違いありません。今回、惜しくもTGSに行けなかったという人は、ぜひ来年参加してみてください。きっと、新しい体験ができると思いますよ!

『東京ゲームショウ2017』
▲自由な横方向への移動が可能になり、世界の生成パターンがさらに複雑になった『Strange Telephone』(ver2.0)。
『東京ゲームショウ2017』
▲PlayStation Mobileから華麗に復活! 『Million Shells』。
『東京ゲームショウ2017』
『東京ゲームショウ2017』
▲24時間ごとにマップが自動生成される2Dアクション『常世の塔』。男の娘です。

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