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2017年9月25日(月)

『信長の野望・大志』の概要が見えてきた。 試遊プレイで合戦の詳細が明らかに【TGS2017】

文:電撃PlayStation

 TGS2017で生放送による実機プレイ初公開と、限定試遊会が行われた『信長の野望・大志』。

 ついにお披露目された実機内容に、ファンの注目が大いに集まったところだろう。筆者(ライター:うどん)も生放送にゲスト出演させていただいたのだが、初めてみる実機の情報の多さにあっぷあっぷしてたのは内緒だ!

 生放送でとくにわくわく感がスゴかったのが、行軍から決戦までの戦闘の流れ。シリーズで初となる同時プロット制や、読み合いの要素の強さは、大いに期待が持てるところだろう。

 というわけで、生放送後に決戦を中心に試遊台をプレイさせていただいたので、そのレポートをお届けしよう! なお、試遊のあとには小山宏行プロデューサーと、木股浩司ディレクターにお話しを聞かせていただいたので、近日中にインタビュー記事も掲載予定です。

『信長の野望・大志』
▲今回プレイしたのはTGS用の体験版バージョン。選べる大名はヤング信長こと、若かりし日の織田信長のみでした。

試遊台レポート1:シンプルに奥深い内政&外交システム

 まずはおさらいとして、内政と外交について。

 生放送や公式HPでも紹介されたとおり、本作の内政は、商圏を広げていく形の商業と、季節ごとの計画を練る農業という大きく2つに分かれています。

『信長の野望・大志』
▲商圏での影響力を強めることで、金銭収入がアップ!
『信長の野望・大志』
▲農業は季節ごとにコマンドを選択。各土地には治水、生産性、肥沃度の3つのパラメータが存在します。

 いずれも過去作にはない形の、まったく新しいシステム。一見何やら難しそうですが……実際さわったところ、とにかく簡単なのにまずは驚きました。

 商業は毎月、進出する商圏を選べばOK。

 農業は季節ごとに、拠点と実行内容を選べばOK。

 『大志』の内政、まったく、簡単、だ!

 じゃあ考えることが少ないのかと言えば、これは決してそうではありません。例えば商圏の場合、他勢力との競合状態であれば成長が早い代わりに収入はシェアされ、独占状態なら収入を一人占めできる反面、市場の成長が遅いです。

 また商業は外交とも密接に結びついており、通商協定を結んだ相手とは、互いの領地の商圏に進出が可能となります。

 ちょっと話は前後しますが、本作の外交は他国に対して奏者(親善の使者のようなものです)を任命し、徐々に心証を上げていくというもの。前作『創造』と似たシステムになっており、心証が20になると通商、40で取引、60で同盟、80で婚姻がそれぞれ可能になります。

 なので、どの勢力と通商を結びつつ商圏を広げていくかがとても重要。通商協定を結べば商圏拡大のチャンスは訪れますが、逆に相手に自身の商圏を荒らされる可能性があるわけです。小山Pによると、織田家のような巨大資本を相手に迂闊に通商を結ぶと、商圏を食い荒らされる危険性もあるとか。マジかよ! FTA最悪だな!(違)

 じゃあ、お断りだー! と通商を拒否してると「じゃあ死ね!」と攻めてくる織田家マジ鬼畜。まるでペリーに大砲ぶっぱなされてる江戸幕府です。

 とりあえず試遊の時点では、まだ尾張一国のヤング信長さんなので、津島や那古野といった商圏にチマチマ投資。

 せっかくなので通商を結んでみるかあ、と、浅井家に対して村井貞勝(外政95に浅井家との相性◎で、毎ターン心証15アップ!)を奏者に任命。2カ月ばかりで通商条約を締結したんですが……領地が隣接しておらず商圏が繋がっていないため、北近江への投資計画は失敗に終わりました。まあ、そりゃそうだよね!

『信長の野望・大志』
▲どの勢力とも通商を結んでいないので、投資は勢力圏の尾張のみ。以下、写真はすべて直撮りなのでちょっと見にくくてすみません……。
『信長の野望・大志』
▲外交では“独占解除”が可能です。他勢力が独占する商圏に対しては、外交で門戸を開いてもらうか、合戦で奪うか、です!

 続いて農業について。

 農業は前述の通り、季節ごと、3ターンに1回指示を出せばよいというもので、治水、生産性、肥沃度の3つのパラメータで拠点ごとの収穫が決まります。

 このうち生産性は簡単に上げられるものの、収穫後は大幅ダウン。つまり、短期的な視点で生産性を高めるか、長期的な視点で治水、肥沃度を高めるかの選択というわけ。

 農業指示には金銭と労力を使うほか、コマンドのリソースとして“肥料”や“良種”を消費する場合もあります。※織田家は人口の問題で労力が1しかなく、清州城と犬山城のどちらかしか農業指示を出せない状況でした。

 この農業は軍事力と密接な結びつきがあり、農民は半兵半農の農兵に切り替えることができます。つまり、収穫が増えれば人口が増える→人口が増えれば農兵も増やせる、というわけ。農兵は農民に比べて生産力で劣るのですが、戦は数だよ兄貴です。

 また、農兵/農民の割合は切り替えが可能。これを知ったとき、筆者は戦争前に農兵100%/農民0%にして、戦争以外のときは農兵0%/農民100%にすれば効率いいじゃん! われ天才か! と、思ったんですが、切り替えの割合が多いほど移行期間が長い様子。農兵100%にするのに4カ月くらいかかったので、その間生産力はガタ落ちで収穫不足→民忠激減まった無しです。

『信長の野望・大志』
▲農業画面。肥料や良種は、産出する商圏を抑えていれば獲得できる様子。
『信長の野望・大志』
▲農兵/農民の割合調整は、規模によって数カ月もの期間が必要です。ちなみに足軽は農兵以上に強いんですが生産力はなく、金銭で雇い維持コストがかかる専業兵士のような存在です。

 毎月の商業と季節ごとの農業は、やること簡単。でも悩むことは多い。というわけなんですが、じつは過去作との最大の違いは個々のコマンドよりも“家臣に仕事を命令する”という形ではないことです。

 家臣が登場した『戦国群雄伝』以降、シリーズの内政は一貫して家臣に仕事を命令するというものでした。本作は家臣を介さず大名自身が直接方針を指示することで、一手間を省略、より簡単な形にしているわけッスね。

 商業農業に関しては武将数の質量の影響が少なく、小国でも“内政できる奴がいなくて困る……”という事態にはならないということ。じゃあ逆にここで疑問なのが、家臣たちは戦争と外交(奏者)以外に何のためにいるのかってことですよね。

 その活躍の場が1、4、7、10月に開催される評定です。

 評定では家臣たちがさまざまな意見を提案してきます。意見のうち3つを採用することができ、採用する内容によって獲得できる施策力が変化。

 その施策力を使って、勢力ごとの技術ツリーとも言うべき“方策”を獲得していくわけです。

 施策には大きく商業、農業、軍事、論議の4つの系統があり、選ぶ方策によって必要な施策力が異なります。

 筆者がプレイした際の織田家の評定の例では、木下秀吉が【軍事+10、論議+16】、村井貞勝が【農業+14、軍事+2】、増田長盛が【農業+8、商業14】などなど、異なる意見を提出してきました。このうち誰を選ぶか、どの施策力を獲得するかが、内政面における家臣たちの最大の重要性というわけです。

 ちなみに一度意見を取り上げた家臣は、次回評定をお休みするようで、方策を効率よく伸ばすには家臣の質と数が必須。※家臣が足りない場合は能力低いモブ武将が意見を出してくるそうです。

 また、武将固有の方策もあるようで、筆者プレイ時には木下秀吉が一揆の発生を抑える“刀狩”、佐々成政が悪路での行軍速度を強化する“さらさら越え”の方策を生み出していました。佐々成政クラスでも固有方策があるということは、けっこうな種類がありそうな予感です!

『信長の野望・大志』
▲一番右は蜂須賀小六。施策力の獲得値は控えめですが、特殊効果つきの意見です!
『信長の野望・大志』
▲方策のツリー。『天道PK』の文化振興を思い出させますよね!
『信長の野望・大志』
▲佐々成政の“さらさら越え”悪路行軍速度・中です。

試遊台レポート2:いよいよ合戦! 初戦・長島城攻略!

 というわけでザックリと内政や外交を触った筆者。そうこうしているうちに試遊台のプレイ時間(30分)をだいぶ消費してしまったので、急いで合戦を始めることに!

 ヤング信長はスタート時点で周囲をすべて敵国に囲まれた状態で、相手は今川家、斎藤家、北畠家、それと長島城に飛び地を持つ本願寺の4つ。1560年のいつもの状況ですね!

 筆者は最初の相手として本願寺を選択。本願寺の本拠地である石山本願寺からは遠く離れた孤立した城で、長島城をサクッと落とすのは序盤シナリオの織田家のお約束だっ!

 合戦の手順だが、まずは外交で宣戦が必要になる。宣戦後、関係のある周辺大名は双方どちらに肩入れするか、あるいは無視するかを選ぶわけだが、今回はいずれの勢力も織田家vs本願寺の戦いには参加せず。

 これは自分が周辺諸国の大名であれば、横槍を入れたり火事場泥棒を狙ってみたりと、いろいろ選択が出てきそうな感じですよね。過去作で言えば『天翔記』っぽい? 本作の場合は、その後の外交への影響も考える必要がありそうですが……。

 さて、宣戦後は行軍指示を出すことになります。行軍に参加する部隊の編制はデフォルトでオートですが、自身で細かい設定も可能。時間に追われる筆者はとりあえずのオート編制で、長島へ進軍開始!

 このとき、相手側の出撃兵力や迎撃予想地点が表示されます。自軍側は清州と犬山を合わせて兵力5200。対する本願寺は長島の2500で、拠点の東にある鮒浦の地に出撃する様子でした。

 ここで、そのままぶつかるのは芸がないと、進路を変更。そのまま長島城に進まず北の津島に布陣したところ、鮒浦に出撃した本願寺勢はあわてて長島城に帰城。

 長島城に本願寺勢が入ったところをすぐに進軍すると、一度も決戦が発生することなく包囲状態となり、そのまま3カ月の包囲を経て長島は無傷で陥落してしまった。

 結果的にまさかの長島無血占領! ウワーイ?

 ちょっとここは、このバージョンではルーチンが甘く感じたが、しかしまあ、孤立した長島の2500の兵では相手側はどうにもならない手詰まり状態だったこともあると思われます。

『信長の野望・大志』
▲清洲と犬山から続々出撃。初見は情報量いっぱいで大変だったので、自動編制に任せてそのまま出撃!
『信長の野望・大志』
▲各城から部隊が出撃。軍勢が集結し、長島に向かう……と見せかけて津島に布陣!
『信長の野望・大志』
▲城を包囲後、士気を0にすれば陥落となる。こうして無傷で長島を占領できたわけだが……。

試遊台レポート3:いざ決戦! 斎藤家との激突!

 というわけで無事初戦を勝利に終えたわけですが……無血占領しちゃったら、決戦のレポートにならないじゃん!

 憎い。筆者はCPUを翻弄してしまった自分の手腕が憎い。

 というわけで、次は斎藤家に宣戦布告。占領したばかりの長島には統率武勇優れる前田利家を城主に任命し、清洲、犬山、長島の3城の戦力で美濃・大垣城へと進軍を開始した。

 宣戦の時点で、斎藤側には六角家が参戦。織田家vs斎藤六角連合軍の戦いに!

 斎藤側の迎撃予想地点は、大垣城のすぐ南、福束の地である。福束は川属性で鉄砲隊の攻撃力が低下するほか、兵士数の上限4900。この兵士上限とは、最初に参加できる兵士の数で、上限数を上回る兵力を投入した場合は、決戦中に条件はあれど、 徐々に合流していく形です。

 予想される兵数は織田側7698vs斎藤六角側12400。1.5倍も数で勝る相手だが、上限が少ないため早期決着に持ち込めばワンチャンあるはず……!

 こうしていざ福束に進軍しやヤング信長軍。今度は迂回作戦を取らずに正面からぶつかり合うと……相手の兵数は12400ではなく8900。どうやら、遥か遠い六角の援軍の到着が間に合わなかった様子で、互角に近い戦況での決戦開幕となった。

『信長の野望・大志』
▲不利を承知でいざ大垣へ! 勇猛な斎藤義龍が相手ですがさてはて……。
『信長の野望・大志』
▲ぶつかり合った両軍。六角家の援軍は間に合わず、結果的に互角の戦に! 長島を接収しておいてよかった!

 さて、本作の決戦は部隊の配置、作戦の決定からスタートします。作戦にはさまざまなものがありますが、とりあえずデフォルトの“本陣斬込”を選択。これは、開始5ターン以内に敵本陣を発見すると、設定した斬込部隊の戦闘力が3ターン大幅に上昇するというもの。ただし、発見前は逆に戦闘力が低下してしまうので、いかに敵本陣を素早く発見して、斬込部隊を突入させるかが重要になる作戦なのです!

 決戦は同時プロット制と呼ばれるシステムで、ターン毎に命令を入力。進行フェーズになると命令に合わせて行動し、フェーズ終了後に改めて命令を入力する……と繰り返していきます。

 『嵐世記』および『革新』以降、リアルタイム制を続けてきた本シリーズにおいて、これは大きな変化ですよね。その場その場の判断が求められるリアルタイム制と違い、相手の動きを予想して自軍に前もって指示を出す必要があり、ユーザーにはいつも以上の戦術力が求められるわけです! 『三國志』シリーズがわかる方なら、『Ⅵ』と『Ⅸ』をイメージしていただければ!

 決戦でもう1つ大事なのが軍全体の“戦況ゲージ”。これはいわば全体士気のようなもので、挟撃や潰走などの要因で上下し、残存する武将数にかかわらずゲージが0になった側は敗北となります。部隊個別にも士気があり、兵数の状況と同じくらい、個別の士気と全体の戦況ゲージにも注目しなければなりません。

 さて、いざ開幕した織田軍vs斎藤軍。ヤング信長はまず自軍を左右二部隊に分けて両翼の陣を占拠に向かいます。防衛側は陣が3つ用意されており、陣が1つでも残っていると戦況ゲージが徐々に防衛側に傾いていくのです!

 筆者は右翼を信長本隊と、斬込部隊に設定した秀吉部隊を中心に構成。左翼は猛将・柴田勝家と前田利家コンビの別動隊という形で展開したわけですが……3ターン目に右翼部隊が敵と遭遇。

 敵も“本陣斬込”を作戦に選んでいた様子で、斬込部隊の斎藤利三が信長本隊を直撃するという大ピンチに陥ってしまいます。対してこちらは相手の本陣を発見できておらず、切り札の斬込部隊は弱体状態のまま。

 さらに稲葉一鉄、氏家ト全の部隊も現れ、またたく間に右翼部隊はフルボッコ。兵数はガリガリ削られ、士気は下がり、戦況ゲージも悪化していくという負け戦ムードに陥ってしまいます……!

『信長の野望・大志』
▲行軍指示中。指示を出すときは青いマップになります。
『信長の野望・大志』
▲進行フェーズ。部隊の顔アイコンの横にあるSやAといった英字は強さの目安。本陣斬り込みに成功した斎藤利三は、Sにパワーアップ! やばいッスー!
『信長の野望・大志』
▲いったん撤退させようと後退の指示を出していますが、ものの見事に半包囲されております……。ヤング信長絶対絶命!

 斎藤利三を中心とした敵部隊の猛攻を受け、崩壊寸前の織田軍。やばいやばい。

 一方、左翼に展開した柴田勝家と前田利家のコンビは斎藤家の野々村幸成隊と遭遇。これを余裕で蹴散らし、陣地の破壊に成功すると、さらに敵中央の陣も攻略。

 右翼の本隊もボロボロになって逃げながらも陣の攻略に成功し、結果的に陣地すべての破壊に成功したのだった。

 こうなると、俄然盛り上がる織田軍。戦況ゲージは大きく自軍有利に動き、息を吹き返した右翼本隊も逆襲に転じます。斎藤利三は確かに強力な部隊ですが、こちらは部隊数を生かして利三隊を包囲。挟撃を発生させて士気ゲージを削り、ついに利三を潰走に追い込むことに成功します。

 こうして陣地すべての破壊、敵部隊が次々潰走していくなか、戦況ゲージが斎藤側0となり決戦は勝利に!

 六角家の援軍が間に合わなかった幸運もありましたが、左翼の別動隊が上手く陣地の破壊と後方からの襲撃に成功した快心の一戦となりました。いや、序盤はボロボロで生きた心地がしなかったんですが!

『信長の野望・大志』
▲野々村隊の撃破に成功した左翼の勝家&利家コンビ。潰走し、後退する野々村隊に追撃じゃああ! と興奮中の筆者です。
『信長の野望・大志』
▲部隊数の差を生かし、右翼は挟撃&挟撃!
『信長の野望・大志』
▲被害兵数はお互い2500程度ですが、戦況の傾きにより勝利に終わりました!
『信長の野望・大志』
▲戦後は捕縛した武将を登用可能です。稲葉一鉄は登用を拒否したので斬首! このあたりは『創造』っぽいですね。

 と、このあたりで制限時間いっぱいとなり、今回の初プレイは終了となりました。

 プレイした感想として内政も合戦も、何をしたいか、何をさせたいかを直感的に指示しやすい点が好印象でした。

 正直、商圏や農業のシステムを見たとき指示が大変そうだな~という印象を受けていたんですが、システム自体は非常にシンプルで迷うことはありません。そして決戦がおもしろい! 合戦の読み合いのおもしろさ、手に汗握る展開は、歴代シリーズでも随一のものになりそうな予感がします。

 TGSバージョンではまだCPUの戦略、戦術が甘いような印象も受けたんですが、それは製品版に期待したいところ。あ、でも賢すぎても辛いと思いますし、いい塩梅に頼みます!

 というわけで、今回の試遊台レポートは終了になりますが、前述の通り試遊のあとにインタビューを慣行。そちらの記事も近日中にアップしますのでお楽しみに!

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