2017年9月29日(金)

WargamingがAR・VRに進出。どんなコンテンツを放つのか?【TGS2017】

文:田中尚道

 Wargaming.netのCEOキスリー氏いわく、ロシアで最高の技術を持つというVR Tech。このWargaming.netとVR Techのコラボレーションによってどのようなコンテンツが展開されるのか、R&Dシニアマネージャーのマリア・シェルノヴァ氏とディレクターのトレイシー・スペイト氏にお話を聞きました。

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▲マリア・シェルノヴァ氏(左)とディレクターのトレイシー・スペイト氏(右)。

シェルノヴァ氏:最初にVR Techの説明をさせていただきます。VR Techはモスクワに本社がありまして、TGSにもCINEMA VRとPOLYGON VRの2種を出展しています。CINEMA VRは基本的な技術を使っていまして、セットアップはさほど大変でありません。エンジニアもそう必要ではなく、比較的安価なので導入のハードルも低いシステムです。

 現在ロシアの34か所で稼働していて、アーケードやショッピングセンターなどで遊べます。プレイの金額もそう高くなく、誰でも気軽に遊べるのがウリです。POLYGON VRはハイエンドのテクノロジーでグラフィックもトップクラスです。この技術では世界一だと思っています。

 全身のトラッキングシステムを使用したりと没入感の高さが特徴ですが、それなりに広いスペースが必要になるため、ロシアでは主に遊園地や大きな遊戯施設などで遊ぶコンテンツとなっています。

 こうしたコンテンツには、e-Sportsへの可能性もあるでしょう。CINEMA VRが現在のシステムでPOLYGON VRが未来のシステムと言えるのではないかと。

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▲ハイエンドテクノロジーというだけあって、POLYGON VRでは全身のモーショントラッキングなど高度な技術が採用されています。
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▲POLYGON VRよりこなれた技術を使っているCINEMA VR。手軽にVR技術を楽しめるシステムです。

スペイト氏:私からはARのご説明をします。Wargamingという会社は多くのユーザーからの支持を受けており、それを返す社会的責任があると思っています。現在は博物館とコラボレーションしていろいろなAR体験を提供しようと考えているんです。  ボービントンの戦車博物館にはティーガーシリーズが展示されているのですが、シュトルムティーガーだけ現物がない状態です。いろいろと手を尽くされたようですが、ひとつ欠けているのがさびしいと聞きまして、それを現在ARで再現しています。

 Wargamingのゲームを遊ぶユーザーには歴史に興味のある方が多く、そういう意味でも博物館とのコラボレーションは当然のことと考えています。特に若い方が歴史を学ぶのに、ARは非常に優秀なツールになると思っています。こういう仕事ができてとても楽しいですね。万人に興味を持ってもらえるものだと思っていますが、特に若い方に興味を持っていただけると幸いです。

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▲イギリスのボービントン戦車博物館にて閲覧できるARシュツルムティーガー。現実の補完という意味で様々な応用が期待されます。

――この技術を家庭に持ち込むことは可能でしょうか?

シェルノヴァ氏:これまでWargamingのプレイヤーはうちで遊ぶことを前提としていました。VR Techでは、家の外でゲームをしていただくことを考えています。これまでと違う場所で体験していただくことで、新しい市場を開拓したいと思っています。

――では日本での展開はどのようにお考えでしょう?

シェルノヴァ氏:もちろんやりたいですね。

スペイト氏:ARはもうちょっと柔軟で、アプリをダウンロードすれば家にいながらにして、戦車の内部を見たり、射撃を見ることもできます。いろいろなオプションがあると思います。基本的にはボービントンのように博物館などで体験することが多くなると思いますが。

――Wargamingとコラボすることによってできることはなんでしょう?

シェルノヴァ氏:今後重要な技術になっていく中でWargamingとともにVRの技術、市場をリードしたと考えています。また、最近人気が陰ってきているアーケードの需要を喚起したいですね。

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