2017年11月23日(木)
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。本記事では、同人ゲームサークル・Nussoftが開発した『ACE OF SEAFOOD(エース・オブ・シーフード)』のPS4版をプレイをしてのレビューをお届けします。
遥かな未来の海、人は姿を消し、魚や蟹(かに)は光線を放ち、戦っていた。
上の一文は販売サイトなどに載っているゲーム説明を引用したものですが、まさに『エース・オブ・シーフード』の世界観やゲームを表していると思います。付け加えるなら本作は、1枚マップの広い海を舞台に、海産物の群れが戦うサードパーソンシューター型のアクションシューティングゲームになっています。
とはいえ、魚や蟹が光線を放つ!? 戦う!? あまり目にしない設定を素直にイメージしづらいのも確かです。その疑問を解消すべくプレイしてみると、「君の素性を教えてくれ」とまるでRPGのように問われます。
そして選べる素性は、イワシ、サバ、クルマエビ、サーモン、イセエビ……と全部シーフードなわけです。な、なるほど……人間などいない世界、自分は海産物の1体として生きていくのか。ゲーム的には最初の操作キャラクターを選んでいるだけなのに、真面目(マジメ)に問われると、そういう世界なんだと納得してしまいます。
おまけに光線の1つ1つには、ちゃんと設定まであります。例えば“収束プランクトン弾”は、“光プランクトンをエラで収束させ推進体として発射します”という説明。フィールドとして360度に広がる海はTV番組で見る海中世界のようですし、魚たちの外観もいたってリアルです。
あり得ないような未来がギャグでなく、シリアスに作られた世界。だからこそ、画面で繰り広げられる現実離れした光景に目を奪われてしまいます。
光線を出してタラバガニに襲い掛かる魚の群れ。
乱闘を繰り広げるヒョウアザラシVSイセエビ。
さらにはホホジロザメが戦艦ビスマルクに体当たりをぶちかます。
そして、海産物だけじゃなく軍艦まで出てくるわけですよ(笑)。まさに大海の異種格闘技戦ならぬ異種射撃戦と形容すべきか、海なら何でもアリのシュールな光景は、画面を見ているだけで笑いが込み上げ、表情筋の震えを抑えることができません……!(プルプル)
世界観や設定、グラフィックに一定のリアリティがありつつ、実際のバトルは「何の海獣大戦争だ(笑)」とツッコミたくなるようなギャップには、完全に心を鷲づかみにされました。
プレイするうちにゲーム的にもじわじわとハマってしまい、本来は別のゲームのレビュー作業を進めていたのに、結果として現在に至ります。海の魔力って怖い……!
▲ちなみに、海産物だけでなく軍艦を操作することもできます。 |
本作では、最大6体の海産物で魚群(パーティ)を編成し、リーダーとなる海産物を操作して、海中を自由に探索していきます。
ゲームの目的は、各地にある魚礁を発見・制圧しては自分の拠点を増やし、同時に敵を倒しながら自分の魚群の戦力を強化していくことです。拠点の増加と敵を倒すことは戦力強化の両輪になっていて、手段としてどちらも欠かせません。やがてボスとのバトルも待っています。
移動に関しては、ゲームを開始した時点から制限がなく、海のどこへ行こうとも自由です。逆に言うと勝てるはずのない敵も普通にうろついているので、近場だからと油断してちょっかいを出すと、あっさり逆襲にあうこともしばしば……。
特に序盤のうちは、未来でも変わらない“弱肉強食”という自然界の掟を思い知ることも少なくないでしょう(苦笑)。海産物のエースまでの道のりは遠い!
とはいえ、そうした手探りでゲームの世界を知っていくのは、プレイの楽しみの1つです。また、1つ1つ魚礁を制圧して拠点を増やし、最初はイワシなどの弱い魚しかいなかった魚群に、少しずつ戦力になる魚を加えていくゲーム性もおもしろい!
「次はあのタコどもを倒そう」とか「次はあの魚を仲間にしよう」とか、少しずつプレイして小さな達成感を積み上げていくことが、だんだんクセになってくるんですね。
▲探索範囲を広げ、拠点を増やし、魚群を強化していく。ゲームとして楽しいサイクルがあります。 |
例えるならば「やめられない、とまらない!」がキャッチフレーズの某海産物スナック菓子のごとく、何となく後を引く感じで、風呂上がりや就寝前のちょっとした時間についプレイしたくなるような……。おそらくゲーム中に自分で小目標を立てて、それに向かってコツコツとプレイするのが好きな人は向いていると思います。
本作は、オンラインでの協力プレイにも対応しています。オンライン協力プレイは、ホストになった側の世界で、それぞれのプレイヤーが自分の魚群を率いてプレイします。味方の総数は最大で12体に!
▲オンライン協力プレイは、拠点内のメニュー“ネットワーク接続”から選択できます。 |
正直、狭い場所だと魚が密集しすぎてカオスな絵面になりますが、1人プレイでは体験できないワチャワチャ感が楽しいです(笑)。
戦力的にも大幅にアップするので、なかなか勝てない敵群のいる魚礁などがあれば、フレンドと一緒に攻略するのもいいと思います。なお、片方の操作キャラクターが死んだ場合は、もう1人の操作キャラクターが近くにいることで復活させてあげることができます。
▲画面分割でのオフライン2人プレイも用意されています。この場合は、魚群に編成した2番目の海産物を操作します。 |
本作は、個人的にかなりツボに刺さったゲーム。PS4版が出る前に、Wii U版、iOS/Android版、PC版がこれまで配信されていますし、もっと早くに遊んでおけばよかったなと思います。また今後については、Nintendo Switch版も予定されているとのことです。
もし本記事を読んで購入を迷った人がいるならば、光線を出す魚の姿を見て、心の中の何かがうずいたら、きっと楽しめるんじゃないかなと(笑)。
なお、PlayStation Storeでは、ゲームとあわせて4種のアバターも1つ50円(税込)で配信されています。ラインアップは、マグロ、ズワイガニ、イワシ、アサヒガニ。ゲームをプレイして、海産物が争う未来に思いを馳せちゃった人、光線を出すマグロの目が脳裏に焼き付いて離れない人などは、こちらもダウンロードしてみては?
▲画像はゲーム画面ではなく、PC版PlayStation Storeのページをキャプチャしたものです。 |
(C) Nussoft
Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
※画面はすべてPS4版のものです。
※PLAYISM のロゴおよびシンボルマークは、Active Gaming Media Inc..の商標登録です。
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