2017年12月11日(月)
CoolFactoryは11月30日、iOS/Android用アプリ『戦艦帝国』に関する記者発表会を開催しました。
この発表会では、ゲームクリエイターの板垣伴信氏がCoolFactoryの上級顧問に就任したことや、ゲーム外に軍事ファン向けのコミュニティサイトを開設すること、また人気コミック『ジパング』とのコラボが決定したことなどが明らかにされました。この記事では、ゲームの概要や発表会で明らかになったことをお伝えしていきます。
『戦艦帝国』は、第二次世界大戦で活躍した軍艦を率いて艦隊を編成し、敵軍と戦うシミュレーションゲームです。正式サービス開始から2年以上を経た現在でも、各アプリストアでランキング上位をキープしている人気作となっています。
本作に登場する200種以上の戦艦や空母は、日本の戦艦大和やドイツのビスマルクをはじめ、すべて歴史上で実在したものとなっています。図面を入手して戦艦を建造し、エンジンやレーダーといった各パーツをカスタマイズして好きな戦艦を強化していくことが可能です。
またメインストーリー以外にも、ウエーブ形式で防衛戦を戦ったり、プレイヤー同士が3つの勢力に分かれて戦ったりといった多彩なコンテンツが用意されており、自分に合った楽しみ方を見つけることができます。
それでは、記者発表会の模様をお届けしていきましょう。CoolFactoryの日本代表を務める増保佑社長はまず、『デッド オア アライブ』シリーズなどで知られるゲームクリエイターの板垣伴信氏が、同社の上級顧問に就任したことを発表しました。
▲増保佑社長。 |
そもそものきっかけは、あるWebサイトの企画記事で、板垣氏が最近ハマっているゲームとして『戦艦帝国』のタイトルを挙げていたことなのだとか。
その記事を見た増保社長が板垣氏を直接訪ねたところ、板垣氏は本作のゲーム性を高く評価する一方で、歴史的なディテールや日本向けのローカライズなど、さまざまな面で改善の余地があるとの厳しい意見を同時に伝えてきたとのこと。
『戦艦帝国』の持っているポテンシャルをまだまだ生かしきれていないとの考えがお互いに一致したため、板垣氏は同社の上級顧問として、改善のためのアドバイスを行うことになったのだそうです。
増保社長は「板垣氏をアドバイザーに迎えることによって、ゲームに興味を持っているプレイヤー予備軍の人たちに一種の安心感を与えることができるほか、既存のプレイヤーの方々に対しても、これまで以上にゲームを盛り上げていく姿勢を示すことができる」と語っていました。
▲板垣伴信氏。 |
板垣氏は、2017年に50歳を迎えたことを一区切りとして、自身が創業者の一人であるヴァルハラゲームスタジオの代表取締役CTOを退任して同社の最高顧問となっており、今後は世界のゲームファンやゲーム産業により貢献する活動を行っていくと発表しています。
その一環として、イタリアのローマにある大学でゲームデザイン学を教えるといった活動も行っています。実はこの発表会の前々日に、イタリアから帰国したのだそうです。
『戦艦帝国』に関しては、プレイを始めてから15カ月ほど経つものの、その間にログインしていない日はないほどハマっており、「あるサーバーのある陣営で、軍団(ギルド)長をやっている」と語っていました。
上級顧問としてアドバイザーを務めるにあたって、板垣氏は「常にお客様の側に立つと決めている」とのこと。自身がゲーマーであり続けるために、ゲーム内通貨は今でもすべて、自前でプレイしているそうです。
また、今ではゲームサーバー内部のデータを見られる立場にあるものの、それらを一切見ることなく、「あくまでゲームプレイを通してゲーマーが感じている生の空気感で判断したものを意見として伝えている」と説明していました。
板垣氏としては、一緒にゲームを遊んでいる“仲間”から出てくるさまざまな声を、ゲームのプロとして取捨選択した上で開発側に提案しているそうです。
たとえば、本作でプレイヤーは現在102あるサーバーの1つに登録し、その中で3つの陣営のうちいずれか1つに所属することになります。しかし板垣氏によると、弱い陣営だとプレイに苦労する一方で、強い陣営だとその中のランキングで埋もれるといった具合に、プレイヤーによって陣営との相性があるのだとか。
そこで板垣氏は、一定の条件を満たす形でプレイヤーが陣営を移動できるようにすることを提案。11月29日に行われた大型アップデートで、これが実装されました。
「ニッチなターゲットに向けたゲームが多いなかで、ウォーゲームの“王道”をゆく硬派な作品は『戦艦帝国』だけ」と言う板垣氏。だからこそ、『戦艦帝国』をさらに成功させるために応援していきたい、と語っていました。
今回の発表会では、累計発行部数1,500万部を超えるかわぐちかいじ氏の人気コミック『ジパング』と、『戦艦帝国』がコラボレーションを行うことも発表されました。
海上自衛隊のイージス艦がタイムスリップして、第二次世界大戦の歴史を改変していく『ジパング』は、「『戦艦帝国』との親和性が非常に高い」と増保社長は語ります。
コラボの開始は2017年内を予定しており、ゲーム内の特設ステージをクリアしていくと、原作コミックを読み進めることができるようになるそうです。
さらに、『戦艦帝国』に付随したサービスとして、掲示板で交流できる軍事ファン向けのコミュニティサイトを立ち上げることが発表されました。こちらは現在、ベータ版としてテスト運用が開始されています。
増保社長によると、この掲示場の目的のひとつは「『戦艦帝国』ユーザー同士の交流」とのこと。板垣氏の話にもあったように、本作には“軍団”と呼ばれるギルドが存在しており、軍団内でのコミュニケーションを行うツールがゲーム内にあるものの、そちらは非常にシンプルなものなので、交流手段が限られていたそうです。
また、2年以上に渡ってサービスを行う間に追加された機能が多く、“初心者の人がゲームをどう進めればいいのか戸惑うこと”が多くなってきたそうです。そこで掲示板を活用して、上級者の人がゲームの楽しみ方をアドバイスできるようにしたいと語っていました。
しかしこの掲示板サービスは、『戦艦帝国』のプレイヤーだけに限られたものではないとのこと。「『戦艦帝国』のファンには軍事ファンがかなり多い」ことから、そうした軍事ファン向けのコミュニティサイトとして、軍事に関するさまざまな情報を得られる場所にしたいそうです。
そのための施策の1つとして、軍事アナリストの第一人者としてTVや著作で広く知られている小川和久氏が定期的にコラムを執筆し、それを掲示板に掲載していくことが発表されました。
▲小川和久氏。 |
特定非営利活動法人国際変動研究所理事長や、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授を務める小川和久氏は、地方新聞の記者から雑誌記者を経て、日本初の軍事アナリストとして独立した人物です。
また小川氏は、メールマガジン“小川和久の『NEWSを疑え!』”を発行していますが、これは中国人民解放軍の関係者も購読しているそうで、小川氏自身は「それだけのクオリティがある情報を提供できている表れではないか」と語っていました。
一方で小川氏によると、「自分がプレイしたことのあるゲームは、自衛隊と米軍が合同で行っている“ウォーゲーム”と呼ばれる1万人規模の演習だけ」とのこと。増保社長は「ゲームと関係のない小川氏から、軍事に関する本物の情報を提供してもらい、掲示板に参加する人の知的好奇心を刺激したい」と説明していました。
小川氏はこの掲示板を「アメリカのスミソニアン博物館のような場にしたい」と語り、その意図を以下のように語りました。
アメリカのスミソニアン博物館には、旧日本軍の戦闘機や、広島に原爆を投下したB-29爆撃機“エノラ・ゲイ”などが展示されています。ここではそういった兵器を、小学生のグループが大人の引率なしに見学し、それについて互いに話し合っているのだそうです。
「日本では子どもに兵器を見せないようにしているが、アメリカでは子どものころから軍事についての意見を自由に話し合うことで、その中から軍人も生まれてくる一方、平和運動のリーダーや科学者も出てくる」と小川氏。
「軍事の目的は平和の実現であり、そのために軍事について知る必要がある。国民が軍事問題を自然に扱えるようにならなければ、平和の実現はあり得ない」とした上で、そうした目的に向けて、この掲示板が役割を果たすことができるようになってほしい、と語っていました。
これを受けて増保社長も「我々はあくまで平和を愛する一企業」と説明。「ゲーム会社の立場から、平和に対して何かのお役に立ちたいと純粋に思っている。このゲームや掲示板が、防衛や安全に関する知識を得るきっかけになってほしい」とのことでした。
掲示板では小川氏のコラム以外にも、参加者が楽しめるさまざまなコンテンツを企画中。最終的には日本の軍事ファン全体からファーストチョイスにしてもらえるような、日本初の軍事ファンコミュニティサイトを目指しているそうです。
最後に、板垣氏に「今後ゲームのユーザー層を広げていく上で、どのような施策をしたらいいなどのイメージはありますでしょうか?」という質問をしてみたところ、下記のお返事をいただきました。
板垣氏:よく話し合い、正しい道を選んで進むほかありません。中国と日本のゲーム業界、娯楽業界はとても近い。しかし、当然のことながら両国の風土と言いますか、そういうところから娯楽に対しての感性が若干異なることがあります。
日本で『戦艦帝国』を展開するうえで私はこの立場におりますから、日本のプレイヤーの感性で、より間口を広くしてゆくトライはしております。
具体策については、それをここに書いてしまっては、クールファクトリーさんも、ファンの皆さんも困ってしまいますよ(笑)。お約束することは、とにかく『戦艦帝国』にはまだまだ使われていない未知の資産がありますから、それをゲームシステム化して、ファンの皆さんにお届けしたいです。
サービス開始からまもなく3年目を迎えようとしている『戦艦帝国』ですが、ゲームクリエイターから軍事アナリストといった著名人の参加を得て、また新たな盛り上がりが訪れようとしています。これまで本作を知らなかったという人も、この機会にぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。
【提供元:COOL FACTORY CO., LTD.】
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