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2017年12月3日(日)

【電撃PS】『勇者のくせになまいきだ。』初期企画書を公開した“勇なま10周年前夜祭”。山本正美氏コラム

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 この記事では、電撃PS Vol.649(2017年10月26日発売号)のコラムを全文掲載!

第118回:V!10周年おめでとう!

 10月14日、『V!勇者のくせになまいきだR』が無事発売となりました。前回のコラムでも書きましたが、僕はこのタイトルで、VRコンテンツとしての独自の立ち位置を獲得するためふたつのポイントを掲げました。

 ひとつは、「体験性だけに依存しない、しっかりとしたルールで遊ばせるVRゲーム」を作ること。もうひとつは、「登場するキャラクターに、“ゲームのキャラクター”であることを越えさせないこと」、でした。

 前者は、言い換えればVRであることに捕われ過ぎず、よりゲームであることを重視しよう。後者は、実在感がすごいVRは、リアリティとして、表現できている部分よりできていない部分のほうが気になるから、であれば最初から「自分はゲームのキャラである」ということをキャラクター自身にはっきりと定義させよう、ということでした。

 発売以降、遊んだ皆さんの意見をいろいろと検索してみて、この2点は大きく達成できたと実感しています。良かった……。加えて、ゴッドビュータイプのゲームとVRの相性の良さ、音楽の素晴らしさや声優さんの演技、アートワークと確かな技術に裏打ちされた、画像そのものの綺麗さなどなど、絶賛のコメントにたくさん出会うことができ、幸せな気持ちでいっぱいです。

 さて、発売日に先駆けた10月13日、「Jスタとあそぼう」という生放送で、「勇なま10周年前夜祭」と銘打ち、過去作含めた制作秘話を交えつつ、『Vなま』発売を祝う特集番組を放送し ました。これがまあ大変な盛り上がり! なんと『NewみんなのGOLF』特集の回の視聴者数を大幅に更新し、歴代トップの記録となったのでした。

 コーナー冒頭、まずは、かつてPSPで発売された過去作の振り返り。シリーズディレクターのアクワイア大橋君と、アートディレクターでありこのコラムのデザイナーでもある小林陽明君をゲストに招き、初期の企画書やボツになったキャラクターデザインなどを大公開しました。たとえば次の写真。

『ナナメ上の雲』

 これは、初代『勇者のくせになまいきだ。』の一発目の企画書の表紙です。すでにこの時点で、タイトルが決定していたことがわかります。開発初期からタイトルが決まっていることって、実はありそうであまりないんですよね。昨今は海外の意向などを汲む必要もあるので、発表直前まで決まらないこともしばしば。

 『Bloodborne』などもまさにそんな感じでした。が、『勇なま』はそもそも日本の超有名漫画の某セリフを元ネタとして使っているので、海外には伝わらない。ならば日本はこれで、ということで最初からこのタイトルにこだわって突っ走ったのです。

 また、『Vなま』のコーナーでは、アートディレクターのアクワイア古田さんをゲストに、キャラクターや部屋の設定や、デザインの変遷について語ってもらいました。写真は、めっきり人気キャラとなった魔王のムスメの初期デザインです。これはこれで可愛いですね。

『ナナメ上の雲』

 そして番組後半は、『勇なま』の世界を彩る音楽のお話。ゲストはもちろん、シリーズ全作を手掛けられているノイジークローク坂本さんと、効果音をディレクションしてくれた蛭子さん。お2人の裏話もありながら、極めつけは、この番組のためだけにアレンジされた、弦楽四重奏によるメドレー生演奏。

 なんという豪華さ! いやあ、音楽のチカラってすごいですよね。思わず涙が流れそうになってしまいました。

『ナナメ上の雲』

 そして最後は全員でカウントダウン。僕にとっては、制作者人生で初めてのカウントダウンとなりました。ここからはもう、『V!勇者のくせになまいきだR』は、ユーザーの皆さんのものです。あとは魔王とムスメに任せて、楽しんでくださる皆さんの反応を楽しみに過ごしたいと思うのでした。

『ナナメ上の雲』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ 部長兼シニア・プロデューサー。PS CAMP!で『勇なま。』『TOKYO JUNGLE』、外部制作部長として『ソウル・サクリファイス』『Bloodborne』などを手掛ける。現在、『V!勇者のくせになまいきだR』を絶賛制作中。公式生放送『Jスタとあそぼう!』にも出演中。

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.651』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年11月22日
■定価:694円+税
 
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