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2017年12月17日(日)

【電撃PS】『勇者のくせになまいきだ。』設定画を公開してみたら。山本正美氏コラム全文掲載

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 この記事では、電撃PS Vol.650(2017年11月9日発売号)のコラムを全文掲載!

第119回:魔界ガールズブラボー!

 『V!勇者のくせになまいきだR』発売以来、遊んだ皆さんの声をいろんな手段で目にしています。発売から一か月近く経ちますが(編集部注:11月9日現在)、もうね、とにかくムスメ人気がとんでもないことになっていまして。

 たとえばTwitterで、勇なま、ゆうなま、勇者のくせに、などのキーワードで検索すると、「ムスメカワイイ!」「ムスメやばい!」の嵐。「ムスメに会うためにPS VR買った!」という人も結構いて、マジかーと。

 でもって魔王のアカウントには、「ムスメさんをください!」系のリプライがくるわくるわ。こんなにムスメの人気が高まるなら、魔王ちかおさんの選挙奮闘記ではなく、ムスメ推しのプロモーションビデオを作るべきだった……と思わないでもありません。

 そんなムスメ人気が大フィーバーななか、僕の部で運営している生放送番組、「Jスタとあそぼう」のMC長井伸樹シニアプロデューサーより、「ムスメ人気がホットなうちに、衣装の設定画とかアップしたほうがいいですよ」とアドバイスがありました。

 一瞬なんのことかと思いましが、良く考えるとなるほど、と。年末のコミケに向けて、コスプレをする人たちは今から衣装の仕込みをしなければならない。今のムスメのバズり具合からすると、きっとコスプレ対象キャラとして考えてくれる人もいるだろうから、衣装の設定を知りたいはずだ、というわけです。

 コスプレどころか仮装すらしたことがない僕でしたが、乗れそうな波に乗らない手はない、ということで、さっそくディレクターのアクワイア大橋君に連絡。彼からアートディレクターの古田さんに指示が飛び、遊び心に満ち溢れた彼らは、なんとその日のうちに設定画を整えてくれました。それがこちらです。

『ナナメ上の雲』

 実は細かい設定があるわけですね。で、これを魔王のアカウントでツイートしてもよかったのですが、ちょうどその日がたまたま「ミニスカートの日」ということで、おや、ムスメもミニスカートじゃん、というわけで、魔王のアカウントをムスメが乗っ取ったという体で、ハッシュタグに「#ミニスカートの日」をくっつけて、ムスメからツイートしたわけです。

 すると、なんとこのツイートが、RTが14,000、いいねが25,000を越えるという事態に。フォロワーも一気に4,000人くらい増えてなんじゃこりゃ状態。その起爆力に驚いたのでした。これに便乗して、魔王の設定画もそういえばこれまで公開したことなかったな、ということで、こちらもツイートをしました。

『ナナメ上の雲』

 さすがに女の子の爆発力には及びませんでしたが、それでもRT2,500、いいねが4,200と結構な広がりを見せています。いやあ、何が武器になるかわからないものですね。これで年末に、魔王とムスメ、親子セットでのコスプレをしてくれる人がいるとしたら、本当にうれしい限りです。

 思えば初代の『勇なま』のとき、ゲームとしての面白さには自信がありつつも、ビジュアルとしてはかなり地味だし、評価はさておき売れるかどうかという視点では読み切れないところがあったことを思い出します。

 ただ、初報が出始めた直後から、「なんかあのゲーム、ネタが面白いぞ」という声がちらほら上がり始め、あれ、そこに食いついてくれるんだと思い、ギリギリのタイミングで作った体験版で、最後の告知の画面に、「悲しいけどこれ体験版なのよね!」と「機動戦士ガンダム」の名セリフを使わせていただいたのです。

 そうしたら、これがかなり跳ねた。メタ的なネタやテキストのパロディ性がこんなに“キャッチーな要素”になり得るんだ! と確信した瞬間でした。

 今回の『Vなま』でいえば、ムスメがまさにそんな感じ。もちろん、魔王とムスメと三人で遊んでいる気持ちが味わえるゲームにしよう、というコンセプトはあったわ けですが、よもやここまで“隣にいるキャラクター”がコンテンツそのものに火を点けてくれることになろうとは。

 その後もムスメ人気は衰えず、色んな方がイラストを描いて投稿してくださり、中には著名な漫画家さんもいらっしゃったりで嬉しい悲鳴。『GT SPORT』のリバリーエディターでムスメのイタ車を作ってくれる人もいて、まだまだその盛り上がりは続きそうです。仕込んだゲームの中にしか、ヒットの種はないのだなあと思うのでした。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ 部長兼シニア・プロデューサー。PS CAMP!で『勇なま。』『TOKYO JUNGLE』、外部制作部長として『ソウル・サクリファイス』『Bloodborne』などを手掛ける。現在、『V!勇者のくせになまいきだR』を絶賛制作中。公式生放送『Jスタとあそぼう!』にも出演中。

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.652』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年12月24日
■定価:694円+税
 
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