2017年12月17日(日)
『Detroit Become Human』エグゼクティブ・プロデューサーインタビュー&“KARA”編プレイレポート
人型のアンドロイドが製造されている未来。もしアンドロイドが自我に目覚めたら、人間との関係、社会はどうなるのか。
『HEAVY RAIN』『BEYOND:Two Souls』を開発したクオンティックドリームの最新作『Detroit Become Human』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるGuillaume de Fondaumiere氏にPSX2017で直撃インタビュー。本作で描くドラマのテーマを聞いた。
【インタビュー】アンドロイドの物語を通して「人とは何か?」を考える
――最初の質問なのですが、北米、ヨーロッパ、日本など各地域で『Detoroit』を出展されていますが、プレイした人が感じることは各地域で変わるものなのでしょうか?
Guillaume氏:この作品としては、そもそも受け取る人によってプレイしたあとに考えるものが全然違っていて、開発チームとしてもそういった作品を目指しています。
たくさんの選択があり、人によって選ぶものがさまざまですし、それによりそれぞれで違う経験をさせたいと思っています。『Detoroit』は本当に物語が枝分かれしていく作品にしているのですが、それを”人ごとに違う”という感じにしていきたいと考えています。
PSX2017の会場で試遊台を置いている“The Hostage”ステージのみなさんのプレイについて、試遊台を出しているすべての場所で同じシーンを見せているのですが、 裏でゲームのデータを記録しておりまして、それを見てみると結構、国ごとの違いというのが出ています。
例えば、日本の人たちは、結構思慮深いというか、いろいろ考えてプレイしていて、ラストの交渉シーンに入る前に入念に証拠を集める傾向にありました。他の国に比べて、最もプレイスルーの時間が長いのが特徴となっていました。
日本以外の国では、あまり証拠を集めたり状況を調べたりせずに、ちょっと見た後に、直ぐ交渉に行ってしまうという方も多かったです。そういった違いとかはあります。
――プレイヤーごとに体験が違ってくるということですが、例えばテーマだったり、感じてほしいことだったりなど開発チームとしてゲームで伝えたい事があった時に、正しく伝わるのでしょうか?
Guillaume氏:特にメッセージとして、ストーリーとして、これをプレイヤーに伝えたいという意思は強くはありません。世界観として、そもそも設定は未来で、アンドロイドが居る世界です。
そのなかで、アンドロイドたちが、ちょっとした理由で、感情を持ち始めます。バグが理由で感情を持ち始めて、そもそもこの社会について、疑問に思い始めます。それに対して、あなたがどう思うかっていうところが、そもそもの始まりですね。
ゲームには3体のアンドロイドが登場してプレイするのですが、プレイヤーとしては、それぞれのキャラクターになって、それぞれ起こった出来事に対して反応、感じていってもらいますが、その中で、「人とは何か」というのが、キーになっています。
何が善で何が悪かということが、明確に示されているワケではなく、シーンごとに選択をしていくこと、その時に湧き上がる感情であったり、難しい決断をさせて、そのユーザーが思った事、そういったモノこそがこの物語の全てである、というところですね。
だから、最初に戻ると、そういったメッセージというワケではなく、そもそものその感情の動きっていうのが、物語のキーになります。
――たぶんですが、最初にプレイした時に多くのプレイヤーは、自分がしたい、感情に無理がない選択肢を選ぶと思います。良い人間を演じていくと、そういう選択肢を選んでいったり、悪い人間を演じていくと、悪い方向にいったりすると思いますが、プレイヤーにはどんなふうに遊んで欲しいですか?
Guillaume氏:特に、何が善で何が悪、というのはありません。ですので、自分の心、魂の感じるままにプレイをして欲しい。最初から最後までプレイをして、その後に「あ、こういうストーリーだったんだな。
じゃあ、今度はこういうプレイをしてみよう」というような遊び方をするのが、良いと思います。白か黒かというふうにパキッと分けるのではなく、物語を進める中でいろんなキャラクターに会って、そのキャラクター、このキャラクターに感情移入してしまうことがあると思うのですが、そのあたりをいろいろ自分の中で感じつつ、”Play with your heart”という事で、”魂でプレイしろ”みたいな感じのメッセージです。
素直にプレイしてほしい。最初のプレイは素直にプレイしてほしい。その後にまた、変えていけば良いのではないかと思います。
――例えば、熱心なプレイヤーは全部のストーリーを見ようとすると思いますが、それは可能なのですか?
Guillaume氏:すべてのパターンをプレイすることでどのくらいの時間が掛かるのかはわかりませんが、可能ではあります。ゲームの中にシナリオのフローチャートというのが出てくるんですけど、それをあえて見せることで、プレイヤーが確認して、「あ、こういった選択肢もあったんだ。じゃあ、そこからやってみよう」というようなプレイのしかたもできるようにしています。
――これはよく聞かれるかもしれませんが、同じアンドロイドを描きながら、“人間とは?”を問うという作品で『ブレードランナー』という映画があります。最新作を観てどう思いましたか?
Guillaume氏:『ブレードランナー』は観ていませんが『ブレードランナー2049』は観ました。トレーラーとかも観ていて思ったのは、『Detroit』ではアンドロイドが社会的にどのような影響を与えているか、というところにフォーカスを当てています。そういったところは、時間が決まっている映画では表現ができないところだと思います。
例えば、アンドロイドが出現した事によって、人間の生活にどのような影響を与えるのか。子供との関係にも影響が出るだろうし、それぞれの生きている人たちの生活にも、もちろん影響が出てくるであろうと。『Detoroit』ではそういったもっと社会的な面についても描いています。
ですので、そういったところはプレイヤーに面白く感じてもらえるんじゃないかと思っています。あとは、映画との一番大きな違いというところで言うと、映画は受け止めるだけですけど、ゲームではプレイヤーとのインタラクションができるので、そこは一番大きな違いだと思います。
【プレイレポート】女性型アンドロイド「KARA」が登場するエピソードを体験
これまで世界中のイベントで体験できたのは“The Hostage”という男性型のCONNERというアンドロイドがメインとなるシナリオだったが、PSX2017では女性型アンドロイドのKARAがメインとなるシナリオをプレイすることができた。
シナリオの名前は“Stormy night”。Toddという父親とAliceという女の子が登場。KARAはその家族の世話をするためのアンドロイドだ。どうやらToddはアンドロイドの台頭により職を失い、アンドロイドへの憎しみとともに精神的にも不安定になっているようだ。母親がいないのもそのせいかもしれない。
2人が食卓について用意した食事を持っていき、命令があるまで待機するKARA。食卓ではイラついたToddが娘に八つ当たりをして怒号が飛んでいる。ついには席を立って手を上げてしまう。傷ついたAliceは2階にある自室に逃げ込んでしまう……。
ここまででも非常にシリアスな展開で、プレイヤーとしてはToddへの怒りとAliceへの哀れみを覚える。
Toddの怒りはおさまらず、1階でうろうろしながら悪態をついている。KARAは「Don't move!(動くな)」と命令を受けたので、直立不動で待機している……のだが、プレイヤーが動こうと思えば動くことはできる。
だがそれはアンドロイドとしての一線を越える行動。Toddのイライラがピークに達し、2階のAliceの部屋に向かい始めたときに、筆者はKARAを動かしてしまった。その一線を越える行動は特別な演出が入り、KARAが自我に目覚めることが重要なシーンであることを認識させてくれる。
自我に目覚めたKARAはToddからAliceを守ろうと2階に向かう。Aliceの部屋に到着したときに選択肢が表示される。
おわかりだとは思うが、すでにここまででも何通りものシナリオの枝分かれは存在していた(例えばAliceの部屋に到着する前に、手前の部屋に入ることができて、そこでは武器を入手できる、など)。選択は選択肢が現れたときに選ぶだけでなく、自分が何をするかでも変化があるようだ。
部屋に到着したTodd。いきなり抵抗をはじめたアンドロイドにとまどいを見せる。KARAの表情も無表情だったものが感情的になっている。激昂したToddの暴力に抵抗を見せるKARA。このあたりはコマンド入力による操作が頻繁に入り、めまぐるしい展開。強い力で押さえられたりするとKARAの表面が白くなり、肌や服がテクスチャであることがわかる。
なんとかToddをしりぞけ、Aliceと連れて部屋を出るKARA。追いすがるToddを振り切り、家の外に出ることに成功。そのまま走り続け、路線バスに乗り込んでホッとしたところでフィニッシュ。最後にKARAとAliceが寄り添うシーンがあるが、いったいこの先はどうなるのか、かなり気になる内容だった。
じつは筆者は2回プレイさせてもらったのだが、1度はKARAもAliceもToddの暴力に屈してしまう悲しい結末だった。そのエンディングでは、Toddが大切なものを失ったことにようやく気がついたことがさらに悲しみを誘った。
描かれている物語はとてもエモーショナルなもので、選択を迫られるときは本当に迷う。プレイヤーの判断としては、ゲームとして見たときにどれを選べばよい方向に転がるのか、いやここは感情的にはこっちだな、などといった心の動きがあり、その先の展開によっては後悔することもありそうだ。
アンドロイドを通して、人とは、ひいては自分とはまで問われる深いゲームに、『Detroit Become Human』はなりそうだ。
▲クリア後には、プレイしたチャプターのシナリオチャートを見ることができる。のちのプレイに役に立つだろう。 |
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