2017年12月19日(火)
12月21日にコーエーテクモゲームスのガストブランドから発売される、PS4/PS Vita/Nintendo Switch用の人気RPGシリーズ最新作『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』。
その発売前日となる12月20日に、ゲーム中の楽曲とボーカル曲を収録したオリジナルサウンドトラック&ボーカルアルバムが発売されます。今回はその発売を記念して、本作の楽曲制作に参加されたアーティストである阿知波大輔さん、柳川和樹さん、霜月はるかさんのスペシャルインタビューをお届け。
ぜひ購入前に一読し、さらに購入後に楽曲を堪能しながら再読して、新たな“不思議ワールド”への扉が開く21日を待ちましょう!!
↑左から柳川さん、霜月さん、阿知波さん |
――まずは『リディー&スールのアトリエ』でのご担当を教えてください。
柳川和樹さん(以下柳川、敬称略):BGMの一部と、茶太さんが歌う挿入歌『Colors』の作詞と作編曲を担当させていただきました。
阿知波大輔さん(以下阿知波、敬称略):私もBGMの一部と、柳麻美さんが歌う挿入歌『Prism』の作詞と作編曲を担当しています。
霜月はるかさん(以下霜月、敬称略):私はアバンオープニングテーマ『マスターピース!』を山本美禰子さんとデュエットでボーカル担当しています。
――『リディー&スールのアトリエ』の楽曲制作では、共通のコンセプトは決まっていたのでしょうか?
柳川:『不思議』シリーズの3作目なので、その流れは汲みつつという感じです。そして“双子”と“絵画”という特徴的な要素があるので、そこから新しいものを取り入れて制作を行いました。
阿知波:“双子の主人公”“絵の中の世界”というわかりやすい要素があるので、僕なりの解釈で楽曲にどう生かすかを工夫して作曲したつもりです。
――ちなみに『アトリエ』シリーズは、3部作で完結する作りが定番です。今回もこの3作目に当たりますが、そういった節目のタイトルは、作曲への取り組み方に違いはあるのでしょうか?
柳川:どうでしょうね。逆に僕はあまり変えないようにしているつもりです。なるべくいつものスタンスで、1つの作品として向き合っています。
阿知波:今までならば『メルルのアトリエ』が『アーランド』シリーズの3作目、『シャリーのアトリエ』ならば『黄昏』シリーズの3作目です。これらは前2作のキャラクターたちが出てきて、ある意味お祭り的な作品になっていました。おなじみのキャラクターがたくさん出てくるので、ハッピーなイメージに寄せていくのがいいと考えています。
――今回の“双子で主人公が2人”というキーワードは、曲を作るテーマとしてはいかがですか?
柳川:ギミックとしてどう楽曲に落とし込むかという面では、持ち込みやすいですね。ただ、頭の中では上手く出来ていても、実際の制作では苦労もあります(苦笑)。
阿知波:1ついいものができたと思ったら、もう1つ必ず同じウエイトのものを作らないといけない宿命が発生してしまいますし。どちらかをひいきにはできませんから(笑)。
――挿入歌『Prism』を制作してみていかがでしたか?
阿知波:歌っていただいた柳麻美さんは、これまでのシリーズでも、霜月さんに次ぐくらい多く歌っていただいているんです。今回ひさしぶりにメインボーカルをお願いしていますが、テクニックのある方で、どういった歌でも歌いこなせるんですよ。だから、そこはまったく心配がありませんでした。
曲名については、今回は絵画の世界が舞台なので、ほかの方がそれっぽい曲名を付けてくるんじゃないかなと思っていたんです(笑)。
――たしかにriya (eufonius)さんが歌うオープニングテーマの構成曲は、『キャンバス』という曲名ですね。
阿知波:だからなるべくみんなが選択しない曲名にしないと、いろいろと迷惑をかけると思いまして(笑)。それで「どうしようか」と考えていたときに「絵は離れよう。色などにしよう」となったんです。
僕が作詞する場合は、メッセージやふわふわとした抽象的なものを重ねるよりも、何か小物的なものをポンと1つ出して、そこから想像を膨らませていくやり方が好きなんです。それで、今回はピンク・フロイドというバンドのCDジャケットを見て「あ、プリズムだな」となりまして(笑)。
さらに『Prism』が流れるのは物語の中間ポイントくらいで、そこから主人公たちの道が広がっていく……というイメージだと聞いたんです。だから、ここまでは1つの光で来たけれども、その先は七色に分かれていく、みたいなイメージとも重なったので、それに歌詞をいかに当てはめるかという部分で工夫をした感じです。ぜひお聴きいただければと思います。
――柳川さんは『Colors』の制作はいかがでしたか?
柳川:茶太さんとご一緒できると聞いて、「それならば茶太さんの声に合う曲にしたい」と考えて進めました。僕の曲もゲームのどこで使われるかは決まっていたんです。だから、そのシーンにサウンド的に合うように心がけましたね。
「ほかのものを邪魔しないが、歌もちゃんと存在感がある曲になるように」と意識しています。作詞面でいえば、とある登場人物の視点で歌う曲なのですが、その人の気持ちをわりとストレートに書いています。実際にプレイ中に聞いていただくと、より一層おもしろい作りになったのではないでしょうか。
――楽曲を制作される場合、お2人はあらかじめ資料なりをもらい、シナリオを読み込んでから作業に入られるのですか?
柳川:ボーカル曲を作る場合は、頂いた分を可能な限りかたっぱしから読むようにしています。
阿知波:僕もそうですね。やはりユーザーさんがプレイして印象に残っている単語が、歌の中にも出てくるとうれしいと思います。僕自身もゲームの挿入歌でそんな演出があればうれしいですし。だから、なるべくユーザーさんの目線になって、歌が使われる個所までのシナリオはしっかり読み込んでいます。
――霜月さんは山本さんとのデュエット曲になりますが、こちらはいかがでしたか?
霜月:私のほうが先に収録しました。デュエットの曲は何度か経験はありますが、美禰子ちゃんとは初めてでした。先に歌うほうがラクと言えばラクですね。例えば語尾の長さとか上がり方とか、ニュアンスの合わせ方みたいなものは先に歌う方は合わせようがないので、これに関して言うならば「美禰子ちゃんごめん。私好きに歌います」という感じでした(笑)。
歌うときは双子の主人公のビジュアルを見ながら、二人で歌うイメージを膨らませた状態で歌わせていただきました。最初にこのデュエットのお話をいただいたとき、美禰子ちゃんとは歌のカラーが違うけれど合わさったときにどうなるんだろうと思っていたんです。
歌う段階では想像ができていなくて、たぶん違っているんだろうなと思いつつも、あとに歌う美禰子ちゃんがどう合わせてくれるのか楽しみにしつつ、レコーディングを終えたんです。それで完成版を聞いたら、想像していた以上に合っていて感動しましたね。歌い回しや発声法などが違うのに、そこが個性として際立っていました。それなのにユニゾンやハモリなども、声のなじみもよくまったく分離もしていなくて、「ああ、私たちの声ってこんなに混ざるんだ」と。それがまた双子らしくてすごくお気に入りです。
――たしかに聞いていると違和感はまったくないですね。歌い分けなどはしっかりされているのに、まとまって聞くとしっくりきます。ちなみに、霜月さんはリディーのパートを歌われていますが、姉として歌おうみたいな意識はされましたか?
霜月:そこはあまり細かく意識しなかったですね。意識しなくてもたぶん双子の違いは出るだろうなとは思っていましたし。おそらく、自分のカラーを極力出して歌ったほうがいいだろうなと。現場でも作曲家さんから「霜月さんらしく歌ってください」とディレクションしていただきましたので。
それに加え、やはりアバンオープニングテーマという立ち位置の曲なので、期待感を煽る表情付けはしたいなと思いました。曲もさわやかで疾走感もあり、これから始まる双子の冒険で夢溢れるキラキラ感を出したい。少女たちが抱いている気持ちを意識して歌いました。
――歌詞も双子をイメージさせるワードが多かったですね。
霜月:そうですね。双子らしい歌詞と絵画の世界で、ワード的にもすごく絵に関するものが多かったです。タイトルの『マスターピース』も傑作という意味合いですし。
――完成した曲でここよかったというのはありますか?
霜月:サビですかね。「さあ~」と歌っているときに美禰子ちゃんがメロディーを歌っている。それがこうたまにハモったり入れ替わったりと、複雑に絡んでいるんです。1番と2番で担当パートが入れ替わっていて、そこの表現でもお互いの個性を感じました。最終的にサビの最後でユニゾンになるんですが、そこが想像以上に一体感があるんですよ。そこが私的にすごく“燃える”というか(笑)。
阿知波:“萌える”?(笑)
霜月:そっちの萌えもありますね(笑)。そういう作りがしっくりきて、それを聞いて「ああ気持ちいい」となりました!
――事前に開発スタッフの方にお聞きしたところ、お2人の声はなんとなく最終的には合うんだろうなというイメージがあったそうです。いざやってみると「合わないかもしれないな」と悩んだそうですが、最終的にはキレイにミックスができてよかったとのことです。
霜月:ミックスはとてもいい感じになっていました(笑)。
――サビの部分の調整も極力いじらないようにしていたとのことです。同じスタジオで同じエンジニアさんに、録る段階から合わせていただいていたので、スムーズにできたとうかがっています。霜月さんはガスト作品の制作にかかわる場合、作品に寄り添う形で作られることが多いと思いますが、資料はあらかじめいただいているのですか?
霜月:作曲家としてと、ボーカルとして関わる場合はだいぶ違いますが、ガストさんとのお仕事で作曲家として携わっているのは主に土屋(暁氏。『シェルノサージュ』や『アルノサージュ』などのプロデューサー)さんの作品なので、まずはシナリオを読み込まないと何もはじまらないですからね(笑)。
基本的にゲームの仕事をさせていただく場合は、自分がユーザーだったらという立場を想像して、そのタイミングで曲が流れると魅力が倍増するように作るのが一番の成功かなと。だから、極力いただいた資料は読んで、自分で解釈したものを出すことが制作のやり方かなと思っています。
――『アトリエ』シリーズではそのあたりはいかがですか?
霜月:『アトリエ』シリーズでは、ボーカルで関わることがほとんどです。その場合はいちボーカリストとして“どう『アトリエ』シリーズらしさ”を出すのかを、1曲1曲に向かい合いながら考えています。ただ、ずっとシリーズに携わらせていただくなかで、自分の歌ってきた楽曲によって“アトリエサウンド”が構築されてきた部分もあると思いますので、そんなには気負ってもいませんね。
阿知波:もしかすると、開発スタッフ以上にシリーズを理解されているかもしれません(笑)。
柳川:かかわった年数で言えば、僕よりも霜月さんのほうが長いですからね(笑)。
霜月:そうですね、シリーズの変遷をずっと見てきたというところもありますし(笑)。だから、最近は『アトリエ』らしさを意識しなくても、歌っていることで自然と『アトリエ』らしさが自分のなかから出てくる気がしています。
阿知波:『リディー&スールのアトリエ』にも、その成分がたっぷり出ていると思います。
霜月:ファンの方たちも、自然と認識してくださっているんじゃないかなと。
阿知波:そこはある意味開発側でも狙っています。どんどん新しいアーティストさんに参加していただいていますが、強烈な何か1つの方向にまとめるよりも、それぞれのカラーで染めていただくようにしているんです。『アトリエ』はその方向でずっとやってきていますし、そうなっても『アトリエ』らしさはちゃんとあるんじゃないかなと。
――そうなると、とくに制作時に誰かが音頭を取る、みたいなことはなさそうですね。
阿知波:するときはするけど。
柳川:しないときはしないですね(笑)。
阿知波:どちらかといえば個人的な話で、「ああいうのがいいよね」的な雑談レベルかな(笑)。むしろ、僕自身はなるべく好きにやってほしいんです。その方のカラーが出ないようであればお願いしている意味がないので、無理やり直していくことはしません。
――それも20年『アトリエ』シリーズが続いてきた理由の1つなんでしょうね。
阿知波:『アトリエ』シリーズって、どこからプレイをはじめたかでけっこうイメージが変わる作品だと思っています。最初の「ザールブルグ」シリーズはキャッチコピーにもあったように、世界を救ってはいないんですよ。
でも、霜月さんが初参加された「イリス」シリーズなどは、わりと世界を救っているんですよね(笑)。さらに「マナケミア」シリーズでバトルに寄った作品になったかと思えば、『アーランド』シリーズでふわっとした感じに戻ってきたけど、それでも「ザールブルグ」シリーズとはやはり違います。
――『黄昏』シリーズでは音楽が新しかったですね。『アトリエ』シリーズではあるけれども、淡い感じの曲調で、アットホームとはまた違いますし。バトル曲にはロックが入ったりもしました。
阿知波:節目節目に「これは新しいだろう」というものを求める動きがあって、『黄昏』シリーズではシナリオや絵の雰囲気に合わせる形で、そういった音楽の方向になった、ということだと思います。各作品ごとにいろいろな特色があり、それらが混ぜ合わさって、『アトリエ』シリーズとして1つの程よいイメージが形成されてきているのかなとも思います。
――それぞれ個人のパーソナリティが集まったのが『アトリエ』シリーズなのかもしれませんね。
阿知波:正直いろいろなことが起きたほうがおもしろいんです。『アトリエ』シリーズでこんなことはあってはいけないなどの制約は、少なければ少ないほどいいと思っています。僕は『マリーのアトリエ』からの古株ですが、若いスタッフさんが「アレはダメだよ、これはダメだよ」と古株からいろいろ言われるのは嫌だと思います。
だから、どんどん自由な発想でいろいろな『アトリエ』シリーズがあってもいいのではないでしょうか。それでも『アトリエ』シリーズとして1つのイメージがちゃんとあることは、連綿と培ってきたものがあるからなんでしょうね。そして、やはりみなさんが『アトリエ』シリーズが好きで曲を作ってくださっているから、それが1つの方向に向いているからいいのかなと。
柳川:そうですね。号令がかかって集合するよりも、なんとなくある程度みんなが着地点をわかっていて、自然とそこに寄っていって……という形でできあがっているんじゃないかなと思います。
霜月:私も7月の20周年ライブでそれを感じました。関わっているアーティストさんの方向性は様々だし歌も曲も毛色が違って、何が共通しているのが説明は難しいんですけど、何かしらの温かさみたいなものを感じました。透明感、温かさなどが『アトリエ』シリーズにすごくリンクして、それぞれがとてもあっている。それがまた不思議な感覚でした。「全然違うんだけど、何か『アトリエ』っぽいんだよな」って(笑)。
――では『アトリエ』シリーズの作曲で、今後やってみたことはありますか?
阿知波:じつは『アトリエ』シリーズって、けっこういろいろチャレンジしているんですよね(笑)。
――そうなんですよ、だからファンとしても今後はどうしていくのかなと気になります。
阿知波:ミュージシャンが陥るパターンですね(笑)。諸国の音楽めぐりみたいな。ちなみに、民族音楽を再現しようとしたとき、単にCDを聴いて真似しているわけではありません。世界観のイラスト、キャラクター、服装からもアイデアは出てきます。
例えば衣装もデザイナーの段階で、ある地域の民族衣装を参考にはしていますが、そこから創作的なものを作り上げているわけです。音楽でもそれをやっていると思っていただければ。
――たしかに方向性としていろいろなものが合わさるという作風があるからこそ、次のインスピレーションが生まれると思います。
阿知波:ゲームの音楽は基本的にお話をいただいてからのスタートなんですよ。だから、そこを無理に「音楽主導でこれをやりたいんだ!」とか、「この曲が使いたいからこんな話を作ってくれ」と言うのはたいてい僕らはしないですね。逆にプロジェクトが始まってからは、根掘り葉掘りいろいろなことを聞きます。「ある素材を全部ください」とかも(笑)。
柳川:ボスの形が早く知りたいです、とかの話もありますよね(笑)。
阿知波:それ、僕が毎回言っていることだよね。動きが速いのか遅いのかだけ教えてとか(笑)。
柳川:飛ぶの? 埋まっているの!? とかもありました。
阿知波:動かないボスならば、動かない曲にするからです。あとは戦う場所も気になりますね(笑)。
柳川:そういったちょっと細かい資料がいただけると、本当に助かります(笑)。
阿知波:あとは『アトリエ』シリーズといえば、キャラクターの魅力があると思います。だから、楽曲もなるべくキャラクターのイメージに沿った曲にしたいと考えています。こちらもキャラクターの設定やイラストがあると助かりますね。
霜月:ボーカリストの立場での印象ですと、みなさんがその作品に合わせて作曲されていることはわかるんですが、たぶんそのなかですごくやりたいことをやっているな、というのは感じます(笑)。
阿知波:バレていますね(笑)。
霜月:曲が送られてくると「あー、これすごく阿知波さんが好きな路線だな」「柳川さん、趣味に走っているな」と、すごく感じますし(笑)。
阿知波:(苦笑)ただ……なんというのかな。それがまたおもしろいんじゃないのかなと。
霜月:はい。曲をいただく側としては、作家さんの個性が感じられていいなと。やりたいことをやっている曲というのは、こちらもすごくやりがいがあるじゃないですか。そしてそれが積み重なって、作品のカラーになっていることはすごくいいことだと思います。
阿知波:これこそ人間が作ることの意味だと思います。同じものでもその人の経験や好みをたくさん通ってインプットされ、アウトプットされます。「今回はこんな作品ですよ」と言われて出てきたものは通る回路が同じでないため、みなさんそれぞれ違うんです。どうしても最初は自分の理想で作りがちで、ほかの人にも同じものを要求してしまいがちです。でも、それはあまりよくないんです。
ほかの方の曲を聞かせていただくことで、自分とは違うものが生まれて「いいな」と思えてきます。世界が広がるフィードバックの掛け合いですね。だから、多様性があることは、『アトリエ』シリーズの魅力の1つなのではないかなと。
――阿知波さんも柳川さんもフリーランスになられましたが、仕事で変わったことはありますか?
阿知波:あまり変わっていませんね。割と会社にいたときから自分の好きなようにやっていたので(笑)。
柳川:曲作り自体のスタンスは変わりません。あえて言えば曲を作る時間帯は変わりました。今は夜に作ることが多いですね。会社に勤めていた頃は朝出社して作曲をしていましたが、今は在宅のため昼夜がひっくり返っても許されますから(笑)。好きな時間に作るようにはなりました。
――ご自身的には夜の方がやりやすいですか?
柳川:夜は周りの音が少ないからやりやすいですね。また、電話などで作業が一時中断されないことも、集中しなおすのにとても時間のかかる私としては大切だったりします。
――霜月さんはガストブランドのタイトルに欠かせないアーティストのお1人として、ファンに周知されていると思います。ご自身のなかで、ガスト作品でのお仕事はどういったポジションになっていますか?
霜月:私にとってかなりのターニングポイントになった仕事です。イリス」シリーズがなかったら、今のお仕事はここまでは続いていなかっただろうなというレベルです。『アトリエ』の仕事をしたことが人生を変えた! といっても過言ではないんですよ(笑)。
阿知波:変えてしまった……(笑)。
霜月:そこから13年くらい、ずっとシリーズにお声がけいただいていることがすごくありがたいです。ファンの方からも“『アトリエ』シリーズと言えば霜月さん!”みたいに言っていただけることがすごく自信になっていて、仕事として続けるパワーになっています。
最初の頃はどうやったら『アトリエ』シリーズの歌になるんだろうと、いろいろと考えていました。当時はそこに寄せる技術も経験もありませんし、そこを考えてもそこまでできていたかわかりません。だんだんと積み重ねることで、構築できた部分がありますから。
そして、これまで歌わせていただいた楽曲は、どれもジャンルがバラバラなんですけれども、そのカラフルだけどどこか統一感のあるカラーが自分の活動の1軸となっていて、確実に自分の代表作と言える作品になっています。だから、継続して声をかけていただいているのはすごくありがたいですし、うれしいなと。
――やはり年に1回くらいお話がくると引き締まる感じですか?
霜月:そうですね。『アトリエ』の次回作なんですけど……と来ると、「ハイ!」みたいな(笑)。
阿知波:本当にありがたいです。お世話になり続けてもう14年くらいですからね。
――霜月さんとしては20年続いてきた『アトリエ』シリーズへ、もし何か言葉を送るとすれば?
霜月:シリーズが20年続くのはすごいことですよね。サウンドについていえば、関わられている方は移り変わっていますが、そのなかでちゃんとカラーができていて、それを追いかけ続けているファンの方がいる。とにかく作品力がすごいなと感じます。
作品ごとに方向性は違うけれども、安心感みたいなものがどこかしらにあって。『アトリエ』シリーズを愛する人がいて、作る人もイメージなり愛があり、作り続けて20年……。それってかなり奇跡だなと感じます。それを尊敬するし、自分も半分くらいかかわらせていることは、本当に誇らしいなと思います。だから、もう感謝しかないです。ありがとう!
――霜月さん的にもメジャーデビューしてから10年以上ですよね?
霜月:そうですね。歌の仕事を始めてからだと15年くらいなので、ほぼほぼ『アトリエ』シリーズとともに歩んでいる感じです(笑)。
――では最後に『リディー&スールのアトリエ』とサントラの発売を待つファン、そして20周年を応援してくださっているファンに向けてメッセージをお願いします。
阿知波:『アトリエ』シリーズは、ほぼ年に1本のペースで出し続けて20年なんですよね。遊んでいただいている方の中には『マリーのアトリエ』からずっと応援してくださっている方もいれば、途中のシリーズから入ってくださった方もいます。
また、最近では親子二代で楽しんでいるという声もお聞きしています。開発として作品が多いことは、飽きとの戦いにもなります。残すところは残して、変えるべきところは変えるわけです。それでも今もシリーズが残っていることは、みなさんから支持を確実に受けているからだと思います。そこはもう感謝でいっぱいです。今後ともよろしくお願いします。
柳川:僕が『アトリエ』シリーズに参加したのは『アーランド』シリーズの頃からで、『アトリエ』シリーズは僕が学生の頃からあった作品です。遊ぶ側から作る側になりましたが、やはりユーザーさんに支えられているタイトルですので、今後ともよろしくお願いします。
霜月:作品はファンの方に支持されているから長く続いている。だからこそ、私も作品の一部としてこうやって歌わせていただけています。ずっとシリーズを愛してくださっている方々、開発の方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。
微力ながら携わらせていただいている身として、シリーズの盛り上がりに助力できる部分は助力したいという気持ちなので、またお声がけいただいたらうれしいです。また、今作も双子や絵画の世界というテーマに音楽的にもみなさんピッタリあった楽曲ばかりなので、『アトリエ』シリーズらしさを今作でも感じていただけたらうれしいです。
――最後にご自身の活動でなにか告知的なものがあればぜひ!
霜月:自分にとって大切な作品の動きがそろそろ発表されると思いますので、そのあたりに注目していただければ幸いです。
▼リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~
オリジナルサウンドトラック&ボーカルアルバムの詳細は公式サイトにて。
(一部楽曲の視聴も可能!)
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