2017年12月23日(土)
セガゲームスから、2018年3月8日に発売されるPS4用ソフト『北斗が如く』。その店頭体験会がヨドバシカメラ マルチメディアAkiba1F 第一エントランスで開催された。
本作は、人気漫画『北斗の拳』の世界を、“龍が如くスタジオ”がオリジナルストーリーで描くアクションアドベンチャーゲーム。ラオウやトキ、レイなど原作キャラクターに加えて、原哲夫氏の描く新キャラクターもゲームに登場する。
体験会では、初級、中級、上級の3種類をプレイできた。プレイヤーは時間内であれば何度もプレイできるということで、北斗神拳のてざわりを楽しんでいた。
会場には、『北斗が如く』総合監督・名越稔洋さんと、ゼネラルプロデューサーの佐藤大輔さんが登場。報道陣を対象にした取材が行われたのでその様子をお届けする。
▲名越さん(左)と佐藤さん(右)。 |
――本日の体験版では、どの部分を見てほしいですか?
名越:今回のバージョンはバトルを味わってもらうもの。『北斗が如く』の遊びの大事な部分を感じてもらえると思います。『龍が如く』とは少し違う部分を感じていただければ、よりうれしいです。
――バトルの特徴はどこですか?
佐藤:ベースの□ボタンと△ボタンのコンボは、『龍が如く』を遊ばれている人であればすんなりやれると思います。もっとも違うのは○ボタンで秘孔をつくアクションです。あとは、原作のいろいろなキャラが能力を持った“宿星護符”があります。そこは大きく違うところです。
――敵の断末魔を武器として使えるのは、名越監督のアイデアということですが……。
名越:アイデアというより、思い付きですね。『龍が如く』はバイクなどの道具を持ち上げられる。ただ、荒野ではアイテムがないし、バザーで果物を投げてもおもしろくない。
なにかないかと思っていた時に、「文字を投げてみたらいいのでは?」と。やってみたところ、アクセントとしてあっていました。これは原作の世界にはない、“龍が如くスタジオ”とコラボしたゲームのアイデアです。『龍が如く』にはこれまで積み上げてきたシステムがあります。そのベースがあったうえで、アドオンが何があるのかによって、高い完成形になります。オリジナルの要素で完成度が高いものになったかと思います。
――バトル以外で独自性があり、おもしろいと思うところはどこでしょう?
名越:ざっくりお話すると、ケンシロウにいろいろなことをさせていることです。そんなに着替えたりしない人が、いろいろな衣装を着たり、仕事をしてみたりする。桐生がいろいろなことをするより、ケンシロウがしたほうが、いい意味でふざけている感は強いんですね。
そこと重厚で殺伐とした世界とでコントラストに幅が出ます。いろいろなパターンのケンシロウを用意したので、それに注目してほしいです。
――先日のPV以降、ユーザーや周囲の方の反応はいかがですか?
佐藤:今回の体験版で初めてさわっていただくので、反応をまだ確認しているところです。現状ではおおむね好評だと思っています。年明けくらいに、バトル以外を体験できる体験版を用意したいと思っているので、そこでまた皆さんの反響を見たいです。
――原作サイドから「このようなゲームにしてほしい」という要望はありましたか?
佐藤:原哲夫先生はおもしろいことをやってほしいという方だったのでやりやすかったです。むしろ、「おもしろいものをドンドンやらないと、『龍が如く』とコラボした意味がない」とまでおっしゃってくださいました。ただ、“女をくどかない”や“歌をうたわない”など、ケンシロウが絶対にやらないことはNGでした。
アクションについては僕らも原作をリスペクトした形で搭載させていただいています。はっちゃけているのはアドベンチャー部分です。
名越:NGがあったのはキャラや世界観の部分についてで、ゲーム的なNGはないに等しかったです。それは想定外でうれしかったです。
――オリジナルの物語が展開しますが、それぞれのキャラが持つドラマはどれくらい入っているのでしょうか?
佐藤:キャラの設定や個性は一切崩していません。オリジナルのストーリーを描きつつ、原作を知っている人なら「これはあのシーン!」とわかるものを随所に盛り込んでいます。なので、原作を知っている方が、よりくすぐられることを意識しました。
――『龍が如く』は幅広いユーザーが遊ばれます。本作の難易度も同様に広いものになるのでしょうか?
名越:それは、絶対に間違いなくそうです。他のメーカーからも『北斗の拳』IPのタイトルは出ていますが、同様に広い層を意識されていると思います。そこは我々も同様に考えています。
――発売に向けて、メッセージをお願いします。
佐藤:発売日を延期してしまい申し訳ございませんというのがまずあります。現在、開発チームは一丸となり、開発しています。3月8日の発売を待っていてください、
名越:発売日の延期は心苦しい限りです。ただ、発表した瞬間から「よりよくしていただければ」という意見をいただきました。それにふさわしい作品にしあげます。『龍が如く』ファンにつながる土台にもしたいし、『北斗の拳』が好きな人にもさわってもらえるいいゲームにするので、見かけたらぜひさわっていただきたいです。
会場に設置されている体験版をプレイできたので、その模様をお届けする。なお、現在開発中のため、仕様は変更される場合がある。
初級の“宿敵の居城”はザコ敵とのチュートリアルがあり、その後シンが登場するというものだ。中級ではカサンドラにて獄長のウイグルが仕向けてきた衛兵とバトルする。
□ボタンと△ボタンで、『龍が如く』シリーズのように攻撃を加えていくが、なかなか敵を倒すことができない。本作でのキモとなるのは、アイコンが出た時に○ボタンを押す“秘孔アクション”。“秘孔”をついた後、さらに○ボタンを押すと奥義が発動。これによって敵にダメージを当たえられるうえに、こちらの能力をアップさせる“バースト”に必要な“七星ゲージ”がたまる。
ダメージを与えられ、強化につながり、気持ちいいと、一挙両得どころか一挙三得なシステムになっている。
『龍が如く』のアクションとの大きな違いとして、奥義をいつでも出せるところがあげられる。ここについて佐藤さんは「スピードが早いのと奥義を出しやすいところが大きな特徴」と説明。とにかく七星ゲージがたまっていくので、出し惜しみせずに奥義を使っていくのがいいようだ。
“秘孔アクション”には他にも、タイミングよく“秘孔”をつくことで大ダメージを与えられる“ジャスト秘孔”が存在。ダメージが増えるだけでなく、敵の“断末魔の叫び”が画面に出現し、アイテムとして使うことができる。
大柄なザコ敵からは「ひでぶっ」の文字が出て、武器として使用可能。それ以外には回復アイテムや“七星ゲージ”がたまるものがあるという。
北斗七星を象った“七星ゲージ”がたまった状態で、R2のバーストを発動させると、ケンシロウの能力が飛躍的にあがる。この状態で×→×ボタンと入力すると跳躍を行える。攻撃の起点になるだけでなく、敵のアクションを回避することも可能。また、画面狭しと飛び回る様子は、見ているだけでも爽快であった。
プレイ中に“宿命珠(しゅくめいだま)”が手に入り、それを使うことで能力解放を行えた。それにより“北斗百裂拳”を使えるように。他にも“岩山両斬波 (がんざんりょうざんは)”を使うことができた。奥義にはさまざまなものがあり、中にはオリジナルもあるとのこと。
アクションとしても重要だが、原作を知っている人だとより楽しめそうな要素が“宿星護符”だ。これは十字ボタンの対応した方向を入力すると発動するもの。体験版では、右方向にヒューイ、左方向に消毒男、上方向にリン、下方向にトキが割り振られていた。
例えば“南斗五車星”の1人であるヒューイは“五車風仁拳”で周囲に暗闇状態にする攻撃を行い、トキであれば敵を行動不能にする攻撃を行う。消毒男は火炎放射機をとりだして、火炎攻撃を行う。有名な「消毒されてえかー!」を再現できるわけだ。
リンはカットインとともに叫び声が響き、ケンシロウが復活する能力を持つ。自動で発動するのも便利なところ。用意されていた宿星護符は強力なものばかりであったが、一度発動するとクールタイムが入るため、連続して使うことはできない。「どこで使うかも重要」と佐藤さんは説明していた。なお、宿星護符はかなりの数があるようで、そちらも楽しみだ。
先ほど2人がコメントしていたように、アクションが苦手な人でも楽しめる作りになっている。ゲーム中には、自動で“秘孔アクション”を行う“オート秘孔”という機能が搭載されている。いわゆるアシスト機能で、誰でも気持ちよくアクションを行える要素だ。
一方でアクションが得意な人に向けた“深さ”も用意されていると感じた。その1つが敵のアクションにあわせて使う“カウンター奥義”。敵の体力ゲージの前にあるドクロのアイコンが一瞬だけ○ボタンに変化する時があり、そのタイミングで入力をすると発動する。
また、奥義発動時にタイミングよくボタンを押す“QTE”はタイミングがわからず、やや戸惑う場面もあった。これもアクションが得意な人に向けてあえてしている調整とのことで、入力に失敗してもダメージは入るという。ただ、しっかり入力できるとボーナスが入り、タイミングがいいと演出が金色となり、ダメージがさらにはねあがるようだ。
佐藤さんによると「見ているだけのヒートアクションではなく、変えたい」という意図があり、このようにしているようだ。一方でイベントシーンでのボタン入力についてはそこまでシビアなものにはなっていなかった。「アクションが苦手な人でもやれるように作っているが、得意な人がやるとケンシロウはさらに強くなれる」と佐藤さんがコメントしていたことからもわかるように、プレイヤーの腕前に依存するゲームデザインは『龍が如く』よりも色濃くでているようだ。
上級で挑む“南斗水鳥拳”の使い手・レイはとにかく強く、難度が高かった。攻撃をしっかりガードしてくるうえに、回避タイミングの難しい三角飛びを仕掛けてくる。こちらはあえて上級者向けにした調整になっているようで、敵の有利な状況を打破したり、宿星護符をうまく活用したりしないと難しいようだ。
プレイ開始時には 「出血をマイルドしますか?」という選択が現れた。こちらを設定すると血が黒くなるため、ゴア表現が苦手な人で遊べるようになるという。
『龍が如く』をベースにしたアクションをしながらも、よりスピーディで異なるアクションを実現していた『北斗が如く』。体験会はまだ予定されているので、気になっている人はぜひ体験してほしい。
会場では名越さんによるサイン会が開催されていた。幅広い層のユーザーが参加し、名越さんと交流していた。
また、ゲームを体験できる机には、原作イラストを使ったポップが飾られていた。原作のセリフをうまく活用したものばかりで、思わずニヤりとしてしまったので掲載する。
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