2018年2月22日(木)

『FFXIV』公式バンド“THE PRIMALS”インタビュー。初単独CDアルバム収録現場を訪問

文:電撃PlayStation

 『ファイナルファンタジーXIV』公式バンド"THE PRIMALS"のCDデビュー&全国Zeppツアーが決定。2月10日のイベント・札幌F.A.T.E.で発表されたこの"事件"は各所からの注目を集め、SQUARE ENIX e-STOREで先行"先着"販売されたZepp DiverCity Tokyo会場のチケットが特設サイトオープン後約13分で完売となるなど、『FFXIV』プレイヤーだけでなく、全国ロックミュージックファンにも大きな反響を呼んでいます。

『ファイナルファンタジーXIV』
『ファイナルファンタジーXIV』

⇒ライブツアーや単独CDアルバムの詳細はコチラの公式サイトでチェック!

 そんななか、今回は都内のスタジオで行われたCDアルバムの収録現場を訪問。メンバーの皆さんに、ライブへの意気込みやCDアルバム音源収録の様子などを細かくうかがってきました!

 なお、先行予約チケットはほぼSOLD OUTであるものの、2月23日(金)よりプレイガイド先行抽選販売がスタートする予定です。生でライブを楽しめるチャンスはこのあともまだまだありますので、ぜひコチラをチェックしてみてください。

 ちなみに、個人的な意見ではありますが、これまで『FFXIV』ファンフェスティバルなどのライブを取材してきた感想として率直に言わせていただくなら……生で聴くTHE PRIMALSのライブは本当に別格で“最高”。少しでも「どうしようかな」と迷ったならぜひ(チケットお買い求めのうえ)会場に足を運んで、全身で“音を浴びる”感覚を存分に味わってほしいと思います。

『ファイナルファンタジーXIV』
『ファイナルファンタジーXIV』
『ファイナルファンタジーXIV』
『ファイナルファンタジーXIV』

THE PRIMALSメンバーインタビュー……ライブもCDも、今回は“THE PRIMALS”が主体!

【バンドメンバー紹介】
『ファイナルファンタジーXIV』
▲Guitar/Vocal:祖堅正慶さん(『FFXIV』サウンドディレクター)
『ファイナルファンタジーXIV』
▲Guitar:GUNNさん
『ファイナルファンタジーXIV』
▲Bass:イワイエイキチさん
『ファイナルファンタジーXIV』
▲Drums:たちばな哲也さん
『ファイナルファンタジーXIV』
▲Vocal:マイケル・クリストファー・コージ・フォックスさん(『FFXIV』ローカライズディレクター)
『ファイナルファンタジーXIV』

――まずは今回、Zeppツアーが決まったときの感触はいかがでしたか? 祖堅さんにはこの前の札幌F.A.T.E.のときにお聞きしたので、最後にあらためてひとことお願いできればと。

GUNN氏(以下、敬称略):各種イベントで、いろんな人から「ライブはいつあるんだ」とずっと言われ続けていたので、この話をもらったときには、僕ら自身がうれしいというのと同時に"これでようやくみんなのとこ行けるんだね"という感じがありました。そのために、レコーディングもそうですけれど、ライブも、いろんな仕込みも考えています。でもまあそうですね、単純にうれしかったですやっぱり。みんなのところに行けるからよかったなっていうのが一番の感想です。

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏(以下、コージ):それ聞いたの、じつは私が最後だったんです。韓国ファンフェス前のリハーサルのとき。音楽出版の担当が「Zeppツアーが……」って言ってくれたんですが、「……はい? Zepp!? なんの話!?」って。「もう決まってますが、知らなかったんですか? え、祖堅さんからも聞いてなかったんですか?」って。

 ……誰も私に教えてくれなかったんです(笑)。まあでも、それを聞いて、やっぱりうれしかったですよ。ファンフェスでやるのももちろん楽しいんですが、ファンフェスはやっぱり限られた場所でしかできないし、限られた人しか行けないので。今回はいろんなところに行けますし。あと僕はどっちかっていうと『FFXIV』の英語ローカライズなので、海外担当というか海外のプレイヤーさんとの距離がけっこう近いんですけれど、日本のファンとの距離は、やっぱりどうしてもそこまで近くはない印象なんです。

 だから、F.A.T.E.があったりすると日本の開発スタッフが行くんですけど、私が行くことってあんまりないんですよね。今まで行ったのは鹿児島F.A.T.E.だけですね。けど、それがとても楽しかったんですよ。今回も、自分にとっては日本の『FFXIV』ファンとのふれ合いができる数少ないチャンスなので、とても楽しみです。

GUNN:そうだったね。何で知らねーんだろう(笑)って。

コージ:「え、いつ決まったんですか?」「いやけっこう前ですよ」、ってやりとりが(笑)。(音楽出版の担当の方を見て)彼も「てっきり私も知らされているかと思ってました」と。

祖堅:みんな、誰かが伝えてると思ってたんだろうね(笑)。

――お話が決まったの自体はいつ頃だったんでしょうか?

祖堅:去年(2017年)の初夏あたりだったかな。

イワイエイキチ氏(以下、イワイ):おお……そんな前だったんだ。

――Zeppに決まった経緯についてもおうかがいしていいですか?

祖堅:単純に、お声をいただいたので。「やりませんか?」って。最初はまさかあのZeppとは思っていなかったんで、「なんか怪しい! 別の何かなんじゃ?」と思って何度も企画書とかメールを見直しました(笑)。いや、ありがたいですね。

たちばな哲也氏(以降、たちばな):そうですね。前からちょこちょこ「国内でライブをしよう」っていう話は出てはいたんですが、立ち上がっては消え立ち上がっては消えといろいろありました。僕は「SPARKS GO GO」っていうバンドをやっていて、これまではファンの方が『FFXIV』ファンフェスのチケットを取ろうとしてもできなかったりということもあったんです。そういう意味でも、これまで行きたくて行けていなかった人が来られるというこで、こちら側のファンにとってはうれしいのかなと。

――今回は間口が広いですよね。ファンフェスの場合ですと『FFXIV』プレイヤーが集まる形になりますが、今回はロックファンも『FFXIV』ファンもどちらも参加できますし。

たちばな:そういう意味でもいい機会なのかなと。また広がりが生まれるような。ライブを通じて『FFXIV』に入る人もいるかもしれませんね。

イワイ:このバンドで、普通のライブハウスというかそういう場所でというのは楽しみですね。なかなか自分の仕事上Zeppでやるということもあまりないので、久しぶりにやれてうれしいなと。

――これまで何度かお話をうかがってきた中で、最初の“From Astral to Umbral”はコンセプト的にバンドの熱や勢いをフィーチャーするというお話があって、その次の“Duality”のときは異なる2つの色を混ぜる意味合いを持たせたというお話でした。今回のCDアルバムのコンセプトとしているものはなんでしょう?

GUNN:アルバムとしても、CDになるということでも、これまでと違うものになるとは思います。ライブに向けてより楽しめる曲というか、原曲からのアレンジも含めて"いかに楽しんでもらえるか、僕らもどれだけ楽しめるか?"という感じで作っています。コンセプトとまで言えるかはわかりませんが、今回はとくにそういうニュアンスを多く盛り込んでいるように思いますね。"みんなで楽しめる曲になれば、より良いよな"という。

――となると、これまでに収録してきたアレンジ曲たちも、曲によってはアレンジが変わったりもするのでしょうか。

GUNN:ないことはないと思います。やっぱりライブ自体が長いのもあって、いろいろ手は考えようと思っていますね。

――まだセットリストなどは公開されていませんが、もし可能であれば目玉となる新曲についてなど……。もしかしたらブルートジャスティスの曲が入ったりなんか……。あれライブでやったらみんな盛り上がると思うんですよねー。

祖堅:ううーん!? いやぁぁ、どうでしょうねえ。

GUNN:やっちゃう?

祖堅:じゃあ録ろうかなあ。いや、確率半々くらいで(笑)。

――そういった“入れる入れない”の面も含めて、今回はとくに現場で音を作り上げることを意識しているんですね。

祖堅:そうですね。結局このメンバーが集まると、当初"こんな感じにしたいです"って思っていても、実際にやってみるとどんどん変わっていくんで。そういう意味では、“いつものようにやってるんだけど、新しいものを作っている”っていう感じですかね。

――ちなみに、CDアルバムに収録される曲数ってどのくらいでしょうか?

祖堅:えーと、20弱くらいかな。そのなかには新曲も複数入ってます!!

――つまり、これまでアレンジメントアルバムをすべて買っていた人でも初めて聴く曲が入っているわけですね! もしかしたらそれはライブでも聴けるのでしょうか?

祖堅:基本全部やります!

――今はライブを仕込んでいるわけですが、そのライブ自体のBru-rayとかは出たりするのでしょうか?

祖堅:会場にカメラは入るみたいですよ。使うかどうかはわからないですが(笑)。

――今日はレコーディング初日ということもあってまだ録り終えているのは数曲といったところかと思いますが、現時点での手ごたえみたいなものはありますか?

祖堅:ほんとに、“この人たちはどんだけ引き出しがあるんだろうな”とあらためて思いましたね。曲を聴いて“あそこのアレをもうちょっとああしたい”と思ったときに、具体的に何ヘルツの音がどうこうという話ではなく、例えば「ベースの音をもうちょっと○○さんみたいな音にしてほしい」「ドラムはもう少しコミカルなほうがいいんですかね」みたいに伝えると、それをニュアンスで全部やってくれるんですよ。

 やれちゃうんです。それがすごいなと。さっきもバンドメンバーで話題になったんですけど、そうやってどんどんニュアンスで作っていくので、僕らバンドの楽譜がないんですよね。よくイベントで“バンドスコアを出してほしい”と言われるんですが、そもそもないので「出せないな……」みたいな。

――みなさんもとからそういったタイプなんですかね?

たちばな:表現するほうが楽というか、耳コピとか、そういうところから楽器を弾き出した人だから、そういう感じで話すほうが進むのかね。なんとなくの進行用のメモみたいなものはあるけど、別に「このオタマジャクシが……」みたいな話はいっさいなくて。

祖堅:譜面を開いても、オタマジャクシは何も書いてないんです(笑)。Aパートがあって、ブレイクダウンがあって……みたいな「いるのかコレ?」くらいのやつですね。

――収録も“ライブ”なんですね。

祖堅:そうですね。「せーの」で作っていく感じです。俺なんか、皆さんについていくので精一杯ですよ。

――アレンジの元となる音はいつ頃作られたのでしょうか

祖堅:素材を出す作業を昨日はやっていました。が、うっかりしてですね……ゲームだと曲はループするので終わりがないじゃないですか。その状態でファイルを出力しちゃって。出している間はその作業をパソコンに任せて、別のプロジェクトの曲を作ってたんです。

 で、そっちが“終わったー”って1回帰って、出力していた音を聴いてみたら……「あれ!? 終わりがない! やばい! ゲーム用のデータのままだった! 終わりの部分作んなきゃコレ!」ってなりまして、急遽会社に戻って作りました(笑)。なんとか間に合いましたね。

――GUNNさんは今日の手ごたえはいかがでしたか?

GUNN:哲也さんもエイキチさんも、お2人やっぱり感覚をつかむのが速いですね。1回“こんな感じ”っていうものができてから「このへんをちょっとゴリっとして、ここはボワっと」っていう抽象的なやりとりを僕らずっとやってるんですが、そんなやりとりでも「わかったわかった、じゃあもう1回いこう」って飲み込んでくれて。なので比較的順調だと思います。

――今回もGUNNさんはいつもどおり全体を見てサウンドプロデュース的な立ち回りをされているのでしょうか?

祖堅:そうですね。

GUNN:そんな偉そうなものじゃないですけど(笑)。「どうですかこんな感じで」っていう流れになったとき「これもやってみるけど、もうちょっとこんなのも」っていうのをみんなやってくれるので……そしたら「キタキタキター! ありがとうございます! それいただきましたー!」みたいな感じで進んでますね。

――イワイさんはいかがでしょう。手ごたえなど。

イワイ:いつもこのバンドでレコーディングやるときにはデモ音源みたいなものをもらえるんですけど、じつはあんまり聴かないようにしてるんです。聴くには聴くけど、“ああ、こんな感じか”っていう大きなイメージにとどめておいて。それでここに来て初めてやるんですが、毎回おもしろいことになるなあと。今回もいい感じです。

祖堅:前にも何かの機会に言ったかもしれないですが、“もうちょっと中学生っぽい感じ”だとか“その町で一番ベースがうまい高校生”ぐらいの感じでお願いしますって言うと、本当にそのとおりのクオリティでやってくれるんですよ。

イワイ:ていうかそんな注文ばっかだよね(笑)。

祖堅:歴戦のプロをつかまえて、「町で一番うまい高校生でお願いします」ってオーダー、なかなかないとは思います(笑)。今日もいくつかそんなリクエストがあったんですが、それをサラっとやってくれました。普通、言って即できる人ってなかなかいないと思うんですが、サラッとやってくれるんですよ。

――そんな素晴らしい演奏にコージさんが歌をあわせるわけなんですが、ゲーム内楽曲での歌はかなり祖堅さんがテクノロジーを駆使していろいろと調整しているかと思います。反面、ライブでは生の声が主体となるかと思いますが……今回のアルバムでも地声で収録するものはけっこうあるのでしょうか。

コージ:ライブでもけっこうテクノロジー使ってますよ。あ、もちろん口パクではないです(笑)。

祖堅:今回はどうかなあ。

コージ:収録は地声で歌うんですけど、そのあとテクノロジーのマジックで調整が入る感じですね。

祖堅:だいたいいつも、コージは曲の完成形を知らないままパッチ配信日を迎えるんですよね(笑)。

コージ:パッチ後ゲーム内で聴くと、「あれ、違う人にしたのかな?」ってなって(笑)。途中で女性に変わったりだとか、いろいろ。

――ライブではセンターで歌うわけですが、そのときの感覚はどうですか?

コージ:やっぱり緊張はします。しますけど、緊張するのはステージに立つ前です。ステージに立ったらもう、緊張したら始まらないし、とにかくそれを全部忘れてガーっとやるしかない。……というのを、ステージの裏で「オェェェ」ってなりながら自分に言い聞かせてます(笑)。

 一番の救いは、だいたい1~2曲目はボーカルなしの曲だっていうこと。彼らがドーンと出て演奏して会場の熱が上がってきた頃に私が入れるので、やりやすいんですよ。……だいたいみんながリヴァイアサン討滅戦をやっている頃、私は裏で「オェェェ」ってなってます(笑)。そうして「オェェェ」する時間があるから、ちょっと心を落ち着けてできるので。今回もたぶん同じような感じで……。

祖堅:どうかなー。どうかなぁ(笑)。コージは、こうやって喋ってるとただのオモシロアメリカ人みたいですが……まあ実際そうなんですけど……ステージに上るとけっこうロックなんですよ。けっこうカッコイイ。

――たしかに、カメラ越しに見ていてもだいぶカッコイイですね。ちゃんとお客さんも煽るし。

コージ:あれはもう、コンタクトレンズを外してお客さんを見えないようにして(笑)。

――なるほど(笑)。ちなみに、歌っていてコージさんが一番アガる曲ってなんですか?

コージ:セフィロト(魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~)ですね。あれはもう大好き。歌詞も……自分が書いておいて言うのもアレですがカッコイイし。

祖堅:カッコイイ……のか?

たちばな:英語だからイマイチわかってないけど(笑)。

コージ:それに、お客さんも盛り上がるし(笑)。あの"Say my name Say my name……Sephirot!"のフレーズはお客さんがきっと盛り上がるだろうと思ってわざと入れてたんです。で、実際に初めてステージで歌ったときはみんな「ウオォォォ」って。なのであそこはけっこう気持ちよくて。自分が書いた歌詞を一生懸命みんな暗記して、一緒に歌ってくれる……それ、最初はアメリカだけかなと思ってたんです。英語の曲だし、けっこう難しい単語も使ってるし、早口で呂律が回らないだろうなと。

 だけど、日本でもドイツでも韓国でもみんなちゃんと歌ってくれるし。そうやって盛り上がれる曲だっていうのはやっぱりすごいなあと。

――じゃあ1曲目はセフィロトですかね! 

コージ:い、1曲目は……(笑)。

祖堅:ちゃんとね、セットリストはもう決まってるんですけど、何回見ても「大丈夫かなあ」って。それは体力的な意味合いなんですけども。

――体力づくりをしてる、っておっしゃってましたね。

祖堅:やってます!……こっそり筋トレしてるんですよ、僕。コージもやんないとやばいよ? 知らないよ?

コージ:やってますよ? 歩いて家に帰るときにこう……(クネックネッ)ひねりを入れて歩いてます。

GUNN:そんな外国人やだぁ……(笑)!

コージ:絶対、近所の人から「なんだあの外国人……」って言われてると思う(クネックネッ)。

――セットリストを考えるとき、いつも考慮していることってあったりするのでしょうか?

祖堅:やっぱりお客さん目線で"盛り上がる組み合わせはなんだろう"っていうのは考えます。ファンフェスティバルのときは、まずゲームありきでセットリストを組むんですけど、今回はわりと、ちょっとゲームのことを脇に置いといて……というより優先順位を入れ替えて"THE PRIMALS"としてのセットリストを作った感じですね。なので、ファンフェスのときのような印象じゃないかもしれないです。とにかく"ロックのライブとは"という感じで。

――“THE PRIMALS”としてという言葉が出たところでお聞きしたいのですが、"THE PRIMALS"らしさというものでとくに意識していることなどはありますか?

祖堅:うーん……わからない!

GUNN:難しい! でも、そうですね……もともと彼(祖堅さん)が作っている曲のよさだったり、聞かせどころだったりがあると思うんです。もちろん『FFXIV』内で何度も聴いて、戦闘不能になって……っていう体験がもとにあるというのも教えてもらっていたし、やっぱりあまりにも違いすぎるとダメなのかなという思いはあります。

 もちろんいい意味での裏切り方、いいアレンジ感なら僕らもいいと思えるし、聴いてくれる方もそうだと思うけれど、なるべくかけ離れずに、それでいて「うわやっぱカッコイイね」みたいなところは目指していると思います。“THE PRIMALS”らしさってそういうことなんじゃないかなと。

たちばな:単純にただハードにするってだけならいろいろできるけど、曲のよさみたいなものが死んでしまうとおもしろくなくなる。そういった匙加減的な部分は、けっこうバンドメンバーみんな、とらえるのがうまいんだと思うよ。

祖堅:あとは常日頃このバンドメンバーには言っていることなんですが、ステージで演奏したり歌ったりしますけれど、THE PRIMALSは我々が別に主役というわけではないんですね。ゲームをプレイしたプレイヤーのゲーム体験が主役なので。そのあたりをわかったうえでステージに立って演奏できる人たちだからできる音というのが"THE PRIMALS"の音なんじゃないでしょうか。

 だから今回“THE PRIMALS”主体のライブということでそのタガが若干外れる形になるので、ちょっと楽しみではあるんですよね。お客さんの反応とかがどういうふうになるのかなと。

――みなさんの"色"がこれまでより強く出た形になるということですね

祖堅:ゲームからまったく切り離されているわけではないんですけど、ちょっとしたひとり歩きを今回するわけなんで……。楽しみですね。まあ今録っている段階でだいぶキテるので、たぶんおもしろくなるんじゃないですかね。やってる中で、「これやりましょう」っていう提案も多くて、僕も「へぇー!」みたいな感じですもん。「なるほど、それアリ!」みたいな。やっぱりみなさん引き出し多いんですよね。いろいろ出てくるんです。

たちばな:古いけどね、俺の引き出し(笑)。

――そういう提案って、みなさん聴いて演奏するなかで自然と出てくるんでしょうか?

たちばな:どうなんでしょうね。思いつくアイデアは、何個か持っているのを出しあっている感じで。まあみんなキャリアも長いですし、多少はそういうのも多いかもしれませんね。

祖堅:あとはたぶん、好きな音とか好きな曲の傾向がメンバーみんなで似ているのかもしれないですね。今日もベースの音を聴いていて、「この音って○○の音っぽいよね」なんて言うとみんなニヤニヤ、みたいな(笑)。「それそれ」って。

――イワイさんもやっぱり意識してその音を出してらっしゃるんですか?

イワイ:名前の出たその人のことはとくに意識していたわけではないですけど、“パンク”っていう注文だったんで、「パンクぅ?」って作って弾いたらそう言われた、と。その後に、プレイのニュアンス的に1カ所だけ違う国に行かされ……「アメリカから、ちょっとジャマイカ。そして戻る」みたいな(笑)。

祖堅:(笑)。そうでしたね。

GUNN:ジャマイカってニュアンス1つしかないよね(笑)。

――ちなみに、今回のアルバムのタイトルも“THE PRIMALS”ですが、これはすんなり決まったのでしょうか?

祖堅:ええ、もうそれしか考えてなかったです。わかりやすいのが一番いいんで。“THE PRIMALS”の“THE PRIMALS”です、みたいな。

――そのあたりも、今回“THE PRIMALS”が主体っていうのがすごく伝わる部分でもありますね。CDデビューでもありますし。

祖堅:そうですね。ワールドツアーを何度かやってて、Bru-rayも複数枚出してるのに"CDデビュー"という。そういやCDやってなかった、と。“THE PRIMALS”単体でっていうのも初ですね。

GUNN:夢が叶うね!

祖堅:やっとですね(笑)。だってこのスタジオももう3回か4回くらい来てるもんね。

――ライブ会場ではパンフとかのグッズがあったりするんですか?

祖堅:グッズは作ってるみたいですよ。

GUNN:麻雀牌とか。黄金の麻雀牌とか。

祖堅:ペットボトルの蓋、とか。コンタクトレンズを捨てるためのケース、とか……。

GUNN:どれも結局捨てるよねそれ(笑)。

――まじめに答えてください!(笑)

祖堅:グッズは4~5種類作ってるみたいですね。ロックバンドらしいものを、とのことです(笑)。

――では最後に、ライブへの意気込みやファンへのメッセージなど、お1人ずつお願いいたします。まずはGUNNさんからぜひ。

GUNN:レコーディングも順調ですし、アルバムもいいものを聴いてもらえるんじゃないかと思います。で、しかと聴いていただいて、その感情をライブ会場でさせてもらえればいいな、と。お待ちしておりやす!

コージ:今まではファンフェス会場で、来ている方々も『FFXIV』ファンだったから、ある程度安心してステージに上がれたんです。みんな仲間だと。ただ今回は、もちろんファンの方々もいるわけですが、中には初めて我々を見る方がいるかもしれない。メンバーのみなさんそれぞれのファンがいるかもしれない。

 そういう方々は初めて“THE PRIMALS”を見るんですよ。彼らはゲームを好きだから来てくれているのではなく、"いい音楽を聴きたいから"来てくれているわけなので、そこは頭に置いて、がんばらなきゃなと思います。……いつもがんばってるんですけど、さらに緊張感をもって。気を引き締めて、さらに上を目指してがんばりたいなと思います。

たちばな:光の戦士たちと、普通のロックファンが一緒の会場に集まるわけで、オーディエンス側でどういった化学反応が起きるのかがちょっと楽しみではありますね。ぜひ足を運んでいただければと思っています。

イワイ:たぶんすごいことになると思いますので、ぜひ来てください!

祖堅:初心に戻りますと、僕らはあくまでゲームを作っている人間なわけです。そんないちゲームサウンド担当がですね、なぜZeppツアーをやることになったのか……いまだによくわからない(笑)。

 そんな感じではございますけれど、せっかくやるんだから楽しんでやりたいなっていうのと、来てくれた人が楽しんで帰ってくれるように最善を尽くそうと思っているので……ライブに来てほしいなあ! っていう感じですね! ライブに! CDもまあアレですけど、僕はライブに来てほしいです。ぜひ。

 あのですね、THE PRIMALSのライブ、いいんですよけっこう。なのでぜひ来ていただければと! 個人的には、Zeppってやっぱり音楽に特化した箱なので、そこでやれるっていうのはすごくありがたいことだと思っています。また声をかけてもらえるように、がんばりたいと思います。

――ありがとうございました!

『ファイナルファンタジーXIV』
▼『電撃PlayStaton Vol.656』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2018年2月22日
■定価:694円+税
 
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