2018年3月6日(火)
アクティブゲーミングメディアが運営する“PLAYISM”が、配信しているPC用ソフト『BREAK ARTS 2(ブレイクアーツ2)』。そのソフトを手がけた開発者へのメールインタビューを掲載する。
本作は、日本の個人デベロッパー・Mercury Studioが開発した、ロボット×レース×バトル×カスタマイズという新たなジャンルのPCゲーム。自分だけのマシンをカスタマイズし、世界中のプレイヤーとオンラインで対戦できる。
今回、Mercury StudioのRayさんにゲーム開発を始めたきっかけやこだわり、本作のポイントなどをお聞きした。さまざまなデザインのロボットを開発できる本作に注目している人はぜひご覧いただきたい。
▲ソフトを手がけたRayさん(代理)。 |
――最初にお名前と、Mercury Studioについてどのような活動をされているのか、お話しいただけますか?
Rayと申します。Mercury Studioは主にゲームを制作するための個人ブランドです。今興味があるのがゲーム制作ということで、Mercury Studioはゲーム専門ということではありません。
――なぜゲームを作ろうと思われたのでしょうか?
世間で販売されているゲームは自分のためのゲームではないので、どうしても趣味じゃない箇所があるんですね。なので、自分の趣味で作ってみたいという気持ちから制作をはじめました。
――これまでにどのようなゲームを遊ばれてきましたか?
代表的なロボットゲームはもちろんプレイしています。今ふと見てみましたら、Steamで一番プレイ時間が長いのは『Kerbal Space Program(KSP)』でした。
――開発のほとんどをご自身のみで行われているということですが、大変ではありませんか?
集団制作の経験がないので、正直大変かと言われると、よくわかりません。こんなものなんだと思っていますが……どうなのでしょうか。
――『Break Arts(ブレイクアーツ)』を通常のアクションゲームではなく、レースタイプにされた経緯を教えていただけますか。
レースゲームの爽快感が好きなので、好きなものを混ぜたらどうなるかという挑戦ですね。結果的に大変に人を選ぶタイトルになりましたが、それもインディーらしくてよいのかな、と。
――ロボットはパーツ同士が重なってしまうことで、設計やプログラムが大変そうなイメージがあるのですが、どのようなところに苦労されましたか?
重なること自体はむしろ無視しています。逆にそれを利用して造形を行うユーザーさんもいますので。
それよりも1つ1つのパーツのデザインに汎用性、さまざまなデザインに転用できるかを持たせるのが頭を抱えているところですね。
――影響を受けたタイトル、作品はありますか?
『アーマード・コア』シリーズと『KSP』ですね。特に本作『BA2』のカスタマイズは『KSP』寄りです。
――前作はアプリでしたが、本作『ブレイクアーツ2』をPCで出された理由を押してください。
アプリだとスペック的な限界や、操作性に優れないという点がありました。ここから解き放たれて自由に制作してみたい、というのが今回PCに移行した理由です。
――発表時の反応はいかがでしかか?
グラフィック的な進化に驚いていただいたのもありますが、やはり一番盛り上がったのはカスタマイズの自由度の高さですね。当初は受け入れられるのか心配でしたが、概ねよい反応をいただいてホッとしました。
――本作『BA2』で特にこだわっているところはどこでしょうか? 好きなパーツがあればそれも教えてください。
自分らしさを表現できることです。誰かや何かに感情移入するのではなく、自分自身の分身を作り上げる楽しさを提供できればと思います。
好きなパーツは……隠しパーツ全般ですね。特に“A-DISINTEGRATOR”や“KAGERI”のギミックやエフェクトはこだわっているのでぜひ手に入れて欲しいです。
――すでに多くの方がいろいろなカスタマイズを楽しまれていますが、ご覧になられていかがでしょうか?
私がまったく意図していないカスタマイズをされる方もおり、世界って広いんだなと改めて感じました。
特にあえてパーツを重ねてデザインするという点については、私は思いつきすらしなかったことなので目から鱗でした。
――先日の台北ゲームショーでもかなり好評だったとお聞きしていますが、これまでのイベント出展を含め、感想などあればお願いします。
『BA2』については想像を超えることが多々あるのですが、イベントへの出展もそれを感じたことの1つです。自分で作っておいてアレですが、このゲームがこんなに多くの方の気を引くのかということが驚きでした。お越しいただいた方への感謝に尽きません。
――今回、PLAYISMさんが開発援助金を出されたと伺っていますが、どのような経緯で行われたのでしょうか?
スマートフォン版『BA』のリリース後しばらくして、売上的にもう廃業するしかないというところにいたんですね。ただどうせ廃業するならPCで好き勝手に作ってからにしたいと思いまして。ダメ元でPLAYISMさんに援助してほしいと打診をしてみたら、なるようになりました。
この取り組みがなければ私はインディーゲーム界から足を洗っていたので、正直命拾いしたなと。この取り組みが制度化されれば日本のインディー界ももっと賑わうのではと感じました。支援を受けた者として、今回のフィードバックをPLAYISMさんにご提供できればと思います。
――開発の1年半を振り返られていかがですか?
スマホ版の開発のときは生きるか死ぬかといった精神的に追い詰められた状況だったのですが、最低限の生活保障があったので精神的にはかなり楽でした。
とはいえ、やりたいことをすべてできたのかと言われるとそれは違うので、自分自身のレベルをもっと上げていかなければなりません。
――機体デザインコンテストを予定されているということですが、どのようなことを考えられているのでしょうか?
折角自分だけの機体をデザインできるゲームなので、“俺の機体が一番かっこいいぞ選手権”でもやってみようかと考えています。
ただ格好いい機体を作るだけがこのゲームというわけではありませんから、いわゆるネタ枠……ぶっ飛んだアイデアのオモシロ機体選手権みたいなものも同時開催できればいいなと模索しているところです。
――これから遊ぶ人に、アドバイスをいただけますか?
初期機体はかなり優秀なので、ある程度操作になれるまでは初期機体の性能をベースに機体をカスタマイズすると事故が起きづらいと思います。またレースでいきなり先頭に出るのはどちらかというと高度なテクニックです。機を伺いながらじわじわと攻める方がいいケースは多いので、ぜひご参考にしていただけたら。
ただ中にはどうしても操作が難しい、できないという方もいらっしゃるかと思います。こちらについては現在対策を検討しておりまして、できるだけ早い段階でテストをしたいと考えています。ご不便おかけしますが、しばしお待ちいただければと。
(C) Mercury Studio / Playism
(C) MercuryStudio All Rights Reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
データ