2018年3月14日(水)
スクウェア・エニックスより配信予定のiOS/Android用アプリ『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ フォース』(以下、FFEX フォース)。本作のディレクター・安部貴博さんへのインタビューをお届けします。
本作は、『ファイナルファンタジー』の世界で仲間とともに強大な召喚獣を討つ、最大5人でのロール型本格マルチプレイアクションRPGです。
プレイヤーは自身の分身となるアバターを育成し、“ソルジャー”として冒険していきます。また、プレイヤーに魔石の力を宿して『ファイナルファンタジー』歴代の主人公たちにトランス(変身)することもできます。
今回のインタビューでは、前作にあたる3DSソフト『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ』(以下、FFEX)からの変更点、クローズドβテストから改良した点、開発の経緯などのお話を伺いました。
▲ディレクターの安部貴博さん。※インタビュー中は敬称略。 |
――最初の質問になりますが、この『FFEX フォース』がスマホゲームとして登場するに至った経緯を伺いたいです。
前作の『FFEX』を3DSソフトとして発売してすぐに「続編を作りたいよね」という話は挙がっていました。そして「続編をどのハードやるか」を協議した結果、より多くの方に遊んでいただくためスマートフォンゲームに決まったのが、『FFEX フォース』の始まりですね。
――前作から引き継いでいる点はどのような部分があるのでしょうか?
まずハードが変わったことで、アクション部分をどうするか迷いました。企画を練っていた当時、スマートフォンにはパズルゲームのようなものが多く、スマホゲームはスキマ時間を埋めるものという常識があったんです。
そのため、コンシューマーのアクションRPGだったものを、どこまでスマホゲームに寄せるべきかを考えたのですが、リリース時期を想定すると、その時に簡略化されたゲームを作っても仕方がない。そう思って、コンシューマー級のアクション要素を引き継がせるというコンセプトで開発がスタートし、スマートフォンになってもしっかりとアクションゲームとして遊べるものを目指しました。
――本作のポイントである召喚獣やトランスもその中の1つでしょうか?
元々の『FFEX』のコンセプトである「召喚獣をみんなで倒しましょう」という部分は引き継いでいます。あとは、トランスで歴代『FF』シリーズのキャラクターに変身できるシステムも好評をいただいていたので、ここも引き継ぐことになりました。
――逆に、変更した部分はありますか?
当然ですが、デバイスが違うので操作系などは変更をしています。他には、アビリティの扱いも前作から大きく変わっています。前作では、仲間と連携することでオリジナルのアビリティを作る機能がありましたが、今回は1人でも簡単にアビリティ効果がカスタマイズできる”ブースター”機能や、その効果を“継承”できる機能を設けています。
それと、前作はモンスターを仲間にしてクエストに連れて行けるという要素がありましたが、ここをモンスターではなく、NPCを連れて行けるようにしました。
――モンスターからNPCに変更したのはどういった意図があったのでしょうか?
前作はコンシューマーゲームだったので、シングルありきのマルチという形になっています。なので、シングルではモンスターと一緒に、マルチでは人と一緒に共闘するという考えでした。ですが、スマホゲームでは他のプレイヤーとつながっていることが前提になるので、マルチプレイを中心に考えました。そこで、人と遊ぶ前提のバランスにあわわせるために、ソロプレイの時にはNPCを連れて行けるようにしました。
――自動で他のユーザーとマッチングしてもらえるような仕組みもあるのでしょうか?
誰かとマルチを楽しみたい場合は、全国のプレイヤーとのランダムマッチング、フレンドだけのマッチングの2種類があります。
本作は、パーティのジョブ編成が大切になるんですが、全国のユーザーさんとマッチングする際には、攻撃役、回復役、盾役とバランスのいいパーティ編成が自動的にできやすくなっており、スムーズにクエストをクリアできるような仕組みを取り入れています。
もちろん、友だちと遊ぶ時は自由にパーティ編成ができるため、全員同じジョブで挑むといった遊び方もできます。反対にマッチングせずに1人で気軽に遊びたいという人には、アシストNPCを連れていけるソロモードもあります。
あと、ロビーで事前にマッチングすることもできます。例えば同じワールドにいるフレンドや友人に「このメンバーでクエストに行こうよ」と呼びかけて、ロビー上でパーティが組めるんです。
――ロビーでマッチングすると何か利点があるのでしょうか?
通常のマッチングでは、クエストが終了すると自動でパーティ解散になってしまいますが、ロビーでパーティを組んでおくとクエストが終わってもパーティが継続されます。友だちと遊ぶ時に毎回パーティを組み直すのは面倒ですからね。
――本作では多くのオリジナルキャラクターが登場することもあり、ストーリーに期待している方も多いのではないかと思います。
前作の時はテンポを重視して、ストーリーを抑えた結果、ユーザーの方から「もっとストーリーがほしい!」というご意見を多数いただきました。そこで、やはり『FF』にはストーリーも必要だ!と、ストーリーを強化することにしました。
本作のテーマは“戦争”です。プレイヤーは国際平和連合、通称“フォース”にソルジャーとして所属して世界の均衡を保つために数多くの任務をこなし、その過程でさまざまなキャラクターたちと出会い行動をともにしていきます。とても個性豊かで濃いキャラクターたちが登場しますので、気軽に楽しめる内容に仕上がっているかなと思います。
▲ロゼ(声優:小野寺瑠奈) |
▲クロカワ(声優:中島卓也) |
――他にも、歴代『FF』シリーズの召喚獣とのバトルはやはり見どころの1つだと思います。召喚獣とのバトルについて、注力された点はどこでしょうか?
前作と同じく、本作でも力を入れているのが“ロール”によるパーティバトルです。前作以上に、それぞれのパーティメンバーが役割を持って、戦略が生きるような形にしています。盾役が攻撃を引き付けて、その横で攻撃役が殴って、回復の人は盾役の人を回復して……といった役割分担が活きるように召喚獣のバトルを組み立てました。
――ロールプレイが重要となると、召喚獣とのバトルの難易度は高めになるのでしょうか?
モンスターにもレベルが存在するので、レベルの低いモンスターと高いモンスターでは戦略が変わってきますね。低レベルであればそこまで意識しなくても倒せると思いますが、高レベルになるとロールプレイが重要になってくるので、仲間と連携して敵の攻撃に対応していかないとやられてしまうことも多くなるかと思います。
――召喚獣そのものにも何か仕掛けがあったりするのでしょうか?
強さに応じて召喚獣のパーツに変化があります。例えば、イフリートのツノの形が変わったり、新たに手甲が装備されたりします。もちろん見た目が変わるだけではなくて、新たな攻撃を繰り出して来たり、今までとは異なる動きを取ったりと、繰り返し遊んでも飽きにくい変化を意識しました。
ちなみに召喚獣のパーツは破壊することができて、破壊すると弱体化させたり、より多くの報酬が入手できるので積極的に破壊することがおすすめです。
――召喚獣バトル以外に力を入れた点はありますか?
ロビー周りにはこだわった部分が多くあります。MMORPGで言うところのビジュアルロビーのようにたくさんのプレイヤーの姿があり、チャットやスタンプでコミュニケーションが取れます。人と一緒に遊んでいると、新しく手に入れた装備やこだわりのアバターを見せたいという欲求が生まれると思うんですけど、そういったことがロビー内でできるようになっています。
――操作性に関しては前作から大きく変更があったと思いますが、開発の際に苦労した点はありましたか?
やはり操作の難易度の問題ですね。開発初期からずっとチューニングを重ねて、多くの人が遊びやすいと感じる操作方法を模索していました。ボタン操作と違って押し込む感覚がないので、どうしても意図していたものと違う動きになってしまう問題がありまして。
他にも、移動しているつもりがカメラを操作していたり、通常攻撃のつもりがアビリティを発動させてしまったりなど、苦労を挙げればキリがないかと思います(笑)。
――スマホゲームならではの問題ですね。
そうですね。さらにはアクションゲームという敷居の高さもあり、バランスをいくら調整しても、操作が難しいと感じる人はいらっしゃると思います。そこで、オートターゲットやオートプレイなど、さまざまな機能を取り入れました。
オートプレイについては「繰り返しの動作をするのが面倒」という声もあったので、目標となる敵の出現ポイントまで移動し、自動で倒してくれるシステムにしています。また目的によって使い分けができるように、アビリティを使う/使わない、現在地から移動する/しないなど、細かいオプション設定も可能です。
――それは非常にありがたいですね。具体的にどういった場面で活用すればいいのでしょうか?
例えば、クエストは決められた時間に決められた目標を達成するとロビーに戻ってくる仕組みになっているのですが、クエストを受けずにフィールドへ移動した場合、そこに出現する敵とずっと戦うことができるんです。
目当ての敵が出現しやすい場所で狩りたいという際には、現在地から動かない設定にしてオートモードにしておけば、フィールド内に出てきた敵を倒し続けてくれるという使い方ができます。
――ユーザーが遊びやすい形を意識しているのですね。
そうですね。ユーザーの方が遊びやすい形を目指すのはもちろんですが、「こんな機能あった方がいいよね」と、自分たちが欲しいと思う機能もたくさん取り入れました(笑)。
――去年βテストを開催されましたが、ユーザーさんからの反響はどのようなものでしたか?
ありがたいことに多数のご意見をいただきました。その内容はさまざまで、好評のご意見もあれば、改善を期待する声もありました。
――ユーザーさんから評判がよかったのはどういった点でしょうか?
わかりやすいところだと、トランスで歴代『FF』シリーズのキャラクターに変身できるところですね。そこでテンションが上がったという方は多くいらっしゃいました。他にも、バトルのアクションやカスタマイズ要素が楽しかったと言っていただけました。
――意見や要望をもとに手を加えたのは、どのような部分でしたか?
不満として多かったのは、通信周りの不具合や、重いなどの意見ですね。実際、βテストの時には通信エラーやダメージ表示の遅延といった不具合があったんです。プレイされている端末のスペックにもよりますが、快適にプレイできる方とそうでない方に二分されてしまった部分がありました。
この不具合に関しては必須修正項目として現在は修正完了しているので、ご安心いただければと思います。
――快適にプレイするために、何か新しい工夫が施されたのでしょうか?
低スペック端末で本作をプレイすると、描画負荷によって操作が重たいものとなっていました。これに対して、グラフィック品質を落としてでも低スペックの端末で遊びたい、といったご意見が寄せられまして、ゲーム解像度を下げてプレイできる機能を実装しました。
グラフィックの品質は下がってしまいますが、より多くの端末で快適な操作でゲームを楽しむことができるようになっています。
▲オプションの表示設定ではさまざまな項目を設定できます。この画面は解像度を“低”にしたもの(シークバーは“中”になっていますが、再起動後に反映されます)。 |
さらに、βテストではフレームレートが30fpsでしたが、新たに60fpsで遊べるようにしました。そうすることで、よりアクションゲームとしての滑らかさを感じられるかと思います。推奨端末であれば60fpsでもスムーズに遊べるはずなので、ぜひ正式配信で体感していただきたいですね。
――操作面に関する変更点はありましたか?
キャラクターの移動とカメラ操作が誤爆するといったご意見があり、細かくチューニングを行うことで調整しています。また、回避アクションはフリック入力でしたが、ボタン化を希望する声が多数ありましたので“回避ボタン”を用意しました。もちろんフリック入力による回避操作も残してありますので、オプションで使いやすい設定に変更できるようにしています。
例えば、ナイトはガードボタンをよく使うのでガードボタンをホールドし続ける状態になることが多く、フリック回避と併用すると、ガードと回避がスムーズに操作することができます。ぜひ自分のプレイスタイルにあった操作方法を探してもらえればと思います。
――それ以外にも改善した部分はあるのでしょうか?
キャラクターエディットがより楽しめるように、顔のパターンを増やしたり、顔のデザインを調整したりしたので、よりカッコよく、かわいいキャラクターが作れるようになったと思います。
▲ヒゲの生えた渋い顔つきなども用意されています。 |
――本作には武器/防具ガチャ、アビリティガチャ、ギルガチャ、衣装ガチャの4種類のガチャが用意されていますが、細かく分類した理由を教えてください。
ここはだいぶ悩んで協議した結果、今の形になっています。最初は全部1つに詰め込む想定だったのですが、そうすると欲しいものが手に入りづらいという問題がありました。アビリティが欲しいのに武器ばかりが出ても楽しくないですし、その逆もしかり。ということで、細かく分類すべきという結論になりました。
――他のガチャに関しても同じ理由で細分化されているのでしょうか?
はい。特に衣装ガチャは見た目をコーディネートするためという別の位置づけで、キャラクターの強さに関係ないものになっています。欲しい人も要れば、全然欲しくないという人もいると思います。なので、ここも切り分けておくことになりました。
――人によってこだわる部分は違いますよね。衣装は特に気にする人が居そうな部分だと思います。
そうですね、こんな格好でバトルするの!? といった衣装を多数用意していますのでオシャレを楽しみたい人にはオススメです(笑)。もちろん衣装ガチャ以外でも、衣装を入手する手段はご用意していますので、ぜひコーディネートを楽しんでほしいですね。
――武器やアビリティはゲームを進めるうえで重要なポイントになると思いますが、ガチャ以外にも武器やアビリティを入手する手段はあるのでしょうか?
「ガチャで狙ったものが手に入らない」という声もβテストで多くいただいていました。そこで、アビリティをクラフトで作れる仕組みにしており、ゲームの中で必要な素材を集めることで必要なアビリティを入手できるようにしました。
▲有用なアビリティは、クラフトを活用して確実に手に入れましょう。 |
――しっかりと素材を集めていけば、相応の強さまで到達できるということですね。
そうですね。ガチャの主な利点はプレイ時間を短縮できることとして、時間をかけてプレイすれば、十分に強力なアビリティを作ることができるようになっています。
――他にガチャに関係する変更点はありますか?
βテストでは狙ったものが手に入らないというご意見が多かったので、最高レアリティの排出時は必ず選んだジョブのアイテムが出るようにしたり、そもそもの確率を調整して出やすくしました。
またイベントなどで特別な武器や防具のレシピを配ってクラフトでも作成できるようにしていく予定です。
――それでは、今後の展開についてお聞きします。すでに多くのトランスが紹介されていますが、トランスキャラクターは配信後も増えていくのでしょうか?
いろいろと追加していきたいと思っています。具体的にどのキャラクターというのはまだお伝えできませんが、みなさんが「このキャラは出るよね!」と期待しているキャラクターはまず登場すると思います。
それと、トランスは『FF』シリーズのキャラクターに限定していなくて、いろいろなキャラクターに変身できるとおもしろいなと思っています。
――数多くの召喚獣が登場するかと思いますが、差し支えなければヒントなどを……。
基本的には物語に沿って新しい召喚獣が出てくるので、新フィールドを冒険しながら、「氷の洞窟ということはきっとあの召喚獣だ!」と登場する召喚獣を予想しながら楽しんでいただければなと思います。
おなじみの召喚獣はもちろん、『FFEX フォース』オリジナルの召喚獣も考えていますし、イベントクエストを開催して、そこでしか登場しない召喚獣なども予定しています。
――ジョブもこれから新たなものが登場する予定はありますか?
現時点では6つのジョブが紹介されていますが、他にも『FF』おなじみのジョブはたくさんありますので、いろいろと追加していきたいと思っています。
――前作に登場しなかったジョブも使えるようになるのでしょうか?
そうですね。ただジョブもトランスや召喚獣に同じく『FF』シリーズに期待されている部分だと思っています。よってユーザーの皆さんが期待されているジョブには応えつつ、『FFEX フォース』オリジナルのジョブも登場させたいと思っています。
――サービスイン後にゲーム内でイベントやキャンペーンがあるかと思いますが、どういったものが実施されるのでしょうか?
最初の1カ月くらいの期間には、モーグリの限定衣装が手に入るスタートダッシュキャンペーンを実施します。事前登録キャンペーンの報酬として星5武器“モーグリの杖”や“モーグリソード”、クリスタル3,000個なども配布しますので、存分に遊んでいただければと思います。
――展望として、配信後にやりたいことはありますか?
困るくらいにあります(笑)。そのなかのものをひとつご紹介させていただきますと、協力マルチプレイとは異なる新しい遊びとしてFFEX フォースならではの“対人コンテンツ”の実装を考えています。時期や内容についてはまだまだ未定ですが、ぜひ期待してお待ちいただければと思います。
――具体的な配信日などはすでに決定しているのでしょうか?
3月15日を目標に準備を進めています。
――最後に、リリースを楽しみにしている読者へコメントをお願いします。
βテストを遊んでいただいた皆様については本当にありがとうございました! そして楽しみにお待ちいただいている皆様、βテストから時間が空いてしまい誠に申し訳ございません。
βテストでの皆様からのご意見は開発一同でしっかりと拝見させていただき、商品品質を上げるよう改善に努めてきましたので、ぜひパワーアップした『FFEX フォース』にて楽しいソルジャーライフをお楽しみください! よろしくお願いします!!
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ILLUSTRATION: (C) 2017 YOSHITAKA AMANO Character Design: GEN KOBAYASHI
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