2018年3月11日(日)
音楽好きの編集者&ライターが思い出深い曲について語る連載企画“おすすめ曲カタログ”。ハイレゾ音源配信サイト“e-onkyo music”協力のもと、ハイレゾ音源(=高音質)で聴ける名曲の数々を紹介します。
3月は“懐メロ”をテーマに、10年前となる2007年以前にリリースされた名曲・名盤をピックアップしています。曲名のリンクをたどれば試聴もできますので、気になる曲があればぜひチェックしてください。
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MainArtist | 宇多田ヒカル |
Programming | Utada Hikaru、Kei Kawano、Kazuhide Tsunemi |
Recording Arranger | Utada Hikaru、Kei Kawano |
Producer | Utada Hikaru、Akira Miyake、Utada Sking Teruzane |
Vocals | Utada Hikaru |
Acoustic Guitar | Hironori Akiyama |
Keyboards | Kei Kawano |
Author | Utada Hikaru |
Composer | Utada Hikaru |
関連作品 | 『キングダムハーツ』 |
今回、俺が紹介するのは宇多田ヒカルさんが作詞/作曲をしている『光』。名作ゲーム『キングダムハーツ(以下、KH)』のテーマソングです。
宇多田さんの天才的なスペックは言わずもがななので置いといて。あくまで俺の感想ですが、この曲のスゴイところは大きく2つあると思います。まず1つ目は、心の準備もさせずにガツンとサビが始まるところ。その衝撃は、心に『光』という歌を射し込むには十分なインパクトがあります。
2つ目は歌詞。「テレビ」や「家族に紹介する」など、この曲は現実的なワードで構成されています。にもかかわらず、“暗闇の中で光を見つける”という、『KH』の主人公・ソラの物語を連想させる歌詞になっているんですよ。しかも、この時点で宇多田さんが知っていたかはわかりませんが、「光の中、目が覚める」「君を見つける」などのフレーズは、シリーズ関連作品にも通じる内容。“光”という言葉が何を指すか、というのもポイントだと思います。
『KH』のとあるシーンでは、ソラの「俺はいつでもそばにいるよ」という歌詞とリンクするセリフの直後に、『光』が流れ出します。ストーリーで画面に集中しているところに強い衝撃をもって響く『光』。この2つの合わせ技に、当時学生だった俺は目の前の画面が、それこそ見える世界が変化したレベルで鮮明になったことを覚えています。
懐メロというのは、聴く人の「思い出」による補正が重要だと思うんです。その人に「思い出」がなければ“懐メロ”ではなく“いい曲”でしかないんですよね。なので、『KH』を知らない人がこの記事を読んでも、それはいい曲の紹介でしかないんです。
ということで、『光』を聴いて懐しいではなくいい曲だと思ったアナタ! ぜひ『KH』もプレイして、そしてもう一度、この曲を聴いてみてください。ゲームでの体験は、この曲をより印象深くしてくれますから。
アーティスト | ポルノグラフィティ |
作詞 | ハルイチ |
作曲 | ak.homma |
編曲 | ak.homma |
関連作品 | 『GTO』 |
今でも高い人気を誇り、アニメ主題歌も多数手掛けているポルノグラフィティ。彼らのアニメ初タイアップ曲が、今回おすすめする『ヒトリノ夜』です。
この楽曲は1999年~2000年に放送されたアニメ『GTO』の第2期主題歌で、オープニングの映像がとにかく印象的だったんですよ! キャラクターのシルエットを使ったアクションシーンや、女性の顔が見えるか見えないかという絶妙な演出。鬼塚英吉が悪い顔しかしていなくて、とても教師が主人公には見えませんでしたが、この作品にはぴったりでした。
私は当時田舎に住んでいる平凡な子どもだったので、『GTO』のアニメやドラマを見て「都会ってすごいわー、怖いわー」なんて思っていました。大人になった今では、あんな学園生活も教師もあり得ないってわかるのですが、あのころの自分にはすごく眩しく見えたことを覚えています。
『ヒトリノ夜』はポルノグラフィティらしい疾走感があり、今聴いてもかなりいい曲です。1stシングル『アポロ』、そしてこの曲に魅了されてファンになりました。アニメを通して、ずっと応援し続けられるアーティストを見つけられたのは幸せな経験だなと思っています。
アーティスト | ROUND TABLE featuring Nino |
作詞 | 伊藤 利恵子 |
作曲 | 伊藤 利恵子 |
編曲 | ROUND TABLE |
編曲 | 桜井 康史 |
ストリングス編曲 | 宮川 弾 |
関連作品 | 『トップをねらえ2!』 |
透き通るような歌声が魅力的なNinoさんを、ゲストボーカルとして迎えたROUND TABLE。『ARIA The ANIMATION』や、『夜桜四重奏 ~ヨザクラカルテット~』のエンディングテーマでも知られる彼らが、2004年に製作したのが『Groovin’ Magic』。同年に発売されたOVA『トップをねらえ2!』のオープニングテーマです。
この曲を一言で紹介するなら、まさにキュート&ポップ! Ninoさんらしい甘く可憐な声で、リズミカルに歌い上げている素敵な曲なのですが、前作『トップをねらえ!』ファンは、初めてこれを聞いた時、言葉にできない程の衝撃を受けたものです。
と言うのも、そもそも『トップをねらえ!』という作品は、地球を攻撃する宇宙怪獣を撃退するため、バスターマシンと呼ばれる兵器に少女たちが乗り込み、命を懸けて戦うという、熱血、スポ根要素も交えたシリアスな戦いを描いた作品でした。
『トップをねらえ2!』では、キャラクターやメカニックのデザインも一新され、作風はポップな香りが漂うものに一転。『Groovin’ Magic』は、その世界観に見事なまでにマッチングした楽曲であったがゆえに、初めて聞いた際、大きな衝撃を受けることとなったのです。
それでも、バスターマシンと宇宙怪獣が繰り広げるビッグスケールな戦い。バスターマシンを駆る“トップレス”と呼ばれる少年少女の苦悩。そして中盤からのどんでん返しを経て「これはやはり『トップをねらえ!』の後継作なんだ!」と、理解が追いついた時の感動は測り知れないものでした。
こうして、『トップをねらえ2!』が私の中で思い出深い作品になると同時に、『Groovin’ Magic』も心に刻まれる名曲となりました。今でもこの曲を聞けば、主人公・ノノが軽快に歩み続けるオープニング映像が鮮明に蘇ります。どんなに憂鬱で足取りの重い日であっても、前を向いて歩きだす元気がもらえる。そんな不思議なパワーを秘めた楽曲です。
アーティスト | TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. 奥井亜紀 |
作詞 | 奥井亜紀 |
作曲 | 奥井亜紀 |
関連作品 | 『魔法陣グルグル』 |
奥井亜紀さんの楽曲『Wind Climbing ~風にあそばれて~』は、1994年にアニメ化された衛藤ヒロユキ先生の人気コミック『魔法陣グルグル』のEDテーマとして往年のアニメファンにはおなじみです。
軽快なイントロと、ファルセットの効いた独特な歌声、思春期の少年たちの心をドキっとさせつつも軽く背中を押してくれるような歌詞……。
当時、高校生だった自分はこの曲ですっかり奥井亜紀さんの大ファンとなり、『魔法陣グルグル』の第2期OPテーマに採用された『晴れてハレルヤ』や、『∀ガンダム』の『月の繭』、『限りなき旅路』 、『ポケットモンスター ベストウイッシュ』の『心のファンファーレ』など、その後も奥井さんの名曲とともに過ごしてきました。
2017年に『魔法陣グルグル』が3度目のアニメ化を迎える際、「もしかしたら、奥井さんが主題歌を担当するのでは?」と期待しておりましたが、残念ながら新シリーズで奥井さんは主題歌を担当することはありませんでした。
しかし、アニメの最終話となる第24話でそれはおきました。なんと、『Wind Climbing ~風にあそばれて~』が挿入歌として使用されたのです!
2017年版のEDテーマ『Magical Circle』のシングルにカップリング曲としても収録されている『Wind Climbing ~風にあそばれて~』。新シリーズの最終話ではじめてこの曲に触れた若いアニメファンや、「奥井さんの他の楽曲は知っているけどこの曲をフルで聴いたをことがない」という方はぜひ、歌詞をかみしめながらこの曲を聴いていただければと思います。
楽しいことばかりじゃない日常を笑って過ごせるようになる名曲中の名曲です!
アーティスト | 堀江由衣 |
作詞 | 伊藤千夏 |
作曲 | 伊藤千夏 |
編曲 | 小林信吾 |
関連作品 | 『シスター・プリンセス』 |
懐メロと聞いてパッと思い浮かぶ曲はたくさんあったのですが、探してみると記憶の片隅に行ってしまっていた曲がたくさんありました。その中でも一番「懐かしい!」と思ったのが、2001年にTVアニメ化された『シスター・プリンセス』(以下、シスプリ)のOPテーマである『Love Destiny』です。
『シスプリ』は、1999年に電撃G’sマガジンの読者参加企画として始まったコンテンツ。読者の選択によって、月に1度しか会えない12人の妹たちとのイラスト付きエピソードが描かれていくというものです(アニメやゲーム、連載後期などで設定が異なりますが)。
可憐、花穂、衛、咲耶、雛子、鞠絵、白雪、鈴凛、千影、春歌、四葉、亞里亞……、どの妹も本当にかわいらしく、相当数の人が“妹萌え”に目覚めたことでしょう。かく言う自分もひとりのお兄様として、咲耶に時間とお金と愛を注ぎまくったものです。
さて、本題の『Love Destiny』ですが、この曲はとにかくイントロ~冒頭サビが素晴らしいんですよね。哀愁漂うヴァイオリンからの「アイタイ Love Love Love Loveのに」(※Loveの読み方はアイ)のメロディは、一度聴いたら絶対に忘れられませんし、『シスプリ』ファンにとっては、歌詞が“月に1度しか会えない妹”たちの心情を描いているように感じられるのも最高です!(咲耶役の堀江由衣さんが歌っていることもあり、咲耶好きには特に!!)。
ちなみに、このアルバムにはTVアニメ『シスプリ』EDテーマの『翼』をはじめ、名曲が多数収録されています(個人的には『Gravity』が一押し)。ここで知った方はもちろん、自分のように「実家にCDを持っている」という方も、CDとは異なるハイレゾ音源をぜひお試しください。
アーティスト | T.M.Revolution |
作詞 | 井上秋緒 |
作曲 | 浅倉大介 |
編曲 | 大島こうすけ |
懐メロといわれたら、個人的には90年代のアニソンが一押し! 候補がありすぎて超迷いましたが、ここは『るろうに剣心』のEDテーマ『HEART OF SWORD ~夜明け前~』を挙げさせてもらいます!
EDテーマでこんなにカッコイイ局が流れるなんて、当時はめっちゃ衝撃を受けました。アップテンポなリズムのなかに漂う、どこか切ないメロディが最高。というか、曲中に流れるアニメ映像の内容が完璧なんですよ! キャラクターのカッコイイシーンしか写らないとか、スタッフさんが有能すぎる……。TVアニメ第24話の“剣心VS左之助”の戦闘シーンは、作中でも屈指の名場面なんですが、最後のサビにそれを持ってくるなんてズルい!
ハイレゾ音源で久しぶりに聴きなおしてみましたが、良曲過ぎて30分ぐらいループして聴いてましたね(笑)。ハイレゾ版のイントロの響き方がクリアすぎて鳥肌が立つレベルなので、ぜひ一度視聴するべし!
アーティスト | L’Arc~en~Ciel |
作詞 | hyde |
作曲 | ken |
関連作品 | 『機動戦士ガンダム00』(1stシーズン) |
3月のテーマは“懐メロ”ということで、2017年で10周年を迎えたアニメ『機動戦士ガンダム00』より『DAYBREAK’S BELL』を紹介します!
『ガンダム00』は、“戦争行為の根絶”を目的として、すべての戦争行為に対して武力による介入を行う組織“ソレスタルビーイング”のメンバーである刹那・F・セイエイを主人公に、彼らの戦いを描いた作品です。『DAYBREAK’S BELL』は、本作の1stシーズン第1期のOPテーマで、1stシーズンおよび2ndシーズンの最終話でも使用されている、本作を象徴する楽曲です。
本楽曲は“反戦”がテーマとなっており、戦争根絶を目指す主人公たちを肯定すると同時に、“平和のための武力行使”という行為への否定にもなっていて、刹那たち“ソレスタルビーイング”や本作そのものを絶妙に表現した1曲となっています。
当時は、平和を祈るこの楽曲を聞きつつ、平和のために矛盾した行為を行う刹那たちを見ていて“平和って一体何なのだろう?”と考えさせられました。
ちなみに、アニメのOPでは流れない2番の歌詞の一部は、『ガンダム00』を象徴するキーワードにもなっています。現在、TVシリーズ・劇場版・スペシャルエディションを収録した10周年記念ボックスが発売中なので、気になる方はこちらとあわせて確かめてみてはいかがでしょう?
アーティスト | See-Saw |
作詞 | 梶浦 由記 |
作曲 | 梶浦 由記 |
編曲 | 梶浦 由記 |
関連作品 | 『.hack//SIGN』 |
懐メロということで、今回は2004年の4月~9月に放送されたTVアニメ『.hack//SIGN』のオープニング&エンディング曲をご紹介。曲はもちろんなんですけど、アニメ自体もものすごく大好きでして。
蛇足なので超ざっくりに留めますが、内容は仮想世界と現実を舞台にいろいろと大変なことになってしまう的なノリ。たぶん、作品を知らない今の子が見たら「『SAO』みたい!」って言うんだろうな~(笑)、と思ってしまう。そういった作品です。
でもそれぐらい、今でも全然通用するような設定のアニメだっただけに、当時は本当に衝撃的で。深夜の放送だったにもかかわらず毎週超楽しみにしながら見ていたし、何ならVHSに全話録画してたほどのめり込んだ作品なんです。
本題! まずオープニング曲の『Obsession』ですが、こちらはすべて英語の歌詞。割と同じフレーズが繰り返される歌詞ではあるものの内容はかなり意味深です。そもそも“Obsession”自体が“強迫観念”という意味ですし。ただ、アニメをすべて見ていると、なんとなく符合させられる部分も多いんですよね~。初めて聞いたSee-Sawの楽曲なだけに、自分はSee-Sawらしさを感じてしまう曲調でもありますが、みなさんはいかがでしょうか。
エンディング曲の『優しい夜明け』ですが、こちらは曲名からも想像できるとおり、ミステリアスな曲調の『Obsession』に対してしっとり系。ホルンやバイオリンなど、ケルト調の旋律が心地いいんですよ。マジで。アニメの内容が結構シリアスだったので、エンディングのこの曲を聴いて癒されていたところもあったかもしれませんね。
『.hack』シリーズ自体が今は割とコアな部類に位置づけされる作品になっている印象を受けるので、読者さんのなかには作品自体を観たことがない人もいるはず。アニメ、曲ともにぜひ一度触れて、その魅力に浸かってみてくださいませ。
歌 | DALI |
作曲 | 小諸 鉄矢 |
作詩 | 小田 佳奈子 |
編曲 | 池田 大介 |
関連作品 | 『美少女戦士セーラームーン』 |
言わずと知れた国民的アニメ『美少女戦士セーラームーン』は今年で25周年になるとのこと。そんなに経ってるとは正直びっくりですが、関連グッズが新たに発売されたりイベントが開催されたりと、(永遠の)乙女の皆さんは懐かしさとともにきゅんきゅん胸を揺さぶられていることではないでしょうか?
その主題歌である『ムーライト伝説』はアニメを見ていなかった人たちでもどこかで聴いたことがあるはず。かく言う私もアニメはリアルタイム視聴はしておらず結構な大人になってからまとめて観たクチなのですが、なぜか見てないうちからそらで口ずさめてしまっていました。国民的アニメの影響力おそるべし……!
“美少女戦士”などと言われるともっと華やかで元気なオープニングを想像してしまうのですが、それに反して『ムーンライト伝説』はマイナー調でしっとりとしたちょっと大人っぽい曲なのも背伸びしたい年頃の女の子がみんな惹かれた理由の1つのような気がします。
ちなみに先日終わった冬期オリンピックでメダルを取ったロシアのフィギュア選手が『セーラームーン』ファンを公言していて日本でアイスショーで『ムーライト伝説』で滑っていたりと、老若男女どころか国も超えてワールドワイドで愛されている曲でもあります。
25年を機に懐かしの曲を聴き直して思い出に浸ってみるのもいいのではないでしょうか。
(P) 2014 Virgin Music, A Division of Universal Music, LLC
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(P)2006 Epic Records Japan
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