2018年3月16日(金)
待望のスマートフォン版がリリースされるスクウェア・エニックスのRPG『ヴァルキリープロファイル -レナス-』。約19年もの間、ファンから熱烈な支持を受けてきた本作ですが、そこに秘められた魅力とはいったいなんなのでしょうか?
ここでは本作に魅入られ続けているわたくしことゲームライターのタダツグが、その魅力の核となる部分を独自視点でひも解いていきます!
重厚な世界観とシナリオが高い評価を集めた本作。その根底にあるものが“北欧神話”です。
神界アスガルドに拠点を置くアース神族と、ヨツンヘイムに拠点を置くヴァン親族がにらみ合いを続ける世界。アース神族の長である主神オーディンは、ユミルの首の予言によって“神々の黄昏(ラグナロク)”が近づいていることを察知し、運命の三女神である戦乙女ヴァルキリーのレナスを復活させます。
かくして目覚めたレナスは、来たるべき神と神の戦いに備えて人間界ミッドガルドへと降臨し、死した人間の魂に触れることで神の兵士たる英雄“エインフェリア”を集めることになります。
物語のアウトラインをざっくりと説明してみるとこんな感じになりますが、皆さんいかがですか? アスガルドにヨツンヘイム、主神オーディンにラグナロク、そして戦乙女にエインフェリアなど、自分のなかにあるゲーマー魂をくすぐられる単語ばかりが並んでいますよね!?
少なくとも、いわゆる“中二病”をこじらせてしまっている僕にとっては恐ろしいほどドストライクなこの世界観、たまらない!! もちろん、北欧神話はあくまでもベースでしかなく、ストーリーは本作独自の展開を見せていくので、神話そのものをガッツリと知っていなくては楽しめない……なんて心配もありません。
プレイヤーの選択によって、物語が複数の分岐を見せるのも秀逸!
とくに、正史といわれるAエンディングについては、中盤から終盤に向けて物語が怒涛の展開を見せていくので、いやおうなしに世界に引き込まれてヤメ時を見失ってしまうほどでした。
しかも、このAエンディングに向かうためのヒントなどは、ゲーム中にほぼ存在しないというのも大きなポイント。プレイヤーは攻略本や情報サイト、友だちとの情報交換などを頼りに答えを模索することになります。
この“情報を自分で取捨選択して真実へと近づいていく感覚”も、本作ならではのプレイ感覚。数あるRPGのなかで、本作がとりわけ異彩を放ち、今なおプレイヤーの記憶に残っている大きな理由の1つのように思います。
アニメーターとしてたしかな実績を持つ吉成鋼氏、吉成曜氏がキャラクターデザインを手掛けている点も、本作の大きな魅力です。
時代に即してデザインされたキャラクターというものは、どうしたって時間経過で古臭さを感じてしまう部分があると思うのですが、お2人が描くキャラクターたちは、今なお色褪せることない不変の魅力を持ち合わせています。
いわゆる“萌え”とは一線を画す硬派なイラストタッチ……でありながら独特の色気にあふれたキャラクターたちは、まさに2人の吉成氏でしか成し得なかったもの。
これだけでも奇跡的だと思うのですが、本作ではそんなキャラクターたちが、2Dドットの最高峰といえる迫力のビジュアルで動きまくるのですから、それはそれは魅力的でした。まさに奇跡のバーゲンセール!(もちろん悪い意味ではありませんよ!)
ご覧ください、この神々しいゲーム画面を!
キャラの造形や動きはもちろん、滑らかな戦闘アクションやバトルを盛り上げる豪華なエフェクト、そして美しすぎる光源処理など、すべてのクオリティが高すぎて背中がゾクゾクします。スクリーンショットではそのすべてをお伝えできないことが残念でなりませんね。
本作が登場してすでに19年が経過していますが、僕はいまだにこれほど美しい2Dドットで描かれたゲームを見たことはありません。
職人集団である開発会社トライエースの技術力の高さを見せつけたこのビジュアルは、まさに2Dドットの最高峰。それが手の平のなかでよみがえるというだけで、アプリ版には大きな価値があると断言できます。
これは僕の持論なのですが、いわゆる“中二病”をこじらせてしまったオトナの心をくすぐる要素が満載なのも、本作の人気を確たるものにした大きな要素だと思います。その最たるものが、独自の掛け声や詠唱ゼリフを発して繰り出される決め技や大魔法の数々ではないかと。
じつは、先日の“電撃25周年記念 ゲームの電撃 感謝祭2018 featuring 電撃文庫”の『ヴァルキリーアナトミア -ジ・オリジン-』の生放送に出演した際、僕はいきなり「“メテオスウォーム”の大魔法を詠唱せよ」というチャレンジ企画を振られることになったわけですが(苦笑)。
さすがにそらで言うのは……と思いきや、かつて何度もお世話になった“セレスティアルスター”であれば何も見ることなく詠唱することができ、その場を乗り切れました。
いやー、こんなこともあるんですねぇ(前回の座談会記事の際、セレスティアルスターに触れておいたのもよかった)! 芸は身を助けるとはよくいったものです。
人生、何が起こるかわからないんですから、皆さんもお気に入りのキャラのお気に入りの決め技の掛け声や、それこそ大魔法の詠唱くらいはできるようになっておくべきかもしれません。
僕のように生放送で……というのは中々ないかもしれませんが、たとえば飲み会の宴会芸とか、彼女にプロポーズするときとか、はたまた異世界に転生した際の戦闘時とかに役立つ可能性は否定できないわけですからね。
せっかくですので、ここでいくつか決め技や大魔法の詠唱を明記してみましょう。
「その身に刻め 神技! ニーベルン・ヴァレスティ」
▲レナスをはじめとするヴァルキリーたちの決め技。剣と弓、どちらを装備しているかで技の内容が変化するほか、武器によっては攻撃の最後に大爆発を引き起こすことも。 |
「テメェの顔も見飽きたぜ 奥義! ファイナリティ・ブラスト」
▲『VP』を代表する決め技のひとつがこれ。何度もお世話になったプレイヤーは数多いことでしょう。 |
「心の痛みを知らぬ者め 奥義! ボイドエクストリーム」
▲チャプター1で神界転送されがちなベリナスさんの決めゼリフ。あまり聞く機会がなかったけど……渋い! |
「身体が熱い、力が目覚める 奥義! ドラゴンドレッド」
▲みんな大好きエイミさんのドラゴンに変身する決め技。敵を始末した際の「あっははは、快感(はーと)」までセットで聞きたいセリフ。 |
「浄化してあげるわ 神技! エーテルストライク」
▲僕も何度かくらったことがある(?)、フレイさまの大技。技を放つ瞬間の艶めかしい腰の動きがあまりにも神々しい。 |
まぁこのへんは有名どころですね。できれば掛け声のみならず、ちゃんと技のモーションも再現できればなおよし。ぶっちゃけエーテルストライクくらいは、技の動きのマネくらいはできそうな気もする……。
調子に乗って、お次は大魔法の詠唱ゼリフもちょっと掲載してみましょうか。記事下にて、動画でも紹介しているのでそちらもご覧ください。
「我焦がれ、誘うは焦熱への儀式、其に奉げるは炎帝の抱擁」
「汝、その諷意(ふうい)なる封印の中で安息を得るだろう、永遠に儚く」
「我招く無音の衝裂に慈悲は無く、汝に普(あまね)く厄を逃れる術も無し」
「汝、美の祝福賜らば、我その至宝、紫苑の鎖に繋ぎ止めん」
「其は忌むべき芳命にして偽印の使徒、神苑の淵に還れ、招かれざる者よ」
※開発中画面のため、実際のゲーム画と異なる場合があります。
……今こうやって見てみると、いろいろこじらせてますよね!!(笑) でも、きっと往年のファンのなかには、これらを一言一句覚えておられる方もおられるかと。
魔術師の1人1人にこの詠唱ゼリフが用意されており、キャラごとにテンションが異なっていたのもじつに印象深いところ。普段はおとなしそうに見える詩帆が、意外とハイテンションで呪文を詠唱したりとか!
とにもかくにも、プレイ中はキャラに成りきって彼らにシンクロしていくことで、自然と決め技や大魔法の詠唱を覚えてしまう……そんなプレイスタイルを楽しめるのも本作ならでは!
▲「闇の深淵にて重苦に藻掻き蠢く雷よ、彼の者に驟雨の如く打ち付けよ」こちらはグラビティプレスの詠唱。思わず声に出して読みたくなります。 |
仕事に疲れてストレスに押しつぶされそうになったときなどは、お風呂でシャワーを浴びながらお気に入りの大魔法を詠唱してみたりすると、いいストレス解消になるかもしれません。そのときはレザードに成りきってみたりするといい感じかも? ぜひ試してみていただければ(笑)。
ということで、いささか偏った部分もありつつ、自分が『VP』に感じた魅力を書きだしてみました!
一度でも『VP』を遊んだことがある方であれば、賛同していただける部分もあるかと思いますし、もしまだ『VP』を遊んだことがない方がいれば、これをきっかけにぜひ手に取ってみてください。
アプリ版もリリースされることですし、イチゲーマーとして、この名作を遊んだことがないというのはかなり損をしていると思いますので。
それでは、本日はこのへんで!
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