2018年3月22日(木)
1996年にPlayStation版が、2006年にPSP版がリリースされ、長きにわたって熱狂的なファンに愛され続けてきたスクウェア・エニックスのRPG『ヴァルキリープロファイル -レナス-』。この3月22日、いよいよiOS/Android版がリリースされるということで、注目している人も数多いことでしょう。
そこで今回は、記事制作のためにひと足早くゲームをプレイした担当ライター・タダツグのプレイレポートをお届け! 「ぶっちゃけ、触った手ごたえはどうなの?」というみなさんの疑問にお答えしていきます!
過去2回の記事で、僕がこの『ヴァルキリープロファイル -レナス-』のどこに魅力を感じてきたかをお伝えしてきたつもりですが、ここであらためて列挙しておきましょう。僕が思う『VP』の魅力、それは
1:北欧神話をベースとした重厚な世界観
2:個性的なキャラクターたちが織り成す“死の先を往く物語”
3:桜庭統さんによる神々しいサウンド
4:2Dドットの最高峰と断言できる美しすぎるグラフィック
5:アクション要素満載で手ごたえバツグンのバトルシーン
6:晶石を使いこなして進んでいくパズル要素を盛り込んだダンジョンの謎解き
にあると思っています。……列挙するとかなり多い(笑)。
このうち、1、2、3の要素についてはコンシューマ版とアプリ版に違いはありません。いわゆる完全移植ですので、要素が減った部分は(逆にいえば追加された部分も)ないわけです。
言うならば、PSP版『ヴァルキリープロファイル -レナス-』で追加された美麗なCGムービーはこのアプリ版でも健在なので、PS版しか遊んでいない方やこのアプリ版で初めて本作に触れる人にとっては新鮮に感じられるかもしれません。
さて、こうなると気になってくるのが4のグラフィック、5のバトル、6のダンジョンの要素だと思います。より端的に書いてしまうと、
・PS版やPSP版からグラフィックは向上しているのか? 劣化しているのか?
・タッチやスライドを用いた操作性でバトルやダンジョンのプレイ感覚はどう変わるのか?
という部分。ここが、とりわけ過去にコンシューマ版をプレイしている人や、普段スマホでこの手の本格派RPGを遊ばないゲームユーザーにとって気になっているのではないでしょうか。
まずはグラフィックについて。PS版、PSP版ともに美しく描き込まれた精細2Dグラフィックは、多くのプレイヤーを魅了しました。
オリジナルであるPS版を開発したトライエースの技術の粋を結集したこのグラフィックこそが、本作の大きなセールスポイントであることは疑いようのない事実です。
実際のところ僕も、ゲームショップの店頭でこの美しすぎるグラフィックがぬるぬる動くトレーラー映像を見た瞬間、即予約に踏み切ったクチ。何度でも書きますが、僕は本作のグラフィックこそが2Dドット表現の最高峰だと信じています。
さて、ではアプリ版のグラフィックについてはどうなのか? これはテキストで書くよりも実際に見てもらうのが一番早いでしょう。
ぶっちゃけたところ、解像度はPS版やPSP版よりも上がっているので、より美しさを体感できるようになりました。滑らかすぎて正直ビビってしまったほど(笑)。
この解像度については、TVに出力してみるとその違いに驚きます。
大きい画面でしたいんじゃあああ! という方におすすめなのが、TV接続してのプレイ。(気になる方は“iPhoneやAndroidのテレビ出力”について検索すべし!)
今どきPSやPSPをTVでプレイできる環境を整えるのはなかなか大変だと思うので、これだけでもアプリ版に価値アリだと思ってしまいました。
これは極論だと自覚していますが、少なくとも僕は、『未確認神闘シンドローム』をはじめとする桜庭統さんが手がけた神サウンドを聴きながらプレイするのが『VP』シリーズのたしなみだと思っているので、このTV出力には震えました。
電車などの移動時間にプレイできるというのは、アプリ版ならではの大きな魅力だと思います。しかし! あくまでイチ個人的に、本作は自宅などのサウンドをちゃんと聴きながら遊べる環境でプレイしてほしいなと思います。
そのほうが絶対世界観にノメり込めるッ! これは“!マークにッ”までつけて強調しておきたいと思います(笑)。
では次に、バトルやダンジョンにおける操作感覚について。本作では、当然ながらタッチやスライドによる操作でキャラを動かすことになります。
RPGではありながら、その実、戦闘シーンでのアクション性の高さや、ダンジョンのパズル的な謎解き要素がガッツリと盛り込まれている本作。ぶっちゃけ、コントローラで操作することを前提に作られているゲーム性なわけですが、そのプレイ感覚はどうなっているのでしょう。
ここは正直に書きます。ゲームのコントローラを使い慣れているファンにとって、タッチパネルで疑似的にゲームパッドを出現させて操作するのは、最初は違和感を感じる方が多いのではないでしょうか。少なくとも、僕は違和感を感じました。
▲アプリ版は画面にタッチして指をスライドすることで、スライドさせたほうにキャラが動くなど、疑似的なゲームパッドで操作します。 |
……こう書くと「えっ、ダメなの?」と不安になる方もいそうですね。驚かせてしまってごめんなさい。慣れればしっかりと思ったように動かせるようになりますから、そこは安心してほしいと思います。
僕は“最初は”とつけさせてもらいましたが、それも当然だと思うんですよ。今までコントローラで遊んでいたゲーム、なんならめっちゃやり込んでいたゲームが、いきなりタッチ&スライド操作になって、違和感を感じないわけがないんです。
でも、じっくりとプレイして慣れてさえしまえば、思ったようにキャラを動かせるようになるんです。
まずは戦闘シーン。バトルの操作はキャラ名のアイコンに触れることで攻撃を繰り出す“シンプル”と、PS版やPSP版をベースにした“クラシック”の2パターンから選べます。
“シンプル”は『ヴァルキリーアナトミア -ジ・オリジン-』に近い操作感。タイミングよくキャラ名のアイコンをタッチし、コンボをつなげていけます。
“クラシック”は、画面に表示されるアクションボタン(透明のアイコン)に触れることでそれに対応したキャラが動き、敵に攻撃を繰り出す仕様。片方のパターンのほうが有利・不利といった区別はありませんので、プレイヤーがしっくり来るほうでプレイすればいいと思います。
▲僕はアクションボタン(上下左右の4つ)にタッチするとそれに連動しているキャラが動く、PS版やPSP版に近い操作感の“クラシック”派。画面上では上下左右にキャラが編成されているので、誰がどのアイコンで動くか直感的に把握可能! |
僕はバトルの操作感についてはすぐに慣れることができました。感触はかなりゲームコントローラに近いので、多くのみなさんが簡単にアジャストできるのではないでしょうか。
次にダンジョンのパズル要素。おもにここですね、慣れを要するのは。ダンジョンで左右に移動したり、上下にスライドさせて奥や手前に移動したりするのは、さすがにゲームコントローラとは感触が異なります。ただ、これもコツさえつかんでしまえば問題なし!
▲コツさえつかめば、ダンジョンのギミックを動かしたり……。 |
▲晶石アクションで敵をフリーズさせたり……。 |
▲破壊した晶石の破片を持ち上げ、重ね合わて足場にするといったことも思いのままになります! |
ここはおそらく、アプリ版の開発スタッフがものすごい細心の注意を払って調整した部分なのではないでしょうか。
少なくとも僕は、最初から「こんなの絶対プレイできないじゃん!」というような操作感ではありませんでしたし、慣れればかなりスムーズにレナスを操作してダンジョンを進めるようになりました。
下の先出し開発動画をご覧いただければ、皆さんにも納得していただけるのではないでしょうか。
もちろん、それでも「ゲームコントローラのほうが快適だ!」という意見は出てくると思います。そういう方もご安心を! 本作はスマホ用の外部接続コントローラにも対応していることが発表されていますので、どうしても慣れないという方は、これを用いてプレイするのもアリかと思います。
ぶっちゃけ、TV出力と外部接続コントローラというコンシューマさながらのプレイ環境で遊ぶのも、またオツなものかもしれませんね。
なお、本作ではダンジョン内でもどこでもセーブ可能になっていたり、戦闘をAIにお任せできる“オートバトル”が実装されたりと、プレイ環境もより快適になっています。ここらへんは、忙しい現代人のニーズに応える要素ということで、かなり遊びやすくなっているかと。
▲オートバトルはキャンプの環境設定でいつでもオンオフが可能。また、戦闘中に任意で切り替えることもできます。 |
▲サウンドモードやムービーギャラリー、ボイスコレクションといったライブラリ機能も充実! やり込み要素はバッチリですね!! |
個人的に、本作はRPGが好きなゲームユーザーなら一度は遊んでもらいたい名作。それゆえに、こうしてPS版から19年、PSP版から12年の時を経てアプリ版がリリースされることはとても感慨深いです。
往年のファンはもちろん、少しでも多くの新規ユーザーにこの『ヴァルキリープロファイル -レナス-』を遊んでほしいものです。もしかするとそこから、何か新しい広がりが生まれる可能性だってあるかもしれませんから。
このプレイレポートが、そのきっかけになってもらえたら、僕もゲームライター冥利に……というよりも、『VP』好き冥利に尽きるというものです(笑)。
※開発中画面のため、実際のゲーム画と異なる場合があります。
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Original version developed by tri-Ace Inc./Character design : PRODUCTION I.G
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