2018年4月13日(金)
4月13日よりバンダイチャンネル他で全世界同時先行配信がスタートしたアニメ『異世界居酒屋~古都アイテリーアの居酒屋のぶ~』。配信開始の前日となる4月12日には、本作の特別先行試写&プロジェクト発表会が開催されました。
『異世界居酒屋~古都アイテリーアの居酒屋のぶ~』は、日本を代表する食文化である「居酒屋」と、中世ヨーロッパ風の異世界がひとつになった、ユニークなアニメ作品です。
シリーズ累計発行部数が150万部を突破している蝉川夏哉さんの人気小説『異世界居酒屋“のぶ”』を、老舗アニメスタジオのサンライズが完全映像化。さらに、グルメサイトでおなじみの株式会社ぐるなびが制作に加わるなど、その作品作りも話題となっています。
正面入口がなぜか異世界とつながってしまった居酒屋“のぶ”には、怠け者の衛兵やお忍びの聖職者など、異世界の古都アイテリーアで暮らす個性的な面々が、連日集まってきます。
大将の矢沢信之が振る舞う美味しい料理と、給仕の千家しのぶによる優しい接客を求めて、今夜はいったいどんなお客が訪れ、どんな物語が紡がれるのでしょうか……?
会場ではまず最初に、株式会社サンライズ常務取締役の佐々木新さんが登壇し、このプロジェクトの特徴について解説を行いました。
▲株式会社サンライズ 佐々木新 常務取締役。 |
サンライズと言えば、『機動戦士ガンダム』をはじめとするロボットアニメのイメージが強いですが、その一方でこれまでにも、『ミスター味っ子』や『焼きたて!! ジャぱん』といったグルメ物のアニメを制作しています。
「アニメは今、年間約300本作られており、これほど数が多いと、いい作品でも見てもらえない場合があります」と佐々木さん。そこで、より多くの人に興味を持ってもらえるテーマとして、一般的に人気の高いグルメ物を題材に選んだとのことです。
「今回は素晴らしい原作をお借りして、久々のグルメ物、しかもサンライズとしては初のお酒をテーマにした作品を制作しています」と佐々木さんは説明していました。
また本作は、バンダイチャンネルをはじめとする日本国内の多数の動画配信サービスで配信が行われるほか、中国・アジア地域や北米・欧州など、全世界同時に配信が行われます。その視聴可能者数の合計はなんと、のべ13億人以上にもなるとのこと。
「この『異世界居酒屋』を通じて、世界の人々にアニメーションや日本の食文化に触れてもらって、“日本に行ってみたい”“居酒屋に行きたい”と思ってもらえるような作品にしたい」と、佐々木さんは語っていました。
続いて、株式会社ぐるなび執行役員の椿山えみさんが登壇しました。椿山さんによると、ぐるなびは「世界に誇れる日本の食文化を守り育てる」ことを企業理念としているとのこと。
▲株式会社ぐるなび 椿山えみ 執行役員。 |
アニメの原作である『異世界居酒屋“のぶ”』は、日本の食文化を楽しく、魅力的に伝えてくれる内容であり、これはぐるなびの企業理念とも合致することから、このアニメの製作委員会に参加することにしたそうです。
また、ぐるなびはインバウンド(訪日旅行)の施策にも力を入れており、グルメサイト“ぐるなび”で多言語で紹介しているお店は、約8万5000店もあるのだとか。
日本のアニメの力で全世界のべ13億人に向けて、日本の食の魅力や、日本の居酒屋の素晴らしさを伝えることができる、と説明した椿山さんは、この『異世界居酒屋』で「IZAKAYAを世界の共通語にしたい」という希望を語っていました。
“ぐるなび”のサイト上では今後、“のぶ”の料理が食べられるお店や“のぶ”応援店など、各種のイベント企画を実施していく予定になっているそうです。また椿山産によると、「居酒屋のぶ」のリアル店舗を、日本や海外に出店するという計画も進んでいるそうです。
次に登壇したサンライズ第10スタジオの梅崎淳志プロデューサーは、具体的な作品作りについて語ってくれました。梅崎さんによると、このアニメは「“居酒屋サイコー!”という思いをアニメーションで全世界に伝えたい」ということで企画されたそうです。
▲サンライズ第10スタジオ・梅崎淳志プロデューサー。 |
梅崎さんによると、居酒屋を題材とした映像作品を成功させるためには、「ささやかだが気持ちのいい人情話」「居酒屋の居心地よい雰囲気」「魅力的な料理描写」という3つの要素が必要なのだとか。
そのために梅崎さんはさまざまな作品をリサーチしたものの、この3つの要素がすべて詰まっている作品は、『異世界居酒屋“のぶ”』以外になかった、と説明していました。
実際にアニメを制作する上ではまずなによりも、「料理を美味しそうに描く」ことに注力しているそうです。そのために劇場アニメ級のクリエイターが集合し、料理ひとつひとつを細かく手描きした上に、湯気などさまざまなエフェクトを加えて、料理の魅力を表現しているとのこと。
このように、料理一皿にかけるチームワークを、楽しいけれど苦しい山登りに例えた梅崎さんは、「美味しい料理を表現するのはガンダムを描くよりもたいへん」だと語っていました。
▲居酒屋ならではの居心地いい雰囲気を演技で伝える声優陣も、豪華なメンバーが集結しています。 |
さらに本作では、物語に登場したメニューをオリジナルレシピで再現したり、その料理を実際に食べることのできる居酒屋を紹介したりする実写パート「のぶ+(プラス)」も用意されています。この実写パートに出演しているお2人から、会場にビデオメッセージが寄せられました。
▲フォークシンガーのなぎら健壱さんは、アニメに登場した絶品料理を実際に味わうことのできる、料理自慢の居酒屋を紹介してくれるそうです。 |
▲料理研究家のきじまりゅうたさんは、アニメに登場した料理を自らアレンジした、オリジナルレシピを披露してくれるそうです。 |
さらに会場にはスペシャルゲストとして、人気お笑いコンビ・和牛の水田信二さんと川西賢志郎さんのお2人が登場。ここからはお2人の軽妙な掛け合いによる、スペシャルトークショーが開催されました。
コンビ名が「“食”つながり」だから、ということでゲストに呼ばれた和牛のお2人ですが、原作の『異世界居酒屋“のぶ”』については、コミック版を読んでいるのでよく知っているとのこと。
先にサンライズの梅崎プロデューサーからも説明があったように、本作では料理を美味しそうに表現する絵作りに力を入れているとのことで、和牛のお2人はアニメに出てくる料理のイラストを見ながらトークを繰り広げました。
「今までのアニメに出てくるご飯の描き方とはぜんぜん違う」と水田さん。相方の川西さんも「キュウリの一本漬けとかも、微妙な色合いが細かく再現されてる」と感心する一方で、「これだけ料理があっても、和牛のメニューは1つもない(笑)」と、鋭くツッコミを入れていました。
続いての話題は、和牛のお2人が居酒屋で体験したエピソードについて。すると水田さんは「今から12年ぐらい前に、居酒屋で他のお客さんとケンカになって……」という話を始めました。
店の中でそのお客さんと互いに怒鳴り合っていると、他のお客さんがみんな笑いだして、店の大将に「吉本に行け」と言われたのだとか。「それでコンビを組んだのがこいつ(川西さん)ですよ」という水田さんの言葉に「そんなわけないやろ!」という川西さんのツッコミが(笑)。
「お前さえ黙ってたらわからへんのに……」というわけで、この話はまるごと水田さんのネタだったというオチでした。これに対して川西さんは「そんなマンガみたいなきっかけで生まれたコンビだったら、すぐに売れてたはず」と返していました(笑)。
そろそろトークも終わりに近づき、最後に和牛のお2人からメッセージが。「食べ物の良さが前面に出ていて、食べ物が好きな人にとってはたまらないアニメです。ストーリーも毎回最後に、ちっちゃなハッピーになってほっこりとするので、ぜひ楽しんでください」と川西さん。
一方の水田さんは「ふだん居酒屋で出てくるようなメニューばかりなのに、新しい見せ方をしてくれる作品です。だから僕らも、みんながわかるような話の中で新しい漫才を見せていきたいと思います」とコメント。
これに対して「違う、違う。お前の決意表明じゃないねん(笑)」と、川西さんのツッコミが入ったところでスペシャルトークショーは終了となりました。
会場ではアニメの第1話を見ることができましたが、居酒屋“のぶ”で出てくる料理がとにかく美味しそう! その料理に驚きながらも舌鼓を打つ異世界の人々のリアクションがまた楽しくて、見ていて本当にお腹の減ってくる作品となっていました。
1話の長さが約15分ということで、忙しい合間でもサッと楽しむことができるのも、動画配信にピッタリのアニメです。まずは各種動画配信サイトで、ぜひ第1話を見てください!
▲アニメに登場するビールやジョッキを完全再現した、オリジナルビールセットの商品化も現在企画中とのことで、会場では試飲会が行われていました。 |
(C)蝉川夏哉・宝島社/古都アイテーリア市参事会