2018年5月29日(火)
昔ながらのドット絵で描かれたレトロ風RPGで、ユニークなキャラクターや心揺さぶるストーリーで話題となった『Undertale』。その人気から2017年の8月にはPS4版とPS Vita版が発売され、今年の5月にはパッケージ版も登場する本作をライターのカワチがレビューしていきます。
『Undertale』はアメリカ人のゲーム開発者であるToby Fox(トビー・フォックス)さんにより、クラウドファンディングで資金を調達して開発されたインディーズタイトル。グラフィックの一部を除き、ほぼToby Foxさんひとりで手掛けているため、とても作家性の高いタイトルに仕上がっています。
日本語化されたものが発売されたのはオリジナル版の2年後でしたが、驚きの連続となる仕掛けや直感的に遊べるゲーム性、そしてなによりも考察しがいがあり、深く考えさせられる物語で大きな話題となりました。
また、日本語化はハチノヨン(8-4)が担当しているのですが、Toby Foxさんも移植に強くかかわっているためクオリティの高いものになっています。丁寧なローカライズも人気を後押しした理由になっているでしょう。
この記事では、電撃PS編集部がオススメするタイトルをネタバレなしでレビューするという趣旨のもと、担当スタッフによる熱のこもった記事をお届けしていきます。
『Undertale』のストーリーは、かつて人間がモンスターを封じ込めた地下世界を冒険するRPG。基本的にはマップの仕掛けを解きながら敵やボスと戦っていく内容であるため、覚えるシステムなどは少なく誰でもすんなりとゲームの世界に入り込むことができます。
特徴的なのはバトルシステム! “たたかう”“こうどう”“アイテム”“みのがす”というコマンドがあり、“たたかう”を選ぶと文字通り敵と戦うことになるのですが、“こうどう”を選ぶことで“なでなで”や“はげます”といった行為でモンスターと交流を図ることができるんです。そして仲良くなると見逃すことが可能に。敵を倒さずにバトルを終了させることができます。
そして、なんとそれはザコだけでなくボスも同じ。なんと本作はRPGでありながら誰とも戦わずにエンディングを目指すことができるんです。敵と戦って経験値をためることが飽きたという人も新鮮に楽しめるシステムになっています。
もちろん、戦うか仲良くなるかの選択はプレイヤーに委ねられており、通常のRPGのように敵と戦いながら進むことも可能です。バトルは弾幕シューティングゲームに似ていて、リアルタイムに襲ってくる敵の攻撃を避ける必要があります。戦闘機型の敵であれば爆撃になっているなど、それぞれ攻撃に個性が反映されていておもしろいです。
また、会話の流れで敵が怒ると弾幕が激しくなったり、逆に本人が戦いたくなかったり弱っていたりすると攻撃が大人しくなります。そのため、ドラマ部分とバトル部分が直結しており、戦っていながら感情を激しく揺さぶられます。
さらに、本作はToby Foxさんの手掛けるBGMも最高。とくにバトル曲はどれもドラマを盛り上げる熱いものになっています。“spotify”や“Bandcamp”といった音楽配信サービスでも聴くことができるので、ぜひこちらをチェックしてみてもらいたいです。ただ、やはりシチュエーション込みで曲を楽しんでもらいたいので、できれば最初はゲーム内で聴いてもらいたいですね。
ドット絵で描かれた世界をはじめ、いろいろなゲームへのオマージュを感じられる『Undertale』。しかし、Toby Fox節とも呼べる独自の演出も満載。最初にマップの仕掛けを解きながら敵やボスと戦っていく内容のゲームと書きましたが、ゲームの序盤ではトリエルというキャラクターがプレイヤーを導いてくれるため、まったく謎解きをする必要がありません。本作にはこういったお約束を皮肉った演出が多数用意されており、そこに驚かされたりクスリと笑わせてくれたりします。
また、もっとも印象深いのはストーリーを彩る個性的なモンスターたち。前述のトリエルをはじめ、飄々としているサンズや彼の兄弟でどこか抜けているパピルスなど忘れられないキャラクターばかり。そして、そんな愛すべきキャラクターたちだからこそ、戦うことになってしまったとき悲しいんですよね……。いったい、最後はどんな結末が待つのか。RPGというジャンルにしてはプレイ時間はそれほど長くないので、ぜひ自分の手でプレイして物語の最後を見届けてみてもらいたいです。
ということで、従来のRPGが好きな人も、これまでのRPGに飽きた人にも、すべてのゲーマーに遊んでみてもらいたい『Undertale』。ぜひみなさんもチェックしてみてください!
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