2018年5月7日(月)

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』日本語版プレイレポート。物語やシステムを紹介

文:電撃PlayStation

 ストーリーや作風が世界中で高い評価を受け、イギリスのアカデミー賞や日本ゲーム大賞など多くの賞を獲得した『ライフ イズ ストレンジ(Life is Strange)』(以下、LIS)。6月7日に日本語版が発売となる『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム(Life is Strange: Before the Storm)』(以下、LISBTS)は、その前日譚を描く続編です。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』

 主人公は、前作で主役だったマックスの親友・クロエ。マックスと再会したときにはすっかり不良少女となっていた彼女が、『LIS』にいたるまでどんな日々を過ごしていたのか……その様子が語られることに。

 今回はひと足お先に、日本語版第1話を試遊した感想とともに、本作序盤のストーリーやシステムなどについてレポートします!

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』

田舎町“アルカディア・ベイ”で繰り広げられるジュブナイル的物語

 本作の時間軸は前作の3年前。アメリカ・オレゴン州の架空の町“アルカディア・ベイ”と、その町にある名門私立高校“ブラックウェル高校”が舞台です。

 『LIS』では素行不良でブラックウェル高校を退学処分になっていたクロエですが、まだかろうじて在籍している状態。とは言え、敬愛していた父親を交通事故で亡くし、新しく恋人ができた母親とはうまくいかず、さらに心の支えであった親友マックスも遠くへ引っ越してしまい、彼女はやさぐれて学校をサボったり、危険な場所へ出入りしたりと問題行動を繰り返していました。

 そんなある日、思いがけない場所でクロエは学校の優等生レイチェル・アンバーと出会います。容姿端麗に加え品行方正、成績優秀で、学校内でも多くの生徒・教師から一目置かれており、一見するとクロエとは対照的なレイチェル。彼女はなぜかクロエとの距離を縮めてきます。それには理由が存在するのですが……。あまり言うと本作どころか前作のネタバレにもつながってしまうので多くは語りません。

 が、思春期の少年少女の心の機微を描いた『LIS』同様、本作でもクロエ、そしてレイチェルが抱える言葉にしにくい懊悩がつぶさに描かれています。傷ついている彼女たちの物語の行方に何が待つのか……。先が気になるストーリーに、あっという間に引き込まれてしまいました。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』

 日本語版のボイスは、クロエはLynnさん、そしてレイチェルは大津愛理さんがそれぞれ担当しています。レイチェルは前作で声を聴く機会がなかったため、個人的にはたしてどんな感じなんだろうと気になっていましたが、英語版も日本語版も、それぞれに雰囲気は異なりつつも違和感なく“まさにレイチェル”な印象。とくに1話で彼女が心の内をぶちまけるシーンは真に迫るものでしたので、注目してみてください。

 また、今回はクロエが主人公ということで、彼女の視点で町を探索することになります。壁の落書きから母親の部屋のタンスの中まで様々なものを見てクロエが何を感じ、どんなコメントを残すのか。ぜひクロエの感性にも目を向けてプレイしてほしいです。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
▲主人公のクロエ(CV:Lynn)。世の中のすべてに嫌気がさしている16歳。気が強く、周囲と衝突することが多い。この頃はまだ髪色が地毛。
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
▲ブラックウェル高校の演劇科の花形のレイチェル(CV:大津愛理)。人気者ですが少し情緒不安定なところもあります。

言葉で相手をやり込めて優位に立つ“バックトーク”

 『LIS』で特徴的なシステムと言えば、マックスが手に入れた“時間を巻き戻す”能力でした。時間を巻き戻しながら、よりよい未来を作る(と思われる)選択肢を、“選ぶ”。それはプレイのおもしろみを味わわせてくれると同時に物語の根幹とも深くかかわっていて、まさに『LIS』の“ゲーム体験”が素晴らしいと感じさせてくれたシステムでした。

 が、本作の舞台は前作の3年前。アルカディア・ベイにマックスは居ませんし、もし彼女が居たとしてもまだ能力は使えません。では今回は普通にアドベンチャーを楽しむだけなのか? というと答えはノー。

 今回は“バックトーク”というシステムが導入されています。これはクロエが相手に議論を吹っかけて、相手の揚げ足をとりつつ適切な言葉を選び、論破するというもの。建物の入口をふさぐ強面の男をやり込めて中に入ったり、同級生を言い負かしたり……といった場面で発生します。超常的な能力ではありませんが、これがクロエの性格にすごくマッチしていておもしろいんですよ。

 実際にプレイしてみて“バックトーク”でうまく相手を言い負かしたときは、とてもスカッとしました。“時間を巻き戻す”能力は現実ではどうやったって使うことはできませんが、“バックトーク”は実際にあり得るかもしれないリアリティさがあるためか、すごく身近に感じることができます。

 とはいえ、相手を言いくるめて論破することが本当によい結果を生むとは限りません。クロエの行動や、これと決めた選択が、後々にどう影響するのか……? プレイヤー自身が、自らの選択・行動によって物語の展開を決定づけるという『LIS』の楽しみは、今作でもしっかり継承されていると感じました。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
▲通常の選択肢とは異なり、“バックトーク”中は制限時間があります。直前に相手が言った言葉や相手の性格を考えて、言い返す言葉を選択しましょう。

選んだ行動と言葉は、どう未来に影響するのか……?

 前作は“未来を見据えて”選択肢を選ぶことが、非常に重要なテーマでもありました。もちろん本作でもそれは変わりません。“バックトーク”以外にもクロエはさまざまな選択に迫られ、どこで何を選んだかによって少し先の未来が左右されます。全部が全部、未来に直結するわけではありませんが、何かを選択するときは先々の展開を念頭に置いておくといいでしょう。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
▲とくに重要な選択になる場合は、画面左上にアイコンが表示されます。人生における選択と同様、完全な “正解”はありません。後悔のないよう、じっくり考えて選びましょう。

雰囲気は前作そのまま! 効果的に使われる音楽やカメラワークにも注目

 続編となると気になるのは“前作との統合性”。『LIS』の3年前の物語ということで、登場人物の性格や世界の雰囲気がガラッと変わっていたりすることはないだろうとは思いつつも、少しだけ心配していたんです。が、結果から言うと、その心配は無用なものでした。プレイして「あ、ここは確かに3年後に続くアルカディア・ベイだ」と納得できます。

 とくに、世界のうちの1つのピースとして確かな存在感を放っていた“音楽”の扱い方と、特徴的なカメラワークは、本作でもその遺伝子を感じることができます。この“『LIS』の続編をプレイしている”という感覚は、前作を遊んだ人にはぜひ味わってほしいですね。

 また注目してほしいのが、テキストの書体。前作ではマックスらしい女の子っぽさを出した書体でしたが、今回は丸みが取れています。これはちょっとボーイッシュなクロエらしさを出すために前作と変えた、とのことで、いかに雰囲気作りに気を配られているかがわかります。ゲーム中で閲覧できるクロエの日記にもこの書体でいろいろと書き込みがされるので、ぜひ逐次確認してみてください。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
▲『LIS』にも登場していたキャラクターたちが、3年前はどんな人物だったのか? というところにも注目です。

『LIS』のDL版があると先行プレイが可能に!

 本作単体でももちろん楽しめるはずですが、この記事を読んで前作『LIS』に興味を持ってくれた方や、プレイ済みだけどもう1回遊ぼうかな、という方は、DL版の『LIS』でプレイするのがオススメ。なんとDL版『LIS』があると、本作をパッケージ版の発売日約1週間前(5月31日)から遊ぶことが可能になるんですよ!

 というわけで、発売まで1カ月となった『Life is Strange: Before the Storm』は、本日新たな公式プレイ動画が公開となりました。こちらを観つつ、引き続きリリースを楽しみに待ちたいと思います。

データ

▼『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム(ダウンロード版)』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PC
■ジャンル:ADV
■配信日:2018年6月7日
■価格:3,800円+税

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