2018年5月23日(水)
『テイルズ オブ リバース』の種族問題に葛藤。多彩なキャラや印象的なシーンを紹介【綾那のゲームに夢中】
さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”。連載第9回では、深い物語に引き込まれた『テイルズ オブ リバース』をお届けします。
小学生の時に見たTV-CMから気になり、実際にプレイしたらアニメオープニングが付いていて驚愕したゲーム。それは『テイルズ オブ』シリーズです。
ファンタジーの王道をゆき、キャラクターや世界観も魅力的な『テイルズ オブ』シリーズに、私はハマりました。それから新しいタイトルが出る度にプレイしております。
一番やりこんだのは『テイルズ オブ ジ アビス』。
一番泣いたのは『テイルズ オブ エクシリア2』。
一番魅せられたのは『テイルズ オブ ヴェスペリア』。
一番好きなOPは『テイルズ オブ ファンタジア』。
一番ワクワクしたのは『テイルズ オブ グレイセス』。
このように、好きな項目ごとに分けてあげていくのも楽しいです。
さて、多くのタイトルが出てる『テイルズ オブ』シリーズで、どのタイトルを書くか……いろいろと悩みましたが、今日はこちらのタイトルを書かせていただこうと思います。
君が生まれ変わるRPG『テイルズ オブ リバース』!
種族問題というとても難しいテーマが描かれていて、プレイしていると心底考えさせられるお話となっているのです。
登場キャラクターと秀逸な設定
ではまずは軽くキャラクター紹介を。
ヴェイグ・リュングベル(声優:檜山修之)
本作の主人公で、クールな性格のヒューマの少年。寡黙で冷たい印象を受けるのですが、心の奥底では熱いものを持っています。
ピーチパイが好物。ゲーム中で一番多く言った台詞はきっと「クレア」。
マオ(声優:渡辺明乃)
ラドラスの落日により記憶を失ったヒューマの少年。よく即興で歌をつくって歌っている元気っ子。
フォルスを暴走させて記憶を失ってから、ユージーンに保護され、今は2人で各地を旅しながらラドラスの落日の真相と自分の記憶を探っています。
ユージーン・ガラルド(声優:石塚運昇)
昔、王の盾の隊長を務めていたガジュマの戦士。しかし先代の王ラドラスの主治医であったドクター・バース殺害の容疑でカレギア軍を追放されてしまいました。
文武両道でみんなの父親的なポジション。質問に質問で返すと怒られます。
アニー・バース(声優:矢島晶子)
ドクター・バースの一人娘でヒューマの少女。ドクター・バースを殺害容疑で軍を追放されたユージーンに復讐するために現れました。
ただ、実際に会ったユージーンの態度から、彼を見定めるために旅に同行することに。怖い話がすごく苦手です。
ティトレイ・クロウ(声優:山口勝平)
明るくムードメーカー的なヒューマの少年。姉が大好きで、好きな女性のタイプも姉のような女性というほどのシスコン。
こう見えて料理が得意です。ヴェイグの「クレアー!」と並ぶほど「姉貴ー!」の叫びが多いキャラ。
ヒルダ・ランブリング(声優:大原さやか)
クールな性格で、人との馴れ合い好まない女性。タロット占いが得意です。
クレア・ベネット(声優:安田未央)
ヴェイグの幼なじみであるヒューマの少女で、本作のヒロイン。心優しく聡明で太陽のような娘。
ヴェイグに氷漬けにされ、一年後にやっと解放されるも、直後にサレとトーマに誘拐されてしまいました。
アガーテ・リンドブロム(声優:篠原恵美)
ラドラス王の一人娘で父亡き後はカレギアの女王となるガジュマの姫。種族の違うミルハウストに想いを寄せています。
ミルハウスト・セルカーク(声優:三木眞一郎)
カレギア王国正規軍の将軍であるヒューマの青年。フォルスの力を持たずして、その剣技で軍の最高位まで上り詰めた努力の人。忠誠心があついです。
『テイルズ オブ リバース』の世界には、知力に優れている“ヒューマ”と、体力に優れている“ガジュマ”という2つの種族が住んでいます。両種族は見た目が例え異なっていても、お互いに手と手をとりあって暮らしてきました。
カレギア王国を治めるラドラス王が病床に臥せっていたある月夜の晩、特殊な能力“月のフォルス”を自ら解放して絶命したことがきっかけとなり、世界中のあちこちでフォルスが覚醒するヒトが続出します。
主人公であるヴェイグもこのフォルスの暴走に巻き込まれてしまい、幼なじみであり家族でもあるクレアを、己の氷のフォルスで氷漬けにしてしまうのです。
そこから1年後……。
ヒューマのマオと、ガジュマのユージーンがヴェイグのもとへとやってきて、マオの炎のフォルスでクレアの氷を溶かして助け出します。
しかしその直後にサレとトーマというカレギア王国の国王直属の特殊部隊”王の盾”四星の2人に、クレアは連れ去られてしまうことに。
前半の旅の目的はクレアを助け出すこと。すべてが一旦落ち着くも、後半はさらに種族対立がひどくなるため、再び世界を回ることになります。
先ほどの王のフォルスの暴走は“ラドラスの落日”と呼ばれ、フォルスを覚醒させるだけでなく、これによって2つの種族の関係が一変してしまうのです。
以前は“図面を書くのはヒューマで、それを作る体力仕事はガジュマがやる”というように、お互いを認めあうことでいい感じに共存している状態でした。
しかし“ラドラスの落日”以降はヒューマとガジュマの間でお互いに不平不満をぶつけるようになりました。正直、見ていてつらいうえに、こういった差別は他人事ではないのでとても考えさせられます。
印象的な演説シーンと青春シーンを紹介
私がこの『テイルズ オブ リバース』が好きな理由をあげますと、まず1つに、この種族間の対立が最高潮の時に、アガーテ姫がする演説がとても印象的だからです。
「皆さんがパイを、ピーチパイを食べることがあったら、1度だけ目を閉じて考えて下さい。あなたが美味しいと感じる心に、種族はありますか?」
ピーチパイとは、ヴェイグとクレアの好物であるパイで、ゲーム中によく出てくる食べ物です。ちょっとしたキーアイテムだと思ってます。
私はこの言葉がすごく印象的で、今でも心に残っているんです。おいしいと感じる心に種族も年齢も性別もない。姿は違えども、楽しい時は笑い、悲しい時は涙を流すのはなぜか……それは、私たちの心は同じだから。
この演説は本当に素晴らしいものです。
▲画像はアガーテ姫です。 |
そしてもう1つ、『テイルズ オブ リバース』で好きなシーンがあります。それはヴェイグとティトレイの殴り合いのシーンなのですが、これがまた青春なんですよ(笑)。夕暮れ時の砂浜で、二人の男が拳と拳で語り合う。
いつもムードメーカーでおちゃらけた風なティトレイが、声を荒げてヴェイグを殴ってくるんです。自分の気持ちを口に出せず、1人で抱え込んで焦るヴェイグに対して「苦しいなら苦しいって言えよ!! つらいんならつらいって言えよ!!」と怒りながらなってくれるんです。
本当に青春の1ページです。わざわざこの殴り合いもバトル画面に移ってやりだすので、「ふふ」って笑いが出てきますね(笑)。
▲画像は仲よく食事をする2人です。 |
バトル面では、本作から“3ラインリニアモーションバトルシステム”が導入されています。
簡単にいうと、これまで1本のラインで行われていたバトルが、奥と真ん中と手前という3ラインになり、前後だけでなく手前や奥にも移動できるようになったのです。
飛躍的に戦闘の自由度が増したのですが、その一方で乱戦になることがあり、1人で突っ込んでいくと“壊滅まったなし!”な状態になることも……ありました。気付けば敵に前衛を突破され、後衛が攻撃されてるなんてことも。
なかなかに歯ごたえのある戦闘なので、「考えながらバトルをプレイしたい!」という人は楽しめるかと。敵が強くなっているのに猪突猛進に突っ込んでいくと、高確率で返り討ちにされますので。
アイテムを使うと「アイテムなぞ使ってんじゃねぇ!」と言って極悪コンボ叩き込んでくる敵が過去シリーズにおりましたが、『テイルズ オブ リバース』だとグミを使うと「グミなら僕も持ってるよ」と言って回復してくるユニークな敵がおります。
プレイ後に考えさせられた名作
『テイルズ オブ』シリーズのテーマには、考えさせられるものが少なくありません。その中でも、身近なテーマであり、難しいテーマだった『テイルズ オブ リバース』。プレイし終わった後に、何を思うのか。
少なくとも「クレアアアアアア!!!」っというヴェイグの叫び声は、数日耳に残っていることでしょう。まったく「クレアクレアクレアクレア……馬鹿みたい」と。
本作『テイルズ オブ リバース』はPSP版が発売されました。
こちらなんと! アップルグミが販売されております!! アップルグミは『テイルズ オブ』シリーズで定番の回復アイテムなのですが、PS2版では購入できず、入手数が限定されていたのです。それを安価で買えるのはとてもありがたいですね。
というのも、『テイルズ オブ リバース』で買えるグミの一番下はピーチグミで、1個500ガルドもしましたから……。
その他に、闘技場が増えたり、カットインが増えたり、移動速度が上がっていたりしております。あと戦闘難易度に“GOD”が追加されていたり、装備も歴代シリーズの武器が追加されていたりとファンにはたまらないタイトルになっています!
PS Storeでは廉価版を販売しているので、PSP、PS Vitaでプレイしてみてください!
(C)いのまたむつみ
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
データ
- ▼『テイルズ オブ リバース』
- ■メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
- ■対応機種:PS2
- ■ジャンル:RPG
- ■発売日:2004年12月16日