2018年6月14日(木)
スクウェア・エニックスが“Square Enix E3 Showcase 2018”で発表した、PS4/PC(Steam)用ダウンロードソフト『THE QUIET MAN(ザ クワイエットマン)』。本作のプロデューサー・藤永健生さんに、作品についてお話を伺いました。
『ザ クワイエットマン』は、実写のストーリーパートとCGのアクションパートで構成されたシネマティックアクションです。最高品質のCGクオリティを目指しているとのことで、公開されたアナウンストレーラーでは、その映像のクオリティの高さが確認できます。
●『THE QUIET MAN』アナウンストレーラー
また、プレイ時間は3時間程度ということも明らかになっています。実写を交えた理由や本作を制作した意図、プレイ時間についてなど、気になる点を藤永プロデューサーに直撃。どんな作品になるのか気になった方は、ぜひ最後までご覧ください。
▲『ザ クワイエットマン』プロデューサー・藤永健生さん。 |
──アナウンストレーラーを拝見しましたが、本当にびっくりするほどの映像クオリティでした。実写も使用しているのとのことですが、どのような表現になっているのでしょうか。
いわゆる映画やドラマのような実写での映像表現と、ビデオゲームというものを新しい形で融合させることができないかと、挑戦したものになります。
最近は、良質な海外ドラマなどが広く楽しまれていて、ゲームにもそういった高いドラマ性が求められています。「ゲームだからいいじゃないか」と無条件に安っぽさが許されることはなくなってきつつあります。
それを鑑みて、いままでゲームがトライしてこなかったぐらい深い人間描写を踏み込んで表現したくて、実写とゲームを掛け合わせたようなものを目指しました。
──ストーリーパートは実写とのことですが、具体的に実写を使用している部分はどのような箇所になるのでしょうか?
私は、特にフォトリアル路線ではですが、CGでは人間の一番感情的な部分、例えば表情だったりとかは完全には表現しきれないと考えています。なので、人間の深い感情を表すような、そういう部分を中心に実写にしています。
CGの技術はかなり進歩していて、すごくリアルにはなってきていますが、それでも感情表現については生身の人間のほうに分があるはずと思うし、そうであってほしいと思っています。
──人間の感情表現を含めて、ドラマ性を高めるために実写を選んだという感じでしょうか。
ゲームのCGがどんどんリアルに近づいて、それの行きつく先、ゴールはなんだろうと考えました。フォトリアルなCGの最終到達地点は、もはやリアルであるはずではないでしょうか。
よく言う「実写みたいなクオリティ」が行きつく先なんだったら、じゃあなんで実写じゃダメなのかと(笑)。
もちろん、CGで作られたゲームだからこそのよさがあります。それは写真があっても絵画が素晴らしいことと同じで、どちらもいいものなんです。ただ、今回表現したかったドラマ性について言えば、実写でやることのほうが利点が大きかったのです。
──では、人間が演じるストーリー以外の箇所はCGで作っているということでしょうか?
すごくはっきりと言うと主にバトルの部分になります。アナウンストレーラーでも、カメラが下から上がってきて主人公がパンチを繰り出すシーンがありますが、あそこはもう実際にボタンを押してパンチを出す、というプレイシーンになります。
──実写とCGの切り替わりがどこなのかまったくわからなかったです。
そうですね。あのシーンは物語の導入部分でもあるので、一番力が入っているところでもあって、シームレスにつながる感じでの表現がハマりました。
ただ、実写とCGを超高度にブレンドするんだ! というところに一点集中しているわけではなくて、カットを入れてパッと変わるようなところもあります。あくまで物語を一番効果的に見せられるように、実写とCGを切り替えています。
──CGのクオリティもものすごいですよね。本当に実写と違いがわからないくらいでした。
当然実写側に出てくるキャラクターがゲーム側にも出てくるので、なるべく近くなければならないので、できる限りリアルに近づけるようにしています。
最終的には実写かCGか、というのがあまり気にならないことのほうが大切で、「いよいよCGがここまで来たな!」と思ってもらえるくらいに作っていきたいですね。
ですが、ただリアルに見えることがゲームとしておもしろいかというと、また別の問題なんです。ゲームとしてちゃんと成立させつつ、どれくらいゲームっぽくなく見せるかはバランスが難しいところです。
これはゲームデザインとして見ても同じことで、例えば殴り心地みたいなところをリアルに寄せてしまうと、ゲームが楽しくなくなってしまいます。ゲームとして楽しくするために、デフォルメ化する部分はうまく調整していきたいと思っています。
──主人公のお話が少し出ましたが、トレーラーを見ると耳が聞こえないことがわかりますよね。となると、音が聞こえないとどういうゲーム性になるのか想像できないのですが……。
はい。厳密には音を排するというより、“言葉を排する”というところに主眼を置いています。ティザーサイトでもお伝えしていますが、セリフや字幕による情報伝達はありません。
この耳が聞こえない、言葉のしがらみを一切受けない主人公が、世界をどういうふうにとらえているのかを表しています。
ゲームに関しては完全に無音、というわけではありません。例えば、彼が身体で触れる触覚でわかるものについては音で表現したりだとか、彼が生きている、もしかしたら無音かもしれない世界を音で表現するという、すごく難易度の高いことをしています。
──プレイ時間について3時間程度とのことですが、これはどういった理由でしょうか。
最初から2時間半から3時間くらいで終わるようにと考えて作っていました。これは、一回画面の前に座ったらクリアできる、ということをやりたかったのです。
これは企画の立ち上げ時点からずっと言い続けていることで、現代人はとにかく時間がないです。大人になるとゲームに7~8,000円出すのは別に気兼ねなくできたとしても、50時間という時間の投資をするのはとても難しいです。
私もゲーマーなのでよくゲームを買いますが、例えばオープンワールドのゲームを3本積んでしまったら、もう全然手を出せなくなってしまいます(笑)。
さらに、ゲーム以外のエンターテイメントもたくさんあって、時間の争奪戦になっている状況です。だからこそ、短い時間で濃密な体験をしてもらえるようにと、最初から短めのゲームプレイ時間を考えていました。
──なるほど。ちなみに価格も1,800円とお手ごろで、この映像クオリティに対してすごく安い! と思ったのですが。
この値段にも理由があります。最初のほうで“映画”と言いましたが、まさにそれです。3時間という映画1本分の時間に相性のいい価格が、映画1本分の1,800円だなと思いました。
トレーラーのビジュアルだけを見ると、1,800円のゲームには見えないですよね。ですがそこは、プレイボリュームを考慮してのことになります。どこを研ぎ澄ましていくべきか、取捨選択をしながら、値段以上のものを目指して作っています。この作品では、ドラマ性、濃密な物語を楽しんでもらいたいという考えです。
──プレイするのがすごく楽しみです! 発売日はまだ発表されていませんが、いつごろになるのでしょうか。
なるべく長くお待たせしないようにしたいと思っています。また、現時点ではサイトでもあまり情報を出していませんが、続報もどんどん出していきます。
特に、どういうお話なのかとか、ゲームですのでバトルの部分を、しっかりと見せていきたいと考えています。ぜひ、今後の情報を楽しみにお待ちください!
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