2018年6月14日(木)

『Captain Spirit』行動の一部は『ライフ イズ ストレンジ2』に引き継がれる【E3 2018】

文:kbj

 米国・ロサンゼルスにて開催されている“Electronic Entertainment Expo 2018(E3 2018)”にて、『The Awesome Adventures of Captain Spirit』のインタビューが実施された。

 『Captain Spirit』は、『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』の開発で知られるDONTNODの開発するタイトル。本作は『ライフ イズ ストレンジ』と同じ世界観で描かれている。

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 今回、『Life is Strange』/『The Awesome Adventures of Captain Spirit』のクリエイティブ・ディレクターであるRaoul Barbetさんに本作の世界観や開発で心がけていることなどをうかがった。

 なお、『The Awesome Adventures of Captain Spirit』は、海外では6月26日より無料配信されるが、日本での配信は未定。

――『ライフ イズ ストレンジ』の世界とつながっているということですが、時代的にはいつになるのでしょうか?

 『ライフ イズ ストレンジ』の3年後になります。基本的に『ライフ イズ ストレンジ』と『ライフ イズ ストレンジ2』、『Captain Spirit』はすべて同じ世界で描かれているので、細かいつながりがそれぞれにあります。また、『Captain Spirit』におけるプレイヤーの行動の一部は『ライフ イズ ストレンジ2』に引き継がれます。

――ということは『Captain Spirit』から『2』に何かの要素は出るのでしょうか?

 詳しくは話せないのですが、もちろん出ます(笑)。

――『ライフ イズ ストレンジ』では不思議な力を持った女子高生を描き、本作では夢見がちな少年が描かれています。なぜ少年にしたのでしょうか?

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 『ライフ イズ ストレンジ』を作る際には性別は特に関係なく、リアルさに焦点を当てて作っています。共感できる物語で、さらに人によっては少し重たいと感じる日常生活にて遭遇する要素を描き、そのうえで不思議な世界を描くのがテーマです。

 『ライフ イズ ストレンジ』を作るにあたっては、マックスやアルカディアを描いたのですが、『Captain Spirit』ではそうでない要素を伝えたいと考えました。前作では時を巻き戻すシステムがゲーム面に大きく影響を与えていた。今回もリアルをこえたようなちょっとした何かを加えていきたかったんです。

 “キャプテンスピリット”は主人公クリスの頭の中だけで描かれる、もう1人の自分であるのですが、キャプテンスピリットにどのような能力があり、それがプレイにどう影響するのはぜひ体験して確認してください。

――できれば詳細をあまり聞きたくないのですが、超能力は頭の中だけではなく、実在するのでしょうか?

 詳細はプレイしてもらえるとわかります。ただ、どちらかといえばフォーカスしたいのは、クリスが持っている想像力の豊かさがどのように影響を与えるかになります。

――ゲームシステムがあって、この物語が生まれたのですか? 世界観があって、超能力を使うシステムが生まれたのですか?

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 いい質問ですね。……クリスを掘り下げていくにあたり、父親との微妙な関係性で決して幸せとは言えない環境にいるクリスと、想像力豊かな明るいクリスがいて、それをどのように伝えるかを考えた結果、ゲームシステムに組み込みました。

 “LOOK”を選ぶと物を見るのですが、キャプテンスピリットの力を使って物に注目する時は単にボタンを押すのではなく、いろいろなボタンを押しながら注目します。その組み合わせを試してください。そしてその仕組みは『ライフ イズ ストレンジ2』にも引き継がれます。

――先ほどプレイの一部を見させていただきましたが、クリスの家とその周辺が描かれていました。それ以外にもロケーションはあるのでしょうか?

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 基本的には家の中と庭が動けるエリアになるのですが、クリスは想像力がすごく豊か。エリアは広くないのですが、クリスの頭の中でいろいろなところに行けます。

――雪がきれいに描かれていましたが、グラフィックエンジンをUnreal Engine 4に変えてこだわっているところは?

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 当然、開発としては技術面で進化していきたいと考えています。エンジンを移行したことで、ボディアニメーションやフェイスアニメーション、全体のグラフィックはもちろん向上しています。

 ただし重要なのは、『Captain Spirit』をプレイした人がずっと『ライフ イズ ストレンジ』であり続けていると感じるところです。同じDNAのまま、開発していくことはつねに頭の中にあります。

――今回無料配信にされた理由は?

 なぜ、ダメなんだい?(笑) 冗談はさておき、実はDONTNODとスクウェア・エニックスが話し合った時から、無料で出すことは決まっていました。『ライフ イズ ストレンジ2』への架け橋となるタイトルが本作なので、無料で配信することには意味がある。そしてそれは『ライフ イズ ストレンジ』をプレイしている人にも意味がある。そして、まだアドベンチャーゲームをあまり遊んでいない人にもいい機会になると思い無料にしました。

 ゲームクリエイターとして、ディレクターとしては自分が手掛けたタイトルはできるだけ多くの人にプレイしてほしい。そのため、無料で配信する施策ができてよかったです。また、スクウェア・エニックスにもぶれずにやっていただいたので感謝しています。

――開発中にあった一番印象的だったことはなんですか?

『The Awesome Adventures of Captain Spirit』

 それは難しい質問ですね(苦笑)。一人遊びが好きな少年の物語を作っていくにして、部屋にあるおもちゃや彼のセリフ、おいてある漫画をすべてを設定していくことになります。その際に、開発全員が自分の子どもの経験を生かして、それを投影して作っていく。それぞれの思い出を共有して、ゲームに詰めていけるのは一番印象的でした。

 我々の世代のフランスでは、『聖闘士星矢』や『美少女戦士セーラームーン』が人気でした。“キャプテンスピリット”に変身するシーンでは、子ども時代に好きだったアニメ作品へオマージュができて印象的でした。

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