2018年6月19日(火)
“E3 2018”で実施されたPS4/Xbox One/PC用ソフト『Cyberpunk 2077(サイバーパンク 2077)』のメディア向けプレゼンテーションの模様と、レベルデザイナー・Max Pearsさんのインタビューをお届けします。
本作は、マイク・ポンスミスさんによるテーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』に基づいて開発された物語主導型のオープンワールドRPGです。近未来の巨大都市“ナイトシティ”を舞台に、数十時間におよぶメインストーリーに加え、多彩なサイドイベントが楽しめます。
E3 2018で行われたプレゼンテーションでは、およそ50分のデモプレイを見ることができました。プレイは、ゲームの序盤部分で、まず最初に主人公“V(ヴィー)”のキャラクターカスタマイズ要素を見せてもらいました。今回のプレイでは女性キャラをチョイス。見た目だけでなくキャラクターの出自なども選べるようでした。
本作では、主人公は、ハッキング技能を持つ“ネットランナー”、タレットなどの支援兵器に精通した“テッキー”、戦闘能力の高い“ソロ”の3つのクラスに属するアビリティを覚えることができ、それらの組み合わせで自分だけのキャラクターを作り上げていくことになります。
プレイヤーはサイバーウェアでキャラクターを強化できます。ちなみにサイバーウェアとは、『サイバーパンク 2077』内に登場する、人体に埋め込む機械的なパーツの総称です。デモプレイでは、手のひらに組み込んで銃器の性能を上げるインターフェースや戦闘用に視覚を強化する義眼が登場していました。
デモプレイでは戦闘も行われました。戦闘は銃器を用いたものがメインでしたが、ダメージを数字で表示させていました。また、オープンワールドらしく、さまざまな選択肢が存在しているようで、戦闘を回避したり、またはハッキング技能を使って敵を排除したりもできるようでした。
さらに、物語を彩るキャラクターとして、Vの仲間であり腕が立つ殺し屋・ジャッキーが登場したり、その他にも主人公さまざまな仕事を持ち掛けてくるデクスター、巨大企業ミリテク社の高慢な女性エージェントなどの姿が確認できました。
今回のデモはあくまで制作中とのことでしたが、とにかくオープンワールドとしての“密度の濃さ”が尋常ではないことが伺えました。オープンワールドゲームは、ただ単に広いだけではなく、どれだけ作り込まれているかが非常に大事だと思うのですが、このゲームでは、ナイトシティにある数百もの建物や部屋に入れるそうで、密度には十分期待ができそうです。
まだ自分で遊んだわけではありませんので、どれだけのものに実際に触ったりアクティベートできたりするのか、武器やサイバーウェアの種類は最終的にどれくらいになるのか、いわゆるやり込み要素のたぐいはどれくらいあるのか……。などなど、気になっている部分については今後わかり次第お届けしたいと思っています。
デモプレイで感じたことに続いて、『サイバーパンク 2077』でレベルデザイン(※ゲーム中に登場するエリアの設計や、アイテム、敵や味方の配置、難易度調整など)を手掛けるMax Pearsさんにインタビューできたので、ご覧ください。
また別の記事では、原作であるTRPG『サイバーパンク 2.0.2.0』のゲームデザインを手掛けたマイク・ポンスミス氏のインタビューを掲載していますので、お楽しみに!
──舞台となる2077年のナイトシティは、非常に危険で鬱屈(うっくつ)とした雰囲気の、生きづらい都市になっていると感じました。『サイバーパンク 2077』のナイトシティをこのような雰囲気の街にした理由はありますか?
▲Max Pearsさん |
もともと原作である『サイバーパンク 2.0.2.0.』に登場したナイトシティ自体にしっかりとした世界観設定があります。その中でもいろいろな地区に都市がわかれていて、ものすごく危険であったり、そこまでは危険でなかったり、それぞれ地区にいろんな特色があるんです。
我々がゲームとしてこの世界を作り込むにあたって、それらの設定を最大限に活用できるような舞台として、この街を設定しました。
──ナイトシティでは、昼と夜で大きな差があったりはしますか? 時間帯によってできることやできないことがあったりするのでしょうか?
デモの時点ではまだ未実装ですが、天候変化のシステムがゲームの中に組み込まれる予定で、日中時間の変更と天気の変更によって、夜の雰囲気と昼の雰囲気がまったく違うものになるようにしています。それらの環境に応じて、異なる体験ができるようになりますよ。
──今回のデモプレイで見せていただいた都市は、危険度で言うとどれくらいになるのでしょう。
今回見ていただいたのは“ワトソン”という地区になります。ここは、危険度はちょうど中間くらいの地区になりますね。ワトソンより危険な場所も、逆に安全な地域も用意しています。
ナイトシティについて……ナイトシティは6つの地区で構成される大都市です。
ネオンに彩られた“シティ・センター”は、富を具現化した街の中心地。デモプレイの舞台となった“ワトソン”はさまざまなアジア文化が交じり合った移民街です。
観光客向けのジャパンタウンを備える“ウエストブルック”は、金がある人間や遊び人向けの場所。“ヘイウッド”はラテン系民族が集まる巨大な郊外住宅地、ここに家を構えることは成功者としてのステータスになっています。
“パシフィカ”はナイトシティでもっとも危険な地区。ギャング抗争により荒廃し、他の地区とは比較にならないほどの貧困にあえいでいます。“サント・ドミンゴ”は無数の発電所と工場が建ち並ぶ地区で、ナイトシティのエネルギー供給を担っています。
──ゲームプレイはワトソンからスタートする形ですか?
必ずしも同じシーンから本編が始まるかはわからないです。ですが、デモでお見せした部分はゲーム全体で言うとかなり序盤の部分なので、その可能性は高いですね。
──ワトソン以外にも拠点を持つことはできますか?
他にも拠点にできる場所がたくさんあります。その場所を購入したり、ストーリー上で解除される形で、拠点にしていくことが可能です。
──主人公のV(ヴィー)には、今回のデモプレイで登場したジャッキー以外にも仲間が存在するのでしょうか?
ジャッキーはコンパニオンの1人で、同じように一緒に戦ってくれるさまざまなキャラクターがいます。現時点でご紹介できるのはジャッキーだけですが、どんなキャラクターが味方になるのか期待していてください。
──この世界における企業の強大さを教えてください。
ゲームの世界観設定として、大きな企業間の戦争が過去に一度起こっていて、その戦争を経て企業が非常に力をつけ始めました。
戦争の影響もあって、この世界の企業は闇の世界に通じるようなことでも臆することなくやります。倫理的な点では、国家よりももっと極端な方向に走った、危険な存在と言えるでしょう。
──ナイトシティを支配しているのは企業なんですか?
地域によって違います。企業の色が濃くて企業によって支配されているところや、政府によってある程度管理されている場所など、地区によって特色が異なります。
ですが、支配者層としては企業がトップにある状況は変わらないです。例えば、ワトソンにはギャングたちがいるのですが、そのギャングたちですら、企業の組織力には遠く及びません。
──人体改造は本作の大きな要素の1つですが、どこまで改造できるのでしょうか。全部機械にして、生身じゃなくなってしまうこともあるのですか?
原作の『サイバーパンク 2.0.2.0.』の世界では、あまりにも全身を強化しすぎると、“サイバーサイコ”という状態になってしまいます。感情をすべて失ってしまい、狂人と言って差し支えない状態です。
ゲームの中では、プレイヤーが“サイバーサイコ”状態になるほどまで強化はできません。我々はストーリを一番重視していますが、プレイヤーがサイバーサイコとなってしまうとストーリーが続かなくなってしまいます。そのため、そこまではできないようにしています。
ですが、他のキャラクターが全身を改造しすぎたがゆえに、“サイバーサイコ”になってしまう演出はあるかもしれませんね。
──では、サイボーグとしてどの程度自由に強化ができますか?
細かくどの部位が強化できるかは現時点ではお答えできないんですけど、例えばデモの中で見ていただいた通り、眼球だとか、腕、手のひらといった、いろいろな箇所のカスタマイズ要素はなるべくたくさん持たせたいと思っています。自分好みに変更できる部分はたくさんありますよ。
──ちなみに、サイボーグは人間の脳は残っているんですか?
非常におもしろい質問ですね。ソケットがあってチップを入力するシーンをでもプレイでご覧いただいたと思いますが、脳は一定までは電脳化が進んでいる状態ではあります。ですが、脳そのものは完全に機械で動いでいるわけではない、という設定です。
──サイボーグとなることでどんな弱点が生まれてしまうのでしょうか?
細かいことまでは話せませんが、デモでご覧いただいた通り、ギャングの1人をハッキングしてそこから他のギャングを混乱させる……、というようなことは可能です。情報戦に通じた“ネットランナー”としてのスキルを伸ばしていくと、ネットの海に潜って、もっと驚くような力を行使できるようになります。
──いわゆるミニゲームのようなものは用意されていますか?
『ウィッチャー3』だと『グウェント』といったものが用意されていますが、まだ具体的に決めているわけではありません。ただ、そういったアクティビティは用意したうえで、ユーザーにゲームの中で遊んでもらうようにしたいと思っています。
▲『グウェント』は、カード収集やデッキ構築の楽しさ、ゲームデザインの秀逸さなどでコアな人気を獲得し、単独作品が制作されるほどの盛り上がりを見せました。 |
──『サイバーパンク 2077』を制作するうえで、もっとも大事にしている点はなんでしょうか。
まず大前提として、“非常に荒廃した近未来のディストピアの世界を、広大なオープンワールドの世界で描きたい”ということがあります。
それに加え、主人公のカスタマイズ性、ストーリーの展開もそうなんですけど、プレイヤーが主人公を操作している感覚を出すために、プレイヤーが世界に与える影響をなるべく最大化していって、ディストピアの世界の中で1人の人間として生きていくことができるようにしています。
──本作を楽しみにしている日本のユーザーにひと言お願いします。
まだまだお待たせしてしまうことになりそうですが、我々はスタジオとしても、ゲームが本当の意味で完成しないうちに外に出したくないのです。最高の体験をお届けできるようにするので、お待ちいただければと思います。
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