2018年6月20日(水)
PS4/Xbox One/PC用ソフト『Cyberpunk 2077(サイバーパンク 2077)』のメディア向けプレゼンテーション会場で、TRPG『サイバーパンク 2.0.2.0.』を手掛けたマイク・ポンスミスさんにお話を伺うことができました。
▲マイク・ポンスミスさん |
『サイバーパンク 2077』は、マイク・ポンスミスさんによるテーブルトークRPG『サイバーパンク 2.0.2.0.』に基づいて開発された物語主導型のオープンワールドRPGです。近未来の巨大都市“ナイトシティ”を舞台に、新鋭のサイバーパンク“V(ヴィー)”を主人公として物語は展開します。
プレイヤーは “V”の性別、外見、クラス、生い立ちを自由にカスタマイズすることができ、キャラクターの成長はあらゆる面でゲームプレイに影響します。
本作では、プレイヤーの選択が結果に影響するストーリーテリング手法が採用されています。摩天楼が建ち並ぶナイトシティの一員となったプレイヤーには、ゲーム全体の流れにも影響しうる、数多くの困難な選択が訪れます。
そんな『サイバーパンク 2077』が制作されるにあたって、マイク・ポンスミスさんはどう思ったのか? さまざまなお話を聞かせていただきました。
──『サイバーパンク 2.0.2.0.』がゲーム化されることについての感想をお聞かせください。
以前から『サイバーパンク 2.0.2.0.』の世界観をゲームにしたいと言ってくださるゲームパブリッシャーはたくさんあったのですが、その中でCD PROJEKT REDが一番IPのことを理解していました。そして彼らは素晴らしいゲームを作り上げてくれています。
──TRPGからビデオゲームになったわけですが、最大の差はなんだと思いますか?
一番大きな違いは選択肢の多さだと思います。TRPGではゲームマスターがいて、ある程度の制限はありますが、基本的にはなんでもできます。
かたやビデオゲームは、制限の中でできることがさらに限られてしまうのですが、CD PROJEKT REDは可能な限り多くの選択肢をゲームの中に入れてくれています。
TRPGのおもしろさの根幹にある部分は、たくさんの選択によって結末が変わるというものです。幸いにもそれは、CD PROJEKT REDが得意とする手法でもあります。彼らによって、『サイバーパンク 2077』はTRPGの魅力をなるべく実現できるようなデザインになっています。その点は非常によかったと思っています。
──マイクさんはどのくらいゲームの制作に携わったのですか?
そもそも私はビデオゲーム開発に携わったこともありました。そんな過去の経験もあったため、本作の制作にあたって、非常に多くの部分にかかわることができました。主に手掛けた部分は、ステータスや能力値(筋力や知性)の調整といった、キャラクターの設計などにまつわる部分ですね。
私はシアトルに住んでいるんですが、CD PROJEKT REDがあるワルシャワに、年に最低2回行って、そこでディスカッションしたり、逆にチームの人間がシアトルに来てミーティングしたりもしました。最初に想定していたよりも、ゲームの開発に携わることができていると思います。
──ゲームの舞台は原作の『サイバーパンク 2.0.2.0.』から50年以上進んでいますが、その点についてはどうお考えでしょうか?
もともとTRPGの原作は、『サイバーパンク2013』として2013年の世界を描いていました。その後、バージョンアップしていって『2.0.2.0.』――2020年の世界になったのです。
原作のプロジェクトは2050年まで設定されています。ですので、2050年までは原作の設定に沿っていただき、そこから先の2077年までの27年間は、CD PROJEKT REDのほうで考えてもらっています。デジタルゲームの形にするための、正しい選択だったと思っていますよ。
──原作者として、「ゲーム化にあたりここだけは大事にしてほしい!」というポイントはありますか?
実は、私は「こうしてほしい」とCD PROJEKT REDにリクエストしたことは1回もありません。その代わりに私が一番多くやったことは“とにかく説明すること”でした。
ゲームスタッフの何人かは、『サイバーパンク 2.0.2.0.』のことを私よりも知っているぐらい大ファンだったので、彼らはゲームコンセプトを理解してくれていたのですが、もちろんこの世界のことを知らないスタッフもいました。
なので、スタッフにはまず、『サイバーパンク 2.0.2.0.』の世界について1日何時間も細かく設計論みたいなものを説明しました。
──マイクさんが考えるジャンルとしての“サイバーパンク”の定義とはなんでしょうか。
難解な質問ですね! 私にとってのサイバーパンクは、まず技術の革新があり、次に大きな組織が弱者を圧政する社会的なシステムがあって、それに抗う人々がいるという、これら3つの要素からなっていると思います。
サイバーな部分というのが技術で、パンクの部分が圧政に抵抗することだと思っているんですが、その要素が密接に絡み合うことによってサイバーパンクという概念が生まれると考えています。
──サイバーパンクはもともと思想の1つだったと思うのですが、時代が変わるごとにイメージが変わっているように思います。その点についてはどう思っていますでしょうか?
1988年に『サイバーパンク2013』を執筆した時は、まだまだサイバーパンクを題材とした本の数もなかったし、そもそも人々がサイバーパンクという存在を知らなかったと思います。
それが時代を経て、日本では特にアニメという形でサイバーパンクが映像化して社会に浸透していき、イメージを構築していきました。特に、サイバーパンクのエンターテインメント性を高めたという点では、日本が果たした役割は大きいと思いますね。
──マイクさんがサイバーパンクの作品の中で気に入っているものは何かありますか?
一番は『ブレードランナー』ですね。最新作の『ブレードランナー 2049』もとても素晴らしいと思っています。『ニューロマンサー』や『スノウ・クラッシュ』、『ハードワイヤード』もいいですね。日本の作品ですと、士郎正宗さんの漫画版を含む『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』も大好きです。
──最後に、作品を待っているユーザーにメッセージをお願いします。
『サイバーパンク 2.0.2.0.』では、日本からいろいろなインスピレーションをもらったので、日本という国そのものに感謝しています。
『サイバーパンク 2077』の中にも、日本からのインスピレーションが感じられる部分があります。そういったところを含めて楽しんでいただければと思っていますので、期待していてください。
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